2019/01/18

J-POPのマスタリング(その2)「J-POPらしさを表現するための”超具体的な”EQテクニック」

今回はJ-POPのマスタリングについて(その2)です。

J-POPのマスタリング(その1)「ボーカルを引き立てるサウンドメイク」に続いて、今回はJ-POPらしさを表現するための「超具体的な」EQテクニックです。


[明るく抜けのいいボーカル]
630Hzでボリューム感を出す。2.5kHzで艶をプラス。6.3kHzで子音の抜けを良くします。そして最後に1.0kHzで輪郭を強調します。4箇所のうちどこかばかりを突出して持ち上げすぎると、音像が崩れボーカルらしい音像再現がされなくなるのでバランスに要注意です。


[リズムトラック]
キックを120Hz、スネアを1.2kHzで強調しビートを出します。ベースは50Hz〜100Hzを少しだけカットして音程感を得られつつ主張しすぎない「J-POPらしさ」が出る。カットする周波数によってキックとベースどちらがより主張してくるかが変わってきます。タイトな低域を得るためにローカット(ハイパス)フィルターを入れます。カットオフ周波数は30Hz以下でスイープして、タイトでビート感のある低域と、ファットで量感のある低域との変化のバランスで決定します。


[輝きをプラス]
7〜10kHz辺りからのシェルビングEQが有効です。最後に12kHz〜16kHzをほんの少し強調してキラキラ感を表現します。


POPSの楽曲はミックスの段階で既に派手な音作りをしている場合も多いので、マスタリングでは固い音質になりすぎないようミックス音源と比較しながらファイナルタッチを加えることが大切です。また近年は高域・低域ともしっかり再生するイヤホン、ヘッドフォンで聴かれる環境も多く整っているので、J-POPでも低域をバッサリ切って仕上げるのは時代に逆行していると考えます。様々な環境でたくさんの人に聴かれる楽曲だからこそ、リスニング環境が整っている人にはより良いサウンドで音楽を楽しんでもらえるようにとマスタリングを仕上げています。

2019/01/17

J-POPのマスタリング(その1)「ボーカルを引き立てるサウンドメイク」



今回はJ-POPのマスタリングについて(その1)です。

J-POPのマスタリングのポイントは
1.ボーカルにスポットライトが当たっているような存在感のある音作り
2.ボーカルを華やかに引き立てるキラキラ明るく元気なサウンド
があります。


1.ボーカルにスポットライトが当たっているような存在感のある音作り
マスタリングでボーカルを引き立てたいときに、やり方は2通りあります。
・ボーカル成分に直接手を加える
・ボーカル以外の成分を整理する(または抑える)

マスタリングに関わらず、何かを大きくしたら別の何かが隠れる。何かを小さくしたら別の何かが聴こえやすくなる。そういう相関関係があることを理解すると処理の引き出しの数がグッと増えます。

ボーカル成分に直接手を加えるやり方では、ボーカルが引き立つ倍音(歪み)成分を付加するのがとても効果的です。やや大きめの入力レベルでアナログ機材を通したり、アナログモデリング系やサチュレーター系のプラグインを使うやり方があります。プラグインを使用する場合、倍音成分が多すぎるとかえって音像が小さくなってしまうので原音にDry/Wetの割合調整ができる機種を使用してDry100パーセントか薄がけの状態から少しずつWetの割合を増やして聴き比べるのがいいと思います。ボーカルに「艶っぽさ」などと表現されるニュアンスを付加しましょう。

ボーカル以外の成分を整理する(または抑える)場合、一番影響があるのは低域を抑えることです。特に100Hz以下の低域の調整は、その周波数帯域にボーカル成分はほとんど存在しないことが多いにも関わらず、ボーカルの聴こえ方に大いに影響を与えます。ほんの少し(0.数dB)レベルを下げたりコンプで膨らみを抑えると、ボーカルの音像がグッと前に出てきます。


2.ボーカルを華やかに引き立てるキラキラ明るく元気なサウンド
そもそも、どんな音色に「キラキラ感」を感じるのか。その音色のいるところにアプローチしましょう。きっと多くの場合高域寄りの、なおかつサイド成分に存在するのではないでしょうか?音の輪郭をくっきりと出す方向で引き立たせたい場合は1kHzあたりを、レイヤーになったシンセを幅広く引き立たせたい場合は6kHzあたりをブーストするといいでしょう。またサイド成分が引き立つことによって、ステレオの広がりもより感じる仕上がりになります。

