2014/12/25

「今枝友加/¡¡Vamos!!」マスタリングを終えて特別インタビュー(その2)


「今枝友加/¡¡Vamos!!」マスタリングを終えて特別インタビュー(その2)
このアルバムでフラメンコの伝統的な部分も、これからの可能性も感じとって欲しい
インタビュアー:久保 奈津実(サイデラ・マスタリング)

本場スペインでフラメンコのカンテ(歌唱)を学び、現在は日本で精力的に活動されている今枝友加(いまえだ ゆか)さん。スペインでの活動の集大成として、現地ミュージシャンとエンジニアとのコラボでアルバム「¡¡Vamos!!」を制作。マスタリングはオノ セイゲンが担当。今回はアルバム制作からフラメンコのことまで幅広くお話を伺いました。

(その1)はこちら→http://saideramastering.blogspot.jp/2014/12/vamos1.html


久保:今回のアルバム「¡¡Vamos!!」では、それぞれの楽曲の方向性が大きく2種類に分かれていますね。ひとつはポップスやバラードのようにはっきりとジャンルが分かって、しっかりとアレンジされている大きな編成のもの、もうひとつは純粋にギターと歌だけのスタイルで、歌は長いフレーズを朗々と歌っていくスタイルです。これには何かねらいがあるのでしょうか?

今枝:ギターと歌だけの曲はフラメンコの本来の伝統的なスタイルです。今回のアルバムでは現代的なポップスのスタイルと古典的なフラメンコのスタイルを組み合わせて楽曲を構成しています。こちらの狙いとしては、フラメンコの伝統的な部分も聴いて欲しいし、長い伝統を経てからの、これからの新しい可能性も感じ取って欲しいからです。
現地のスペインのミュージシャンも同じようなアプローチで、伝統的な要素と現代的なアプローチ両方取り入れて制作しています。今の若い人にも伝統的な形式の音楽を聴いてもらうために、親しみを持ってもらうための構成なんです。本来フラメンコは歌、ギター、手拍子、ダンスといった編成なんですよ。

久保:なるほど。アルバムの中では色々な試みがされていますね。1曲目だけは日本語でも歌われてますね。
  
今枝:1曲目はこのアルバムのタイトルになっている「Vamos」。これは「行こう!」という意味です。このアルバムでは冒頭で子供たちが「行っくよー!VAMOS!」と元気な掛け声をかけてはじまります。フラメンコは"痛み""苦しみ"を歌われたものが多いですが、"喜び"など前向きな表現もあります。
最初に聴いた時に、一気に元気がもらえるようなそんな曲を冒頭に選びました。

久保:心の中の苦しみから喜びまで、深い部分を歌と音楽で表現しているんですね!アルバムのどの楽曲も印象的でしたが、個人的に特に印象的だった1曲があります。金属の何かを叩くような重たい音と朗々とした歌だけで出来ているナンバーです。金属の音色は何の楽器ですか…?

今枝:金属の音はハンマーの音です。ハンマーの音は鍛冶屋が鉄を打つ音で、フラメンコの音楽が労働や人々の営みと結びついている。労働の中で歌われた歌ということで、今回再現してみました。

久保:音楽と人々の営みが結びついているんですね。歌と金属の音だけのシンプルな構成で、すごくひきこまれました。

フラメンコをしっかり聴く貴重な経験でしたが、今まさに自分がスペインにいるかのような臨場感と、賑やかなナンバーなのにしっかりとそれぞれの楽器を聴かせるようなアレンジ、そして今枝さんの声の生命力に圧倒されたひとときでした。本日はありがとうございました!


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アーティスト名:今枝友加
CD名:¡¡Vamos!!
定価:3,200円(税込)

収録曲:
1.Vamos
2.De Tokio a la Bahía (Alegrías de Cádiz)
3.Se lo he pedío (Siguiriya)
4.No le temo al castigo (Soleá al golpe)
5.De noche y día
6.El caudal que tengo (Martinete)
7.En mi balcón(Malagueñas)
8.De Badajoz (Tangos Canasteros)
9.Tartaneros (Taranto Bolero)
10."Como una espinita" (Buleria)
11."Vete a saber"
12."Ahora si" (Fin de fiesta)

※お問い合わせ TEL:03-6272-5620 mail:toiawase@soniajohnes.com

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<公演情報>
本場スペイン人も認めた才能、フラメンコの歌い手
日本人初!スペイン完全録音CD“Vamos”(バモス)発売を記念してコンサートを開催

―魂の叫び・フラメンコの神髄を体現する不世出の歌声-
〜今枝友加CD発売記念公演「Vamos」〜

【開催日時】2015年1月15日(木)
ロビー開場18:00 開場19:00 開演19:30

【会場】シアター1010
東京都足立区千住3-92千住ミルディスⅠ番館 11F

【金額】S席¥12,000(完売) A席¥9,000 B席¥7,500(全席指定)

<チケットお申込み>
edaapomlive@hotmail.co.jp(今枝友加ライブ事務局)
TEL:03-6272-5620(ソニア・ジョーンズ)

今枝友加 公式サイト: http://www.yukaflamenco.com/?lang=ja

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今枝友加 プロフィール



1978年愛知県一宮市で生まれる。多摩美術大学でフラメンコに出会い、独学にてカンテを学ぶ。その後渡西を繰り返し、多くのスペイン人アーティストに師事。2003年日本フラメンコ協会主催新人公演「カンテ部門」で奨励賞受賞。翌04年には同じ新人公演の「バイレソロ部門」でも奨励賞受賞。日本フラメンコ界における最高の賞を2年連続して、異なる部門で受賞した唯一のアーティスト。
2012年渡西前の記念公演『REMA』では、チケット完売3分などの伝説を持ち、踊りのみならず、歌においても、日本中に熱狂的なファンが多い。2012年よりスペインのフラメンコの聖地“ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ”へ移住、その実力が本国スペインでも話題となり13年スペイン国営放送「Canal Sur」出演、14年ヘレスのテレビ局「Onda Jerez」ネット新聞「la VOZ del SUR」他、オファーが殺到し、“スペイン人を感動させられる日本人”としてスペイン・メディアからの取扱い多数。2014年9月帰国後、日本にてアーティスト活動を行っている。






