2013/05/31

EQの使い方(その4)「聴感上のフラットとは」



皆さんフラットな音というのはどんな音をイメージするでしょうか?あくまで僕自身の考え方ですが大きくこの二つに分けています。

1.電気的にフラットな音
2.聴感上でフラットな音

1.「電気的にフラットな音」とは機材を通している場合、EQやコンプのトリムをすべてゼロまたはセンタークリックの位置に戻した状態の音です。「Unity Gain」「ゼロ・リセット」とも言われています。
2.「聴感上でフラットな音」とはスピーカーやヘッドフォンで聴いた時、人の耳に対してフラットに聴こえる音です。「周波数的にフラットな音」とはまた違った、あくまで人の耳の聴こえ方によるところのフラットな音です。

音響ハウスのアシスタント時代にピアノの調律に立ち会うことが何度かありました。レコーディングスタジオではA tone(=ラの音ですよね)は440Hzではなく441Hzで調整していました。そのほうが明るいサウンドになるからです。さらに調律師の方から「低い周波数ほど低めに、高い周波数ほど高めに調律することで人の耳にはバランス良く聴こえる。」ということを教わりました。音叉に対して忠実にチューニングしていると思ってたので、最終的には耳で調整しているという事実を知ったときは衝撃的でした!

あれから十数年経ちますが、この時の経験をマスタリングでも応用しています。例えば少し明るめなサウンドにするためには16.0Hzではなく16.1Hzを使う。低域のEQも同じように応用できます。ほんの数ヘルツの違いですが最終的な音の印象に大きく影響するんですよ。ぜひ自分の耳を信じて素敵なサウンドを作ってください!


2013/05/29

とあるライブレコーディングの機材リスト

手がける録音は大編成のオーケストラからライブハウスでのセッションまで様々ですが、中にはスーツケース数個に機材が収まってしまう小規模な現場も……今回は、とあるライブレコーディングで使用した機材を可能な範囲で公開します!

(タクシーでも移動できます!)

KORG MR-2000S ✕4
GRACE m801
・SENNHEISER MKH40 ✕2
・B&K(現DPA) 4021
・DPA 4088
・DPA d:fact vocal mic
・DPA MM0056
・Direct Box
・SHURE SM57 ✕2
・電源タップ
・マイクケーブル 等々……

上記現場とは機材構成が異なりますが、弊社オノがライブレコーディング/マスタリングを担当の『George CRUMB ‐Makrokosmos Vol.Ⅱ‐』(演奏:中川瑞葉さん/Presented by Song & Co.)CD & DVD トレーラーが公開されました。今秋発売予定、お楽しみに!



2013/05/28

EQの使い方(その3)「透明感を出す低域のEQのテクニック」



本日は透明感を出す低域のEQのテクニックについてお話しします。そのポイントは、

1.キックとベースのかぶりの対策
2.ローカットフィルターの使いこなし

このテクニックを組み合わせて、ラージモニターでもラジカセなどのミニモニターでもキックとベースのニュアンスが変わりにくいサウンドを作ります。どんなシステムでもニュアンスの変わりにくいサウンドを作ることはマスタリングの大きな目的の一つです。

1.透明感を出すには低域の濁りを抑える必要があります。そのためには特にキックとベースのかぶりの対策が重要です。「透明感があり音像の大きなキック」を作るには、ベースと同じ周波数帯域を強調しないこと。ミックスにおいて、例えば120Hzでキックを強調したらベースは60Hzを強調する。そしてキックの60H辺りをピーキングEQで下げてベースの音が入る隙間を作ります。ベースのトラックも同様にキックの隙間を作るために120Hz辺りを下げます。

2.30Hz以下の音にはグラウンドノイズなど演奏に直接関与しない音が存在します。適切な周波数(25Hz〜30Hz辺り)からローカットフィルターをかけることで透明感を引き出し、音像が大きく厚みのあるサウンドを得ることができます。フィルターをかける際には-3db/oct、-6db/octなどEQカーブの種類もいくつか試してみましょう。マスタリングのトータルEQの場合は30Hz以下の周波数で良いポイントが見つかるはずです。1ヘルツの違いでも音の質感が変わります。詰まったりこもって聴こえたら低い周波数(20Hz〜25Hz)から、厚みを感じない、抜けが良すぎる場合は高めの周波数(25Hz〜30Hz)からカットしてください。またVUメーターは十分に振れているけど音圧を感じない場合もこのあたりの超低域が過多な可能性があるので高めの周波数からカットしてください。