サウンド・キャラクターを見極める6つのポイント

機材やケーブルの聴き比べでそのサウンド・キャラクターを見極めるために。

スピーカーやヘッドホン、アウトボードなどの機材やケーブルの比較試聴でサウンド・キャラクターを見極めるために重要な6つの基本的なポイントを紹介します。これは楽器の出音の聴き比べや、プラグインやエフェクターのセッティング違いの比較にも応用できる項目です。


[サウンド・キャラクターを見極める6つのポイント]

1.まずは2種類の聴き比べ(AB比較)から
2.客観的に
3.試聴箇所を絞って
4.聴きどころのテーマを決めて
5.リスニング位置は変えずに
6.再生ボリュームを固定して


1.比較試聴の基本は「2種でのAB比較」です。3種以上で比較する場合は同時に3種を比較するのではなく、2種でのAB比較の印象が良かった方ともう1種をAB比較する2段階でおこなうことから始めましょう。


2.機材やケーブルなどの「キャラクター」「質感」を判断することが目的なので、かならず客観的に聴きます。ボーカルを楽しんだり、リズムに乗ったりする音楽鑑賞の要素は少なく、あるいはなくても良いです。(これがミキシングやマスタリングの場合には音楽的要素も加味した試聴、判断が必要です)


3.音質を記憶しやすいように試聴箇所のポイントを絞ります。4つ打ちのキック1章節分や最初のボーカルのワンフレーズなど。音は映像のように一時停止して固定することができないので、時間的に短く区切って試聴すると判断がしやすいです。判断に迷ってしまったときに長く聴くのはかえって逆効果です。一度再生を止めて、頭をリセットしてから再度短い時間で試聴します。


4.「ボーカルやキックなど1つのパートの質感」「低域・高域の伸び方」「キックとベースのバランス」「オケとボーカルのバランス」「広がり方」「奥行き」「定位感」「音像の大きさ」など、いま自分が何を基準に試聴しているのかを明確に意識して試聴します。


5.スピーカーに対してのリスニング位置は前後・左右位置、高さをなるべく変えずに試聴します。


6.再生ボリュームは固定して試聴します。なぜなら人間の耳は音量レベルによって周波数特性が変化するため。ボリュームが変化すると正しい比較ができません。試聴音源(ソース)を変えたときに試聴音源そのものの音量に合わせてボリュームを変えるのは問題ありません。


この6つのポイントを意識すると、今まで掴めなかった音の違いに気がつくことができると思います。

2019/01/15

シーリングレベルの設定

本日は、プラグインのリミッターのシーリングレベルについて。

Mixをしながらモニターで聴いているサウンドはまったく問題ないのに、バウンスしたら(書き出したら)音が歪んでしまった。配信用にAAC/MP3に変換したら歪んでしまった。という経験は誰しもあるはずです。プラグインのブランドによっては、シーリングレベルを0dB目一杯に設定してバウンスしても歪まない機種、歪んでしまう機種があります。コップに水を一杯まで入れると表面張力分の盛り上がった部分があふれてしまう状況に例えられますか。

その歪みを防ぐには、マスターフェーダーにインサートしているリミッターのシーリングレベルを少しだけ下げてください。-0.1dBに設定するだけでも、ほぼ歪みから回避することができます。プラグインをインサートしていない場合は、マスターフェーダーを-0.1dB下げます。書き出し時にディザリングをしている場合にはシーリングレベルの下げ幅をもう少し増やして、0.3dB程度にすることを推奨します。

またAAC/MP3変換時に歪みが発生する場合、原因が「トゥルーピーク(=インターサンプルピーク)」のオーバーレベルによるものの可能性もあります。原因がトゥルーピークによる場合だと、使っているリミッターの特性によってはシーリングレベルを1〜2dB下げないと完全にオーバーレベルを回避できない場合もあるので、トゥルーピーク・リミッター機能を備えたリミッターを使用した方が歪みを回避しやすいこともあります。

シーリングレベルをどれだけ下げても歪みが解決しない場合は原因は別のところにありますから、リミッターのスレッショルドを緩めたり、そもそもの録り音の時点で歪んでいないかを落ち着いてよく確認してください。

2019/01/09

SD-1027H Esquina de SP / Wilma de Oliveira

サイデラ・レコードより、おすすめ「今日の一枚」です!
SD-1027H Esquina de SP / Wilma de Oliveira

8Tracks DSD Live Recording @ PRAÇA 11
Wilma de Oliveira(ヴィウマ・ジ・オリベイラ)さんはブラジル・サンパウロ出身のシンガー。東京青山のプラッサ・オンゼ(という店名の由来はこちら→)で収録されたライブアルバムは、全編ブラジル音楽を愛する方々にはおなじみの曲が次々と披露されます。
60-70年代のレア盤を発掘するDJの皆さんをブラインドでテストしたくなる、どこか失われた名盤感漂う一枚です!