2014/12/15

「今枝友加/¡¡Vamos!!」マスタリングを終えて特別インタビュー(その1)


「今枝友加/¡¡Vamos!!」マスタリングを終えて特別インタビュー(その1)
「スペインで本場のフラメンコに触れ、その集大成としての1枚」
インタビュアー:久保 奈津実(サイデラ・マスタリング)

本場スペインでフラメンコのカンテ(歌唱)を学び、現在は日本で精力的に活動されている今枝友加(いまえだ ゆか)さん。スペインでの活動の集大成として、現地ミュージシャンとエンジニアとのコラボでアルバム「¡¡Vamos!!」を制作。マスタリングはオノ セイゲンが担当。今回はアルバム制作からフラメンコのことまで幅広くお話を伺いました。

久保:今回のアルバム制作の経緯について教えてください。

今枝:私はもともと日本でフラメンコを歌っていましたが、自分自身でもっと歌を追求したいという気持ちがあったんです。そこで、スペインで2年余りを家族と過ごし、本場のフラメンコに触れてきました。
今回、その集大成を作るために、現地のミュージシャンとエンジニアと一緒にレコーディングを行い、今回のアルバム「¡¡Vamos!!」を制作しました。
1度他の場所でマスタリングまで終わらせたのですが、聴いているうちにボーカルと楽器の音量のバランスなど「こうしたい!」という気持ちが出てきて、今回サイデラ・マスタリングで、オノ セイゲンさんにマスタリングをお願いすることになりました。実際にマスタリング後の音を聴いてみましたが、一つ一つの音がクリアになりました。様々な個性ある音がキラキラと飛び込んでくる中、一体感があり、穏やかで、見違えました!

久保:今枝さんの歌は、朗々としていて、その大きな存在感にひきこまれました。どこまでもブレスが度切れなくて、パワフルなフレーズが続いていき、とにかく、びっくりしました。フラメンコの歌って生命力に溢れているんですね!

今枝:日本ではフラメンコは踊りが盛んで、フラメンコというとダンスを想像される方も多いかもしれませんが、「歌」はフラメンコの最も重要な要素なんです。魂の奥底から響く深い声です。フラメンコはもともとジプシーの文化で、迫害された過去があります。このような歴史的な背景もあるので、伝統的なフラメンコでは苦しみや人生の絶望を歌うものが多いです。また、恋愛の曲も多いですね。確かにどこまでもフレーズは続いていきます。ちょっとでも守りに入ってしまったらダメなんですよ。ぎりぎりの部分まで前に出して行かないと、本当の表現にたどりつきません。

久保:歌には本当に圧倒されました。また、フラメンコの音楽には声と楽器だけではなく、手拍子や掛け声もありますよね。土っぽいというか、現地の空気感がそのまま伝わってきます。

今枝:掛け声はハレオと言います。フラメンコではとても重要なんですよ。本当にうまい人は絶妙なタイミングで掛け声をかけるんです。

久保:掛け声の中でお名前も呼ばれていましたね!そういった即興的な部分でも臨場感が伝わってきます。全部のパートは同時にレコーディングされたのでしょうか。

今枝:いえ、別で録音していますよ。今回はミックスもすごいです。楽器は別撮りなのに一緒にアンサンブルしているように聴こえるんです。今回は音楽監督として、スペインで様々なアーティストのプロデュースを手がけているホセ・ガルベスが参加しています。彼が書き下ろした楽曲もあり、最高のメンバーでのレコーディングとなりました。

—その2へ続く

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アーティスト名:今枝友加
CD名:¡¡Vamos!!
定価:3,200円(税込)

収録曲:
1.Vamos
2.De Tokio a la Bahía (Alegrías de Cádiz)
3.Se lo he pedío (Siguiriya)
4.No le temo al castigo (Soleá al golpe)
5.De noche y día
6.El caudal que tengo (Martinete)
7.En mi balcón(Malagueñas)
8.De Badajoz (Tangos Canasteros)
9.Tartaneros (Taranto Bolero)
10."Como una espinita" (Buleria)
11."Vete a saber"
12."Ahora si" (Fin de fiesta)

※お問い合わせ TEL:03-6272-5620 mail:toiawase@soniajohnes.com

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<公演情報>
本場スペイン人も認めた才能、フラメンコの歌い手
日本人初!スペイン完全録音CD“Vamos”(バモス)発売を記念してコンサートを開催

―魂の叫び・フラメンコの神髄を体現する不世出の歌声-
〜今枝友加CD発売記念公演「Vamos」〜

【開催日時】2015年1月15日(木)
ロビー開場18:00 開場19:00 開演19:30

【会場】シアター1010
東京都足立区千住3-92千住ミルディスⅠ番館 11F

【金額】S席¥12,000(完売) A席¥9,000 B席¥7,500(全席指定)

<チケットお申込み>
edaapomlive@hotmail.co.jp(今枝友加ライブ事務局)
TEL:03-6272-5620(ソニア・ジョーンズ)

今枝友加 公式サイト: http://www.yukaflamenco.com/?lang=ja

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今枝友加 プロフィール



1978年愛知県一宮市で生まれる。多摩美術大学でフラメンコに出会い、独学にてカンテを学ぶ。その後渡西を繰り返し、多くのスペイン人アーティストに師事。2003年日本フラメンコ協会主催新人公演「カンテ部門」で奨励賞受賞。翌04年には同じ新人公演の「バイレソロ部門」でも奨励賞受賞。日本フラメンコ界における最高の賞を2年連続して、異なる部門で受賞した唯一のアーティスト。
2012年渡西前の記念公演『REMA』では、チケット完売3分などの伝説を持ち、踊りのみならず、歌においても、日本中に熱狂的なファンが多い。2012年よりスペインのフラメンコの聖地“ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ”へ移住、その実力が本国スペインでも話題となり13年スペイン国営放送「Canal Sur」出演、14年ヘレスのテレビ局「Onda Jerez」ネット新聞「la VOZ del SUR」他、オファーが殺到し、“スペイン人を感動させられる日本人”としてスペイン・メディアからの取扱い多数。2014年9月帰国後、日本にてアーティスト活動を行っている。






2014/12/09

サイデラ・マスタリングへ行こう!東京メトロ副都心線 明治神宮前駅 編

こんにちは!久保です。サイデラ・マスタリングは神宮前のちょっと奥まったところにあります。
アクセスは銀座線 外苑前駅、副都心線 明治神宮前駅、JR線 原宿駅、千駄ヶ谷駅よりハチ公バスとバリエーションがありますが、初めていらっしゃる方にとっては少しわかりづらいかもしれません。

今回は副都心線 明治神宮前駅からのサイデラ・マスタリングへのアクセスをご案内します!
東京メトロ銀座線 明治神宮前駅 5番出口から徒歩10分強で到着します。
※迷ったら03-5410-6789へご連絡ください!






