2010/06/30

スピーカーケーブル末端処理

本日はスピーカーケーブルなどの先バラケーブルの末端処理の方法をお話しします。

良く見かけるのはケーブルの被服をワイヤーストリッパーで数センチ剥いて指先を使って導体をねじる方法ですね。この方法だと導体を直接指で触るので油や汗で酸化しやすくなってしまいます。

オススメはケーブルの被服にカッターでクルッと切り込みを入れて被服を回しながら抜く方法です。これなら指が導体に触れることなくビックリするぐらいきれいにねじることが出来ますよ。

この方法は僕が中学生の頃、地元の電気屋のオヤジさんから教わりました。オヤジさんの手早くきれいに被服を剥く作業を見て子供ながらに感動しました。

仕上げは導体の先端部分のみハンダしてほどけないようにすれば万全ですね。

誰でも簡単に出来ますのでぜひ試してみてください!

2010/06/29

ブーゲンビリア満開なう

どうもMUSHです!

サイデラ・マスタリングの”隠れ名物”、建物の裏に咲く大きなブーゲンビリアです!
本当に梅雨入りしたの?という暑い夏日が続いていますが、このブーゲンビリアは夏は毎日20cm伸びます!欲しい方には大きく枝を切ってさしあげます。しばらく水につけておくと根も出てきますので。

スタジオ作業の息抜きにも是非眺めてみてください!

P.S.
すごい勢いで育っています。「挿し穂」「挿し木」用、20cm~1mの枝、1本~20本もちろん無料。
マスタリングのお客さま以外でも、お気軽にMUSHまでお知らせください。
LINK:挿し木から育てるブーゲンビリア

2010/06/28

「マイクロホンの音がしないデジタルマイクロホン!」

ひさびさ、オノ セイゲンです。
マイクロホンの音がしない=ケーブルがつながってないわけではありません。
欲しいなあこれ。




「原音に忠実で、まったく色づけのないMKH 8020 デジタルマイクロホン。これをオーバーヘッドにつけたとたんに、“スネアのマイクは必要ない”、まるでスネアにもマイクがあるかのような充分な、深みと暖かさが録れる。また、ゲインを上げていっても音声信号は上がるが、ノイズフロアが存在しない。」と、もっとも信頼できるレコーディング・エンジニアのひとり、ジム・アンダーソン氏(前AES会長で、NYUで教鞭もとっている)が絶賛しています。さすが!

ノイマンが「Solution D system」を出したのが2年前だったか?ようやく親会社のゼンハイザーも「the MZD 8000 digital module」(~192Khz/24bit) A/D converter により、MKH 8020 (omni-directional), MKH 8040 (cardioid) and MKH 8050 (super-cardioid)などをデジタルマイクロホンとして使用できる。同じモジュールの、MKH 8020や8040がいかに優れたマイクロホンであるかは、プロサウンドの記事(2009年10月号P153_特別に今週だけここでダウンロードできるようにします)でもとりあげた。Omniであれば近接効果もないし、EQはいらない。立ち上がりも速い。

現実には、売られているほとんどのマイクやスピーカー、アンプ、ケーブルに至っても、それぞれ特徴があり、エンジニアはそれを組み合せて、バランスをとる。そこで好き嫌いがでてくるのだ。しかし理想的には、そこで出ている音があるいはミックスが素晴らしい場合、マイクやスピーカーという、トランスデューサーにも、色づけがないことが望まれる。スピーカーの音がしないスピーカー、マイクの音がしないマイク、インプットとアウトプットの音がまったく同じレコーダーとかね。

2010/06/25

サイデラ・モーニングセッション#013終了しました!

どうもMUSHです!
サイデラ・モーニングセッション#013終了しました!

今回のサイデラ・モーニングセッションは、東京藝術大学出版会から出版されている書籍「サラウンド入門」をテキストとして活用する「サラウンド入門門下生シリーズ」のキックオフです。
「サラウンド入門門下生シリーズ」第1回はステレオとサラウンドの違いを比較試聴しディスカッションしました。サラウンドで試聴した作品では特に自由な発想のサウンドデザインが印象的でした!

