2013/06/28

低域の処理(その1)「キックとベースとボーカルと」

低音をうまく処理することは、ジャンルを問わずボーカルを聴こえやすくするキーポイントです。そのポイントとは?
1.センターに定位する音をきちんと整理する
2.キックとベースのバランス

1.センターに定位させるのは「キック「ベース」「スネア」「ボーカル」など楽曲の主役となる音ばかりです。これらのサウンドをどんな再生システムでもバランス良く聴こえるように仕上げることが大切です。まず最初にボーカルとキック、ベースのバランスに注目しましょう。この低音楽器が大き過ぎるとボーカルが引っ込んで聴こえます。逆にボーカルを前に出したければ100Hzより低い帯域をシェルビングEQで0.5dB~1.0dBマイナスします(もっと細かくレベル調整を施したほうがいいです)。このテクニックはとても効果的です。

2.ボーカルとキック、ベースのバランスが決まったら更にキックとベースのバランスを微調整します。キックのバランスが大きいことには比較的問題無いのですが、ベースが出過ぎているとボーカルが聴こえにくくなります。ベースはキックに比べ音符が長いのと、音程があるために特定の帯域でボーカルをマスクすることがあるからです。解決するにはローカット、シェルビング、ピーキングEQなどのテクニックを使って「曲のバランスが崩れずにベースが抑えられるポイント」を丹念に見つける必要があります。

EQで迷ってしまったらボーカルの歌詞の聴こえ方に注目してください。わずかな周波数の違いで声の輪郭がすっと浮かび上がるポイントがあります。そこがスイートスポットです。次回は「ローカット」についてより具体的なEQのテクニックを説明します。
2013-6-28改定


2013/06/26

音の根と幹

 録音には「空間を録る」というアプローチがありますが、これは吉本隆明さんの「言葉の根と幹は沈黙である」に相通ずると思っています。

「音を伝える(考え様によっては音そのものである)空気によって満たされた “空間” が存在するからこそ、演奏が成り立つ」


こう考えますと、「音の根と幹は “空間” である」といえるのではないでしょうか。音とは呼べない、風紋や波紋のような微細な空気のゆらぎ。その空間が持っているノイズ。これらが、いわゆる “臨場感” に直結するのでは――DSDレコーディングは、この “空間” を捉えるポテンシャルを持っているのです。



2013/06/24

人生とは旅であり、女は女であり、マスタリングとはアレである。

人生とは旅である(ドヤッ

どうもMushです!よく言い切りのかたちでの名言って(うまいこと言ってんだか言ってないんだかなものも含めて)ありますよね。「女は女である」とか←それは違う
それに当てはめてマスタリングとはなんだろうと考えると、ぼくの中では「マスタリングとはコミュニケーションである」になるんですよね。マスタリングに限らず「音楽とはコミュニケーションである」でもいいと思うのですが。

音っていうのは本当にむずかしいですよね。目には見えないし、かたちにも残らない。味もなければ香りもない。しかも頭部伝達関数や心理空間領域では個人差があり、また必ず趣味趣向がありますから、同じ音を聴いたとしてもまったく同じ印象を持つことはまずない。その溝を埋めることからはじめないと、音の作業を共有することはできないのです。そのために必要なことを一言でいうと、まさにコミュニケーションだと思います。

そういう意味で、サイデラ・マスタリングではコミュニケーションにこだわっていきたい、そう思っています。受け付け段階からクライアントがどんなマスタリングを求めているのか?予算は?そして実際のマスタリングはどのように仕上げるか?ハッピーな気持ちでお帰りいただくのには絶対に欠かせないコミュニケーション。みなさんはマスタリングとは、なんだと思いますか?


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2013/06/20

Q&A(その6)楽器(コーラスだけ、ボーカルだけ、ギター、ベースと、いろいろ)ごとのバランスを変えることはできますか?

Q6: 楽器(コーラスだけ、ボーカルだけ、ギター、ベースと、いろいろ)ごとのバランスを変えることはできますか?

