2009/12/21

ヒカシュー新譜「転転々」発売されました!

どうもMUSHです!

12月20日ヒカシューの新譜「転転々」が発売になりました!こちら5.6MHzDSDマスタリングをオノが担当しております!
ヒカシュー / 転転々 【CD】
2006年発売のアルバム「転々」の続編と位置づけられた「転転々」ですが、ヒカシューのリーダー巻上公一さんの言葉をお借りすると、、、
2009年。これはとんでもないクリスマスプレゼントです。

DSD mixing by 坂出雅海
DSD mastering by オノセイゲン
レーベル:MAKIGAMI RECORD / 品番:mkr-0006 / 2009.12.20発売

2009/12/18

エンジニアokuda supaさんはKORG MR-2000Sを導入されていますよ!

Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2010年 01月号 [雑誌]
サンレコ1月号P.74-に、いつもマスタリングの立ち会いでは5.6MHzDSDでマスターを持ち込まれるokudaさんのインタビューが載っていますが、5.6MHzDSDを最大限活かすために機材のルーティングやスピーカーまで取り替えてしまったとのことで!?そこまでやってしまうこだわりの方、okudaさんの記事はDSDの良さが非常にわかりやすかったので、引用して紹介させていただきます!
「またDSDは立ち上がりがものすごく早いのですが、真空管のコンプやEQを通すとそのスピード感が止まってしまうんです。」
「PCMの音は一般的にガッツがあると言われていますが、DSDはガッツが無いわけではないんですけど、そう聴こえなくもないという部分もあって、中低域をしっかり作るという意味でも(PROAC)Studio 100が適していると思ったんです。」
okuda氏はDSDの音を「奥行きがあって、つやっぽい」と表現する。しかし、「ただ、そのままで良い音というわけでもなくて、良い表現ができるかどうかを研究しないとDSDは音として死んでしまう。だから新しい角度から、新しい方法でとらえないと良い結果は出ない。」と語る。

なんか気になった言葉はありましたか!?またSSL、オールドのNEVE、APIと巡り巡ってMR-2000Sにたどり着いたというエピソードも必見です!サンレコ読みましょう!
関連記事:
http://d.hatena.ne.jp/SAIDERA/20090827/1251352587

2009/12/16

MR-2000Sを使ってみよう!(その5)「オーディオ編」

(オーディオ編)
オーディオが趣味の方にとっては、アーティストの良い演奏だけではなく音の良さにも特別なこだわりがあると思います。お気に入りの作品を自分が理想としているコンサートホールのサウンドに近づけたり、ライブハウスの演奏のリアルさを追求したり、理想のヴォーカルを求めたり、楽しみ方は様々ですね。

僕は音の鮮度、立ち上がりのスピードは入り口で決まると思ってます。再生機材が良くなければアンプ、スピーカーをどんなに頑張っても、表現出来ないサウンドがありますので。そのこだわりはマスタリングでも全く同じですね。
KORG MR-2000Sがスタジオに来た時、付属ソフトウェアの「AudioGate」を使って、DSDにアップコンバートしグロリア・エステファン『Mi Tierra」を聴いてみたんです。この作品はCDは音もすごくいいのですが、DSDにアップコンバート後ではアナログレコードのような枠がない感じの伸び伸びしたサウンド。音色は自然で柔らかいのですがラテンのリズムがとてもタイトで気持ちいいです。特にハスキーなヴォーカルのニュアンスが抜群でした。

このサウンドはうれしい発見でしたね。超高級なCDプレーヤーのような表現力です。ケーブルの聴き比べなどのリファレンスにも使っています。音色が素直なのでキャラクターの違いが分かりやすいです。スピーカー調整のリファレンスとしても最適です。

MR-2000Sを使ってみよう!(その4)「TD編」

(TD編)
KORG MR-2000SをTDに使ったら効果がありますか?という質問を頂きますがもちろんです。Pro Toolsの作業では最終的にミックスデータをバウンスすることで音色は若干変化します。一方MR-2000Sに5.6MHzで録音すればモニターアウトのサウンドをほとんどそのままのクオリティーで録音することが可能です。もちろんMR-2000Sの前にアナログのEQ、COMPを通したり、アナログハーフインチを通してそのアウトを録音することも可能です。この場合ランニングテープ1本あればアルバム1枚分ハーフインチを通せるんです。

今までなら録音スタジオとマスタリングスタジオではテレコ自体が違うので同じサウンドを再現することが出来ませんでしたが、MR-2000S本体を持ち運べば(サイデラ・マスタリングではもちろんデータの持ち込みでOK!)それが可能なのは本当にすごいことだと思いますね。

もう一つは以前も書きましたがノンストップのMIXCDを作る時にぜひ使って頂きたいですね。MR-2000Sにはピンの入力、出力が付いているのでクラブ・ミキサーのUREI1620の出力をそのまま録音出来るんです。DSD5.6MHzで※約14.5時間の録音が可能なので時間を気にすることなくプレイすることが出来ますし、何よりアナログレコードの質感をそのまま録音出来るところが一番の魅力だと思います。音のクオリティーはほとんど失うものはありません。
(※連続では6時間の録音が可能)

この方法だとDJがマスタリングスタジオでプレイしてそのままマスタリングしたかのような、昔のダイレクトカッティングのようなことが可能です。

MR-2000Sの良いところはアナログの良さを生かしてくれる機材だということ。Pro Toolsでは満足出来なくてさらに何かをプラスしたい、感動のレベルを上げたいというアーティストには絶対の機材だと思います。

2009/12/10

サイデラ・モーニングセッション#002終了しました!

どうもサラウンド戦略推進室担当F.P MUSHです!

サラウンド戦略推進室主宰、毎月5のつく日に「サラウンド朝活」第二回開催です!終了しました。
Red
「サイデラ・モーニングセッション #002
日時:2009年12月116日(水) AM9:00-10:00
*(今回はスタジオスケジュールの関係で15日が16日に変更です)
場所:サイデラ・マスタリング スタジオ(PMC MB1 X 5.1chサラウンド)MAP
今回の内容:サラウンドリミックスの相次ぐリリースに沸く「キングクリムゾン特集
無料/メールによる申込みsaraudon009@gmail.comまで
(会社名/氏名/年齢をご記入ください。問合せもこちらへ。)
主宰:SDP サラウンド戦略推進室 担当F.P. MUSH
・サラウンドを楽しむ方ならどなたでも参加いただけます。
・毎月5のつく日の朝9:00-10:00の時間帯(スタジオ・スケジュールの都合により8:45-9:45)
・パソコン(LAN使用可)、新聞、雑誌、クロワッサンなどの持ち込みOK。

2009/12/07

MR-2000Sを使ってみよう!(その3)「音ではなく音楽を伝える姿勢」

チーフ・エンジニアの森崎です。

KORG MR-2000Sのサウンドは音楽的とミュージシャン、エンジニアに高い評価を得ています。「立ち上がりが速く、音に潤いがあり奥行きがある」というのが一番の特徴ではないでしょうか。マスタリングエンジニアの方で「DSDのサウンドはKickの音像は大きいけど、芯が出にくい、まとまりにくい」という意見もありますが、僕がマスタリングするといつも「Kickの音がいい」と感想を頂いております。

MR-2000Sで録音するだけでかっこいいKickの音になるわけではありませんが、0.1dBのEQの違いまできちんと表現してくれますので、緻密な音作りが可能なんです。もちろんパンチのある音を作るにはサイデラ・マスタリングの電源環境、マスタリング機材が不可欠ですね。

僕自身、今まで色々なDSDのレコーダーの音を聴いてきましたが、個人的にMR-2000Sが一番好きなサウンドです。なのでその謎を知りたくてオーディオ的に調べてみました。DACにはCirrus Logic社製のCS4398を、ADCにはTexas Instruments社製 Burr-Brown PCM4202を使用していました。これらのパーツを使うなんて1980年代のオーディオ全盛時代の気合いを感じましたね。

今のオーディオは「梱包用の段ボール箱のサイズ」で機材の大きさが決まってしまう時代です。そういう中、最高の音を作ろうというKORGの姿勢は素晴らしいと思いました。機材で大切なことはブランドではなく、どのようなコンセプトで作られたか、そして作り手の思いがどれだけ強いかだと思います。そういう機材は「音』ではなく「音楽」を伝えてくれます。DACとADCについてはさらに調べていく予定です。

2009/11/27

モニター改善策(その8)「身近なもので響きを調整する」


プライベートスタジオが響きすぎて音が分かりにくい。という質問も沢山頂きます。サイデラ・マスタリングの床は木板ですが、オノのアイディアで固定せずに不規則に並べることで音を乱反射させる効果があります。天井にもベーストラップを吊ることで、ルームアコースティックを調整しています。

プレイベートスタジオで簡単で効果があるのは絨毯による吸音です。自分が座っている場所だけ1畳ほどの絨毯を敷いてみて下さい。リスニングポイントの周りの音の濁りが改善されますスピーカーや機材が置いてある床は固い方が安定が良いのでそのままにしておいて下さい。

また、レコーディングのとき、ヴォーカリストの立ち位置にも絨毯が敷いてあると足音を防いでくれます。この場合はタイルカーペット(50センチ×50センチほど)がお勧めです。枚数を変えて響きをコントロールすることが出来ますよ。

部屋のコーナーなどにクッションなどを置くだけでも低音を吸ってくれますのでこちらも試してみて下さい。身近な材料でもスタジオの音はどんどん良くなりますよ。試して分からないことが有れば、ぜひ質問して下さいね!

2009/11/26

MR-2000Sを使ってみよう!(その2)「HPアンプとして」

KORG MR-2000Sはレコーディング、マスタリングで大活躍していますが、ほかにも色々な使い方が出来ますよ!