*このソフトは、スーパーオーディオCD・ハイブリッドディスク仕様で3通りの再生、楽しみ方ができます
1.スーパーオーディオCD 5.0chマルチチャンネル
2.スーパーオーディオCD ステレオ
3.CD(CD-DA)ステレオ

1.のマルチチャンネルを「サイデラ・モーニングセッション」にて視聴しました。
レポート:「サイデラ・モーニングセッションSPECIAL DAY6 ブラジル音楽のサラウンド・ライブレコーディングを制作環境で聴く!


失敗のないTD音源作り

今回は、これから作業を始める方の為に失敗のないTD音源作りについてお話します。
自分が納得出来る仕上がりのTD音源を作るにはどうすれば良いか?
それは、基本的なことですがマスタリング・スタジオに持ち込むOKテイクのプレイバックを行なうことです。

例えばPro ToolsでTD作業する場合、バウンスしてファイルを書き出し、外付けHDDに保存すると、ファイルのバウンス時、外付けHDDに書き込み時に微妙な音質の変化が生じます。一つ一つの音質変化はわずかであっても積み重なるとバウンス前のサウンドとはイメージが違って聴こえることがあります。

もしOKテイクをプレイバックして予想よりレンジが狭く感じた、抜けが悪く聴こえた場合、コンプのかかり具合を緩める、中低域を少し抑えてみる、などファイナルタッチを施せばいいんです。微調整してからもう一度録り直せばよりイメージに近いサウンドに仕上げることが可能になります。この一手間を加えるだけでマスターのクオリティーはかなりアップしますよ。

また、KORG MR-2000SにDSDでTDする場合、何を聴きながらTDするのが良いですか?という質問も頂きます。MR-2000SにDSD録音する場合はMR-2000Sのインプット(録音待機時のアウトプット)を聴きながら行なって下さい。PCMとDSDでは音質が異なります。DSDのサウンドは立ち上がりが速く広がりがあり音の切れ際までハッキリ聴こえるので、リバーブやEQのかけ具合が変わってきます。DSDはインプットとアウトプットがほぼ同じ音質で再生されます。PCMのような予想しながら音作りをしなくて良いこともDSDの特徴の一つだと思います。

Stray Bullets / Original Target

どうもMUSHです!

先日はStray Bullets / Original Targetのマスタリングがありましたよ!


「上を向いて歩こう」のカバー含む4曲入りです!

5.6MHzDSDマスタリング The Corona / Shine

どうもMUSHです!

先日はThe Coronaさんの新作「Shine」のマスタリングがありましたよ!DSDマスターレコーダーKORG MR-2000Sのお持ち込みでした!
この新作「Shine」は9/29Releaseですが、8/3の「The Corona 5th Anniversary Live」で会場限定先行販売を予定しているということです!

The Corona 5th Anniversary Live
日程:8月3日(火)
会場:musicasa
(東京メトロ千代田線 代々木上原駅より徒歩2分)
時間:18時30分開場、19時開演
入場料:3,800円(当日4,300円)
お買い求めはe+にて
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002042855P0050001P006001P0030001

9/29 Release The Corona/Shine (DDCZ-1709)\1.500(tax in)
1.淡々と煌々
2.空飛ぶジャー
3.イマジン
4.誕生ルンバ
5.裏と表のカサノヴァ
6.永遠な愛しい

The CoronaさんのBlogにもマスタリングのご感想載せていただきました!ありがとうございます!

Sing-O NEW SINGLE『1.2.3 ~One two three~』

どうもMUSHです!
先日はSing-OさんのNEW SINGLE『1.2.3 ~One two three~』マスタリングがありましたよ!
Sing-Oさんの歌声とHiroya.Tの渾身のミックス、ぜひチェックしてみてください!

Sing-O 待望のNEW SINGLE!!!
『1.2.3~One two three~』
2011年1月19日(水) リリース決定!!