大きくバランスを変えることはできません。
が、特定の楽器だけをより際立たせたり、より聴こえやすくすることは可能です。コーラスだったら倍音をプラスしてよりきらびやかに。ボーカルであれば歌詞をはっきり聴かせて。ギターもエッジ感を強調してドライブ感を増したり。ベースは透明感を出すことでメロディーがより聴こえるようになりグルーブ感を出す。キックは音量を大きくするのではなく音像を大きくすることでより迫力を出す。これらは一例ですが、マスタリングでの仕上げによってさまざまな聴かせ方が可能です。ボーカルの言葉をはっきり聴こえるように処理しただけで、ボーカルがバンドを引っ張っているようなグルーブ感のあるサウンドに変化するんですよ。

マスタリングではポイントとなる楽器をほんの少し引き立てるだけで、カメラのピントが合ったように、サウンドが鮮明に、より深みを増して聴こえるようになります。

またサイデラ・マスタリングでは、ステムミックスでの持込みも歓迎します。ミキシングの最後の微調整をこちらで確認することにより、妥協のない仕上がりに結果的により短時間で到達できます。ステムを持ち込まれる場合は、すべてのトラックをフェーダーをゼロで並べた時にミックス時のバランスになるように書き出してください。


2013/06/19

自 “遊” 自在

まずは、とある現場の写真を御覧ください。



場所はレストランバー、ワンポイント・ステレオでの収録です。マイクロフォンを設置したい位置にマイクスタンドが立てられない状況ゆえ天井から吊るすことに……そこで活躍したのが、「自遊自在」というワイヤー。程よい強度がありながら、その名の通り “自由自在” に曲げられ、様々な場面に活用できます。また、何度か折り曲げれば手で切断できるので、工具が手元にない場合でも便利。今回は、梁に付いていたフックを利用し3点吊りとしました(空調配管にマイクケーブルを一周させているのは、万一の落下防止策)。「自遊自在」は、私の工具箱に入っている定番グッズです☆

注)吊りは、本来の用途とは異なった使い方です。ご使用の際は自己責任にて!

追記)今回使用したのは「頑固自在」でした。勘違いスミマセン!!!

2013/06/18

EQの使い方(その6)「ハイを明るくするマスタリング」


クラブミュージックのマスタリングで「ハイを上げてほしい」というリクエストがあります。このハイを上げるというのはただ高域をEQで持ち上げるだけでは解決しません。実際には聴感上の明るさが必要なんです。(僕の場合高域はだいたい4kHz以上の周波数ととらえています。)

1.どのようなアレンジで曲が構成されているのかの確認
2.聴感上で明るく聴こえるEQ

1.まずはどのようなアレンジで曲が構成されているのか?観察するようにじっくり聴きます=クリティカル・リスニング。例えばハウスの場合だったら、ハイハット、スネア、ボーカル、シンセなどが中心となって曲が構成されていますね。何をしているのかというと、EQのターゲットにする楽器を探っているのです。

2.聴感上で明るく聴こえるよう仕上げるには、「トップエンドまで伸びる倍音」「芯のある存在感のある高域」の両方が必要です。ハイハットの音は「チッ、チッ、チッ、チッ」より、「シッ、シッ、シッ、シッ」と聴こえる方がビートが立った明るいサウンドを得ることが出来ます。音の芯を出すにはクラップやスネアの輪郭をしっかり表現します。音のニュアンスは「トントントン」よ「タッタッタッ」と聴こえるように。このサウンドがクラブミュージックらしさを強調できます。

今回はあえて周波数を書きませんでした(笑)。皆さんご存知だと思いますが使用する機材によって周波数は同じでも出音のフィーリングは微妙に異なります。大切なことは自分の耳で聞いて心地いいサウンドに仕上げることです。上のイメージを参考にぜひ踊れるサウンドを作ってください!


2013/06/17

Q&A(その5)DDPって何ですか?

Q5: DDPって何ですか?

「Disc Description Protocol(ディスク・ディスクリプション・プロトコル)」。データファイル形式の、CDプレス用マスターの納品フォーマットです。記録媒体に依存しないデータファイル形式のため、HDDやUSBメモリなどに保存できます。サイデラ・マスタリングでももちろんDDP納品に完全対応、DDP納品を推奨します。高品質な「That's DVD-R for master」にディスク・アット・ワンスで書き込んで納品しています。

