2015/11/24

「Coffee Small Talk」第4回  ~国内のコーヒー事情編~

こんにちは。日に日に肌寒くなり、コーヒーがますます欲しくなる季節になりましたね。今回は国内のコーヒーショップがテーマです。ほんの一部ですが、ここはと思うところを紹介します!



カフェ・バッハ(東京・南千住)

音楽の父・バッハのイラストは有名です。よく見ると右手にカップを持っています。17世紀、バッハの時代のコーヒーはどんな味だったのでしょうか。東京の下町で50年続く老舗喫茶の店主・田口護さんの著書『珈琲大全』は珈琲屋を志す者のバイブルとして知られています。
店内は大人の社交場といったシックな雰囲気で、小綺麗な身なりをしたおじさまやおばさまのグループで賑わっています。作業服姿の若い男性やOLもひとり座って本を読み、うっすらとバロック音楽が流れている。サービスの心地よい距離感とあいまって、毎日通いたくなる落ち着きがあります。運良くカウンター席に案内されれば、美しい所作で無駄な動きの一切ない、神業ドリップを見ることが出来ます。
超オーソドックスなこちらのスタイルを真似しようと、僕はバッハオリジナルの台形ドリッパーを愛用しています。



カフェ・ド・ランブル(銀座)
こちらも言わずと知れた王道です。銀座で60年以上「珈琲だけの店」を看板に営業を続けているそうです。
目を細め、ケトルはほとんど動かさず、ネルをくゆらす左手の動きに集中し、湯が落ちる一点を見つめる。ネルドリップはまさに職人芸です。ここでは接客~挽豆~ドリップの工程が完全に分業していて、ドリップはその頂点に位置するようです。
採れたて挽きたて淹れたて、鮮度重視のスペシャルティー活況の現代に、敢えて一杯数千円のオールドビーンズで、めくるめく世界を探訪するのも粋なものです。
ランブルを経て独立開業したのが、こちらもまた有名な大坊珈琲店です。2013年に閉店してしまったため、庶民から青山界隈の各界セレブをも唸らせたネルドリップをもう飲むことはできません。大坊勝次さんをゲストに招いてのコーヒーイベントは随所で行なわれています。また、直々に焙煎を学んだお弟子さんが恵比寿にTRAMというお店をオープンしたそうで、ぜひ行ってみたいですね。



丸山珈琲(長野・軽井沢)
※東京西麻布にも支店あり

2014年、日本人初のバリスタ世界チャンピオンを輩出したことでも話題となりました。空気はうまい、水は綺麗、標高1,000mの軽井沢に本社を構え、世界で買い付けたスペシャルティーコーヒーを焙煎し、最高の技術とおもてなしの精神で…(略)つまり、おいしくならない訳がないのです。
ゲイシャと聞いて何を思い浮かべますか?「芸者」ではなく、これはコーヒー豆の銘柄でGESHAあるいはGEISHAという表記です。初めて飲んだのは、スペシャルティーのスの字も知らない頃でした。まるでフルーツティーを飲んでいるような華やかさな味に驚愕しました。パナマのエスメラルダという有名な農園で収穫されるロットは、毎年最高値で取引されます。
希少で高価なゲイシャを最高のコンディションで提供できるお店は決して多くありません。豆の成分を余すところなく抽出するフレンチプレスは丸山の自信の表れだと思います。



SHOZO COFFEE(栃木・那須/黒磯)
※東京青山に支店あり

東京から車を走らせて3時間余り、周辺を訪れる際は是非立ち寄りたい場所です。カフェだけでなく、アンティークや雑貨、衣服やインテリアを扱うお店、ギャラリーや音楽ホールもあります。
北海道の焙煎家から仕入れた深煎りのコーヒー。高原に雪が降り、外が冷たく澄んだ空気に変わる頃、石油ストーブの温もりを感じながら飲む一杯は、たとえようもなく格別の味わいでした。
実はSHOZO、サイデラからは徒歩10分ほどの青山にも小さく出店しています。すぐ隣にはブルーボトルコーヒーもありますし、ハシゴするのもいいですね。マスタリングのお帰りの際に是非立ち寄ってみてください。



カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ(鎌倉)