このテクニックはR&B、HIP HOP、レゲエなどのジャンルでは特に威力を発揮します!ぜひ試してみてください。
2013-05-28改定


2013/05/24

EQの使い方(その2)「レベルを入れるためのEQテクニック」



マスタリングでの音量の決定は、楽曲の印象を大きく左右する要素の一つです。音量が少し大きなだけで(EQは変わっていないのに)曲が元気に明るく聴こえるようになります。ただし大切なのはコンプ/リミッターで無理やり突っ込むのではなく、EQで整理整頓した上で無理なく音量を入れること。オリジナルのバランスをキープしつつ、ピークを抑えた分だけレベルを入れることが可能になります。そのポイントは3つです!

1.EQの表と裏の関係を理解する
2.マイナスEQ
3.ピークの見つけ方

1.EQの帯域は500Hz辺りを境にした低域と高域で表と裏の関係があります。例えば「透明感を引き出す」には250Hzを下げる、4kHzを上げる、いずれの方法でも可能です。まずはこの周波数の関連性を理解します。

2.マイナスEQに慣れるには色々な帯域を上げ下げしてサウンドの特徴を理解します。レベルを上げるためにボーカル、キック、スネアなどのピークの処理が不可欠です。ピークを抑えればその分のレベルを上げることが可能になります。

3.ピークを簡単に見つけるにはEQのQを少し狭くしてレベルを上げてスイープさせます。極端にレベルが持ち上がる帯域があったらそこがピーク周波数です。見つかったら少しだけその帯域を下げましょう。マイナスEQは質感が変わり易いので-0.5dBから-0.3dBぐらいでも十分効果があるはず。例えばベースなら60〜80Hz付近を少し下げたり。ハイハットなら4kHzから8kHzをゆるめのシェルビングで抑えればバランス良く聴こえるはずです。もちろんそれ以上に下げたほうが音楽的に良く聴こえる場合は下げましょう。

実際のマスタリングではこういったEQをより複雑に、複数箇所にわたって処理をします。ボーカルをもう少し前に出したい時シェルビングで高域全体を抑えてヘッドルームを確保し、ボーカルの芯の帯域を上げるという方法など。このテクニックはプラグインでも簡単にできるので、音圧感が欲しい時にぜひ応用してみてください。


2013/05/22

お化粧をなおすには、鏡が必要です

「なぜ山に登るのですか?」「そこに山があるから」という有名な問答があります。しかし、「なぜ録音するのですか?」「そこに音があるから」……これにはどうも納得できないので、「音」を記録する理由を改めて考えてみました。

1.歴史的資料(史料)、研究材料として
2.個人的、または公的な記録(証拠)として
3.記念として
4.公表、販売のために

パッと思いつくのはこのくらいですが、もうひとつ加えたい項目があります。

5.鏡として



……鏡?

自分の表情を自分で見るためには、鏡が要りますよね。同じく、演奏者が自分の演奏を客観的に聞くためにも“鏡”が必要になります。鏡としての録音があれば、誰もが遠慮して指摘してくれなかった演奏上の弱点を一瞬で把握することができます(白髪を抜くことも、お化粧をなおすことも簡単です)。

「音の鏡」=「色付けのない録音(& 色付けのないモニター環境)」なのです。

色付けのない録音には、倍音をきちんと記録できる DSD方式がオススメ。まずは手軽に、KORG の MR-2 でいかがでしょう? 例えばバイオリン独奏なら、立ち位置から水平方向に1.5〜3m、垂直方向に3〜5mほどの位置に MR-2 を設置してみてくださいね。

まずはグレーの三角形の範囲内に設置してみます(縮尺はイメージです)

2013/05/21

EQの使い方(その1)「音の芯を引き出すEQテクニック」


本日はデジタルレコーディングでとても有効な、キックやスネア、ボーカルの芯を引き出すEQテクニックについて。

これらの楽器のアタックとはどんな音でしょう?それは、

1.キック→ビータがヘッドに当たる音
2.スネア→スティックがヘッドに当たる音。スナッピーが振動する音。
3.ボーカル→声の芯

となります!EQをかけるときは実際に楽器が鳴る、声を発する瞬間をイメージしてアタックを聴き分けましょう。

1.キックのアタックは柔らかめなら100Hz、固めなら120Hz前後で強調します。R&B、HIP HOPでは低めの周波数で「ドン、ドン」というファットな音に、ロックやポップスでは「トン、トン」というタイトな音に仕上げます。キックはその楽曲の「ジャンルらしさ」を表現するとても重要なサウンドです。