DDPのメリットは
1.データの保存性に優れている(HDDなどへのバックアップが容易)
2.限りなくマスタリング時のオリジナルデータに近い仕上がり

CDプレス工場に納品するマスターは、「3/4(U-matic tape)」から「PMCD(CD-R)」へ、そして現在は「DDP」での納品になりました。海外の一部を除きほとんどのプレス工場がDDP納品に対応しています。特に海外のプレス工場でCDプレスをする場合、マスターが手元に戻ってこないケースがあるので、お手持ちのHDDへデータをバックアップしておけるDDPは安心です。また「ジッター」や「記録媒体固有のエラー」からも解放され、プレス工場での行程もシンプルになるため、音質変化が最も少ないです。

ただしデメリットがひとつ。それはDDPファイル展開が可能なソフトウェアがないと開くことができないことです。そのため、サイデラ・マスタリングではDDPファイルから書き出したご試聴用のオーディオCD-RかWAVデータを一緒にお渡しします。


2013/06/14

コンプの使い方(その1)「ダイナミックス系機材の種類」

チーフエンジニアの森崎です。本日はダイナミックス系機材の種類とマスタリングでの使用法について説明します。

皆さんご存知の通りマスタリングではレコーディングやミキシングのようにボーカルやキックなど、楽器単体にコンプをかけることはできません。基本的には2chでかける「トータルコンプ」です。最近では「コンプをかける』という言葉は、コンプ、リミッター、ディエッサーなどのダイナミックス系のエフェクトを施すことの総称だったりしますね。僕のマスタリングの作業では、

1.マルチバンドコンプ
2.リミッター
3.ディエッサー
主にこの3種類を使って音作りをしています。

<マルチバンドコンプ>
入力信号をいくつかの帯域に分割し、それぞれ個別にアタックタイム、リリースタイム、レシオ、 スレッショルドの設定ができるコンプレッサーです。
僕のマスタリングでは3バンドコンプをよく使いますが、その用途は「コンプをかける」のではなく低域、中域、高域の音量バランスを調整するためです。ミックス音源の低域が多すぎたら100Hz以下を-0.5dB、全体の抜け抜けを良くするために4kHz以上を+0.5dB、など。アナログ・テープレコーダーのリファレンス調整に近い使い方です。

<リミッター>
コンプレッサーが音量の変化を小さくする機材(大きな音を小さな音量に抑え、小さな音を大きな音量に増幅する=ダイナミックレンジを圧縮する)に対してリミッターはある一定以上のスレッショルド値から音量レベルを抑えてしまう機材です。
僕の場合はリミッターは「音を押さえ込む・潰す」という使用法ではなく、曲中のピークで赤がつかないようにするオーバーキラーとして使います。リミッターなしでレベルを入れた場合ピーク時にデジタル特有のジャリジャリした耳につくサウンドになってしまいます(ボーカルなどのピークがコントロールできていないとさらに酷く歪みます)が、リミッターを効果的に使って音量を入れた場合でもナチュラルなサウンドをつくっています。

<ディエッサー>
ディエッサーは一般的にはボーカルの耳障りな子音などを目立たなくするために特定の周波数をサイドチェインとして圧縮をかけることができます。これがボーカルだけでなくエレクトロ系などのノイズ成分が多いジャンルにも効果的です。ノイズには高周波数帯に思わぬピークが存在する場合があって、そういう時にディエッサーを使えばピークを抑えることが可能です。


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2013/06/13

Q&A(その4)ミックス時はどんな事に注意すればよいでしょう?

Q4: ミックス時はどんな事に注意すればよいでしょう?

1.ローエンドとハイエンドを使いすぎないでください。ローエンドとハイエンドを使いすぎたミックスは、iPodやラジカセでは周波数的に再現しきれず、曲のイメージが変わってしまうことがあります。

2.できればボーカルアップ/ダウンなど、バージョン違いを作ってください。ひとつの作品の中でエンジニアさんやスタジオが違う場合、オケと歌のバランスが異なる場合があります。バージョン違いがあればコライザーで処理をするより精密なマスタリングが仕上げられます。

3.音量レベルはピークメーターで赤が点くレベルまでは入れないでください。ヘッドルームに余裕がある方が音が自然で厚みもあります。音量(ボリューム)は、マスタリング時に解決することをお薦めします。

関連記事:
波形のお話

2013/06/12

「東京音楽地図」

職業柄様々なコンサートホールへ出向くのですが、それらホールを一望できる情報源は限られています。しかし『音楽の友 2013年6月号』の付録に、主要ホールの特徴・解説が添えられた「東京音楽地図」が! 