初めてお店を訪れたのはもう10年以上前、高校時代の先輩に連れられて鎌倉で遊んだ時のことでした。明るい店内と、ワッフル地にレタス・ハム・卵を挟んだゴーフル・サレ、バックに流れる軽快なフレンチポップス。店名はトリュフォーの映画『日曜日が待ち遠しい』から取ったそうです。
珈琲はブレンドから、深煎り~浅煎りのスペシャルティーまで、いつもかなりの数種類あります。迷ったら今日の気分を伝えてみると、親切なスタッフがオススメしてくれます。フードメニューも魅力で、有名なオムレツやパフェ以外にも、ブラジル料理のムケッカなんてチョイスするのもオシャレです。
僕は店主・堀内隆志さんの大ファンで、きっと生涯その背中を勝手に追いかけるような存在です。いつもニコニコ。笑顔につられて面白い人がどんどん集まってきます。鎌倉といえばディモンシュ、ディモンシュは堀内さんそのもの、つまり僕のなかで鎌倉=堀内さんというくらいのインパクトがあります。一歩店を出れば本にトークにイベントに引っ張りだこの有名人なのに、観光地鎌倉の一カフェの店主としてのスタンスを崩さない。素敵です。
繁忙期にはドアの外に客が列を作っていることもしょっちゅうで、大体いつも満席、店外のベンチで待つことしばしばです。千葉から片道2時間の電車に揺られ、運悪く店休日だったということも少なくありません。涙に濡れながら由比ヶ浜を歩くと、カフェが海の砂粒ほどある鎌倉でディモンシュ以外に行き場がない自分が笑えます。
ちなみに、神奈川のローカルラジオ【湘南ビーチFM】で毎週日曜は《Na Praia》という番組を放送しています。ブラジル・ミュージックにも造詣深いDJ堀内さんが、ナラ・レオンからブラジル現地の若手アーティストの音源まで紹介しています。「日曜日が待ち遠しい」とはまさにこのこと。



KAFE工船(京都)
「東の堀内、西オオヤ。」僕が勝手に言っているだけかもしれませんが、このお二方を常に尊敬の眼差しで見つめています。
京都御所の近くに、オオヤミノルさんのお店はあります。スタッフの女性がカウンターごしにネルドリップで丁寧に淹れてくれます。僕は深煎りのドリップコーヒーで、これ以上強い珈琲を飲んだことがありません。京都の端っこで、苦味もここまでいくと芸術的だなと思いました。
カウンターが1席だけ空いていて、右隣にはオオヤさんが座っていました。スタッフとの世間話が面白くて、ついつい聞き入ってしまいました。コーヒーはもちろん料理やサービスに関しては相当厳しい意見をお持ちの方なのだなと思いました。
ある雑誌の特集でオオヤさんが語ったこの一節が好きで、何度も読み返します。
「店主が『私の好きな本並べてますぅ」みたいな本棚おいたカフェはあるけど、肝心な椅子の座り心地は悪いし、お前の好きな本なんて興味ないわて感じで(笑)。ぼくは『オレ流』なんて街にいちばんいらんもんだと思うてます。喫茶店はいったいつから自己表現のひとつになっちゃったんでしょうかね…(中略)悩める個人のみすぼらしいオリジナリティを公共の場で他人におしつけるなんて、何て下品なと思いますけど」
毎月25日、京都•北野天満宮の縁日の屋台でオオヤさん自らコーヒサービスをしてくれるとか。
オオヤさんのことを詳しく知りたい方には、著書『美味しいコーヒーって、なんだ?』(マガジンハウス刊)をおすすめします。

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王道から僕の趣味まで、数を絞ってご紹介しました。もちろんまだまだ他にも素晴らしいお店はありますよ!

次回はサイデラで採用しているコーヒー器具のことや、おいしさの秘訣などをご紹介します。

2015/10/29

ぼくたちのインターン日記2015:ハチ公バスでGO!