(レコーディング編)
僕がお気に入りなのはMR-2000Sのヘッドフォンアウトです。これが本当に良い音なんです!ぜひ一度、レコーディング時のヘッドフォンアンプとして使ってみて下さい。セッティングはDATデッキなどと同様に、MR-2000SをREC待機状態にするだけでOKです。

レコーディングで大切なことは良いパフォーマンスを録音すること。それにはアーティストが気持ち良く歌い、演奏出来ることが不可欠です。

MR-2000Sが1台あればレコーディングスタジオはもちろん、プライベートスタジオの録音環境を大幅に改善出来ますよ。サウンドは色づけがなくヴォーカル、演奏がありのままに聴こえます。声の抜けが良く、リズムもしっかり聴き取れるので、細かなニュアンスやグルーヴも表現しやすいと思います。

例えばGRACE DESIGN m902Bは268,000円です。MR-2000Sは5.6MHzのレコーダー機能が付いて248,000円です。これほどお買い得な商品はありませんよ(コルグの営業ではありません!)。

2009/11/25

EQ2段がけ(その2)「実践編」

アナログEQとデジタルEQの良さを生かした使いこなしを説明します。

皆さんご存知だと思いますがGML Model8200というアナログEQの名機があります。(サイデラ・マスタリングにもジョージ・マッセンバーグのサイン入りのものがあり、大切に使っています)
ただ、このモデルはつまみがクリック式ではないのでセンターがきちんと合っているモニタースピーカーがないと、LRを合わせるのがなかなか難しいと思います。しかし、こんなに音が良い機材を使わずにデジタルだけで処理してしまうのももったいない話です。

そんなときはEQをオフにして8200をスルーで通してみて下さい。アナログEQを★パッシブEQとして使うんです。※アンプ回路を通さずにという意味です。ただ通すだけでも輪郭がしっかりとした深みのあるサウンドになりますよ。この使い方だとLRのずれは限りなく少なくすみますので、フォーカスがきっちり合ったサウンドを作ることが出来ます。

そして、音作りはプラグインのMDW Hi-Res Parametric EQで行ないます。このプラグインはすごくいいですが、アナログEQを前段で通すことでよりリアルなGMLサウンドをリコール付きで、使いこなすことが可能です。
この使い方はあらゆるアナログEQ、デジタルEQで応用出来ますので、アナログのニュアンスをプラスしたい時にはぜひ試して下さい。

2009/11/22

DSDレコーディング(その2)「DJ EMMAxDS-D98」



DSDの魅力はリアリティーと先日のブログで書きましたが、まさにそれを体験したのが、2005年「EMMA HOUSE ~Live at Yellow, Tokyo~」のレコーディングでした。この時はTASCAMのDSDレコーダー、DS-D98を2台同期させて、「イエロー」のコンソールアウトとフロアーのアンビエンス(歓声)を録音しました。アンビエンス用マイクはなんとShureSM58ですよ!

マスタリングではこの2台のDS-D98の音をアナログミキサーのMACKIE1202でミックスして作業しました。フロアーに立てた58のサウンドがすごく良かったので歓声だけではなく低音のフォローにも使いました。

スタジオに戻って聴いたとき一番ビックリしたのは音の自然さ。EMMAさんのプレイはもちろん最高で、クラブ・ミキサーUREI1620、アナログレコードのサウンドが、そのまま録音されていました。それまで聴いたことがないほどの豊かな低音、抜けのいいハットのサウンド。低域も高域も滑らかにきれいに伸びています。だから、ヴォリュームを上げても気持ちのいいサウンドなんです。「同じレコードを購入してUREIを通しているのですが、あのCDと同じような音にはなりません」という感想もいただきました。

間違いなく、あのCDにはアーティストだけではなく、フロアーの皆さんの魂も録音されているのだと思います。当時は、まさか「イエロー」が無くなるとは思ってもいなかったのですが、いま振り返ってみると貴重なレコーディングに参加することが出来た、そしてDSDで録音して本当に良かった。

DSDのサウンドはアナログレコード好きの方にも、感動のサウンドだと思います。

サイデラ・マスタリングではPCM音源であってもDSDにアップコンバートすることで、DSD録音と同じようなニュアンスを引き出すことが可能です。いままで体験したことがないようなリアルなMIX CDに仕上げますよ。

2009/11/20

サンプリング周波数とは(その5)「一致と同期」

「一致と同期」
いま2台のPCM-3348のサンプリング周波数をどちらも44.1kHzに設定したとします。この状態では確かに2台は44.1kHzのサンプリング周波数をもとに動いていることは間違いないです。しかし、単純に44.1kHzに設定しただけでは各々固有の(44.1kHz)の基準信号を使用しています。

例えてみたら、各々の腕時計を見るようなものですね。二人で同時に時報に合わせたとしてもいずれはずれてしまいます。なぜなら、基準となる信号が共通ではないからです。一致はしたけど同期はしていません。つまり同期というのは同じ基準信号を使用するということです。

ここで問題にしているのは精度ではありません。基準信号が不正確ならそれと同じように腕時計も不正確になります。そこがポイントです。重要なのは「同じように」ということです。

例えばオーケストラを考えてみます。一人一人が自分のメトロノームを使って練習していたとします。本番で一人一人の演奏者が同じテンポに設定したとしても、各自のメトロノームを使って演奏していたらうまくあいません。オーケストラにおける指揮者は各演奏者の共通の基準(基準信号?)です。全員が指揮者のタクトにあわせて演奏すればピッタリあいますね。

サンプリング周波数を一致(同期)させることは、上記のようなイメージですね。それでは次回は色々な同期についてお話をしたいと思います。

2009/11/19

EQ2段がけ(その1)「基本編」

Highが強いので全体に少し抑えてライドシンバルとハットを強調したい時、EQを2台使うのが効果的です。使い方ですが、1台目はシェルビングカーブでハイを落とします。シェルビングのスタートポイントはサウンドにもよりますが、4kHzから10kHz辺りから落として下さい。そして2台目で必要なポイントを強調します。ポイントを探すにはQを少しきつめにしてレベルを上げスイープさせて下さい。そうすることで必要な楽器が持ち上がる帯域が見つかるはずです。そこをほんの少し強調すればバッチリのサウンドになるはずです。

ここが大切ですがEQは2台同じものを使用して下さい。違うEQでも可能ですが同じ方がサウンドのつながりがいいですよ。サラウンド対応の6chに対応したデジタルEQなどは、例えばAES EBUで1、2chに入力、そのアウトを3、4chにつなげば、2段がけが可能です。

EQで良いサウンドを作るにはカーブがきれいにつながっていることが大切です。あまりに近い帯域を強調すると不必要な帯域まで持ち上がってしまいますので、最低限の処理で最大の効果を得ることが出来ません。30Hzと60Hzを1台のEQで強調するとカーブがつながってしまいます。そういうときは1台目で30Hz、2台目で60Hzを強調すると自然なサウンドを得ることが出来ます。

もちろんこの使い方はミッドレンジやハイのEQにも使えますよ!

2009/11/17

サイデラ・モーニングセッション#001終了しました

どうもMUSHです!

昨日は2000年頃に行われて以来の復帰第一弾の「サイデラ・モーニングセッション」が行なわれました!マイクアレンジの違いを数パターン、音で聴けたのでこれはすごい!勉強になりました!
しっかり"朝活"出来たのではないでしょうか?


次回の「サイデラ・モーニングセッション#002」は2009.12.15を予定しています。終了しました。
参加希望の方は、までメールにてお知らせください!
(スケジュールはスタジオの都合により前後あるいは中止になる場合がありますので、ご了承ください)
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2009/11/13

DSDレコーディング(その1)「フレッド・フリスxMR-2000S」

どうもですMUSHです!

以前の記事《2009.8.31DSD 5.6MHzリマスタリング大好評です◎》にあったボンバ・レコードさんは、ジャズからワールドミュージック、現代音楽まで幅広い取り扱いがあります!カタログを見るとギタリスト/コンポーザーのフレッド・フリスFRED FRITHの作品まで!フレッド・フリス、アーマッド・コンパオレ、オノセイゲンで2009年01月17日(土) 東京日仏学院ラ・ブラスリーにて行われたライブを、こちらはDSD5.6MHzレコーディングにて収録しました!
その様子はコチラ→→→
その現場にボクも立ち会っていましたが、あまりの省スペースな機材陣には正直驚き!?が、そのサウンドにはもっと驚きかもしれません!!

2009/11/11

モニター改善策(その7)「パワードスピーカーの使いこなし」


プライベートスタジオなどでは外付けアンプのパッシブスピーカーよりも、アンプ内蔵のパワードスピーカーを使われている方がが多いと思います。パワードスピーカーの使いこなしのポイントは、
1)電源ケーブルの長さをそろえる。
2)スピーカーにつなぐラインケーブルの長さをそろえる。
以上の2点です。

電源ケーブルはあまり長く引き回さない方が良いので、ミキシングコンソールの後ろにセッティングする場合は、そこまでタップを使用するのが良いですね。ラインケーブルは片側がコンソールアウトに近くても、左右で同じ長さのものを用意して下さい。遠い方だけ延長してしまうとそちらのサウンドの抜けが悪く左右のバランスが崩れてしまいます。

モニタースピーカー用のラインケーブルは、音が気持ちいいからといってキャラクターの強いケーブルはお薦め出来ません。モニタースピーカーは色づけが少ないのでケーブルのキャラクターが顕著に出ます。例えば低音、高音が良く出るモニターでミックスすると、TDマスターはモニターとは反対の中域が上がった仕上がりになってしまいます。

パワードスピーカー用モニターケーブルの定番としてはカナレ L-4E6Sがフラットでお勧めです。ベルデン1192A、モガミ 2534も同グレードで大変良いケーブルです。まずはこれらのケーブルからスタートして、徐々にグレードアップしていけば理想的なサウンドが見つかるはずです。

2009/11/10

サンプリング周波数とは(その4)「CTLとは再生編」

それでは前回に引き続きCTLの役割の後半をお話しします。

(再生時)
音楽信号が記録されたテープを再生する時は、記録した音楽が同じ時間(記録時間=再生時間)で音揺れなく再現したいですよね。これを実現してくれるのがCTLになります。再生時には記録時同様、サンプリング周波数が基準信号になります。サンプリング周波数周期の再生用メトロノームに記録されているテンポ(CTL)が合うように、テープを再生します。基準信号がピッタリ正確であれば再生時間=記録時間という第一の目標が達成されます。

サンプリング周波数周期の基準信号にテープに記録されているCTL(テンポ)が合うように再生すると、多少のワウフラッターはあっても基準信号とCTL(テンポ)はそこそこあっているはずです。CTLがあうということはデーターもそこそこあうことになります。なぜなら、CTLとデータはいつも一緒。CTLと一緒だったデータは基準信号に渡されD/Aコンバーターを通り、音ゆれのない音が再生されることになります。俗にいうTime Base Correction(時間軸補正)ですね。この技術はVTRでも用いられ、画面のゆれを無くすことに貢献しています。

最後に、実際にDASHフォーマットでテープに記録されているCTLは、サンプリング周波数そのものではありませんし、アドレスを持っていたり記録時のFsの種類やテープの速度などの情報も含まれていますが、概念的に理解して頂けたらと思います。

2009/11/06

PCMとDSDアップコンバートの使い分け

PCM、DSDのサウンドにはそれぞれに良さがあり、ジャンルやアーティスト・プロデューサーが求めるサウンドの方向性で使い分けています。PCM音源でのマスタリングは音圧・パンチがあり、音量を入れる必要があるロックやヒップ・ホップに向いています。特にミキシングでサウンドを作り込んだ作品はPCMの方がまとまりがあり、見えすぎないところがカッコいいサウンドになり、そちらを選択することが多いです。

それに対しDSDにアップコンバートすると音の解像度が増し奥行き広がりが出るので、ヴォーカルものやロックの一発録りの楽器のニュアンスを生かした作品に最適です。アナログレコードのサウンドがベースにあるハウスなどのクラブミュージックにはアップコンバートすると心地が良く音量を上げたくなるサウンドに仕上がります。

あるいは良いとこどりで、曲ごとにそれぞれの良さを生かしたマスタリングをする場合も。広がりを少し抑えたい、抜けよりもパワーでいきたいという楽曲はPCMで、バラードなのでアーティストとオケの距離を少し広げたい、サビのストリングスを雄大にしたいという楽曲はDSDにアップコンバートして、など。ただしこの場合は作品としての統一感を図るため基準となる楽曲をしっかり決める必要があります。

PCMとDSDのマスタリングは「どちらが良い・悪い」ではなく、それぞれの良さを理解して使い分けることが重要です。最適な処理を最適な方法で行うことによって、その楽曲がもっともリスナーに届く仕上がりにすることが出来ます。実際の立ち会いマスタリングではPCM・DSDマスタリングのサウンドを必ず聴き比べ、方向性の確認をして最高の仕上がりに近づけていきます。


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『THIS IS IT』

ついにBlogデビュー!サイデラ・マスタリング代表のオノ セイゲンです。

アルバム「スリラー」のマスタリングについて取材を受けたり、CDはみなさんもいやっていうほど聴いているはず。「THIS IS IT」は、リハーサル時の記録映像をつないだ作品と聞いていたので、まったく期待せずに観てきた。ところが、映画が始まると、アルバムと(記譜上は)同じ楽曲なのに、この演奏は、ななな、なんだ!!!同じ楽曲なのに、今まで体験したことのない領域のグルーブ(の生演奏)に到達していて、終わるまで鳥肌ものだった。ダンサーも振付けも一流バレエ団のトップを集めたような身体能力。数ある音楽映画の名作の中でも最高のひとつである。もちろん音楽業界の人は全員必須ですよ!