【副都心線 明治神宮前<原宿>駅 5番出口】を出ます。





















出口を出たら右後方に振り返って直進します。
【東急プラザ】が見え、【明治通り】と交わる交差点があります。

















交差点を渡り左折、【ラフォーレ原宿】を左、【東急プラザ】を右に見ながら【明治通り】を直進。
しばらく歩くと【竹下口】の信号が見えます。


















信号の右手に【原宿通り】への入口が見えるので、右手に曲がって直進します。



















服屋さんなどいくつかお店を見ながらしばらく直進すると【ファミリーマート】が左手にあるので、左に曲がって直進します。


















少しあるくと二股に分かれる道があるので、右手の道へ進みます。




















広めの道路を道なりに進むと、右手に【渋谷保育園】や福祉施設、左手に専門学校が見えます。


















十字路まで来たら右に曲がります。写真の【DEUS】と書いてあるお店が目印です。



















右に曲がって坂を登ります。登った先の最初の十字路を左
に曲がります。



















細い道をしばらく直進すると【三叉路】が見え、【新築の建物】が左手に見えます。



















左手の【新築の建物】を左にみながら、その建物に沿って進みます。




















【新築の建物】と【ハラジュクハイム】の間の小路に進みます。


















路地突き当り一見手前左の【赤い壁3F建てのコンクリートの建物】がサイデラ・マスタリングです!








2014/12/04

コーヒーと視覚の話


どうもMushです!

コーヒーも目で楽しむ。というような研究結果が出たそうです。ふむ。

実験で使用されたのは、透明/白/青の3色のマグカップ。36人の被験者に、それぞれ3色のマグカップで同じカフェラテを提供し、コーヒーの甘さ、濃さ、香り、苦み、そしてその品質などその味を評価してもらいました。結果、マグカップの色によって被験者は濃さと甘さに違いを感じるということがわかりました。


サイデラ・マスタリングのハンドドリップコーヒーが(手前味噌ですが)身にしみてさらに美味しい季節になりました。うーんたしかに真っ黒なカップで飲むよりも、白とか朱色に近い赤のカップの方がコーヒーの深い茶色が映えて香りもより立つような...。今度気にして飲み比べてみます。

これは味覚だけでなく、聴覚も同じように視覚からの情報に補われたり、はたまた正しくない方向に引っ張られたりします。映像が付くだけで音に奥行きを感じたり、定位感が増したように感じたり。それとコントラストの強さと味の関係も、聴覚にも通じるような気がしていて、例えば音も音圧が大きいものや少しひずんでいるものなど刺激の強い方がパッと聴きの印象が「かっこいい」と思いがちです。ただ、長く聴いてみて、何度も聴いてみてその印象が逆転する場合もあるのです。

味覚や聴覚は、映像の「一時停止」のように固定して比べることができないので難しいのですが、こういう小さな差が全体の印象を左右することは多々あるんです。全体の印象をも左右させうる聴覚も大切にした生活を心がけたいものです。耳で楽しむコーヒーがあるのかは、ちょっとわかりません!

2014/12/02

サイデラ・マスタリングへ行こう!東京メトロ銀座線 外苑前駅 編

こんにちは!久保です。サイデラ・マスタリングは神宮前のちょっと奥まったところにあります。
アクセスは銀座線 外苑前駅から、JR線 原宿駅から、副都心線 明治神宮前駅から、千駄ヶ谷駅よりハチ公バスに乗って…とバリエーションがありますが、初めていらっしゃる方にとっては少しわかりづらいかもしれません。

今回は外苑前駅からのサイデラ・マスタリングへのアクセスをご案内します!
東京メトロ銀座線 外苑前駅 3番出口から徒歩10分弱で到着します。
※迷ったらご気軽に03-5410-6789へご連絡ください!




【銀座線外苑前駅の3番出口】を出ます。





3番出口を出たら目の前に【横断歩道】があります。渡って青山通りを左手に見ながら直進します。













しばらく直進後、外苑西通りにぶつかるので【横断歩道】を渡って右に曲がります。
(【スターバックスコーヒー】が角にあります。)












しばらく直進します。【ファミリーマート】【ワタリウム美術館】が左手に見えます。











右手に【エネオス】左手に【ナチュラルローソン】が見えたら、その手前の道を左に入り100m程進みます。









途中で右手にヘアサロン【TWIGGY】左手に【J-COOK(ちょっと奥まった所に有り。ランチにおすすめです)】が見えます。












【新築の建物(写真の建物)】に突き当たります。ここからがポイントです。













その【新築の建物】を左にみながら、その建物と【ハラジュクハイム(写真右手の建物)】の間の路地を直進します。





路地突き当り一見手前左の【赤い壁3F建てのコンクリートの建物】がサイデラ・マスタリングです!

2014/12/01

重量盤2枚組アナログレコード畠山美由紀『歌で遭いましょう』のカッティング現場

どうもMushです!

WEB版CDJournalに、発売中の畠山美由紀さん「歌で遭いましょう」のアナログレコード盤(重量盤、2枚組の超音質重視)の、東洋化成のカッティング現場の様子が佐藤英輔によってレポートされています。レポート内には貴重なノイマン製のカッティングマシンの写真もあり、レコードファンは必読の内容です!