この「サラウンド入門」p.22にある
”作品の視聴は、サラウンドを学ぶ上で最も重要な作業の一つである。その際に、視聴環境が良好であればあるほど、より多くのことを学ぶことができる”
という、本書の著者のひとりである株式会社SONA中原氏の格言を唱和して朝活スタートです!この言葉はまさにサイデラ・モーニングセッションの意義を象徴しているのでないでしょうか!

「サラウンド入門」は、上野の藝大アートプラザまたはAmazonで購入できます。

*次回の「サイデラ・モーニングセッション#014」は、2010.7.5月曜日に開催予定です。
詳細は追ってお知らせ致します。

2010/06/23

リミッターの使いこなし(その6)「倍音の魅力を引き出す」

R&Bやヒップ・ホップなどのジャンルは柔らかくて弾力のある低音、しっかりと止まった低音が魅力です。しかしサウンド全体を柔らかく仕上げると物足りなさを感じます。そんな時にはボーカルの倍音を引き出してやります。より魅力的な声に仕上げるのはもちろん、一振りのコショウで料理の味がしまるようにサウンド全体をクリアーに抜けよく表現するスパイスになります。

ボーカルの倍音を引き出すにはテクニックが必要です。今回はデジタル・リミッターを使用してのテクニック。僕がよく使う機材はTC Electronic SYSTEM6000のブリックウォール・リミッターです。
このリミッターはレベルを入れすぎると歪みます。ただしアナログ機材のハーモニック・ディストーションと同様に心地よく歪ませるポイントを見極めるとチューブアンプを通したような透明感のあるざらついた抜けのいいサウンドになります。(Waves L2のように歪みにくいリミッターではデジタル特有のマットで艶のないサウンドになってしまいます)
リミッターの入力レベルは0.1dB単位でシビアにコントロールします。リリースタイムは速め。遅くすると音が丸くなり低音の切れがなくなるので注意。

そして最大のポイントはEQのコントロールです。ボーカルがリミッターにかかるように周波数は(一例ですが)630Hz、1.2kHz、2.5kHz、4kHz、6.3kHz、10kHz、16kHz辺りで強調します。もちろん声質によってレベルは調整します。このEQのコントロールで透明感のある倍音、きめの細かい倍音などニュアンスを変えることができます。

この方法ではパンを左右に振るようなミックス例えばロックのディストーションギターなどでは歪みやすいですが、音数が少ない楽器がセンターに集まっている楽曲ではバッチリ合います。


2010/06/21

マスタリングで使用するラインケーブル

僕はマスタリングの時に数種類のラインケーブルを使い分け音作りをしています。今回はその中でも信頼度の高いケーブルとその特徴を紹介します。

【Saidera Ai SD-9003】 色づけが無く、立ち上がりが速い、ナチュラルでレンジが広いのが特徴です。マスターの情報をそのまま伝えたい時にはこのケーブルを選択します。素材がKORG MR-2000SなどのDSD音源の時に使うことが多いですね。

【TRANSPARENT Music Link Super】ボリューム感のある低音が特徴です。キレのある高域、柔らかく暖かみのあるサウンドです。SD-9003に比べかなり低域が出ます。使いこなしが難しいケーブルですが、音源がPCMで中低域をふくよかにしたい時に使います。R&B、HIP HOPに使うことが多いですね。

【Wire World SILVER ECLIPSE】明るくヴォーカルが前に出てくるサウンドが特徴です。このケーブルはレンジが広く透明感があります。ヴォーカルもの、J-POPなどにぴったりです。

【ACROTECH 6N/8N】ガッツのある低域が特徴です。このケーブルを使うとざらついた倍音がプラスされるのでエッジ感を出したい時に使います。やはりROCK系に使うことが多いですね。サウンドに輪郭を付けたい時にも使っています。

