2014/06/27

掃除に隠された意味 [ for Students ] 第8回

音の業界を目指す学生さん向けの [ for Students ]、第8回のテーマは【掃除に隠された意味】です。

「自分で仕事を探せ」といわれても何をすべきか判断できない右も左もわからなかったころ、いわゆる「仕込み/バラシ」のアルバイトでは黙々と掃除をしていました。折れ曲がった釘を拾ったり、バミリをはがしたり……そうやって現場に慣れていったものです。

「バミリ」参考記事:ステージ転換時のマイクロフォン移動<その2> 
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/02/blog-post_26.html

さて、サイデラ・マスタリングでは「掃除」を重要視しています。例えば、落ちているゴミを見つけられるか否か。このゴミに目を配れるセンスがあるのなら、録音物にあるノイズを見つけられる素養がある可能性大! また、オフィスやスタジオを使いやすく見た目もスッキリと整理整頓するセンスは、マイクロフォンセッティングや音源・テイクの管理、音の整理整頓であるミキシングにも通じます。

例えば、「平行と直角」=バランス感覚。少ない手順で会議テーブル上のものをさっと片付けられるか?洋服店でTシャツをたたむ、ヘアサロンのように並べてみる。無意識のうちにも定規で計ったように置ける人は、録音エンジニア、ミキシング、マスタリングにも適性がある。
インターンシップ・プログラムについて より抜粋http://www.saidera.co.jp/paradiso/intern.html


掃除や整理整頓は率先して! つまり、こういうことです。

建前 「スタジオ片付けといて!」

本音 「機材の繋ぎとかマイクロフォンの位置をゆっくり観察できるのは今しかないよ」


2014/06/25

アシスタント・エンジニアの心得(その2)「スタジオでの立ち居振舞い」


アシスタントエンジニアの心得について、連載第2回目はスタジオの歩き方・立ち居振舞いについてお話しします。

大切なことはこの3つです。
1.静かに歩く
2.姿勢良く
3.目立たないように

1.抜き足差し足、は大げさですが余計な音を立ててはいけません。ぺたぺたと音を立てないように、かかとからつま先にかけて体重移動する要領で歩きます。

2.頭のてっぺんから糸で吊られているように、背筋をしっかり伸ばしましょう。立ち姿がきれいだと傍から見て安心感があります。

3.アシスタントの立ち居振る舞いは黒子のように気配を消すことが大事です。エンジニアやクライアントに自分の存在を必要以上に意識させないよう行動するよう心がけてください。音を聴くときに体を動かしたり足でリズムを取る人がいますが、リズムの取り方・感じ方は人それぞれ違うので、気になるアーティストやエンジニアもいるので注意しましょう。

最後に、スタジオやコントロール・ルームには入るタイミングがあります。それは音が鳴っていない瞬間です。そのタイミングを見計らってすっと入ります。また、エンジニアがDIMスイッチ(モニターの音量が小さくなる)を押したら「入っても良い」という合図ですからそのタイミングを逃さないように。そのためには常に周りの状況を良く観察することです。スタッフやアーティストの行動や表情にも気を配ること。美味しい一杯のコーヒーや些細な気配りが良い雰囲気づくり、良い演奏につながります。アシスタントも音楽制作に参加しているという意識を常に心がけてください。

関連リンク:
アシスタント・エンジニアの心得(その1)「セッティング替えの注意点」

2014/06/20

ホールでのマナー [ for Students ] 第7回

音の業界を目指す学生さん向けの [ for Students ]、第7回のテーマは【ホールでのマナー】です。

マナーといっても鑑賞のマナーではありません。我々裏方は、主催者はもちろん、お客さまや会場(建物)にも最大限に配慮します。例えば「ガムテープは、ステージ上では使用禁止」という約束ごとは、ほとんどのホールに共通しています。なぜなら、粘着力が強いテープは木製ステージの木繊維を剥がしてしまうからです。

現場で使われる主なテープとその使い方の記事はこちら。
「切ったら切れるけど、切っても切れない、欠かせない存在」
http://saideramastering.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html
しかし、マナー(=暗黙の了解)の教科書はなく、「現場で覚える」以外の選択肢はほとんどありません。現場では、マナーについてレクチャーする時間も余裕もなかなか無いものです。

学生アルバイト「事前にマナーを勉強すれば、現場で迷惑をかけずに済むのに…」
現場スタッフ「バイト君にはマナーを知っておいて欲しいけど、イチから教える時間も機会もないし…」
そんな双方の悩みを解決してくれそうな動画を見つけたのでご紹介します!