「MJというジャンル」は、80年頃のクインシーまわりの超一流スタジオファーストコールのミュージシャンがレコーディングにより作り上げた音楽。ジャズ・フュージョン、R&B、ヴァン・ヘイレン、JB、ヒップホップが混ざりあって、そこがルーツである。そこから26年?子供の頃から「MJというジャンル」がすでにあって、それを普通に聴いて育った世代。その中から厳選、超一流ミュージシャンのバンド。その生演奏から生みだされるグルーヴ。ここで私の中で 「POPの基準」は、完全に変わってしまいました。


「音楽そのものが世の中に必要なものなのか・・・」と遺書を残して加藤和彦さんが逝ってしまいました。謹んでご冥福をお祈りいたします。私と同じ1958年8月生まれのMJは「THIS IS IT」を残して、これは「世の中が必要な音楽」のひとつでしょ。残念ながら劇場の音とはマスターからは、ほど遠いな。いい演奏を最高の技術でミキシング、マスタリングした音で、BDもいいので、これをサイデラ・マスタリングのモニターで聴けたらすごいことになってしまうなぁ。
現状の配信とか圧縮音声なんていくら便利でも、感性が堕落します。


『THIS IS IT』

2009/11/05

低音のチェック(宅録編)



自宅録音などでMIXが深夜になってしまい、音量を上げてミックスが出来ないという状況は意外と多いと思います。そのような状況で頼りになるのはヘッドフォンですが、ヘッドフォンでの音作りは慣れないとなかなか思うようにはいかないものです。

特にクラブミュージックや、ヒップホップなどでは50Hz以下のサウンドの扱いがポイントで、この帯域は音に空気感と暖かみを加えるとても重要な帯域です。基本的な処理はローカットですが、どの周波数からカットすれば良いのか、それを見極めることが大切です。マスタリングした作品をクラブでバッチリ鳴らすためには、サブウーハー付きのシステムでも無しのシステムでも対応した音作りをしなければいけません。

僕はチェックに意外なものを使っています。それはなんとラジカセのメガベース(低音ブースト)機能です!この機能はミニコンポなどにも付いていますね。ラージスピーカーの低音とはまた違った、「作られた低音」に対する確認です。

音決めが終わったらメガベース機能を入れてチェックしてみます。低音がしっかり止まってかっこ良く聴こえたらOKです。もし、多すぎるようだったら微調整を施します。メガベースを入れてもきれいに聴こえればクラブでもカーステレオでも大丈夫です。このチェックをした作品は、いつもクラブでの鳴りがバッチリでしたと感想を頂いております。

もちろん、メガベースは常にONではなく最終チェックの時だけ使って下さいね。

2009/11/04

サンプリング周波数とは(その3)「CTLとは応用編」


本日はCTLの役割をお話ししようと思います。

(記録時)
サンプリング周波数周期のメトロノーム(とんでもなく速いですが)を考えてみます。記録する時にはこのメトロノームの振子に合わせて、テープ上にそのテンポをマークする、と同時にデータも記録します。このテープに記録されたテンポがCTLと考えられます。

1)CTLはサンプリング周波数の仮の姿。
2)CTLとデータはいつも一緒。

CTLの記録のしかた(フォーマット)とデータのそれは異なりますが、テープ上ではきれいに並んでいます。もしCTLとデータが無関係に記録されると記録した音楽信号をミューティングしてしまいます。記録する時には、サンプリング周波数という基準信号をもとにデータとそのデータを記録したテンポ(CTL)がテープに記録されることになります。この基準信号というのはとても正確です。結果としてテープ上にはテンポ(CTL)が残りました。CTLはサンプリング周波数の仮の姿なのでこの記録されたテンポの数を数えれば、(テンポ一つあたりの時間はサンプリング周波数から計算出来る)テンポ(CTL)によって記録時間が分かります。

3)CTLは時間情報。

以上の3つがCTLの主な特徴です。このCTLが真価を発揮するのは再生時ですが、続きは次回です。

2009/10/30

サンプリング周波数とは(その2)「CTLとは基本編」

本日はDASHフォーマットで重要な役割をするCTLについて考えてみます。

(注)DASHフォーマット=世界的規模での互換性を実現すべく、広く世界に提案された固定ヘッドによる業務用デジタルオーディオテープレコーダーフォーマット。1/4インチ・2チャンネルから1/2インチ・48チャンネルまで規格が網羅されています。

デジタルオーディオ機器では記録時も再生時もサンプリング周波数によって動作することは前回お話ししましたが、もう少し具体的に考えてみようと思います。
音楽信号をデジタル録音する時にはその時のサンプリング周波数によって音声をサンプリングします。そしてサンプリングされたデータをテープに記録することになりますが、最終的にCTLが記録されていなければいけません。

1)最初にCTLを記録しておいてあとからこのCTLに従ってデータを記録する。
2)データを記録する時にCTLも同時に記録する。
これらのいずれかでなければいけません。

DASH機器ではテープ上にあらかじめ列車が走るための用地がいくつか平行して確保されていると考えて下さい。
新品のテープは、土地は売約済みですがまだ鉄道は実際には走ってない、つまりレールも枕木も電柱も何もない状態になります。
列車を運行するためには、まずレールをひかなくてはいけません。実際には枕木を置いてその上にレールをひくことになります。そして、この枕木は規則正しく一定の間隔で並べられます。CTLはちょうどこの枕木のようなものと考えて下さい。枕木が列車にとって不可欠であるように、CTLもDASH機器にとって不可欠なものです。列車が走る(信号を記録する)ためには鉄道用地(テープのトラック)に枕木(CTL)を置かなくては(記録しなくては)いけません。

CTLの雰囲気はだいたい分かって頂けたでしょうか。

2009/10/29

ノイズ対策(TD編)


マスタリングの作業で音量を大きくした時にはじめて発見されるノイズがあります。主にエディットによるノイズ、ボーカルのピッチ調整時に発生するノイズ、ファイルをバウンスする際に入ってしまったノイズ、静電気によるノイズ、電源のON、OFF時に入ってしまったノイズ、クロックエラーにより生じたノイズなどです。2ミックスになった音源から除去できるノイズはかなり限られてしまいます。

こういったことはどうしたら防ぐことが出来るか?それは当たり前ですがセーブしたOKファイルをもう一度DAWで開いて検聴することです。DATの場合なら録音されたものをもう一度聴き直してみることです。ミックス時ならチャンネルごとに確認、編集ができるのでマスタリング時には消せないノイズも取り除くことができる可能性が十分あります。

ノイズ確認の検聴にはスピーカーよりもSONY MDR-CD900STのようなシビアなヘッドフォンが分かりやすいです。音量はあまり大きくしすぎず客観的に聴いてみて下さい。ミックス終了時に念のため数人で、ミキシングエンジニア、ミュージシャンでダブルチェックすれば、一人一人ノイズのとらえ方が違うため、よりシビアなチェックが可能になります。

2009/10/28

コンプの使い方(その4)「パラメーターの調整」



マスタリングでのコンプは2ミックスにかけるトータルコンプ。トータルコンプの使いこなしは、音をつぶす、まとめる、迫力を出すよりも音符の長さのコントロールです。曲に合った自然なセッティングはグルーヴを引き出し、サウンドが大きく聴こえるようになります。その基本は「テンポに合ったアタックタイム、リリースタイムの設定」です。

まずはアタックタイムを遅めに設定する、これがポイントです。特にデジタルコンプでは反応が早いため、アタックタイムを遅くしないとアタックが出ないばかりか軽いサウンドになってしまいます。おおよそ30ms~70ms。

リリースタイムは200ms~500msを基本にしてみてください。長すぎると余韻の長いストリングスやコーラスで不自然なサウンドになりますので、聴き比べながら行ないます。

レシオは2.0:1~4.0:1ぐらいの間で変化させてみて下さい。スレッショルドを一気に下げてしてしまうと音楽の抑揚が無くなるので、高めの設定からスタート。ちょっと強めのレシオでコンプ自体は軽めにかけるのがトータルコンプの使いこなしです。もちろん、音にキャラクターを付けたい場合はガッツリかけて下さい!ただしガッツリかけてもピークメーターで赤が点かないように。ヘッドマージンに余裕がある方が音が自然で厚みある上がりになるためです。

上記の方法はDAWのみで作業されている場合特に効果的です。一度お試しを。

2009/10/27

DSD変換


いま、オーディオファイルの間で大変話題になっているのが、VAIOのDSD Direct Playerです。音楽CDを高音質サウンドチップSound Realityを経由して出力することにより、リアルタイムで1bit/2.8MHzのDSD形式に変換しながら再生してくれる画期的なシステムです。サイデラ・マスタリングではKORG MR-2000SとAudioGateでサンプリング周波数がさらに上の1bit/5.6MHzのDSD変換を、CDマスタリングの作業に取り入れております。

DSDのサウンドはきめ細かでワイドレンジ、ハイエンドオーディオ向き、と思われがちですが僕はDSDの本当の良さはリアリティーだと思います。音の立ち上がりが速く、また細かい音までしっかり再現してくれるので、まるで目の前で演奏しているかのような表現力があります。

PCMの44.1kHz、16Bitの音源を1bit/5.6MHzにアップコンバートすると、いままで聴こえなかったヴォーカルの息づかい、埋もれていたグルーブが生き生きと再現されます。不思議ですがPCMに変換される時に間引きされたサウンドが蘇って来たかのような感じがします。CDマスタリングでは最終的に44.1kHz、16Bitのフォーマットにするのですが、PCMでそのままマスタリングするのとアップコンバートしてからマスタリングするのでは、聴こえ方に大きな差が出ますね。それは単純に聴こえ方だけではなく、感動のレベルもアップしているからだと思います。