P.S.音作りではなくモニター回線は色づけの無いケーブルでつなぐ必要があります。サイデラ・マスタリングのモニター回線はSaidera Ai SD-9003で接続しています。バランスの良い、音作りしやすいモニター環境を整えることは、ストレスなくさらにクオリティーの高い作品作りが出来ます。サイデラ・マスタリングのモニターシステムでケーブルの音質の違いが明確に分かるのはこれらの条件を達成しているからなのです。

2010/06/19

即熱半田ごて



ケーブルの断線の修理、スピーカーケーブルの末端処理などの簡単な半田付けは自分で出来るといいですよね。僕も定期的にXLRコネクターのハンダ付けはチェックしてトラブルが起きる前に対処しています。

先日、音響芸術専門学校の生徒さんからも半田付けについての質問がありましたが、スタジオで使う半田ごては即熱半田ごてがオススメです。僕が使っているのはgoot TQ95というモデルです。

この半田ごての特徴は手元に付いているクイックスイッチです。このスイッチを押すと 90W(平常時15W)になり、こて先の温度は 560℃(平常時390℃)になりますのでシールドケーブルの半田メッキが簡単にきれいに出来ます。

RCAコネクターなどのハンダ箇所の金属が厚く半田が溶けにくい場合でもこのスイッチを押せば問題なく半田することが可能です。

さらに半田ごて台があればより安全に作業可能なのでこちらも合わせて欲しいアイテムですね。

2010/06/18

マイナスEQのテクニック



マイナスEQのテクニックを使えばレベルがギリギリまで入った素材でも音作りが可能になります。それではいくつかの効果的なEQを説明していきます。

1) まずは低域のEQです。ローエンドがブンブンする時は30Hz前後からローカットフィルターでカットします。 
2) ベースの抜けが悪い時には50Hz前後をピークEQでカットします。
3) 250Hz前後をピークEQでカットするとサウンド全体をタイトに抜けよくすることが出来ます。
4) 500Hz前後をピークEQカットすると軽い質感で抜けを良くすることが出来ます。
5) 2kHz〜4kHzをピークEQカットするとアタック感を丸くすることが出来ます。
6) 6kHz〜12kHzをQを狭くしてピークEQでカットするとヴォーカルの子音を抑えることが出来ます。
7) 10kHz〜18kHzをQを広くしててピークEQでカットするとギラついた感じを抑えることが出来ます。
8) 10kHz前後からシェルビングEQでレベルを下げるとHighのピークを全体的に抑えることが出来レベルを稼ぐことが出来ます。

EQはブースとカットで陰陽の関係があります。1)〜8)の調整をカットではなくプラスにすればサウンドは上記とは反対の質感になります。EQにシェルビングカーブが無ければQを広く設定したピークEQがとても有効です。ただしシェルビングカーブはカーブのスタートポイントの周波数を選ぶのに対しピークEQは中心周波数を選択しますのでそこに気をつけて下さい。例えば10kHzからのシェルビングのようにしたい場合は16kHz辺りをQカーブの緩いピークEQでブーストすると似たような質感を表現することが出来ます。

もちろん、使用するEQによって周波数のフィーリング、効きかたが違いますのでオリジナル音源と聴き比べながら作業して下さい。

2010/06/17

サイデラ・モーニングセッション#012終了しました!

どうもMUSHです!
サイデラ・モーニングセッション#012が終了しました!

「jazzの名盤プレビュー」というテーマで、2004年に名門Verveレーベルを代表する10枚の名盤をオノセイゲンがオリジナル・マスターテープからDSDリマスタリングした「ヴァーヴ60周年スープリーム・サウンド・エディション」と、サラウンドでは「マイルス・デイビス/カインド・オブ・ブルー」のクリティカル・リスニングです!

ヴァーヴ60周年スープリーム・サウンド・エディション」は、4~50年前の録音に、「その録音現場ではこういうサウンドが鳴っていたはずだ」という微調整がほどこされています!これをまさに制作現場で聴くという企画でした!参加いただいた皆様ありがとうございました!