(私はこれ欲しさに『音楽の友』を買ってしまいました。音楽之友社さん貴重な企画を有難うございます♪)

そうしたら、本誌の特集も興味津々。「全国ホール最新事情」には、座談会「演奏家の耳に届くホールの響」や「ホールとオーケストラの素敵な関係」、「ホールとピアノが出会うまで」と、録音をするうえでも参考になる記事が満載です。



……と、ここまで書いておりますが広告料は一切頂戴しておりません(笑)『音楽の友 2013年6月号』、個人的にオススメします!


2013/06/11

次世代のエンジニアのために

今年もマスタリングの講義をしに母校の音響芸術専門学校に行ってきました。2日間の授業では、

1.マスタリング前後の試聴と音の違いの表現方法
2.スピーカーセッティングの基礎

をテーマに授業を行ないました。

前半は実際にマスタリング前後の音を比較試聴して、学生さん自身の言葉で違いを表現してもらいました。皆さん違いは分かっていても「自分が感じたことをどのように相手に伝えるのか」最初は言葉選びに苦労していました。そこで「この曲ではアーティストさんから声の輪郭とキックのアタックを出して欲しい!とリクエストが有りました。現場ではそういう言葉を使ってコミュニケーションをするんですよ。」と伝えたところ、「広がりが有ります」「ボーカルが大きく聴こえます」「周波数的に高域が上がって聴こえるような」「立体的に聴こえます」…と色々な言葉が出てきました。

後半は教室のスピーカーを動かしながら音の違いを体感してもらいました。スピーカーの間隔、スピーカーと壁からの距離、スピーカーとリスナーの距離を測りながら出来る限り正確にセッティングしました。「本当にスピーカーの位置で音が変わるの?」大半の学生さんは半信半疑でしたがいざ音を聴かせてみると「同じスピーカーでもこんなに音が変わるんですね」「初めてこの教室でこんなに良い音を聴くことが出来ました」と目を輝かせて喜んでくれました。

僕たちが学生の頃は音楽を聴くにはオーディオシステムが一般的でスピーカーの調整などは仲間と協力しながら自分達で勉強しました。しかしiPodで音楽を楽しむ事が主流となった今の時代においては学生の時に「音で感動する体験」をしてもらい「将来そういう作品を自分も作ってみたい」と思ってもらえるようなきっかけを与えることが若手を育てるために僕達エンジニアが出来る事だと思いました。

2013/06/10

暑くなってきたらこれこれ!

どうもMushです!

いつもサイデラ・マスタリング・ブログをご愛読いただきありがとうございます!EQについてライブレコーディングについてDSDネタ。色々書いていますが、今日は違う。

今年も"マッシュの梅シロップ"作りはじめました!梅酒じゃないですよ!梅シロップです!
まずは梅ちゃんを丁寧に水洗い。傷がつかないようにやさしく流水で洗います。そのまま水に浸してアク抜きを。この辺りで梅ちゃんにどんどん愛着が湧いてきます。

数時間アク抜きしたら、これまたやさしく丁寧に水気を拭き取ります。梅ちゃんからふんわり桃のような甘い香りがしてきました。ヘタも竹串で傷つけないようにとってあげます。この辺りでもう梅ちゃんが娘のような存在に。産毛とかが可愛いんですよね。

いよいよこの時がきてしまいましたか。消毒した保存瓶に、梅ちゃん→氷砂糖→梅ちゃん→氷砂糖...と層を重ねていきます。嗚呼娘たちを嫁に送った気分。あとはジンワリとシロップが出てくるのを待つだけ。

できあがった頃にまた報告します。


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2013/06/07

EQの使い方(その5)「周波数・マジック」


本日は僕のイメージするEQと和音の関連性について。和音=コードには
1.メジャーコード→明るいサウンド
2.マイナーコード→暗いサウンド
がありますね。和音というのは音の積み重ねですがEQでいくつかの周波数を強調する時にも同じような現象が起こると思っています。

2つ、3つの帯域を強調した時、オリジナルの音源よりも音が地味になってしまったことはありませんか?例えばキックの音はビータがヘッドに当たる音(アタック感)、胴鳴り(ボリューム感)、部屋の響き(空気感)の3つで構成されていると考える。(生のドラムの音を改めて聴いてみてください。)カッコイイ音に仕上げるにはロー、ミッド、ハイと意外に広い帯域でEQをかけるのですが、さてここで和音=コードのサウンドの性格を思い出してください。この3つの周波数の関連性で明るく大きなサウンドになるか?地味で小さなサウンドになるか?が決まってきます。

それぞれの周波数の関係はとても微妙で、ほんの数Hz違っただけで音の印象が全く変わってしまいます。EQの種類やブランドが変わってもいつも同じようなニュアンスのサウンドが作れるエンジニアの方は、きっと無意識にこのテクニックを使っているのではと僕は思いますね。
2013-6-7改定

2013/06/06

サラウンド・ライブイベント"SPACE ECHO DELUXE vol17"に行ってきました

どうもMushです!

