2009/07/27

配信用のマスタリング(その2)

配信用とCD用のマスタリングの2種類のマスターを仕上げる場合、配信用にはPro Toolsから、CD用にはKORG MR-2000Sの5.6MhzのDSDデータにアップコンバートしてから作業しています。配信用の場合はヘッドフォン、携帯、ラジカセなどがターゲットのため、レンジや広がりよりも音の存在感を重視したマスタリングをしています。一つ一つの音が濁らずにくっきりとはっきりした音作りです。それに対してCD用には奥行きとレンジのあるナチュラルな仕上げにしています。アップコンバートした場合低音の伸びとスピード感が特徴です。

生楽器のジャンルだけではなくHip Hopなどでも心地いい迫力のあるKickを作ることが可能です。このサウンドはアナログの機材を使ったとしても作れなかったサウンドです。歪まずに音像の大きなファットなサウンドを作れるのもこの方法の特徴です。

僕の場合は配信用だからEQやコンプでレンジを狭くして作業するというよりも、機材の特徴を生かしてそれぞれにふさわしい音作りを心がけています。お客様にお渡しする試聴盤には2バージョンのサウンドを収録して、じっくり確認して頂いた後お気に入りのバージョンを選んで頂いております。もちろん、どちらのバージョンもあらゆる条件、システムで聴かれること考慮して作っていますので、CD用として作ったバージョンを配信に使って頂いても全く問題ありません。

今までは機材の選択、ケーブルの選択などで音を聴き比べながら音の方向性を決めていましたが、この2種類の方法が確立してからより密にサウンドを追い込めるようになりました。

こちらは先日、配信用のマスタリングで立ち会って頂いた福場 庸介さんのブログです。マスタリングさせて頂いた「花となる」のマスタリング前、後の音源も公開されています。当日は福場さんの声が一番魅力的に聴こえる機材をじっくり選択してから、大きなドラムサウンドとサビでヴォーカルがしっかり聴こえるように、そして美しいストリングスのメロディーラインが耳に残るような音作りをしました。このストリングスのサウンドを生かすために、レベルはギリギリまで入れずに、サウンドの細かなニュアンスが表現できるように仕上げました。

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