この方法だとMP3に変換されてもニュアンスは失われにくいので、配信用のマスタリングにもとても効果的です。

2009/10/26

バックアップの重要性

TDでアナログテープを使っていた時代は必ずDATなどの別のメディアにもバックアップを取っていました。アナログ24CHのマルチテープも48CHのデジタルテープにコピーしていましたが、最近ではレコーディング、TDのマスターはHDDに保存されていることがほとんどです。

メディアがデジタルデータであってもバックアップの重要性は変わりありません。例えばですが、100台に1台はなんらかの事故がおこるとお考えください。バックアップすることで事故の確率は1万分の1になります。ワーク用、バックアップ用、OKテイクを保存するマスター用の3台があれば、100%安全ではなくともほぼ万全の体制で作業を進めることが出来ます。フォルダもレコーディング、ダビング、TD、最終OKなどで色分けをしておくと、あとの検索が便利になります。
f:id:SAIDERA:20091026174553p:image
どうしても急ぎの作業の時はファイルやフォルダの名前に、時間を入れるだけでも違います。
(例:091021_TD_1724)

また、バスパワー供給タイプの小型のHDDもありますが、動作が不安定だったり、PCにマウントされないこともあります。スタジオ作業にはFireWire400/800インターフェイスの、ACアダプターを使用するセルフパワータイプが適しています。

データのバックアップ同様に重要なのがOKテイクの管理です。ワーク用、バックアップ用のHDDはどうしてもフォルダが多く、階層も深くなり、必要な時にOKテイクを探すのに時間がかかることがあります。そこでOKテイクのみを保存したマスター用HDDを作成しておけば、必要な時に瞬時に取り出せますしマスタリングスタジオにそのまま持ち込むことも可能です。実際に、HDDを持ち込んだけどワーク用でエンジニアの方が到着するまでスタッフはどのテイクがOKなのか分からないということがありますので。

マスタリングスタジオにはHDDだけではなく、HDDと同じOKテイクををDVD-Rにも焼いて持ち込むことをお勧めします。

2009/10/21

安田寿之さん

どうもMUSHです!
電子音楽をベースに様々なジャンルを制作する音楽家、安田寿之さんが自身のソロアルバムのマスタリングでお見えになりました!
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U-matic(3/4)マスターのサウンドがお気に入りだったという安田さんのリクエストにより、今作はある意味、DSD5.6MHzマスタリングとは対極の(!?)音作りが施されました!

「今回の作品はU-maticのニュアンスをDDPマスター再現するために、アナログ機材でしっかり作り込みました。まず、全体に暖かく大きなサウンドに仕上げるためにアナログテープレコーダーStuderA820のアンプを通し、その後、PrismSoundのコンプMLA-2でバランスを整えました。一つ一つの音が太く存在感があり、油絵のような艶とコントラストを表現してみました。オケとヴォーカルの絶妙なバランスを、ぜひ聴いて頂きたいと思います。」


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2009/10/19

サンレコ2009.11月号『for maria』インタビュー

どうもMUSHです!

サウンド&レコーディングマガジン2009年11月号に渋谷慶一郎さんの『for maria』に関するインタビューが掲載されています!
Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2009年 11月号 [雑誌]

Sound & Recording Magazine (サウンド アンド レコーディング マガジン) 2009年 11月号 [雑誌]
  • 作者: サウンド&レコーディング・マガジン編集部



  • 出版社/メーカー: リットーミュージック



  • 発売日: 2009/10/15



  • メディア: 雑誌



  • クリック: 2回



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  • 「レコーディングからミックス、マスタリングまでトータルでやりたいなと思ったんです。」
    「今回のアルバムで言えば、優しい音を出すためにピアニシモで弾いた部分が、後でレベルを上げても優しいままの音であることが伝わるということなんです。~~その優しい音色をミックスのときにレベルを上げることで、ちゃんと伝わるようにすることができた。そこが今までのピアノのレコーディング/ミックスとは違います。」
    渋谷慶一郎(サウンド&レコーディングマガジン2009.11)

    『for maria』はSACDではなくCDでのリリースでしたが、「低いレベルで録られている音の解像度が変わらない」DSDで録音、ミックスを行い、そこからPCMのCDマスタリングとシームレスに作業が出来るサイデラ・マスタリングならではの制作過程が満載の記事です!このアルバムが、ほかのピアノアルバムとまるでサウンドが違うことの答えが、見えてくるのではないでしょうか!?サウンド&レコーディングマガジン2009年11月号必見です!

    2009/10/15

    サンプリング周波数とは(その1)「DASH機器」

    これからシリーズでサンプリング周波数、同期について分かりやすく説明して行きます。
    デジタルオーディオ機器では記録再生される音楽信号は全てデジタルデータとして扱われます。記録時にはサンプリング周波数周期でアナログ信号だった音楽信号がデジタル信号に変換され、再生時には記録されたデジタル信号がサンプリング周波数周期でアナログ信号に戻されます。

    最近のレコーディングはDAW全盛の時代ですが、デジタルテープレコーダー(※DASH機器)のサンプリング周波数とテープの速度についてお話しします。そのほうがイメージがわかりやすいと思いますので。

    ↓↓↓SONY PCM-3348
    f:id:SAIDERA:20091022114432j:image
    それではサンプリング周波数が44.1kHzと48kHzについて考えてみます。サンプリング周波数が44.1kHzということは1秒間に44100個のデータをサンプリングして、テープに記録する必要があります。一方サンプリング周波数が48kHzの時は同様に48000個のデータを記録しなければいけません。

    当然48kHzのほうが記録しなければいけないデータの数(量)が多いです。もし同じテープ速度で記録すると、テープの同じ面積に記録するデータの数を比べると、48kHzの方が多く、記録密度が高くなってしまいます。

    ●44.1kHzの時は1秒間に44100個のデータをサンプリングしてテープに記録。
    ●48kHzの時は 1秒間に48000個のデータをサンプリングしてテープに記録。
    したがって、48kHzの方が1秒間にテープに記録するデータ量は多い。

    そこでDASHではサンプリング周波数が異なっても記録密度が同じになるように、サンプリング周波数に合わせてテープの速度を変化させ、その結果常に記録密度が一定になるというわけです。

    (注)DASHフォーマット=世界的規模での互換性を実現すべく、広く世界に提案された固定ヘッドによる業務用デジタルオーディオテープレコーダーフォーマット。1/4インチ・2チャンネルから1/2インチ・48チャンネルまで規格が網羅されています。

    僕が音響ハウスでアシスタントをしていた頃、レコーダーといえばSONY PCM-3348でした。こちらも上に書いたDASHフォーマットの代表機器です。新人の頃、まず最初にする仕事はテープのフォーマット(プリストライプ)でした。新品テープのままではデータを記録することが出来ない(音を録音することが出来ない)のでそのための下準備をする作業です。

    先輩から「44.1kHzを2本と、48kHzを3本ね」とテープを渡されるのですが、どうして44.1kHzの方が記録時間が長いのか?分からず質問したり書籍で調べたりして、ようやくこの事実に気がついた時は一人で感動した思い出があります。

    それでは次回はテープのフォーマットとは?についてお話ししたいと思います。

    2009/10/08

    クロック

    AD、DAコンバーターなどの機材の選択がマスタリングでは大切ですが、クロックの選択も忘れてならないことですね。

    クロックには大きく内部クロック(インターナルクロック)とワードクロックがあります。前者はデジタル機器がそれぞれ持っている基準信号、後者は2台以上の機材を同期するために用いる基準信号です。ワードクロックはAES/EBU、S/P DIFのように音声と一緒に1本のケーブルで送る場合と、BNCケーブルなどで音声とは別に送る場合があります。

    例えば、ADコンバーターを使う場合インターナルクロックで動作させるか、ワードクロックで外部同期をかけるかでサウンドは微妙に異なります。僕はインターナルクロックはレンジと定位がワイド、それに対しワードクロックは定位がしっかりした音像のハッキリしたサウンドに感じました。

    ↓ADコンバーターdBTechnologies4496。一番右のトグルスイッチがクロックソースの選択
    f:id:SAIDERA:20091022095929j:image

    ワードクロックを入力するよりもインターナルクロックのほうが音がいい機材も沢山ありますので、あくまで耳を基準に選択していただきたいと思います。ワードクロック、同期については次回、詳しくお話しする予定です。

    (主なデジタルフォーマットと特徴)
    *S/PDIF(Sony Philips Digital Interface)
    CDやDAT、MDなどのコンシューマー向けの機器に使用され、伝送方式は同軸ケーブル対応(COAXIAL)または光ファイバー対応(OPTICAL)の2種類があります。

    *AES/EBU
    AES(Audio Engineering Society)とEBU(European Broadcasting Union)が確立たフォーマット。
    1回線で2チャンネル分の信号に対応しているのが特徴で、通常XLR(キャノン)、D-SUBケーブルで接続。

    *ADATオプティカル
    米国ALESIS社の提唱したデジタルマルチトラックのフォーマット。光ファイバー1回線で8チャンネル分のデータを同時に伝送する方式。

    *TDIF-1(Tascam Digital Interface)
    ティアック(タスカム)社が提唱するデジタルインターフェース規格。D-sub25ピンの専用ケーブルで8チャンネルの入出力を伝送する方式。

    *SDIF-2
    2chのデジタルオーディオ信号をL,R,Wordclockの3本のBNCケーブルで伝送。マルチトラックレコーダーにおいてはD-SUB50ピンとBNCケーブルのWordclockの組み合わせで伝送。前者はPCM-1630、DAE-3000といった3/4マスターを作る機材に、後者はPCM-3324、PCM-3348で使われているフォーマット。

    *SDIF-3
    SDIF-2のハードウェアを元にDSD信号を伝送できるようにプロトコルを変更したもの。

    2009/10/06

    高級電源ケーブルの落とし穴

    10年前と比べれば高級な電源ケーブルを使っているスタジオが増えていると思います。

    ただ、サウンドも聴かずに良くなるという思い込みで交換してしまってはいけません。




    高級な電源ケーブルはそれぞれの個性も強く、目的を持って使わないと

    音質は良いかもしれませんが音楽の一番大切なバランスを失いかねません。

    (高級ケーブルの落とし穴、参考例)

    1.低域と高域のレンジが広がる。

    →中低域が失っている可能性がある。

    2.音が締まった。

    →低域が失っている、音の柔らかさを失っている。

    3.音がまとまった、艶が出た。

    →レンジが狭くなって、倍音が出ていない可能性がある。

    4.音像が大きくなった。

    →音の立ち上がりが遅くなっている。

    振動対策をしすぎたケーブルはCOMPをかけたようなサウンドがするので、

    パッと聴き派手に感じる。




    サイデラ・マスタリングでリファレンスとしているケーブルはACROTECの6N-P4010です。

    少し前のケーブルですがフラットでレンジが広く音楽のバランスを損なうことがありません。

    このケーブルの後継機種としては6N-P4030があります。




    スタジオをリニューアル、調整したときはほとんどの機材にこの電源ケーブルをつなぎます。

    そこからサウンドを細かくチェックして部分的にカラーリングのあるケーブルと交換することもありますが、

    まずはこのケーブルで確認しています。




    さらにケーブルにはドラテを貼って機材ごと相性の一番良いケーブルを使用しています。




    ケーブルを交換する時に確認しなければいけないのはコネクターの形状です。

    特にコンピューターの3ピンコネクターの作りは少し奥まっていてつながりにくいので、

    確実につながるケーブルを選んで下さい。




    もしも緩い時はこのようにコネクターに細いドラテを少し巻くと安全です。

    スタジオのワイヤリング一番大切なことは音質よりも安全です。

    自作ケーブルなどはネジが緩んでないか?ガタは無いか?