2.スネアのアタックは1kHz〜1.4kHz、スナッピーは4kHz〜8kHz。両方を強調するのではなく必要な音のみを強調します。

3.僕の場合、ボーカルは1.1kHzを基本に強調します。周波数を1kHz辺りまで下げると輪郭が柔らかい暖かみの有る声に、逆に1.2kHzに上げると抜けの良いシャープな声質を得ることが出来ます。ボーカリストの性別やアーティストの声質でももちろん微妙に周波数が変わってきます。

注意が必要なのはボーカルの芯とスネアのアタックは周波数が近いこと。隣り合った周波数を強調すると思わぬピークが発生しレベルを入れた時に歪む原因となります。できるかぎり重ならない帯域でEQを施すことが「歪まずに抜けの良い音」を作るポイントです。

音の芯を引き出すには『4kHzや8kHzあたりを使うのかな』と思っていた方も多いと思いますが、実はもっと低い周波数をコントロールしています。1〜3でEQする周波数帯域は高級なオーディオシステムはもちろんラジカセでも十分にカバーすることができるので再生システムが変わっても音のニュアンスが変わり難いんです。

これらの周波数を思いのままコントロールして存在感ある太いサウンドを作ってください!
2013-05-21 追記

2013/05/17

必読!先輩エンジニアSさん流「生楽器のミキシングの3つのコツ」


本日は必読!先輩エンジニアSさんに伺った生楽器のミキシングの3つのコツについて。

今回Sさんはサウンドトラックのマスタリングでお越しいただきました。ピアノ、ストリングス、木管の編成でミキシングがとても難しいと思うのですが、ナチュラルで厚みのある中低域、抜けの良い上モノのバランスが素晴らしい仕上がりでした!

++
Sさん:いつも録音の段階から最終的な仕上がりをイメージして作業します。アンサンブルの録音ではマイク間のかぶりがあるのでそれを上手く活かしてミキシングしています。もちろんですがミュージシャンの出音が良いことが一番大切です(笑)。今回はミックスに卓は使用せずDAW内で完結しています。厚みのある音に仕上げるコツは
1.フェーダーバランス
2.コンプの使いこなし
3.リバーブの使いこなし
です。

1.ミックスの時は全ての楽器のフェーダーを上げてバランスをとっています。各トラックごとに音作りをするとそれぞれの音は良くても混ざった時に良い音で聴こえるとは限りません。

2.コンプについては一つのプラグインで処理するのではなく複数使用して少しずつかけています。個々のトラックにかけることもあれば、トータルで使うこともあります。それぞれを無理なく動作させることで空気感を残したままレベルを抑えることが可能になります。

3.リバーブは「ルーム」「プレート」「カテドラル」など設定の違うプラグインを立ち上げ楽器ごとに使い分けています。Lexicon 480に例えると、卓ミックスでアウトボードを使う場合とPC内部でプラグインで処理するのでは音の消え際の響き方が違います。そのためDAWのみでミキシングする場合はこれらの違いを考慮して作業しています。

最後に、良いバランスに仕上げるには分かりやすいモニター環境が不可欠です。音の違いが明確に分かれば演奏の細かいニュアンスまで音作りすることができますから。
++

2013/05/15

ステージに居ながら客席の音を聴く

ホール録音の現場では、響きがよく演奏(アンサンブル)しやすい、ステージ上の “とある場所” を奏者と一緒に探します。しかし、ステージ上の音はわかっても客席の音を聴くのは不可能、音楽家の皆さんはきっと不安ですよね。

ここで思い出すのが、尊敬するレコーディング・ディレクターから聞いた話。そのディレクターも、とある高名なチェロ奏者から聞いたのだそうです。

「ステージ上の音を聴くのでなく、ステージから最も離れた客席で鳴っている音を “聴きに行く” のです。アンサンブルでも同じことです」

ふむふむ...