※次回のサイデラ・モーニングセッションは6月25日(金)を予定しています。
詳細は追って。

2010/06/16

モノとステレオの聴かせ方


本日はモノ(センター成分)とステレオ成分の聴かせ方についてです。

ヴォーカルとドラム、ベース、ギター、キーボード、シンセが入っている楽曲をイメージして下さい。MIXする時にセンター成分として扱うことが多い音はヴォーカル、キック、スネア、ベース、(ハイハット)、ソロ楽器など。ステレオ成分として扱うことが多い音はピアノ、エレキピアノ、エレキギター、アコースティックギター、シンセなどですね。

マスタリングではTD作業のように音を個々に調整することは出来ませんが重なり合っている音を整理することで楽器をクリアーに聴かせることが可能になります。特に大切なのはセンター成分のヴォーカルの抜け、ベースとキックの聴かせ方です。それぞれをハッキリ聴かせることが出来れば、無理に音量を入れることなく聴感上大きく聴かせることが可能になります。

また、ステレオ成分の楽器は広がりを表現します。この場合はリバーブで響きを加えるのではなく音の定位を効果的に使った聴かせ方です。左右の音の聴こえ方はパンポットで振り分けた楽器の定位と大きく関係しています。例えば一番端に定位させているAGtrやシェーカーのアタックを引き出すことでステージが広がったような音場感を表現することが可能になります。さらにバッキングの楽器もギターを出すか、ピアノを出すかでサウンドのグルーヴを変えることが出来ますよ。

2010/06/15

DSDレコーディング(その6)「Fabio Bottazzo xMR-2000S」

サイデラ・マスタリングにて5.6MHz DSD Studio LIVE Recoring、Mixing、Masteringされた、ジャズギタリスト ファビオ ボッタッツォさんの作品がリリースされました!

"New Album It's no Coincidence / Fabio Bottazzo
with bass: Yasuhito Mori / drums: Sebastiaan Kaptein
5.6MHz DSD Studio LIVE Recoring, Mixing and Mastering by Seigen Ono"
定価2,500円(税込)
サイデラ・マスタリングのスタジオは、精密な再生環境でのマスタリングはもちろん、ミキシングやレコーディングにも対応しています!SONEXの吸音面の壁を裏返し、フィンランドバーチの拡散面に変えられることにより楽器の鳴りをよくする初期反射を加え、さらにサンプリング・リバーブによりサラウンドのリバーブを演奏する空間自体に加えることまでできるのです。山野楽器銀座本店のジャズフロアーほか、通信販売は、VENTO AZUL RECORDSCATFISH RECORDS より購入できます!

2010/06/13

CHIHIRO「片想い feat. GIORGIO CANCEMI / Addicted」

どうもMUSHです!
先日はCHIHIROさんがニューシングルのマスタリングでお見えになりました!
また、今回のシングルにも収録されている「Addicted」の着うたを6月23より先行配信することも決定だそうです!

「片想い feat. GIORGIO CANCEMI / Addicted」
XQBZ-1015 ¥1,200(tax in) 2010.7.21 リリース!

2010/06/11

ニュアンスの解釈「パキッとしてほしい!」

マスタリングで音を「パキッとしてほしい!」というリクエストがあります。このニュアンス実はアーティストの方々によって解釈が様々です。

1) 音の輪郭をハッキリさせる。
2) リズムをしっかりだしビート感をタイトにする。
3) コンプやリミッターでエッジ感を出す。
4) アナログ機材でハーモニック・ディストーションをプラスしてヴォーカルを前に出す。
5) 低域の暴れを無くす。

1) 〜 5) は「パキッとしてほしい!」というリクエストに対して実際に行なった音作りです。僕はいつも皆さんの表情を見ながら機材やケーブルを交換しAB比較で理想のサウンドに近づけていきます。途中で「このキックの感じ良いですね!」という事になると、「このセッティングがぴったりな曲は他にはないかな?」など常に考えながら作業しています。