    定期点検をよろしくお願いします。




    2009/10/03

    リミッターの使いこなし(その3)「シーリングレベルを追い込む」


    Pro Toolsで作業していてプレイバックは問題なかったのに、バウンスしたらレベルオーバーしてしまった。iTunesなどでMP3ファイルに変換したら音が歪んでしまったという話を聞いたことはありませんか?本日はリミッターの使いこなし(その3)「シーリングレベルの設定」について。

    このような現象は「True-Peak」と「Sample-Peak」の誤差により、サンプリングレート、ビットレート変換する時に生じる現象です。一番簡単な対策はレベルを下げることですが、シーリング(天井)レベルを変えられるリミッターを使えばあらかじめ防ぐことができます。

    まずはじめにあなたのお気に入りのリミッターの癖を把握しましょう。どのような機材を使う場合でも機材の癖や特徴を理解することが良いサウンドを作るための使いこなしの基本です。時間はかかりますが一番確実な方法です。

    まずはシーリングレベルを0dBに設定してください→サウンドは歪みました。次にシーリングレベルを-0.1dBにしてみます→歪んでいません。さらに細かく設定可能な機材だったら-0.05dBで聴いてみます→歪んでいます。このように細かくレベル調整をしてギリギリ歪まないシーリングレベルを見つけて下さい。その値からほんの少し下げておけばこれから作るマスターは歪むことはありません。(この値はジャンルなどいろいろな要素で変わってきますが)ギリギリまで入れられる設定、安全レベルの設定、などいくつか決めておくとピークオーバーのことを心配せずに音に集中して作業することが出来ると思います。

    ソフトリミッティング、ヴォーカルアップ、音を輝かせるセッティングなどリミッターのセッティングだけでもいくつもの方法がありますので、こちらはぜひ立ち会いマスタリングで体験しにいらしてください!

    2009/09/18

    MR-2000Sを使ってみよう!(その1)「SDM版クイックマニュアル」

    みなさんどうもMUSHです!

    「KORG MR-2000S」耳にタコができると言われるかもしれませんが、サイデラ・マスタリングのスタッフは指にタコができるくらいMR-2000Sを操作していますよ!
    f:id:SAIDERA:20081012002425j:image
    しかしDAW全盛の今、単体のレコーダーを使う機会も少ないですよね!KORG MR-2000Sは1Uのスマートなルックスに似合わずかなり細かい設定が可能です!「マニュアルを一から読むのはちょっと...」という方や初めて使用する方のために、サイデラ・マスタリングでは、現場で録音する前に再確認する項目を中心に、すぐ使える *クイックマニュアル* を作成しました!

    ぜひこのマニュアルを活用いただいて、ひとりでも多くの方に2009年式サイデラ・マスタリングを体験して頂きたいと思います!

    <<KORG MR-2000S クイックマニュアル(by Mush & Morisaki SDM version)>>はコチラ→→→

    <<KORG MR-2000S 1-Bit Studio Recorder : 正規の取扱説明書(著作権は株式会社コルグに帰属します)>>はコチラ→→→

    2009/09/16

    大人気アイテム!その2



    どうもMUSHです!


    先日の記事で下から読んだら惜しいねジョルジ・ベンジョールの5.6MHzDSDリマスタリングについてちょこっとお話ししました!


    サイデラ・マスタリングはブラジル・ラテン音楽、ジャズのDSDリマスタリングをこんなにも早くからこんな名盤でやっているんです!


    →→→DSD REMASTERING BY SEIGEN ONO です!


    そんなサイデラ・マスタリングの一角に、、、。


    ↓↓↓?


    f:id:SAIDERA:20090901094103j:image


    ↓↓↓???


    f:id:SAIDERA:20090901094129j:image


    ↓↓↓?!?!?!?


    f:id:SAIDERA:20090901094159j:image





    一体コレが何かはまた次回!


    MUSH





    2009/09/11

    DSD制作の「ATAK015 for maria」リリースです!

    ATAK015 for maria


     DSD Recording
    & DSD Mixing
    & DSD Mastering by Seigen Ono
    で制作された、
    ATAK015 for maria/Keiichiro Shibuya
    が本日リリースとなっています!渋谷慶一郎さん初のピアノソロの作品ですが、ホールでのレコーディングからミックス、マスタリングまで一貫してDSDにて制作されました!
    ↓↓↓ホールでMR-2000Sx3でのDSDレコーディング
    f:id:SAIDERA:20090226182124j:image
    気づかれたかもしれませんが、物音ひとつないホールでこんなに近くにレコーダーがあって動作音は入らないの?と。このMR-2000S、めちゃめちゃ静かなんです!ファンやHDDの動作音なんかもなく、なのでケーブルも最短で最高の鮮度で音をとらえられるんですね!いろいろな所で話題の作品です、渋谷慶一郎さんから目が離せません!

    2009/09/02

    空調管理の重要性

    スタジオの管理で忘れてはならないことは空調管理です。地味なことですが音にはものすごく影響します。

    サイデラ・マスタリングでは楽器はもちろんのこと、スピーカー、ヘッドフォンなどで良い音が出るようにスタジオの湿度を60%前後に保っています。スタジオには温度計だけではなく湿度計も必要です。
    f:id:SAIDERA:20090902101428j:image
    基本的にはエアコンの温度調節と2台の除湿器を常に回しています。除湿器はスタジオ内に置くと効きすぎてしまうので前室に置いています。部屋の空気が湿っていると音が地味になるだけではなく、ケーブルの酸化を早めたりコンピューター内に結露を引き起こし大きなトラブルの原因となります。ご存知だと思いますがアメリカ東海岸やハワイのサウンドが乾いているのは、町の空気が乾いていて楽器の響きがきれいだからですね。日本のスタジオでも湿度管理をしっかりとすればそのようなサウンドに近づけることが可能です。

    また温度が高くなる機材は、時間が経つと熱暴走を引き起こす可能性がありますので、機材ラックの裏に小さな扇風機を取り付け空気が循環するようにしています。この扇風機は狭い場所に機材を置く場合、壁から機材までの距離が近い場合にはとても効果的です
    f:id:SAIDERA:20090901115525j:image

    2009/08/31

    DSD 5.6MHzリマスタリング大好評です◎

    ボンバ・レコードさんよりオノセイゲンによるDSD 5.6MHzリマスタリングでさらに磨きがかかった作品たちが続々リリースされています!
    f:id:SAIDERA:20090901105411j:image
    ジョルジ・ベンもびっくりなサウンドに仕上がったこれらのリマスタリング作品、どうやらとても好評なようです!

    てゆうか?5.6MHzDSDリマスタリングってなに?ですよね~。キーワードは『超リアル』!眼前によみがえったジョルジ・ベンに出会いたい方は、ボンバレコードさんより限定リリースです!

    ちなみにジョルジ・ベンはあるときに名前をジョルジ・ベンジョールに改名したようですが、ジョルジ・ベンジョールって上から読んでも下から読んでもいけそうなかんじですよね!ではまた!

    2009/08/27

    Indus &amp; Rocksさんのお持ち込みマスターはなんと!

    どうもMUSHです!

    先日お越しいただいたIndus & Rocksさんです!

    ↓↓↓Indus&Rocksさん、エンジニア奥田さんf:id:SAIDERA:20090826170352j:imageこの日はなんと!エンジニア奥田さんの意向で、MR-2000Sにトラックダウンした5.6MHzDSDデータが持ち込み素材でした!なんでも、普段からDSDで録ってはいるそうですが結局リニアPCMでマスタリングされてしまうことが多かったようです。しかし!もちろんサイデラ・マスタリングには5.6MHzDSDを活かす機材もノウハウもありますので!この仕上がりはぜひIndus&RocksさんのCDで聴いていただきたいです!

    (DSDレコーダーをお持ちでない方のPCMデータも、5.6MHzDSDデータアップコンバートして作業できます!)

    では今日は最後にDSD作文でお別れです!
    Dだからって
    Sそうめんばっか食べてたら
    Dだめよ

    2009/08/24

    Saidera Masteringのモニター環境(その4)「ラジカセの使いこなし」

    今日はラジカセの使いこなしについてです。
    f:id:SAIDERA:20091022100145j:image
    最近では高性能なミニスピーカーが沢山あるのにどうしてラジカセでチェックしているのか?それはラジカセはスピーカーの間隔が絶対に変わらないからです。スピーカーの間隔が変わってしまうと音像の大きさや広がりが変わって聴こえてしまうため僕はあえてラジカセを使います。

    ラジカセでのモニター時にチェックのポイントは3つ。
    1. 100Hzから10kHzぐらいのレンジでバランス良く聴こえるか?
    2. 小さなスピーカーでもKickがきちんと聴こえるか?
    3. スピーカーの間隔が狭いのでセンターの音、キック、スネア、ベース、ヴォーカルがはっきり聴こえるか?

    音源のヴォーカルがノーマルとUPの2バージョンある場合が多くありますが、ラジカセでチェックすると音量も小さいのでより客観的に聴くことが出来ます。ただしマスタリングをするとヴォーカルは前に出るようになるので、オケとのバランスを加味しノーマルバージョンを選ぶことももちろんあります。

    低域のバランスチェックにもラジカセは大活躍してくれます。というのもラジカセには低音増強のメガベースなどといったスイッチがあり、これを押すと低音がブーストされたカーステレオなどの環境をシュミレーション出来ます。レゲエやHIP HOPなど低域にエネルギーのあるサウンドはキックがブンブンしてしまうことがありますので、最終チェックではこの状態でバランスを確認しています。

    2009/08/22

    モニター改善策(その15)「音量を下げて確認する」

    MIXやマスタリングの確認にはスピーカー、ヘッドフォン、ラジカセなど色々なシステムで確認することはとても有効な手段ですが、それと同じぐらい音量を下げて確認することも大切です。
    f:id:SAIDERA:20091022131910j:image
    音量が大きいと人は迫力があるように感じてしまいますが、小さい音量で聴いてみると思っているようには聴こえないことがあります。特にヴォーカルの音量、キックとベースのバランスなどは、少し小さめぐらいのほうが良くわかります。また、長時間の作業でも耳が疲れることはありません。

    確認の方法としては、コンソールやモニターコントローラーにDIMスイッチがある場合はそれを押すと音量が下がります。もし無い場合はボリュームの位置に印をつけて下げて下さい。

    チェックポイントは音量が小さくてもキックが聴こえるか?歌詞が聴き取れるか?ベースラインが聴き取れるか?メロとサビのヴォーカルバランスは?メインヴォーカルとハモ、コーラスとのバランスは?バッキングのギター、ピアノのバランスは?ソロのパートの音量バランスは?