[特集] 畠山美由紀『歌で遭いましょう』をアナログで オノ セイゲン(サイデラ・マスタリング)と手塚和巳(東洋化成)によるカッティング現場を覗く
http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/hatakeyama-miyuki/2000000754
「音を溝に切り落としていく実作業にせよ、接していて、興味深いといったらありゃしない。カッティング・マシンには顕微鏡のようなスコープも取り付けられていて、それでラッカー盤の溝が確認できる。ぼくもそれを覗かせてもらったのだが、拡大されたラッカー盤の表面を見て感嘆。思わず、わ~と声をあげてしまう。」

今作は、CD/ハイレゾのマスタリングとは違う、このアナログレコードカッティングのためのマスタリングをオノ セイゲンが施して、5.6MHz DSDマスターをカッティングスタジオに持ち込みました。つまりそれはサイデラ・マスタリングのマスタリング機材のアウトプットが東洋化成のカッティングスタジオのインプットに直結するようなイメージです。5.6MHz DSDからのダイレクトカッティングはこの作品が世界初のようです!同じ手法で「伊藤ゴロー+ジャキス・モレレンバウム/ランデヴー・イン・トーキョー」のアナログレコード盤もカッティングされました。
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/11/blog-post_19.html

発売中の最新のプロサウンド誌2014年12月号 P.124からのオノ セイゲンの連載に、この5.6MHz DSDダイレクトカッティングの技術的なオノのレポートもあるのでぜひ併せてご覧ください!
http://www.fujisan.co.jp/product/1281679657/

2014/11/18

サイデラ・マスタリングでハイレゾマスタリングを体験しよう!(その4)おすすめ作品の紹介

ハイレゾの楽しみ方シリーズの最終回は僕がマスタリングしたおすすめの作品を紹介します。



ひとつは「JiLL-Decoy association / Lining e.p.」です。この作品はKORG社が開発した世界に3台しか存在しないClarityというDSD5.6MHz対応のマルチトラックレコーダーで録音、ミックスした音源です。
ハイレゾの配信が始まったばかりの2012年当時はDSD2.8MHzしか配信できなかったのでDSD5.6MHzの演奏の緊張感、空気感、息遣いをDSD2.8MHzでどうやって表現するかをメンバーと一緒に思考錯誤しました。
最終的に採用したのはラインケーブルと電源ケーブルの選択のみでニュアンスの微調整をする、音色の良さを最大限に活かした色付けのないマスタリングでした。EQやコンプを使えないのでこれだ!という音を見つけるために、音色の違いをメモしながらスタジオのケーブルをほとんどすべて聴き比べたのを覚えています。
まるでCHIHIROさんが目の前で歌っているかのような優しくふわっと広がるボーカルの美しさをぜひ楽しんでください。




もうひとつは「ヲノサトル / ROMANTIC SEASON」です。ヲノさんが提唱しつづけている“ムード・エレクトロ”というサウンドは、ナチュラルで甘いメロディーとキレのあるノイズ融合させた音楽です。この作品は48kHz24bitのwavデータをDSD5.6MHzにアップコンバートしてからアナログEQとコンプでマスタリングしています。アップコンバートすることで音色の繊細なファイナルタッチが可能になります。DSDなら小さな音にもより表現力があります。音が出る瞬間、消え際の余韻までそのまま再現できるんです。今作ではぜひノイズとシンセの響きに注目してください。これだけ粒子の細かい生命力のあるノイズとフレーズの重なりまでわかるシンセの音は44.1kHz16bitのCDフォーマットでは再現が不可能です。

ハイレゾのマスタリングをしていると、ボリュームを確認することがよくあります。演奏の細かいフレーズまで良く聴こえるのでいつもの音量レベルよりも大きく聴こえるんです。
同じような体験をクラッシックのコンサートやJAZZのライブでも体験できます。けっして大きな音ではないのに演奏がすっと入ってきます。

ハイレゾの音はリスナーが自宅にいながらスタジオで聴こえている音や生演奏に近い体験をできることが一番の魅力ですね。
サイデラ・マスタリングではCDのマスタリングのときに手軽にハイレゾの体験をすることができます。ハイレゾのリアリティ溢れる音を是非体験しに来てください!


このシリーズのバックナンバーはこちら→
(その1)「ハイレゾマスタリング、2つのフォーマットで異なるプロセスと仕上がり」
(その2)「CDとハイレゾマスタリングはここが違う!」
(その3)「ハイレゾの楽しみ方」


2014/11/14

サイトウ・キネン・フェスティバル松本/レコーディング舞台裏(最終回)

サイトウ・キネン・フェスティバル松本のレコーディング舞台裏、最終回はサイトウ・キネンの現場ならではのエピソードをご紹介します。

とある曲目でステージ上に所狭しと並んだピアノとオーケストラ。客席側からピアノ、指揮者の順なので、ピアノの蓋に隠れて小澤監督が見えないという事態に……ところが、選りすぐりのステージスタッフによる楽器配置はパズルのような完成度で、すでに動かしようがありませんでした。

そこで、リハーサル中にピアノの蓋を「半開」にしてみるのですが、それはそれで音が犠牲になってしまいます。さてどうしたものかとスタッフ陣が検討を重ねた結果、「指揮者が見えるギリギリのラインまで蓋を開く特注の突上棒」をその場で急遽作ることになったのです。

リハーサルが終わると、舞台袖では調律師さんが本番に向け作業開始、音の響き具合も変わるので、録音のためのマイクロフォン位置もさっそく見直します。リハーサル後に位置を変えているので、技術的リハーサルのない「ぶっつけ本番」での録音は勘と経験(と度胸!)が頼りです。

このように「リハーサルと本番が違う」ことは珍しくありません。状況に合わせて常に臨機応変に動かなければならないわけですが、サイトウ・キネンのスタッフには、この違いを楽しんでいるかの様な雰囲気があります……これはともすると「齋藤秀雄の生き方」が大きく影響しているのかも知れません。