昨日はサウンドデザイナーのAOさんが主催するサラウンド・ライブイベント「SPACE ECHO DELUXE vol17」@六本木SuperDeluxeに行ってきました。AOさん自身のユニット"sorto&nodo"含む3アーティストのライブと、Super Audio CDプレーヤー2台を使用したSA-CD DJが"Chubin"さんによって行われました!

サラウンドスピーカーの配置は、"ITU-R BS. 775-1"勧告で推奨されているものにほぼ則したもので、後方のサラウンドスピーカーは、映画館などでも採用されるスピーカーのカバーエリアをより広くとる配置方法の"ディフューズサラウンド"が採用されていました。これらのスピーカーから再生された"サラウンドSE""サラウンドディレイ""サラウンドリバーブ"とアーティストの発する音が混ざりあってディープな空間になっていました!

FOSTEXのホームページに掲載されているAOさんのコラムも必見!これは音の朝活"サイデラ・モーニングセッション"も復活してサラウンド試聴会やらないとなぁ。


2013/06/05

ライブレコーディング時のヘッドホン選び

コンサートホール録音の現場は様々、中継車や録音室がある場合もありますが、ステージ袖(ステージ横にある客席から見えない空間)で録るケースが多々あります。ここで問題になるのが、“実際に聞こえてくる音” と “録音している音” の聞き分けです。つまり、録音中は “録音している音” だけを聞きたいのですが、実際の演奏音も同時に聞こえてしまうわけです。

そこで、“実際に聞こえてくる音” を少しでも聞こえなくするために、【密閉型】のヘッドホンを使います。しかし、あえて【開放型】を用いる場合があります。

これは好みの問題もありますが真の理由は他にあります。開放型を用いることによって録音中も周囲の音を遮断せず、ヘッドホンを装着したままでもある程度のコミュニケーションを可能としているのです。刻一刻と状況が変化するライブレコーディングの現場では、「状況判断・察知」が「音の判断」と同じくらい重要な場合があるためです。


2013/06/04

サイデラ・マスタリングの立会いなしマスタリング(その5)


どうもMushです!

「サイデラ・マスタリングの立会いなしマスタリング(その4)」に引き続き、この(雑な)グラフをご覧ください。縦軸が仕上がり(=お客様の満足度)、横軸が作業に要する時間です。

2つ目の気になるポイントは赤いラインの箇所。ある一定のクオリティを達成した後のグラフは、上がったり下がったりのくねくね。これは一体なにを表しているのでしょう?

例えば、「ADコンバーターを替える」「テープレコーダーをラインアンプとして通す」「CDプレーヤーでプレイバックする」。すべて実際に立会いマスタリングでおこなわれる音作りのテクニックの1つです。マスタリングエンジニアは様々な引き出しを持っていますから、それをアーティストやプロデューサーの意図する音に近づけるためにコミュニケーションを取りながら試し、楽曲をより納得いただけるサウンドに仕上げていきます。どんなにかっこいいサウンドだったとしても、それが意図していないものであれば、+(プラス)ではないのです。

なんですが、さらに大切なことは「時間をかければ良い」というわけではないこと。音作りの引き出しは本当にたくさんあるのですが、それを全部聴かせてしまっては特にマスタリングに慣れていない方には判断などとてもできません。そうならないようにマスタリングでは聴かせるべき引き出しと、聴かせない(聴かせる必要のない)引き出しを使い分けていくのです。立会いなしマスタリングではさらに絞り込んでA/Bタイプの提案などになってきます。なのでできる限り、サイデラ・マスタリングでは立会いマスタリングをおすすめするようにはしています。それでも立会えない方は、ネガティブな結果には絶対になりませんから、ぜひ立会いなしマスタリングでお手伝いさせてくださいね。