    音楽のバランスがばっちりになったら、今度はEQやCOMPでのレンジ、帯域のバランス調整を行ないます。低音が多すぎないか?高音が強すぎないか?COMPをかけすぎていないか?といったことを順番に確認してOKだったら、普段の音量で確認してみます。そうするといつも以上に迫力のある音像の大きなサウンドになっているはずです。

    2009/08/20

    大人気アイテム!

    どうもMUSHです!
    サイデラ・マスタリングの片隅には、アップライトピアノがありまして。
    その上に!かなりの確率でマスタリングに立ち会われたみなさんが触っていくものがあります!


    これです!じゃん!


    f:id:SAIDERA:20090709132749j:image



    もうちょっと寄ってみましょう、、、


    f:id:SAIDERA:20090709132811j:image








    チーンってしたくなった方はサイデラ・マスタリングへ!

    2009/08/19

    モニター改善策(その6)「ヘッドフォンを選定する」

    今日はスタジオでのモニターヘッドフォンについてです。レコーディングスタジオに行くとSONY MDR-CD900STが沢山置いてあります。ヘッドフォンもマイクロフォンと同じで色々なミュージシャンの方が使います。良く聴かないとドライバーがへたってしまっているものがあるので、数があればいくつかチェックして一番分かりやすいヘッドフォンを選ぶのがベストです。

    同じように見えますがサウンドだけではなくイヤーパッドの形状も微妙に違いますので、一番フィットしたものを選んだほうが演奏に集中出来ると思います。

    僕もシビアな編集、ノイズチェックではいつもお気に入り900STを使っています。誰でも分かるようにヘッドバンドにドラフティングテープを貼っていて、暗黙の了解でアシスタントはこのヘッドフォンだけは使わないでいてくれます。
    f:id:SAIDERA:20090806164307j:image
    同じものを使うとヴォーカルの質感、LRのバランスなども分かりやすいです。ノイズチェックなどはとてもシビアな作業なのでいつも良い状態のヘッドフォンを使いたいですね。このヘッドフォンは録音には出来るだけ使わずにマスタリングだけで使っていますので、音がつぶれることは無くいつもいいサウンドで鳴ってくれています。

    2009/08/18

    モニター改善策(その5)「機材の振動対策」

    機材を振動対策はどのようにすれば良いですか?という質問も沢山頂きますので本日は鉛板の振動対策についてです。
    f:id:SAIDERA:20090806164336j:image
    まず、ポイントは出来るだけ少ない本数で対策することです。例えば、アンプに鉛板をのせると音がしまっていきます。(このサウンドの違いはコンプのかけ具合と良く似ています)アンプの天板に一本ずつ置いていくと急にサウンドが変化するところがあります。ここが臨界点です。これ以上増やしても極端な変化は起きません。音がぐっと良くなった本数、それよりも1本少ないぐらいが安全で音が良いと思います。置き方は4つの脚に均等に重量がかかるようにしてください。例えばアンプのトランスが後ろにあるのなら天板のフロント側に置いてバランスをとります。機材に鉛を置く場合はオーディオラックや床がしっかりしていることが大前提です。強度がない場合は重みでラックが壊れたり、床が抜けたりすることもありますので。

    もう一つ大切なことは出来るだけ天板の穴を塞がないようにすることです。鉛で放熱の穴を塞いでしまうと機材が熱くなりとても危険です。

    これさえしっかり守れば鉛の振動対策はとても効果的です。電源ケーブルやラインケーブルのサウンドとはまた違い音がしっかりして音の芯が出てきます。音が前に出るようになりますね。また、余計なサウンドキャラクターが付かないので奥行きのある深みのあるサウンドが特徴です。

    サイデラ・マスタリングではラージモニターと、モニター用のDAコンバーターの調整用に鉛板を置いています。動かすと音が変わってしまいますので触らないで下さいね。
    f:id:SAIDERA:20090810163745j:image

    エラーチェック

    サイデラ・マスタリングで作成するDDPマスター(DVD-R)、CD-Rマスターは、「Plextor PlexTools Professional」でエラーチェックを行ないます。CD-Rは「Q-Check C1/C2 Test」、DVD-Rは「Q-Check PI/PO Test」というエラーチェックをします。
    f:id:SAIDERA:20090817135847j:image
    CDはプレーヤーでC1とC2の2段階でエラー訂正を行います。1,2バイト長(1バイトは8ビット)のエラーはディスク全面に分布しておりランダムエラーと呼ばれC1で訂正されます。傷などによる比較的大きな欠落によるエラーはバーストエラーと呼ばれC2で訂正されます。C2は、C1で訂正できなかったバーストエラーを分散させランダムエラーに置き換えることでエラー訂正を行います。C2エラーが一つでも出たらそのディスクはNGにします。

    DVDのPIはCD-RでのC1エラーに相当し、そこで訂正できなかったものをPOにて訂正します。POでも訂正できなかったエラーをPOFエラーといい、これが発生するとノイズの原因になります。DVD-RではPOエラーが一つでも出たらそのディスクはNGにしています。

    マスターを作る際に上記のエラーが出た場合はディスクを焼き直して、再度エラーチェックをかけます。音色だけではなく、データがきちんと読み込めるよう細心の注意を払って品質管理を行なっております。

    2009/08/07

    Before/After



    どうもMUSHです!


    サイデラ・マスタリングのお隣の敷地は、つい数ヶ月前に更地になったのですが!


    いつのまにか緑が生い茂っていました!


    Before→→→


    f:id:SAIDERA:20090713155235j:image





    After→→→


    f:id:SAIDERA:20090806155817j:image





    マスタリングでもこれくらい印象が変わりますよ!


    (この写真では、どっちが善し悪しかわかりませんが、、、!)

















    、、、この例えはちょっと無理矢理でした!





    Saidera Masteringのモニター環境(その3)「DSD対応のモニターシステム」

    最近、お客様のデータを2.8MHz、5.6MHzのDSDデータにアップコンバートして作業することが多いのですが、サイデラ・マスタリングでは圧倒的なハイレゾリューションにも対応するためのモニター環境づくりをしています。

    PCMの音源とDSD音源の一番の違いは音の立ち上がりの速さ、特に低域の立ち上がりはまるで違います。柔らかくキレのある低音はアナログレコードのようなニュアンスがあり何とも魅力的ですが、その魅力を生かすも殺すも完璧なモニターシステムが必要です。

    先日のブログにデジタルアンプ導入のお話にも書きましたが、ケーブルのルーティング、セッティングなども全面的に改善しました。というのも、DSDのサウンドはPCM以上に低域、高域のバランスがシビアです。素材に入っている情報を余計な要素をプラスすること無く再生してくれる、そんなモニターシステムを目指しました。

    自分としてはかなりいいレベルまで調整出来たと思って、試しにアンプの電源ケーブルを変えてみたら今まで分からなかったブランドのロットの差まで分かってしまいました。分かるのは良いのですが、ここから先がたいへんでした。

    セイゲンさんにもお願いして10本近くの電源ケーブルを一本ずつ試聴していきベストなものを選びました。スピーカーケーブル、クロックケーブル、機材のケーブル、電源ケーブルと、仕事の合間にチェックしていきましたが一つ一つ全て違うサウンドに聴こえます。ケーブルの違いだけではなく、コンセントの差し込み口の音の違いなども明確に分かりました。これらの微妙な違いをフラットだけど音楽的なサウンドにするため積極的に使いました。

    今のモニターシステムはEQの0.1dBのちがい、1Hzの違いが確実に分かります。特に30Hz前後の音の違い、16kHz以上のエアーといわれている帯域のニュアンスなどが手に取るように分かるようになっております。この違いはぜひ立ち会いマスタリングで体験して下さいね。

    2009/08/05

    曲間について

    チーフ・エンジニアの森崎です。
    今日は曲間についてお話ししようと思います。

    曲間はアルバムの流れを作るとても大切なものです。ただ曲を並べただけでは普通に聴こえる作品も、微妙に曲間を調整するだけで雰囲気が変わって聴こえます。バラバラだった曲が相互に関連して聴き手の感情を盛り上げてくれます。

    例えば1曲目、2曲目、3曲目は短めの曲間で勢いよく、5曲目と6曲目は雰囲気が変わる曲なので少し長めの曲間で、7曲目と8曲目はオンタイムでつなげてテンポ良く、というような調整をします。基本的に曲間にはルールは無く、同じジャンルでも長めが好き、短めが好きな方がいらっしゃいます。
    f:id:SAIDERA:20090805161625p:image
    ただ、人間の耳にはフェードアウトで終わる曲の後は長めに感じ、カットアウトの曲の後は短めに感じますのでこのテクニックを上手に使いこなす必要があります。
    f:id:SAIDERA:20090806135001p:image
    さらに、作業を進めていく中でアーティストの方が聴感上の2秒とイメージしているのか?それとも実際タイムで並べた時の2秒なのか?すぐに感じ取る必要がありますね。先ほどのフェードアウトを例にとりますと、聴感上の2秒であれば実際の曲間は1秒前後で2秒に感じます。マスタリングではレコーディングエンジニアの方が書いたフェードアウトにかぶってフェードを書くことはありません。そのフェードアウト後に書きますので実際のフェードが終わってから1秒ぐらい余裕を持ってエディットしています。

    フェードのテクニックの一つとしてクロスフェードがあります。クロスフェードは前の曲、SEなどにかぶって次の曲をスタートさせますが、一つだけ注意することがあります。アルバムの音源をそのまま1曲ずつの配信用に使う場合、クロスフェードがある曲の前後は前の音がかぶってしまったり、次の音が出てしまったり、という現象が起こる場合があります。僕の場合、クロスフェードを希望される場合はお客様と必ず確認をとるようにしています。

    もし、配信用にもお使いの場合は出来る限り作品の流れが損なわれない程度に、曲間を少し伸ばして音のかぶりを防ぐようにしています。

    2009/07/31

    サンレコ2009年8月号「ZAKxMR-2000S」

    どうもマッシュです!

    サウンド&レコーディング・マガジン
    2009年8月号に「KORG MR-2000S」に関する記事が掲載されています!この機材は、最高 1bit/5.6MHz DSD録音が可能なステレオ・レコーダーです。特に1bit/5.6MHzDSDに対応しているレコーダーは、同じくKORGのMR-1000以外にはありません!
    f:id:SAIDERA:20081012002425j:image

    Sound&Recording 2009.8
    p.160-161ユーザー・レポート「ZAKxMR-2000S」より
    「MRで録音したライブをAudioGateでCDにしてアーティストに渡したら、そのライブをマルチ録音していたものより良いと言われたことがありますよ。」
    「AudioGateは優秀で、DSDの2.8MHzで録ったものをPCMの44.1kHzに変換しても、5.6MHzを2.8MHzに変換してもニュアンスは変わらないんです。」

    MR-2000Sはその品名の通り音楽制作のステレオマスター・レコーダーとして使用することを想定されていますが、その高いポテンシャルからサイデラ・マスタリングではマルチトラックレコーディングやマスタリング時のDSDプレイバック機としてなどなど大活躍しています!