<収録曲>
1. 1.2.3~One two three~
2. 震えるよ
3. SAMURAI
4. One day

4曲入り¥1,000-(tax in)


番外編:Heartbeat Presents Mixed By DJ DJ EMMA(NITELIST MUSIC/MALAWI ROCKS)×AIR(DAIKANYAMA TOKYO)

「Heartbeatシリーズ」を担当されているラストラム・ミュージックエンタテインメントのA&R、鳥山さんへのインタビュー!

MUSH:鳥山さんは普段どういった音楽を聴かれますか?
鳥山:実はダンスミュージックとかは聴かなくて、80年代のロックとかですね。
MUSH:いいですね!じゃあ(たまたまオフィスで流していた「ブライアン・フェリー/ボーイズ・アンド・ガールズ」が)どんぴしゃじゃないですか!
鳥山:どんぴしゃですね!大好きですもん、Roxy Musicも。
MUSH:これはSACDで、サラウンドミックスも入っているんですよ。それに僕はぶっ飛びました。
鳥山:「AVALON」とかもすごく音良いですよね。普通の人が聴いてもわかるくらい。うねってますよね。(エンジニアは)ボブ・クリアマウンテンだよね?
MUSH:ボブ・クリアマウンテンですね。こういう音楽を知らなかった頃に勝手に80年代の音だとイメージしていたのがまさに彼のサウンドで、でも聴けば聴くほどかっこいいなって思いました。でも意外といえば意外です。鳥山さんすごくダンスミュージックにも詳しいので、、
鳥山:いえいえ。あとはパンクも好きだし、ニューウェイブも。トーキング・ヘッズとか。地下のスタジオにドナルド・フェイゲンのCDが2枚(「ナイトフライ」と「モーフ・ザ・キャット」)あったのは、あれ音が良くて有名じゃないですか。モニターの調整とかにも聴くんですか?
MUSH:聴きますよ!音楽としてももちろんいいんですけど、測定的に聴いても素晴らしいんです。
鳥山:ビルボードライブ東京ができたときにドナルド・フェイゲンがこけら落としで来たのを観たんですよ。
MUSH:EMMAさんはAIRで2012のカウントダウンに出演していましたね。
鳥山:本当に人気ありますよね。なかなかそんなひと日本のDJではいないですよ。80年代から、ずーっとトップでやられて、しかも数字も落ちていない。本当にすごいです。
MUSH:EMMAさんの歴史みたいなお話聞きたいです!
鳥山:だってゴールドとかの時代からですもんね。
MUSH:音聴いても違いますからね。今作も楽しみです。Heatbeatシリーズでは1作目の「Heart Beat Presents Mixed By Derrick May(TRANSMAT from DETROIT)×Air(DAIKANYAMA TOKYO)」もぶっ飛んだんですが、あれもデリック・メイ13年ぶりのMIXCDでした。
鳥山:他のメーカーさんではMIXCDなかなかやらなくなっちゃったからね。
MUSH:6月6日リリースの「Heartbeat Presents Mixed By DJ EMMA(NITELIST MUSIC/MALAWI ROCKS)×AIR(DAIKANYAMA TOKYO)」楽しみです。ありがとうございました!

Switch Craft 3502AAU(その2)


先日お話ししましたがSwitch Craft 3502AAUは安全と音質優先の設計のため接続が非常に硬いコネクターです。新品の状態では機材側の接点を壊してしまう恐れがあるので僕は必ず使用前に馴染みを出すようにしています。
方法はRCAプラグのジョイントを使います。機材に接続する前にまずこのジョイントで抜き差しをして硬さを調節しています。ジョイントを接続し上下、左右に動かすと徐々に抜き差し出来るようになってきます。

接点が緩すぎると今度は抜け落ちてしまいますので、注意しながら行なって下さい。
この方法はSwitch Craft社製だけではなくその他のRCAプラグについても同様に調整可能です。

2019/01/08

年末年始オンライン・マスタリング「+1」キャンペーン実施中



2019年のスタートダッシュはサイデラ・マスタリングのオンライン・マスタリングで!

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キャンペーン期間:
2018年12月28日(金)~ 2019年2月28日(木)

内容及び対象エンジニア:
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根本 智視 : 8,640円/曲(税込)
トミー・トミタ : 12,960円/曲(税込)
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ご不明な点につきましては、
TEL. : 03-5410-6789
E-mail : info@saidera.co.jp
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https://www.saidera.co.jp/cp1819.html