サイトウ・キネンの公式ホームページに、こんな一文があります。

――齋藤秀雄は、近衛秀麿に随伴して渡独、約半年をベルリンですごしたあと、近衛と別れてライプチヒに移り、そこの王立音楽学校に入学、クレンゲル教授に師事することになった。(中略)齋藤秀雄は、クレンゲル校訂の楽譜で練習し、それを携えて教室に赴いた。ところがクレンゲル教授は、「この曲の指使いは私が指示したのよりも、カザルスの方がずっといい。(中略)」と述べて、自分の指使いを消してカザルスのを書きこんでくれた。(中略)――そして、自分の信条をもちながら、よりよいものを求めて、あえてそれを修整する姿勢は、教育の場における齋藤秀雄の後半生の生き方の中にも、いつしか移し植えられていたのであった。(引用おわり)
 (リンク)http://www.saito-kinen.com/about/hideosaito


サイトウ・キネンの現場はまるで “生き物” のように、つねに「よりよいもの」を求めて日夜変化しつづけています。だからこそ、一ヶ月間にも及ぶ音楽祭でありながら、日々新しい発見があるのでしょうね。


さて、私事ですが、長野県へ移住することとなりました。サイトウ・キネン・フェスティバル松本(セイジオザワ松本フェスティバル)をはじめ、長野には軽井沢国際音楽祭や木曽音楽祭、NAGANO国際音楽祭などといったすばらしい音楽文化があります。長野県はもちろん、日本全国からの録音のご依頼、お待ちしています♪


2014/11/10

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その3)


あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その3)
「一番好まれているのは緊張感ですね。「再生した時の空気感が」って言っていただけるので、狙い通りです」
インタビュアー: Mush(Saidera Mastering)

作曲家TommyTommyさんとヴォイスアーティスト赤い日ル女(あかいひるめ)さんのユニット「あうん」。1stアルバム「ときはなつ」を2014年夏にリリースしました。今回は、サイデラ・マスタリングでDSDマスタリングを体験したお二人に、それぞれの音楽観からアルバム制作の裏側まで、幅広くお話をうかがいました。

(その1)はこちら→http://saideramastering.blogspot.jp/2014/10/dsd-1.html
(その2)はこちら→http://saideramastering.blogspot.jp/2014/11/dsd-2.html

TommyTommy:各曲3テイクくらいずつ録音したかな?これジャズの人たちとやり方が似てるんですよね。ジャズ界の方からは「音楽性が面白い」とか「実験的なことをやっているんだけど聴けてしまう不思議さがあるね」とか言っていただけて。でも一番好まれているのは緊張感ですね。「再生した時の空気感が」って言っていただけるので、それは伝わっているというか、狙い通りです。森崎さんとはこれまでも何度か一緒に仕事をやらせてもらいましたが、作業の流れとか、コミュニケーションの仕方とか。つまりどれもがセッションで、そうやってできあがったものはやっぱりいいんです。
あとは今作「ときはなつ」はぼく自身がミックスしましたが、自分がもう無理だなっていうところまでやりきったミックスがマスタリングでさらにどうなるのかがやってみたかった。DSDマスタリングでやったのは狙い通りでした。DSDについては確信がもてるようになったのは現場にきてからでしたが。プラグインも使えないですからね。でもサイデラ・マスタリングのモニターで聴いて、「めちゃくちゃいいじゃないか!」と思って。

Photo by 加奈枝


Mush:マスタリング前後の比較の印象は?

TommyTommy:線画で書いた2Dのアニメーションが3Dになったというか。奥が本当にできてきて。特にノイズ音楽とかって空気の中に塵が舞っているのが光の加減で綺麗に見えるなあみたいな、そういうものだとも思っているので。細かな塵にまで光が差し込んだというかそういう印象がありました。

赤い日ル女:レコーディングしているときから音のイメージはあったんです。ただ、曲って、生まれた瞬間から、わたしとは別の意思をもって育ってゆくので。たとえば、わたしはこうしたいけど、この子にとってかっこいいかどうかは、また別で。だから、ちゃんと音をきいて決めようと思ってました。マスタリングをしていただいた日の最初に、PCMとDSDをきき比べて、それで、DSDに決めました。確信をもって、もう説明なんてなしに、よい!と言える作品になったと思います。

Photo by 加奈枝


Mush:次作についてはなにかお考えですか?

TommyTommy:いま、曲を書きつつ、まだ全体像が見えないのでどうなるかはわからないですけれども。今度はDSDレコーディングでつくりたいなあ、と思っています。やることは今作とかわらないですからね。そして、皆さんもチャンスがあればDSDマスタリングを体験するといいなぁと思います。耳がすごいチューニングされるというかそういう実感がありました。自分が出した音で聴き比べるとこうなるんだっていうのが明確になるので。


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あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その1)
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/10/dsd-1.html

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その2)
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/11/dsd-2.html

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その3)
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/11/dsd-3.html


アーティスト名:あうん
CD名:ときはなつ
定価:1,500円(税抜き)

<収録曲>
なにもないせかい
しろいからすのうた
ときはなつ
きゅーあい
なにもないせかい(Remix by Carl Stone) 

※お問い合わせはahumuha@gmail.comまで

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今後のライブ予定

11月11日(火)白楽 Bitches Brew
     24日(月・祝)渋谷 GUILTY
     25日(火)新宿 OREBAKO
     26日(水)横浜 GALAXY

12月 11日(木)新宿 OREBAKO
      23日(火・祝)白楽 Bitches Brew

お問い合わせ/ライブオファー/ご予約は:ahumuha@gmail.com
blog:http://ahumuha.blogspot.jp/ 


2014/11/07

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その2)

Photo by 阿部 章仁

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを体験して 特別インタビュー (その2)
「お金をかけていい機材を使ってノイズが全くない音が「いい音」ではない」
インタビュアー: Mush(Saidera Mastering)


作曲家TommyTommyさんとヴォイスアーティスト赤い日ル女(あかいひるめ)さんのユニット「あうん」。1stアルバム「ときはなつ」を2014年夏にリリースしました。今回は、サイデラ・マスタリングでDSDマスタリングを体験したお二人に、それぞれの音楽観からアルバム制作の裏側まで、幅広くお話をうかがいました。

(その1)はこちらから→http://saideramastering.blogspot.jp/2014/10/dsd-1.html


Mush:ラップトップをやめて、一発録りにして、DSDでやるっていうのは全て繋がっているように感じました。TommyTommyさんのこだわりというか、イメージされていたものがすごく伝わってきます。ぼくとTommyTommyさんとの出会いはサラウンド寺子屋塾でしたね。