    KORG MR-2000S 5.6MHzによる2009年式サイデラ・マスタリングはコチラ→→→

    2009/07/30

    ノイズチェックとは



    サイデラ・マスタリングのCD-DAプレス用マスターにはノイズチェックシートというものを付属しています。今回はノイズチェックとはなにかを説明します。
    f:id:SAIDERA:20090721171245j:image
    「ノイズチェックの意図」
    ノイズチェックとは、マスターを通して検聴する品質管理のための重要な工程です。ノイズチェックシートによりディスクの状態を耳だけではなく目でもチェックすることができます。安全かつ確実にCDプレスを進行するための手助けとなる大切なシートです。

    「確認」
    電気的に入っているノイズをエンジニア、クライアントと確認をします。ノイズチェック時に電気的なノイズ、例えばプチプチノイズ、歪みなどが入っていた場合、エンジニア、クライアントの確認をとります。曲頭、終わりのヒスノイズ生かすか?カットするのか?などの細かい情報も確認します。立ち会い無しのマスタリングで気になるノイズがあった場合にはメモを付けるようにしています。もう一つは音楽的に入っているノイズ、楽器の音や椅子のきしみ音などを確認する作業です。

    プレス工場でのトラブルを未然に防ぐために、ノイズと判断できる音があった場合は制作者に確認をとります。これらのノイズをマスター音源を通し試聴しながらシートに記載していきます。素材にもともと入っているノイズもノイズチェックシートに分かりやすく記載しています。

    「品質管理」
    ノイズチェックシートは、不良品ではない証明になります。ノイズそのものを音源とした作品、スクラッチノイズを入れた作品なども沢山ありますので、シートにノイズの種類、場所を記載することによりプレス工場のスタッフは作品の意図と理解し、安全に確実にプレスをすすめることが出来ます。

    「作業時の確認事項」
    ・書き込みエラー(→プチプチノイズ,音の途切れなど)がないか?
    ・頭出しの音が欠落(→音頭のかけ,ブレスをカットしてしまったなど)していないか?
    ・PQ、インデックスの位置(特にライブアルバムの場合)は正しい位置に打たれているか?
    ・曲順通り収録されているか?(インデックスシートとの照合)
    ・マスタリング段階での歪み、ノイズ等の確認、素材自体のノイズの確認。
    サイデラ・マスタリングでは品質管理のためにこの作業を徹底して行っております。マスターを作成した後、すぐにお渡し出来ないのはこの作業を行うからです。

    2009/07/29

    モニター改善策(その4)「吸音と反射をコントロールする」

    モニタースピーカーの調整では吸音と反射がポイントです。吸音しすぎると部屋はデッドになり、反射が多いとライブになります。部屋の調整は吸音材を少しずつ色々な場所に貼りながら、余計な響き(フラッターエコー)をとるところから始めます。サイデラ・マスタリングの天井にも色々なところに吸音材が貼ってありますが、これも音を聴きながら貼っていきました。

    音がたまりやすい場所はコーナー部分、特にスピーカーの後ろ側と、相対する天井のコーナーです。フラッターエコーをとる作業はEQで低音を調整していく作業と似ています。基本は少ない量で効果がある場所に貼っていきます。まずは左右のバランスを確認して下さい。片側だけ余計な響きがあるとそちら側の音の抜けが悪くなります。左右のバランスが整ってきたら、センターのバランスを確認します。全ての楽器が分離よく聴こえるか?

    吸音だけではなく、スピーカーの角度も調整しながら行なって下さい。モニター調整の確認には聴き込んであるCDを使うのが良いと思います。音数が少なく、センター成分がきちんと再生される作品がベストです。モニター調整をすることで部屋に慣れるだけでなく、その部屋の特徴も分かってきますので、時間はかかると思いますがどんどんチャレンジして頂きたいと思います。

    2009/07/27

    配信用のマスタリング(その2)

    配信用とCD用のマスタリングの2種類のマスターを仕上げる場合、配信用にはPro Toolsから、CD用にはKORG MR-2000Sの5.6MhzのDSDデータにアップコンバートしてから作業しています。配信用の場合はヘッドフォン、携帯、ラジカセなどがターゲットのため、レンジや広がりよりも音の存在感を重視したマスタリングをしています。一つ一つの音が濁らずにくっきりとはっきりした音作りです。それに対してCD用には奥行きとレンジのあるナチュラルな仕上げにしています。アップコンバートした場合低音の伸びとスピード感が特徴です。

    生楽器のジャンルだけではなくHip Hopなどでも心地いい迫力のあるKickを作ることが可能です。このサウンドはアナログの機材を使ったとしても作れなかったサウンドです。歪まずに音像の大きなファットなサウンドを作れるのもこの方法の特徴です。

    僕の場合は配信用だからEQやコンプでレンジを狭くして作業するというよりも、機材の特徴を生かしてそれぞれにふさわしい音作りを心がけています。お客様にお渡しする試聴盤には2バージョンのサウンドを収録して、じっくり確認して頂いた後お気に入りのバージョンを選んで頂いております。もちろん、どちらのバージョンもあらゆる条件、システムで聴かれること考慮して作っていますので、CD用として作ったバージョンを配信に使って頂いても全く問題ありません。

    今までは機材の選択、ケーブルの選択などで音を聴き比べながら音の方向性を決めていましたが、この2種類の方法が確立してからより密にサウンドを追い込めるようになりました。

    こちらは先日、配信用のマスタリングで立ち会って頂いた福場 庸介さんのブログです。マスタリングさせて頂いた「花となる」のマスタリング前、後の音源も公開されています。当日は福場さんの声が一番魅力的に聴こえる機材をじっくり選択してから、大きなドラムサウンドとサビでヴォーカルがしっかり聴こえるように、そして美しいストリングスのメロディーラインが耳に残るような音作りをしました。このストリングスのサウンドを生かすために、レベルはギリギリまで入れずに、サウンドの細かなニュアンスが表現できるように仕上げました。

    2009/07/24

    モニター改善策(その3)「スピーカー設置のノウハウ」

    スピーカーのセッティングで一番大切なのはがっちりとした床の上にスピーカーを置くことです。どんなに高級なスピーカーも柔らかい床では実力を発揮することは出来ません。
     最近では色々な材質のスピーカースタンドが販売されていますが、スピーカーと同じかそれ以上に重いスタンドが理想的です。スタンドが重いと切れのいい低音を再生することできます。もし、どうしても柔らかい床の上にスピーカースタンドを立てる必要がある場合は、60センチ×45センチ、厚さ21ミリほどのシナ合板などを敷くと、揺れを大幅に改善することが出来ます。

    セッティングで注意することは、水準器を使って水平をきちんと出すことです。角度と水平を合わせることでより位相の合ったサウンドになります。

    インシュレーターを使う時にも注意が必要です。よくあるスパイク型のインシュレーターは振動は切りますが音がやせて、低音の量感が減ることがあります。そのような環境で作業された場合は低音が多いサウンドに仕上がってしまいますので気をつけて下さい。

    金属製のスピーカースタンドだったら木製やゴムやコルクなどのインシュレーターを。木製のスタンドであれば金属のインシュレーターを組み合わせるとバランスの取れたサウンドになると思います。

    インシュレーターの数も3点、4点、5点置きと試してみて下さい。低音が少ないスピーカーには3点が、また重い重量級のスピーカーには意外と5点で良いサウンドを引き出すことが出来ます。

    いずれにしても良くない方法はありませんので、色々な方法を試しながら最高のサウンドをゲットして下さい。

    2009/07/23

    モニター改善策(その2)「スピーカーユニットのネジ締め」

    モニター改善策として意外と知られていないのが、スピーカーユニットを取り付けているネジの締め具合です。
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    ウーハーのネジは時間とともに緩くなりますので少なくとも1ヶ月に1度ぐらいは、締め直さなければいけません。ネジが緩んでくると音がぼやけて輪郭がはっきりしなくなります。このようなモニターで録音された音、MIXされた音はスピーカーの癖とは反対の音が固く輪郭がぼやけた仕上がりになります。

    締め方は、時計回りや反時計回りに締めるのはNG。必ず一筆書きで星を描くように最初に締めたネジの向かい側、一番遠いネジを締めていきます。もう一つのポイントは必ず少しずつ締めていくこと。一度に締めずに3〜5回に分けて少しずつ締めていってください。同じようにツイーターのネジも締めていきます。

    ネジが緩んでいると低音が柔らかくなるので、そのモニターで仕上げたサウンドは固くなってしまいます。ある程度きちんと締めてタイトなサウンドにしておけば、COMPやEQのかけ過ぎも防ぐことが出来てナチュラルでレンジの広いサウンドを作ることが出来ます。

    ネジを締めるにはプラスドライバー又は六角レンチを使いますが、海外ブランドのスピーカーの六角ボルトはミリではなくインチ規格のことがあるので、必ずぴったり合うものを使って下さい。

    1ヶ月に一度チェックすればいつも良い状態をキープ出来ます。ただし、レコーディング途中、ミックスの途中でネジを締め直すと、サウンドが変わってしまいますので注意して下さい。

    2009/07/21

    モニター改善策(その1)「スピーカーセッティングの基本」



    モニタースピーカーから良いサウンドを引き出すのに重要な要素はいくつかあります。

    1)出来るだけ左右同じ条件の壁の前に置く。
    2)壁からある程度の距離を離しておく。
    3)左右のスピーカーの角度をそろえ、同じ高さに置く。
    4)基本的には正三角形、または二等辺三角形の頂点で聴く。
    5)スピーカーケーブルの長さは左右合わせる。

    これらは基本中の基本ですがモニタースピーカーとして使うのであれば、出来るだけしっかりした台の上に置くということを加えなければいけません。スピーカーのチューニングにも色々な方法がありますが、一番お手軽なチューニングはインシュレーターを置くことです。もちろん材質、置き方で音はがらりと変わります。ゴム、金属、コルク、木、などありますが、安くて効果があるのが鉛にゴムシートを貼ったインシュレーターです。

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    これはスピーカーのインシュレーターとしてだけではなく、機材のインシュレーターとしても大活躍すること間違い無しです。材料は東急ハンズで手に入りますよ。インシュレーターの置き方は3点、4点、5点とありますので、いろいろ聴きながらベストポイントを見つけて下さい。

    2009/07/13

    コンプの使い方(その3)「コンプで音符のコントロール」


    よくコンプで「音をつぶす」と言いますが、僕の場合はつぶすのではなく音符の長さのコントロールのために使うことが多いです。プラグインには豊富なプリセットがありますが、やはり音楽の抑揚やグルーヴを大切にするには各楽曲に合った適切なアタックタイムとリリースタイムの設定が不可欠です。

    アタックタイムは短すぎるとアタックが出ないし遅すぎるとエッジが出なくなります。リリースタイムは短すぎるとコンプがかかりにくく長すぎると次の音まで効いてしまいます。アタック、リリースの設定はテンポや音符の長さと密接に関係しています。

    例えばキックを例に。
    「ドーーン、ドーーン、ドーーン、ドーーン」にするか、
    「ドンーー、ドンーー、ドンーー、ドンーー」にするか、
    これはジャンルや音数、アレンジで変わってきます。

    前者はクラブミュージックのようなキックがベースの要素も兼ね備えている曲に、後者はキックとベースが入ったアレンジの曲に合った音の処理です。後者の場合ドライに仕上げ「ドンーー」の余韻、「ーー」にベースが入れる隙間を作ってあげることがポイントです。これを書いていて思ったのですが、だから生ドラムの時は多くの場合、キックだけにはリバーブをかけないんですね。響きをきちんとコントロールすることが、音楽をよりダイナミックに聴かせる秘訣です。

    2009/07/03

    喫茶Saidera/その4



    どうも!マスターのMUSHです!