【撮影業者の皆様へ/すみだトリフォニーホール】
壁にモノを立てかけない、光や音の漏れに気をつける、ケーブルの養生等々、様々なホールに共通する要点がわかりやすくまとまっています。


録音の場合、機材を置くために長机をよく借りので、私はその机用に布製のカバーを持参し機材で傷をつけないよう工夫しています。ぜひ上記動画も参考に、ちょっとした気遣いをもって気持よく仕事をしましょう。

2014/06/18

アシスタント・エンジニアの心得(その1)「セッティング替えの注意点」

これから数回に分けてアシスタント・エンジニアの心得について連載します。本日はセッティング替えの注意点について。

まずはこの3つを徹底しましょう。
1.飲み物を一番最初に片付ける
2.次にマイクロフォンを片付ける
3.ケーブルの抜き差しは機材に手を添えて行う

1.そもそも当たり前ですが、スタジオスタッフがスタジオで飲み物をこぼすことは絶対にあってはいけません。機材やケーブルの上にこぼしてしまったらなおさら大問題です。そうならないようにまず、飲み物の器は一番最初に片付けます。トレイを使ったり、中身を一つの器にまとめたりして、絶対にこぼさないように片付けます。

2.マイクがセットしてある状態のマイクスタンドは重心が上がっているので、身体がちょっと触れただけで転倒する危険があります。ブームを下げてマイクロフォンを取り外しましょう。
マイクを取り外す際には、該当のチャンネルがミュートしてあるか、電源がOFFになっているかを確認します。ケーブルを外すときはマイク本体をしっかり持ちます。ホルダーからマイクを外す際に手を滑らせる可能性があるので、まずはホルダーごとスタンドから外してから、ホルダーは安全なテーブルの上などで取り外します。

3.ケーブルを外すときは天板に手を添えることを習慣にしましょう。手先だけで行うと機材がズレたりラックから滑り落ちることがあります。
またケーブルの抜き差しは機材に対して身体を正面にして行います(これはあらゆるオペレーションに共通します)。LRの接続ミスが生じる可能性もあるので安全な姿勢で目視の確認も忘れずに。

スタジオ作業は慣れてきた頃が一番ミスしやすいので、初心を忘れず、この3つのことを常に頭に入れて作業を行ってください。
次回は、スタジオでの歩き方、立ち居振舞いについてお話しします。


2014/06/17

通勤中にいかがですか?WEBで読めるオノ セイゲン・インタビュー記事

こんにちは!デスクの久保です!
サイデラでは現在、過去の資料の整理整頓をしています。20年ほど前の雑誌の切り抜きが保存されていたりもして、とても興味深い資料になっています。
私は今回、WEBで読めるオノのインタビューを(ほぼ)時系列でピックアップし、まとめてみました。
スタジオ機材のことから音楽界の展望まで色々な切り口の記事があり、どれも非常に読み応えがあります!

KORG インタビュー
http://www.korg.com/jp/features/artists/2014/0404/index.php
DS-DAC-10を中心とした、DSDマスタリングに関するインタビュー。
マスタリングにおけるポリシーや、サイデラで使用している機材についても、写真を交えて解説しています。


<特別インタビュー>DSD 5.6MHzリマスター版「戦場のメリークリスマス」誕生秘話
http://www.phileweb.com/interview/article/201401/20/216.html
2013年12月に「Merry Christmas Mr.Lawrence - 30th Anniversary Editon -」として登場した「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックのリマスタリングに関するインタビュー。
アナログシンセの名器である「Prophet-5」の音。DSDで改めて聴いた時の驚きや、坂本龍一氏が音色にこだわった音作りをそのまま伝えるというスタンス等、音源製作時のエピソードも交えています。


音質の行方 Vol.1
http://ototoy.jp/feature/index.php/20110815
高音質音源配信サイト、OTOTOYでのインタビュー。アナログからデジタルへの過渡期のことやDSDとの出会い、そしてこれからの音とリスナーの関係など、過去のレコーディングから未来の展望まで捉えた記事です。


ECLIPSE インタビュー
http://www.userlist-eclipse-td.com/onoseigen.html
スタジオでモニタースピーカーとして使用しているECLIPSEのレビューとアルバム「マリア・アンド・マリア」について。
録音された原音を忠実に再現するECLIPSE。ECLIPSE自体のレビューや使い方のポイント、リファレンス用モニターとして用いたアルバム「マリア・アンド・マリア」の制作の裏話がかなり詳細に書かれています。「マリア・アンド・マリア」裏話は作曲、演奏、レコーディング、マスタリングまで、全ての工程をオノがディレクションしたからこそ語られる充実の内容です。


製品レビュー:GRACE designによるオノ・セイゲン氏スペシャルインタビュー
http://www.2ndstaff.com/install/7731
GRACE designによるインタビュー。オノが影響を受けた音楽やエンジニアとしてのスタンスなどが語られていますが、個人的に興味深かったのは、記事中で『西洋とは違う日本式の「間」』という言葉で語られている、言葉にすることがとても難しい音楽の非常にデリケートな側面です。



2014/06/16

サラウンドフィールド・レコーディング「檜原村 払沢の滝」



どうもMushです!