マスタリングの作業で一番大切な事はコミュニケーションです。最終的に自分が作ったサウンドが「このようにしたかったんです!」「自分のイメージ通りの音です!」と言って頂けると、とてもうれしいですね。

2010/06/10

コンプの使い方(その6)「入出力レベルのバランス」

マスタリングのトータルコンプにも2通りの使い方があります。
生楽器を中心の楽曲でナチュラルに仕上げる方法とJ-POPやR&Bでハーモニックディストーションをプラスして音が前に飛び出すような勢いをプラスする方法です。

使いこなしの違いはCOMPの入力レベルと出力レベルのバランスです。サウンドをナチュラルにする場合は入力レベルを抑えて出力側で上げます。ハーモニックディストーションをプラスしたい場合は入力をギリギリまで大きくして出力側で下げます。

この入出力のバランスの違いでサウンドに色々なニュアンスを付けることが出来ます。さじ加減が難しいですが、聴いて分からない程度に歪ませることで音に透明感をプラスすることが出来ます。

基本的にマスタリングのトータルコンプはアタックタイムは遅め、リリースタイムは速めです。そうすることでレシオが低くても音がしっかりまとまり、広がりのある音作りが可能になります。アタックタイムが速すぎると音の頭がつぶれてしまい輪郭がぼやける音になってしまいますので注意して下さい。

P.S.
3バンドコンプでLow、Mid、Highに帯域を分けてのレベル調整。
エレクトロ系のノイズのピークを抑えるにはディエッサーが使える。

こちらはぜひ「コンプの使い方(その1)」を参照して下さい。

2010/06/09

ヒカシュー/私の愉しみ&湯河原現代音楽祭2010

どうもMUSHです!

先日はヒカシューのリイシューシリーズ『私の愉しみ』のリマスタリングがありましたよ!

こちらは1/4アナログテープをKORG MR-2000Sに5.6MHzDSDでアーカイビングしてからのマスタリング作業です。
こちらのアルバムは、Bridgeさんより今夏発売予定です!

またヒカシューの巻上公一さんプロデュースの湯河原現代音楽フェスティバルvol.2 が2010年6月13日(日)に行われます!こちらも豪華出演陣で要注目です!

巻上公一,Koichi Makigami (MAKIBRI) on Twitter

2010/06/04

音響芸術専門学校2010(その2)

チーフ・エンジニアの森崎です。

ここ5年ほど、母校の音響芸術専門学校でこの時期にはマスタリングの授業を受け持っています。まず最初に何を教えるか?そして、内容はマスタリングというより、音楽制作現場でのエンジニアの心得というもの。また、音楽を「楽しむ立場」と「作る立場」の違い。クリティカル・リスニングのためにスピーカーとモニタースピーカーの使い方などです。

最初に『みなさんは、普段どんな環境で音楽を聴いていますか?』と質問します。ここ数年『iPodで 聴いています』という若者が大多数をしめていました。ところが驚くことに、今年の生徒たちの半数以上が『ミニコンポ、HIFIオーディオシステムで聴いてます』という返事が返ってきたのです。『何か質問ありますか?』と聞くと『スピーカーケーブルを変えようと思っているのですが、おすすめはありますか?』『ハンダの種類で音が違うと聞きましたが、先生はどのブランドのものを使っていますか?』『キャノンケーブルの作り方を教えてください!』この数年、オーディオに興味ある生徒はほとんど居なかったのに、この類いの質問が返ってくるとは!!まるで自分が学生だった頃のようです。今年の生徒たちの多くが、「自分の音楽環境を少しでも良くしたい」と思っているのです。