2013/05/14

エンジニアとしての「座右の銘」


チーフエンジニアの森崎です。

僕は十数年前にレコーディングスタジオでレコーディングエンジニア(もちろんアシスタントです)としてキャリアをスタートしました。入社した当初はプロの技に圧倒され「自分が同じように仕事ができるようなるのだろうか」「大変な会社に入ってしまった」というのが第一印象でした。先輩はとにかく仕事が正確で速い。あたり前ですが専門学校の卒業制作とはまるで次元が違いました。先輩エンジニアは厳しかったですが仕事に対する姿勢に感動しました。

レンタルスタジオにおいてお客様というのはクライアントだけでなく、エンジニア、ミュージシャンなど外部からスタジオを利用するすべての人を指します。良い演奏を録音するために技術もコミュニケーションも最高のレベルで提供するというプライドがありました。

「どんな些細な事であってもお客様がどうして欲しいのかを第一に考えなさい」
この言葉はマスタリングエンジニアになった今でも僕の座右の銘です。


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2013/05/10

ミキシングエンジニアKさん流・聴感上大きなミックス・テクニック


本日はいつも来ていただいている凄腕ミキシングエンジニアのKさんに聞いた「聴感上大きなミックス」について。

Kさん:「左右のスピーカーから同じタイミングでドンと出るのが一番音圧を感じるんです。しかも全ての周波数レンジでドンと来るのが理想です。僕はミックスの時に左右の配置ではなく前後の奥行きで音作りをしています。パンは最後の手段と考えています。」
このテクニックは目からウロコでした。この話を聞いて、僕が音響ハウスでアシスタントをしていた時、特にキックの音像が大きいと思ったエンジニアさんはスピーカーセッティングの間隔が狭かったことを思い出しました。YAMAHA NS10Mを横置きで30cmから50cm間隔なんです。当時そのうちのお一人に「どうして狭くセッティングしているんですか?」と質問すると「センター成分をしっかり聴き取るため」と教えてくれました。

Kさん:「音圧ある音に仕上げるには、センター成分をしっかり表現することが大切ですね。ボーカルとキックは特に重要です!そして僕もスピーカーの間隔は狭いです。しかも角度を付けず平行で置いています。直接音を聴きすぎないようにするためと、クライアントさんのリスニングエリアを広げるためです。角度を付けるとどうしてもリスニングポイントが狭くなってしまうので。」
マスタリングでもラジカセなどの小さなシステムや有線放送の設備用スピーカーをしっかり鳴らす音に仕上げるにはセンター成分の聴かせ方がとても重要です。センター成分をうまく整理してあげると無理に音量を入れることなく自然な質感で聴感上大きく聴かせることが可能になります。作品を大きな音量で聴かせたいと思ったら、ミックスでセンター成分に注目してください。


2013/05/09

マッシュのコーヒー学(その2)「能書きはいい?飲めばわかる?」


どうもMushです!

マスタリングで(というかマスタリングに限らず音楽で)一番大切なのはコミュニケーションです。「パキッとしてほしい」とか「透明感を出してほしい」などといった言葉は音に置き換えると様々な解釈ができるので、どんな音が求められているのかの理解を深めるために音を介してコミュニケーションを図りながらマスタリングを進めていく必要があるのです。

さて。コーヒー豆屋さんなんて一つの町にあっても1−2軒。ぶらり歩いていて滅多に出会えるものではありませんから、たまたま通りすがりで店先に出くわしては入りたくなるのがコーヒー好きの性です。ただコーヒー豆って「コロンビア」「グアテマラ」「マンデリン」などとだけ書いた瓶や樽が所狭しと並んでいて、一体どんな味なのか、少し不安になるんですよね。初めてのお店ならなおさら。そんな中「メロウな甘みとローストピーナッツのようなナッティなアロマが云々」とかって言われてもなんのこっちゃ。「この人は能書きが言いたいだけなのでは」と思ってしまいますし、あるいは「能書きはいい。飲めばわかる。」とか言われてもそれはそれで...。

つまりコーヒー豆選びも大切なのはコミュニケーション。味の趣向やその時の気分、飲むシチュエーションなどで欲しい味は変わってきますから、まずは自分の言葉で好みを伝えつつ、それをしっかり汲み取ってくれるお気に入りのコーヒー豆屋さんを見つけることが必要ですね。全国のコーヒー豆屋さん。どうかおてやわらかに願います。



2013/05/08

ホール録音当日のタイムテーブル


ライブレコーディング・エンジニアの西沢です。日本の音楽ホールの営業時間は、9時から21または22時までが大半です。この12〜13時間の中で、どの様に録音を進行したらいいのでしょうか。19:00開演、20:30終演と仮定して、演奏会の1日を追ってみます。