TommyTommy:同じ場にセイゲンさんもいました。実はセイゲンさんの作品にも今回のアルバムで参考にした曲があります。その頃からの蓄積が形になっているとは思います。DSDって何?高音質って何?ということにはじまって。「いい音」って、お金をかけていい機材を使ってノイズが全くない音が「いい音」ではないと思いました。そういうことを学んできて、それがこのユニットで活きていると思います。録音もライブ一発録音だったので、よく聴くと外のカラスの音がそのまんま入っているところがあったり(笑)。ノイズ除去を細かくやった曲もあれば、緊張感や空気感が消えてしまうなと思ったものについてはノイズをそのまま残すという判断にしました。

Photo by 阿部 章仁


Mush:それはまさにTommyTommyさんの考える「いい音」とは、ということですね。

TommyTommy:オーバーダビングはほとんどしていません。ちょっとボーカルをループさせたりしたくらいで。ライブでできることしかやりませんでした。日ル女さんが「歌い直したい」って言っても、断りました(笑)。

Mush:日ル女さんは一発で録るよと言われたときはどう思いましたか?

赤い日ル女:一発録りというのは、わたしの中にもあって。それは、セッションやライブを重ねるうちに、緊張感とか気持ちよさとか、ぐわってくるものを、わたし自身、一番感じられるのが、TommyTommyさんと、せいの!であわせたセッションだったので。そういう「生」を、作品にしたかったんです。



Photo by 阿部 章仁


TommyTommy:ぼくの中に、やるにあたってコンセプトに合っていたらNGは出さないというのがありました。例えばレコーディング本番で日ル女さんが、リハでも一回もやったことないものをいきなりぶち込んできたりするんですよ!急に!(笑)。

赤い日ル女:ありましたね、そういえば!録っていて、思いついて、やりました。

Mush:全体の構想みたいなものはありつつも即興の要素もしっかりあったと。

TommyTommy: 即興に関して言えば、大まかなあらすじは決まっているんですが、例えば、赤ずきんちゃんで、 「あれ?今日は、おばあちゃん食われるのちょっと早いな」とか、 「おや?今日は、おばあちゃんの食われる描写がちょっとエグいな…。」みたいな。

赤い日ル女: わたしたちの音楽には、物語のあらすじはきまってるけど、毎回話し方がちがう、というおもしろさがあります。ライブもまさにそんな感じで。その中の一つが、このCDに録音されています。

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その1)
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/10/dsd-1.html

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その3)
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/11/dsd-3.html

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アーティスト名:あうん
CD名:ときはなつ
定価:1,500円(税抜き)

<収録曲>
なにもないせかい
しろいからすのうた
ときはなつ
きゅーあい
なにもないせかい(Remix by Carl Stone) 

※お問い合わせはahumuha@gmail.comまで

+++++

今後のライブ予定

11月11日(火)白楽 Bitches Brew
     24日(月・祝)渋谷 GUILTY
     25日(火)新宿 OREBAKO
     26日(水)横浜 GALAXY

12月 11日(木)新宿 OREBAKO
      23日(火・祝)白楽 Bitches Brew

お問い合わせ/ライブオファー/ご予約は:ahumuha@gmail.com
blog:http://ahumuha.blogspot.jp/ 


2014/11/06

サイトウ・キネン・フェスティバル松本/レコーディング舞台裏(その2)

前回からサイトウ・キネン・フェスティバル松本のレコーディング舞台裏についてご紹介しています。

(その1)はこちら→http://saideramastering.blogspot.jp/2014/10/blog-post_14.html

サイトウ・キネンの大きな魅力のひとつは、いわゆる常設のオーケストラとは違って、フェスティバルのためだけに一流の演奏家が世界各国から一堂に会すること。本番はもちろんですが、リハーサルにも独特の雰囲気があります。世界最高峰のメンバーが集まるだけあって、普段は一緒に演奏していないにもかかわらずリハーサル一発目から素晴らしい演奏! このリハーサルも可能な限り記録として録音するわけですが、本番に向けて高みを目指す音楽家の中には

「今のリハーサルの録音、CDで欲しい!」

とおっしゃる方も。録音チームも心得ていて、複数のマイクロフォンを使用するマルチ・マイクのやり方であってもリアルタイムでCDにダイレクトミックス(いわゆる “一発録り” )しているので、リハーサル終了後すぐに音源をお渡しすることができるのです。

この一発録り、特にリハーサルはテスト録音もできないので「ぶっつけ本番」。そんな状況でも即座にCDにまとめ上げる録音技術は、豊富な経験あってのもの。前回ご紹介した「エヌ・アンド・エフ」のバランス・エンジニア福井氏はクラシック一発録りの名手で、私の録音技術も氏から大いに影響を受けています。そして何より、素晴らしい生の演奏と、その録音の結果を即座に現場で聴き比べられるので、私の耳のバランス感覚は、サイトウ・キネンに育てられたといっても過言ではありません。

また、マルチ・トラックで個々の音を「収録」するのではなく、生き生きとした演奏をリアルタイムでまとめあげCDに閉じ込めることによって、脈々と続くサイトウ・キネンという舞台で繰り広げられる珠玉の演奏の数々を「歴史」として残すことができるのもレコーディングの醍醐味ですね!


2014/10/31

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その1)


Photo by 阿部 章仁


あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを体験して 特別インタビュー (その1)
「DSDマスタリングの構想はレコーディングの段階から芽生えていた」
インタビュアー: Mush(Saidera Mastering)

作曲家TommyTommyさんとヴォイスアーティスト赤い日ル女(あかいひるめ)さんのユニット「あうん」。1stアルバム「ときはなつ」を2014年夏にリリースしました。今回は、サイデラ・マスタリングでDSDマスタリングを体験したお二人に、それぞれの音楽観からアルバム制作の裏側まで、幅広くお話をうかがいました。

Mush:「あうん」を結成したきっかけを教えてください。

TommyTommy: 去年の6月、もともとぼくの知り合いだった腹話術をやっている方と、大学の教授で現代音楽をやっている方が出るライブを見にいったんです。その時に、もう一組出ていたのが日ル女さんでした。