先日東京都檜原村「払沢の滝(ほっさわのたき)」へサラウンド・フィールド・レコーディングに行ってきました。東京都唯一の村(離島を除く)である檜原村は都内から電車でアクセスでき、払沢の滝は「日本の滝百選」にも選ばれています。

4時半の始発電車に乗り込み約2時間半、電車とバスと少し歩いて現地へは7時前に到着。すぐにセッティングをして録音を開始しました。レコーダーのZOOM H6は今までにないコンパクトサイズでサラウンド録音を可能にしてくれています。
http://www.zoom.co.jp/products/h6

滝の音はホワイトノイズ(いわゆるテレビの砂嵐の音)の音色に近く、音だけでの表現がとてもむずかしいものの一つです。脇を流れる小川と、1羽のすごく元気な鳥が滝っぽさを少しだけ演出してくれました。8時過ぎ頃からちらほらと観光客の姿が見えてきたので、約2時間ほど収録して真夏日の都心へ帰ってきました。


関連リンク:
払沢の滝ライブカメラ:http://www.vill.hinohara.tokyo.jp/takilivecamera/small/cameraB.html
東京都檜原村オフィシャルサイト:http://www.vill.hinohara.tokyo.jp/kankoannai/index.html
日本の滝百選:http://takinoinryoku.com/taki100.html

2014/06/13

ギターも磨いて自分も磨く


今回はセイゲンさんからメンテナンスを任せたギターについて書きます!楽器も機材も仕事場も、綺麗に保つのはとても大切です。綺麗な方が仕事もはかどりますよね!

今回のギターはグレッチの「チェット・アトキンス モデル」です。
カッコイイですねー。私自身、グレッチのギターをメンテナンスするのは初めてだったのでワクワクでした!

実際に行ったメンテナンスを行程を追って説明します!用意した物は、無水エタノール、コットン、クロス、ピカール(金属磨き)、オレンジオイル、マスキングテープ、チューナー、弦巻き、ラジオペンチ、プラスドライバーです。

・ケースから出し現状の確認
かなり古く使い込まれた印象で、作業する時は気をつけようと思いました。特にバインディング(周りの白い部分)は、縮んで割れやすかったり取れやすいので要注意。取れていた部分があったので後で接着します。

・古い弦をはずす
弦を緩ませてはずします。12フレット辺りで切ると、捨てるときにまとめ易いのでオススメ!

・フレットを磨く
今回はピカールを使うので、指板に付着しないようマスキングをします。このときのポイントはマスキングテープを布などにあらかじめペタペタして粘着力を落としてから貼ってあげることです。マスキングテープの粘着力が強いと剥がす時に指板の木が割れたりポジションが取れたりするからです。コットンとピカールを使ってフレットを磨きます。その後コットンに無水エタノールを染み込ませ拭き上げ。
その後コットンに無水エタノールを染み込ませ拭き上げ。終わったらマスキングを剥がします。

Before
After



・指板のケア
乾燥しすぎるのも木材割れの原因になるので、たまにオイルを塗ってあげます。汚れていれば塗る前に綺麗にします。たっぷりめに塗って木に吸わせ、残ったオイルはコットンで拭き取ります。

・金属パーツを磨く
コットンに無水エタノールをつけて磨きます。物によりますが大抵のパーツはメッキしてあるので、ピカールはオススメしません!

・新しい弦を張りオクターブを合わせる
新しい弦を張ったらオクターブを合わせます。オクターブ調整はハイフレットの音のピッチを合わせる為に、ブリッジを動かして弦長を調整することです。簡単に言うと、12フレットの実音と12フレット上のハーモニクス音のピッチが合えばOKです。このギターはブリッジが固定されていないタイプだったので、合わせるのに苦労しました。

・全体を拭く、ねじを締める
ねじが緩んでることがあるので増し締めします。クロスを使い全体を丁寧に拭きあげます。
※エタノールを使いたくなるところですが、ラッカー塗装だと溶けることがあるので使いません。汚れが目立つのであればラッカー対応したポリッシュを使います。

こんな感じです!
誰かにギターやベースのメンテナンスを頼まれるのは良い経験になり、新たな発見があり、何より任せてもらえるのが嬉しいです。今後もギターだけでなく、自分も磨いていきたいと思います!

2014/06/02

サラウンドフィールド・レコーディング「湯島天満宮のお神輿」



Mushです。先週湯島天満宮のお神輿を、サラウンドフィールド・レコーディングしてきました。一日かけて街中を渡り歩いたお神輿が本殿に戻って宮入(みやいり)する時の様子。ZOOM H6による24ビット96kHzのサラウンド録音です。