【9:00】開館、楽器搬入、機材搬入
オーケストラ等で楽器数が多い場合には、撮影・録音・照明業者と搬入の順序を話し合っておくと混乱を招きません。ステージ設営、撮影・録音準備、ピアノ調律等、録音準備には1〜3時間ほど。演奏会の規模によって変わります。

【10:00】演奏者ホール入り
【11:00】演奏位置確認、リハーサル
【12:30】昼食休憩、ピアノ再調整、撮影・照明・録音手直し、受付準備
【14:00】リハーサル
必要に応じ録音します。リハーサルのテイクを本チャンにも使用したい場合、ホール内では音の出る他の作業が制限されます。

【16:30】フォトセッション、夕食休憩、各部門手直し
衣装に着替えた後、CDジャケットや宣伝等に使用する写真を撮ったりします。

【18:30】開場
【19:00】開演
【20:30】終演
聴衆の皆さんが客席を離れないと、ステージ等目に見える場所の片付けが出来ません。撤収には最低でも1時間を見積もり、ホールの営業時間内に退館可能なスケジュールを考えます。撤収時間に余裕の無い場合は、ホールレンタル時間の延長やスタッフの増員を検討する必要があります。

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上記進行は、あくまで一例です。演奏会・リサイタルは一つひとつ異なりますから、「ライブレコーディングは初めてで…」と不安な方、下記フォームからお問い合わせくださ〜い!

D どんなふうに
S 進行すれば
D だいじょうぶかな?

2013/05/07

アシスタントの技術習得のための4つのステップ


本日はアシスタントの技術の習得について。

スタジオに就職して直ぐにエンジニアには成れません。まず最初はアシスタントからキャリアをスタートします。プロの現場では学校のように、やり方をいちいち教えてくれません。どうやって覚えるか?それは先輩の動きを見て覚えます。

1.細かいところまで観察するように見る
2.そして自分でも同じようにできるか試す(もちろん最初は上手くはできない)
3.次は上手くできないところを集中して見る(細かい操作や動き一つまでメモをしながら)
4.また実際にやってみる
この繰り返しで技術を習得していきます。最初はゆっくり丁寧に何度も繰り返すことで、動作が洗練され無駄が無くなり自然に正確さやスピードが身に付いていきます。

アシスタント時代に先輩の後ろについて仕事を見ていた時に「お前は全く仕事を見ていない!」とたびたび叱られました。いま振り返ってみると動きや間(ま)、コミュニケーションに至るまでしっかり見なさいということだったと理解できます。

プロの現場を体験したい方はぜひサイデラ・マスタリングのインターンシップに応募してください。まずは掃除から、スタジオの作法がみっちり身に付きますよ。サイデラ・マスタリングでは専門学校からのインターンシップやスタジオ見学なども歓迎して受け入れていますが、学生のそれからの授業への取り組み方がずいぶんと違ってくると伺っています。

2013/05/01

名刺がわりの音源を、ライブレコーディングで!



リサイタルやコンサートに出かける時、私はよく “その音楽家の名前” をWEBで検索します。「どんな人なんだろう?」「YouTube で聞ける演奏はないかな?」などと事前にリサーチする方は結構多いのではないでしょうか。

そんな時、度々残念に感じるのが “コンテンツの質” です。家庭用ビデオカメラで撮ったものの音が割れたりして聞きづらかったりすると、「本当はもっと良い音色で朗々と鳴っているはずなのに…」などと思うわけです。ともすると、その無料動画が第一印象になりかねませんよね。

つまり、「無料コンテンツほど、しっかりと!」ということを音楽家のみなさんに力説したいのです!!!

レコーディングだけが目的だと費用もかさみますが、ライブレコーディングなら、リサイタルの “ついで”、コンサートの “ついで” で済んでしまいます。しかも、素晴らしい臨場感というオマケ付き!

お客さんのクシャミが入るかも知れません。演奏上のちょっとしたミスもあるかも知れません。しかし多くの人は、無料動画であら探しをしたいわけではないのです。タダタダ、“音楽” を聞きたいのです。あなたのことを知りたいのです。

演奏会のついで、「名刺代わりの音源」を作りませんか? CDにするも良し、YouTube や ニコニコ動画にアップするも良し、音だけ勝負の SoundCloud も良いですね。



D 動画の
S 質を
D どげんかせんといかん!