赤い日ル女: わたしは、その大学の教授に出てみないかと誘われたライブで。 それまで、ずっとバンド活動をしていて。バンドではずっとドラムを叩いていたのですが。バンド活動をやめて、「なんでひとりでやらないの?」って質問をきっかけに、ひとりでつくりはじめてみたものの、ちょうど、「どんなふうに」という点で、自分の音楽について模索していて。それで、「そうだ、『赤い日ル女』って名前で活動しよう!」ときめて、それがはじめてのライブでした。

Photo by 阿部 章仁


TommyTommy: その時は、おたがい特に挨拶もしなかったんですけど、そのあとFacebookで繋がって。それから、ぼくのノイズのライブがあったんですけど、その時すでにぼくはノイズでライブをやることに飽きていて、それで日ル女さんのことを思い出して。一度ライブを見てもらおうと思って今度はぼくのライブに呼んだんです。そのあとすぐに、セッションをしてみようということになって、最初はラップトップと声というスタイルを想像していたんですけど、それで一回合わせてみたらピンとこなくて。これはパソコンを一切使わない方がいいかもしれないと提案しました。なんでパソコンなしのスタイルにしたかというと、今ってMacを買うとGarageBandが入っていて、サンプル音源もいっぱいあって、ちょっと鍵盤ができたり、それどころかマウスをちょっといじくれば音楽ってつくれちゃうんですよね。ジャンルも問わずできるし。サンプルをコピーアンドペーストしていけばグルーブができて3分くらいの曲を作る事が容易になって来ています。そこに対するモヤモヤがあって、自分でやるならそうじゃないものをやりたいなと。

赤い日ル女: わたしは、もうずっとすべてのリズムに飽き飽きしていたんです。 パターン化されてその先がよめてしまうことに、なんかおもしろくないなあ、と。 そういうときにであったのが、TommyTommyさんのノイズでした。アナログノイズという、パターン化されない、できない、そういうものがわたしにとって、とても新鮮でおもしろかったんですよね。

Photo by 阿部 章仁


TommyTommy: そのときの初めてのセッションで、実は、今作「ときはなつ」のタイトルトラックの「ときはなつ」の原型は、すでにできていました。最初はもっとノイズトラックでしたけどね。パソコンを使わなくなってからは、すべてうまく進んで。これは面白いぞ!、と。 ライブもしつつ、「ときはなつ」の制作に入っていきました。レコーディングは日ル女さんの声が一番よく録れる環境でやるのが、一番いい作品になるだろうと思っていたので、日ル女さんがずっと録ってもらっていたエンジニアさんの、上田健一郎さんにお願いしました。どんな風に録ろうというのは、具体的にまだなかったんですけど、ケンさんに録っていただくことによって、よりよい何かが生まれるといいなと思って。

赤い日ル女: そういう空気感も一緒に録れたらすてきだなあ、と。

TommyTommy: それで、早速録ってみようということになって、ぼくの自宅で録音することになりました。ケンさんには、マスタリングはサイデラ・マスタリングでやるということは話していて。サイデラ・マスタリングで再生されて、森崎さんにマスタリングしていただくことになるので、あのモニター環境で自分の音が鳴らされるという事で、どういう風にしようかなということはすごく考えながらやっていました。実は、DSDマスタリングができると素敵だなぁというのはそのときから芽生えていました。


あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その2)
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/11/dsd-2.html

あうん「ときはなつ」DSDマスタリングを終えて 特別インタビュー (その3)
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/11/dsd-3.html

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アーティスト名:あうん
CD名:ときはなつ
定価:1,500円(税抜き)

<収録曲>
なにもないせかい
しろいからすのうた
ときはなつ
きゅーあい
なにもないせかい(Remix by Carl Stone) 

※お問い合わせはahumuha@gmail.comまで

+++++

今後のライブ予定

11月2日(日)町田 FLAVA
     3日(月)新宿 OREBAKO
     11日(火)白楽 Bitches Brew
     24日(月・祝)渋谷 GUILTY
     25日(火)新宿 OREBAKO
     26日(水)横浜 GALAXY

12月 11日(木)新宿 OREBAKO
      23日(火・祝)白楽 Bitches Brew

お問い合わせ/ライブオファー/ご予約は:ahumuha@gmail.com
blog:http://ahumuha.blogspot.jp/ 

2014/10/27

サイデラ・マスタリングの立会いなしマスタリング(その3)


どうもMushです!

サイデラ・マスタリングの立会いなしマスタリングの行程を、成功の秘訣とともに順を追って解説していきます。

1.マスタリングご予約フォームからお申込みいただきます
曲数/トータル時間によりお見積り金額が変わります。ご予算に応じた最適なプランもご提案しますので、遠慮なくご記入ください。

2.お見積りをお送りします。金額にご納得いただけたら料金をお支払いいただきます(→立会いなしマスタリングは料金作業前払いです)
お支払い方法は銀行振込みとなります。入金確認がとれないと作業にとりかかれません。

3.楽曲リスト/マスタリングのご要望とともにミックスマスター音源をお送りいただきます
ミックスマスター音源はDVD-Rなどのメディアに焼いたものやUSBメモリーを送付いただくか、データ便にて送付いただきます。

そしてここでの「マスタリングのご要望」が立会いなしマスタリング成功の秘訣です!ご自身のお言葉で、抽象的でも結構ですのでできる限り詳細にご記入ください。具体的に既存のアーティスト名や楽曲名を挙げていただいたり、参考音源を一緒にお送りいただくのもよりイメージに近い仕上がりにするためには大変有効です。とにかく遠慮なく、お考えのことすべてをお伝えください。
Link:Saidera Mastering Blog「マスタリングのリクエストを理解する」
http://saideramastering.blogspot.jp/2013/11/blog-post_5.html

4.マスタリングののち、お客様ご確認用データまたはCD-Rをお送りします
ここでの最終ご確認用データが、=マスターとまったく同じものになります。スピーカーとヘッドホン、ラジカセとヘッドホン、など複数のシステムでチェックしてください。サイデラ・マスタリングのマスタリングでは大小あらゆるシステムでも再生される音のイメージが変わらないような音作りを施しています。