    最近は暑くなってきたので冷たいお茶を希望するお客様が多いですが!


    喫茶Saidera/その3の続きです!





    5.さてさてコーヒー豆を蒸らしました!再度スイッチを入れます!


    おやおや蒸らすとコーヒー豆がこんもりして、これだけでなんかおいしそ。


    6.<Point!>コーヒーメーカーからお湯が落ちてきますが、中心から外に円を描くようにお湯を落としていきます!


    こんな感じで...↓↓↓


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    サイデラ・マスタリングのコーヒーメーカーは、


    フィルター/ポット本体が別々になっているので


    フィルター/ポットを回し動かしながらいれるという荒技です!


    すると!このです!カプチーノじゃないッス。





    さあおいしそうな予感がしてきました!


    では続きはまた次回!





    サイデラ・マスタリングとかないまるその1

    どうもMUSHです!

    前回の記事かないまるさんが出てきましたが、かないまるさんとサイデラ・マスタリングはひじょーに関係深いのです!!

    さて、思ったでしょう。オーディオ設計者のかないまるさんとマスタリングスタジオのサイデラ・マスタリング、なにがどう関係あるのかと!?

    このなかにヒントが隠されているとかいないとか!

    続きはまた次回!

    2009/06/30

    キャノンケーブル磨き



    スタジオのメンテナンスの基本はケーブル磨きです。どんなに高級なケーブルも接点が汚れていれば本来の実力を発揮することは出来ません。キャノンケーブルのクリーニングで使うものは1.無水エタノール 2.綿棒 3.赤ちゃん用細い綿棒です。どれも薬局で購入できますね。オーディオ製品用のクリーナーや接点復活材も色々ありますが、スタジオでは無水エタノールが一番基本です。

    やり方は、
    1. 綿棒に無水エタノールを少ししみ込ませます。無水エタノールはスプレーボトルなどに移し替えて使いましょう。
    2. オス側は綿棒で、メス側は赤ちゃん用の綿棒を使ってよく拭いてください。ほとんど掃除していなければ綿棒が真っ黒になるはずです。汚れがひどい時は綿棒を交換して拭きます。
    3. 端子がきれいになったら乾いた綿棒で乾拭きして端子をピカピカにします。

    二週間に一度乾拭き、月に一度無水エタノールで掃除を目安にメンテナンスすればいつまでも良い状態をキープ出来ます。ケーブルがきれいだと音が良くなるだけでなく、接触不良で音が出なくなるトラブルを防げます。同様に電源プラグもクリーニング出来ますのでぜひ試してみてください!

    2009/06/27

    「TPOまとめブログ」にて

    どうもです!MUSHです!
    25年の時を経て今蘇るTPO、2009年は「日本のアート・オブ・ノイズ」TPOのCD再発祭り! テクノポップマニア必見情報をお送り

    する「TPOまとめブログ」サイデラ・マスタリングが登場します!コチラ→→→
    コチラには、Proof盤についての記事があります。

    さて、Proof盤ってなにぞや?と。Proof盤とは、立ち会いなしのマスタリングの場合に、「こんなかんじで、どうですかね!?」と確認いただく為のものですね!立ち会いなしマスタリングの場合、事前にご希望や仕上がりイメージをお伺いして作業に取りかかりますので、ぜひご自分の言葉で結構ですのでお伝えください!

    2009/06/25

    AV評論家のあのひとがスタジオに!



    どうもMUSHです!


    オーディオ・ビジュアル評論家の小原由夫さんがサイデラ・マスタリングにお越し下さいました!


    でもでもマスタリングのオーダーではなくって、シニアエンジニア・オノの取材ということでありました!


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    取材の内容は、


    卵形(というか目玉形?)スピーカーでおなじみの富士通テンECLIPSEシリーズのホームページ内で連載されている小原さんのコラム「サイト・アンド・サウンド」に登場します!


    とてもフランクに接していただき、感激です!MUSH感激!





    2009/06/22

    code”M”さんマスタリングでお越しになりました

    どうもMUSHです!
    先日は、code”M”さんにマスタリングにお越しいただきました!
    code”M”は、2000年4月、作曲家でありピアニストであるMAKIが、自らがプロデューサーとなり、発足させたパフォーマンスグループ
    でですね、今回はさらにVEEさんとのコラボレーション!

    code”M”さんの音楽はJAZZYな上に尺八などの和楽器がアンサンブルしていて非常に聴きごたえアリ!ぜひホームページからYouTubeの動画などもご覧ください!
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    そのホームページ掲載のcode”M”さんが今まで関わられた方々の名前の中に、JAZZ録音の巨匠及川公生氏の名まで、、、!本当に活躍の幅が広いです!(及川公生氏については、Blog記事「マスタリングのポリシー」もぜひご覧ください!)


    MAKIさんのBlogはコチラ→→→

    2009/06/18

    Saidera Masteringのモニター環境(その1)「SD-9001とSD-9003」


    マスタリング・スタジオのケーブルラインには大きく2つのラインがあります。音を取込むためのRECラインと、プレイバックのモニターラインです。RECラインはその名の通り、音を録音するために使われますので、通したケーブルのキャラクターが取り込み時のサウンドに影響します。フラットなものから色づけのあるものまでいろいろ使い分け、機材では表現出来ないニュアンスを引き出したいときに使います。

    それに対してモニターラインは出来上がったサウンドを聴いたり、オリジナルのミックス音源との聴き比べをしますので、音に色づけがあってはいけません。出来るだけフラットでレンジが広いケーブルが理想です。

    サイデラ・マスタリングではモニターラインは特にこだわりがあり、Saidera Ai SD-9001とSD-9003というケーブルを使っています。プリアンプ、パワーアンプ、モニター用のDAコンバーター周りはすべてこのケーブルを使用しています。ほとんどが床の下を這わしてあるので直接見ることは出来ませんが唯一スピーカーセレクターボックスの入力で確認することが出来きます。
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    ↑↑↑コレでもいちばん露出度が高いです

    真っ赤なケーブルで見た目も最高ですが、作りがとてもしっかりしていて傷などがつきにくいデザインになっています。自社ブランドなのであまり大きな声では言えませんが最高に気に入ってます。サウンドは暖かみがあってハイスピード。この二つの要素も兼ね備えたケーブルはあまり多くはないのです。

    サウンドは低域から高域までフラットに伸びているのでDSDのレンジでも確実に伝送してくれます。
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    ↑↑↑用途によって様々な長さを使い分けます!

    自分の音作りだけではなく、アーティスト、プロデューサーの方に出来るだけ居心地良く、分かりやすい環境で聴いて頂きたいと思っていますので、モニターシステムのサウンドには特に注意をしています。これからも、さらに改善、発展させていきたいと思っております。

    p.s.
    知る人ぞ知る話ですが、サイデラ・マスタリングは設立時にはオノ セイゲンが友人のグレッグ・カルビからいろいろなアドバイスをもらい今に至ります。オノとグレッグの付き合いは1983年に始まり、1996年発売の「Bar del Mattatoio / SeigenOno」はグレッグが、「Montreux 93/94 / Seigen OnoEnsemble」はテッド・ジェンセンがマスタリングしました。(現在、発売されているバージョンはオノ自身によるDSDリマスタリング。ライナーはカエターノ・ヴェローゾ)またニューヨークに行かれてグレッグとマスタリングした方は気づいたかな?ワイヤーワールドのゴールドが頻度が高いですが、たまに彼が使用する赤いケーブルは、オノが設計してある職人さんに作ってもらっているケーブルSaidera Ai SD-9001です。

    2009/06/17

    喫茶Saidera/その3



    どうもMUSHです!前回の喫茶Saidera/その2の続きですね!





    さてさて、コーヒー豆をくぼませたら、、、


    3.スイッチをON!してくぼみにお湯を注ぎ始めます。


    4.あとは、ほっとくだけで、、、ちょっと待ったア!!


    <Point!>中心のくぼみから外側にかけて、コーヒー豆が全体に湿ったら、


    スイッチを切って30秒ほど放置プレ蒸らします!


    ↓↓↓ウマくなっておくんなまし...


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    コーヒーをいれていると毎回思いますけど、


    これを初めて飲んだ人ってすごいですよね!?








    黒こげの豆を粉にしてお湯いれて飲んだって!そんな!


    あとパンを初めて作った人もすごいですね!


    よく聞くのはウニ初めて食べた人は最強だ!とか!











    、、、おっとまた話がそれてしまいましたので、続きはまた次回!


    喫茶サイデラ/その1


    喫茶サイデラ/その2


    MUSH





    2009/06/16

    自作ケーブル

    音をまとめたいとき、アナログテープを通したりアナログのシュミレーターを通して、ちょっとピークを押さえたりしますよね!そんな時に大活躍しているのが自作の網ケーブルです。(Apogee製のAESケーブルにナイロンスリーブを巻いて作りました)
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    (一番上は超高級なHiro Musicのケーブル、2本目、3本目が自作の網ケーブルです)

    ちょうどPro Tools24MIXがHDに変わったとき、「レンジが狭いけどファットな音」から「レンジが広くきれいな音」に変わりました。そこで「HDのきれいさを生かして24MIXの太さを表現出来ないか?」と思って作ったのがこのケーブルです。使い方は簡単で必要な時はPro ToolsのデジタルマルチケーブルとDAコンバーターの間に挟むだけ。このケーブルを通すと、その分距離は長くなるのに芯のあるファットなサウンドになります。特に88.2kHZや96kHzのハイサンプリング音源に使うと良い。ジャンルとしてはHIP HOPやROCKにも合います。パワフルに、勢いを出したいとき、音圧を上げたい時には必ず使います。

    どのような、サウンドに聴こえるのか?ぜひ、マスタリングでその違いを体験してください。