「作品の視聴は、サラウンドを学ぶ上で最も重要な作業の一つである。その際に、視聴環境が良好であればあるほど、より多くのことを学ぶことができる。」これは「Surround Sound Handbook /サラウンド入門」 での中原さんの格言です。当たり前ですが、サラウンドでなくともリスニング環境を整えることにより、それまで気づかなかった音楽の情報まで、簡単に、見えるように聴きとれます。

僕が学生時代のクラスに、真空管アンプを100台作っている友人がいました。隣のクラスにも真空管アンプを作っている仲間を見つけて、毎日少しでも音が良くなるよう、実験を繰り返しました。授業が終わると秋葉原を回ってパーツを探し、休日は石材店を探してはスピーカースタンドになりそうなものを購入して試しました。失敗することも沢山あります。その経験こそが現在の仕事で役立っているのです。

生徒たちも「音の違いが分かった時の楽しさ」「工夫でどんどん音が良くなっていく楽しみ」を実感してもらえました。今後の成長がとても楽しみですね。

2010/06/03

アナログレコード用のマスタリング


本日はアナログレコード用のマスタリングについてお話しします。CD用のマスタリングに比べアナログレコード用のマスタリングではいくつかの注意点があります。

1) 逆相成分が多いと針飛びを起こしやすい。
2) 低域成分が多い程溝の振幅が大きく溝の間隔を広く取る必要がある為、収録時間は短くなる。
3) 高域のピーク成分が多いとカッティング時にEQで削られてしまう事がある。
4) アナログレコードは内周(盤の後半)に行くほど高域が落ちて歪みやすくなる。

(マスタリングでの対策)
逆相成分についてはマスタリング時にオシロスコープを確認しながら作業します。低域については特に50Hz以下の成分が多い場合、CDと同じようなニュアンスで聴こえるよう適切なローカットの処理をします。高域のピーク成分で特に注意が必要なのがヴォーカルの子音の処理です。アナログレコードは曲順も重要なポイントです。音圧があるパンチのある曲は出来るだけ前半にしたほうが良い仕上がりになります。

サンプリング音源で似たような帯域を重ねて作ったキック、正弦波のようなベースの音には想像していなかった低域成分が存在する事があります。ローエンドとハイエンドを使いすぎない音作りがアナログレコード用マスタリングでは必要ですね。

2010/06/02

ヴォーカルのEQ(その3)「声のニュアンスを引き出す」



ヴォーカルの細かな表情を引き出すことで声のニュアンスがぐっと深まります。本日はそのテクニックの基本です。

「声の周波数分布」(あくまでイメージです)
低域成分は250Hz〜1kHz:声に膨らみ、暖かさをプラス
基本成分1kHz〜10kHz:声を前に出す、声の芯を引き出す
倍音成分10kHz以上:ニュアンスのコントロール

例えば声のピークを少し押さえて暖かみを出し輪郭をはっきりさせたい場合。暖かみを出すため250Hz〜1kHzを(声にぴったりの帯域を探す)強調し、シェルビングEQでピークのある帯域(4kHz〜10kHz付近)を見つけQの狭くし少し抑えます。このままでは抜けが悪くなってしまうので10kHz以上の帯域をQを広めにして強調します。

輪郭をはっきりさせたい場合は10kHz付近の周波数を使ってください。声のエアー成分、透明感のある倍音をプラスしたい場合は15kHz前後の高い周波数を使います。そうすることで声質を変えずにニュアンスのみをプラスすることが出来ます。

帯域については使用するEQで若干異なりますが方法は同じです。このEQのテクニックはヴォーカルだけでなく色々な楽器に応用出来ますのでぜひ試してみてください。

2010/06/01

Firo最新作『tender grain』マスタリング

どうもMUSHです!

先日は、サンプリングや生楽器、電子音などのさまざまな素材の徹底的な加工/編集から、緻密かつ屹立したサウンドを作り上げるFiroさん4作目tender grainのマスタリングがありましたよ!

こちらは電子文化の茶と禅」をコンセプトに活動する電子音楽レーベル涼音堂茶舗より2010年7月末発売予定です!

Firo on myspace