(5.修正のご希望があれば4にもどります)
修正の内容によっては例えばはじめにいただいたご要望と方向性が全く変わってしまった場合などには、追加費用がかかる場合があります。

6.マスタリングに問題がなければ、CDプレス用マスター/Mastered for iTunes用マスター/高音質(ハイレゾ)配信用マスター等を作成します。
CDプレス用DDPマスター/CD-Rマスター、配信用24ビットデータマスター、DSDマスターなどどんな納品形態にも対応します。

さて次回は「本当に立会いマスタリングと立会いなしマスタリングは同じ仕上がりか?」というところを掘り下げます!
2014-10-27改定

2014/10/22

はじめての渋谷、はじめてのハチ公バスに乗って

僕は10月の1ヶ月間だけ、専門学校のカリキュラムでサイデラ・マスタリングでインターンシップ経験しています。先日、渋谷のRock oN CompanyさんへSaidera Ai SD-9003ケーブルの納品に行った際、初めて渋谷区のコミュニティバス「ハチ公バス」に乗ったのでそのお話をしたいと思います。初めての渋谷で初めてのおつかい。ハイカラな田舎、名古屋から来たのですが、いくら名古屋といえどもバスくらいはあります。しかし、圧倒的な都会、それも誰もが知っている渋谷となると、バスに乗って納品をしに行くだけでも緊張します…!

母校からサイデラ・マスタリングにインターンにきた先輩達も毎年ハチ公バスに乗って
先輩達の記事↓
http://saideramastering.blogspot.jp/2013/10/20134.html
http://saideramastering.blogspot.jp/2012/10/20121.html
http://saideramastering.blogspot.jp/2011/12/20112.html

初めてなので納品にはインターンの先輩がご一緒してくださることに。心強いです。サイデラ・マスタリングからロックオンさんまではハチ公バスで約20分!最寄りのバス停「神宮前3丁目」から乗り、「渋谷区役所」で降ります。この日は台風の翌日で、天気こそ晴れ晴れとしていましたが、少しだけ冬の兆しを感じさせる肌寒い日でした。

さて出発です。パスモで2人分乗車賃を払い、いざ!外の景色を楽しみつつふと車内に目をやると、視線の先の窓に犬の足跡が。可愛いです。でもなんで犬の足跡なんでしょう。思い出してみれば、停留所の看板にも犬がおりました。なんででしょう?…しばらくして僕はやっと気付いたのです。バスの名前と渋谷のシンボル「ハチ公」の関係性に!いやあ、そういうことだったんですね。東京にきて多々驚くことがありますが、自分の理解力のなさにも驚きです(笑)。

ロックオンさんに無事に着いて無事に納品を終えました。お店の品揃えは圧巻でした。ネット上でしか見たことのない商品が所狭しと並んでいて、感激です!
その後、右も左も分からない僕は先輩に連れられて渋谷を散策。渋谷センター街は見渡す限り人が沢山!平日の昼間のはずなのですが、休日と錯覚してしまいます。休日でも名古屋にはこんなに沢山の人はいません。そんな都会で昼食です!勤務中でなければきっと「渋谷でお昼ご飯なう。」とつぶやきたかったぐらい、僕にとっては相当な事件です!お昼はラーメンを食べましたが、流石に東京ともなるとお店の数も豊富ですね。5mごとに一軒ラーメン屋があると言っても大袈裟ではないと思います…!


帰りは歩いて戻ることに。その道中も珍しいと思うものが多くあって、やはり東京はすごい場所だと思いました。

僕に与えられたインターン期間も気付けばもうわずか、3分の2が終わってしまいました。サイデラ・マスタリングのインターンシップでは、大きな目標は小さな目標の積み重ねで達成されるものという教えがあり、日々自分で目標を立て物事に取り組みます。残された時間を有意義に過ごせるよう頑張りたいと思います!


2014/10/21

シャツを綺麗にたたむことに隠された直角と平行の意味

サイデラ・マスタリングのインターンシップで「直角と平行を常に意識する」という項目があります。これにはどんな意味があるのでしょうか?
私の中で直角と平行といえばコレです。「お客様が見終わった後のお洋服をたたみ直すこと」
私はインターンを始める前から現在もアパレルの販売員をしているからです。
直角と平行になぜ関係があるのか、せっかくなのでショップ風のシャツのたたみ方をご紹介します♪

★表をピシッと整えます。


★裏もピシッと整えます。



★襟と肩の真ん中で折ります。
ポイント!写真の様に左手の指を服の間に直角に入れ込むと真っ直ぐな折れ線が作れます。


同時に右手は裾にかけて伸ばす。



この状態のこの折り目が真っ直ぐに出来ないと綺麗に仕上がりません。


★袖を斜めに1回折ります。
斜めに折ることにより、たたんだシャツの厚みが薄くなります。


★2回目を折ります。


★反対側も先に折りたたんだ方と平行になるように折ります。


★袖を1回折ります。
ポイント!《最初に折った袖の折り返し》と《2回目に折る袖の折り返し》を揃えて重ねます。


私のこだわりはこの袖の折り返しが重なるカッコ良さです!

★裾を少し折ります。



★もう1度折り返します。



★軽めにシャツを振りかざします。
ショップでこのような店員さんをよく見ませんか?これによりシワと折り目が伸びてピンッとします。



★完成です。ピシッとたためると気持ち良いです。



(悪い例)直角と平行が出来ていない場合
端っこが飛び出してしまいました。こんなシャツがショップに並んでいたらお洋服の良さが半減してしまいますよね。



商品と商品の間を定規で測った様なディスプレイが展開されたショップに入った際の事です。商品を手に取って見た後に「乱してはいけないな」と思い綺麗に戻したことがあります。そんな時は背筋がピンと伸びるような緊張感を感じました。
それとは裏腹に商品を手に取りやすく次々と鏡で合わせたくなるようなショップもあります。
ショップのディスプレイで場所の空気が作り出せるということはスタジオに置いてある物が曲がっていたりするのはなんだか気持ちもピシッとせず嫌ですよね。
インターンシップの《直角と平行》には場所の空気を作るということが隠されていたのです!スタジオでお客様に気持ちよく過ごしていただき、音に集中できるように、《直角と平行》を常に心がけていたいです。