私たちは10月の1ヶ月間限定で、名古屋の専門学校のカリキュラムでサイデラ・マスタリングにインターンシップにきています。
先日初めて、渋谷のRock oN Companyさんへ「Saidera Ai SD-9003ケーブル」の納品と買い物に行きました。過去にインターンにきた先輩たちと同じようにRock oN Companyまではハチ公バスに乗って行きました

先輩達の記事はコチラ
http://saideramastering.blogspot.jp/2011/12/20112.html
http://saideramastering.blogspot.jp/2012/10/20121.html
http://saideramastering.blogspot.jp/2013/10/20134.html
http://saideramastering.blogspot.jp/2014/10/blog-post_22.html






サイデラからRock oN Companyさんまでは約20分ぐらいで、最寄りのバス停「神宮前3丁目」から乗り「高齢者ケアセンター」で降ります。ハチ公バスを見た時は、名古屋では見たことのないコンパクトさだと2人して驚き、さらに乗車した際に運賃が100円で思わず、安い!と言ってしまいました。既に驚きの連発ですが、いざ出発です。外の景色を見て私たちは平日なのに人がいっぱいいる!と思い、名古屋では一番栄えている栄ですら休日にしかこんなにも人はいないなと話していました。


百田がRock oN Companyに行ったことがあったので迷わず目的地につくことができました。Rock oN Companyの前は下の写真のように坂道になっているのですが、それを見て桐山が「うわっすごい坂!」と言ったことを百田は忘れません。(全然すごい坂じゃないのに東京のすべてが大げさに見えているらしい)




名古屋は濃尾(のうび)平野の中にあるのでこういった坂もあまり見慣れないものだったりします。左奥にある建物がRock oN Companyです。


無事に納品を完了し、店内を見渡してみました。名古屋にはレコーディング機材がたくさん売っている店がなかなかないのでうらやましく思いつつ、後ろ髪引かれる思いで次のおつかいへ。次のおつかいは東急ハンズでお客さん用のグラスを買いに行くというもので、マッシュさんから近くにあると聞いていたので最初あてずっぽうで歩いてみました。そしたら見事に道に迷いましたが、そのおかげで大きなタワーレコードを見つけることができました。




まさかの5フロア店舗に2人して驚愕し、少しぐらい見て回ってもばちは当たらないのじゃないかと悪魔が囁きましたがそれに打ち勝ち、休日に見て回ろうと心に誓いその場をあとに。マップアプリを使いなんとか東急ハンズにたどり着き無事グラスを買い、今度は渋谷駅からハチ公バスに乗り帰りました。とても思い出に残るおつかいになりました。


気づけばインターンシップの期間も残り僅かになりました。このように田舎者にとって驚くような経験を東京という街でしている以上に、インターンの中ではたくさんのことを経験させてもらっています。ここまで想像以上にあっという間で、もう少し期間が延びないかなとも思いますが、残り少しのインターンシップを悔いの残さないよう精一杯働き、学べることをしっかり学んで1ヶ月締めくくりたいと思います。


2015/10/26

「Coffee Small Talk」第3回  ~はじめてのアメリカ編(2)~



こんにちは。前回はBlue Bottle Coffeeのことを書いていきましたが、今年東京に進出して話題となっていますね。清澄白河に1号店、サイデラから歩いて15分ほどの青山に2号店を出店しました。こちらに書きたいことは山程ありますが、旅のお話に戻ります。
第3回は、サンフランシスコで訪れた他のコーヒーショップもご紹介します。



まずは、Sight Glass Coffeeです。

「サイトグラス」とは焙煎機に付いている、なかを覗くための小窓だそうです。建物の外観は黒塗りのコンクリートっぽい、モダンな雰囲気ですが、Blue Bottle同様、決して治安のよろしくなさそうな通りに突如出現します。すぐ近くには高層オフィスビル群もあり、ビジネスマンも多く訪れるところです。日本でいうところの新宿の歌舞伎町みたいなものでしょうか。




ここでもブルーボトル同様、開放感あふれる吹き抜けが印象的です。ドアを開けてすぐ、レジに続く列に並ぶような格好になりますが、まずは店内が見渡せる2階に席をとります。すごい人気です。

フロアの中央に円を描くようにカウンターがあり、エスプレッソマシンが左右に置かれ、スタッフがテキパキと注文をさばいていきます。
ここでも、iPadレジが導入されています。例のチップの画面が出てきますが、ひとまず華麗にスルーします。Facebookで「いいね!」していることを知らせると、いくらか割引してくれるとか。

フロアにはカスタマイズされたヴィンテージのPROBAT(焙煎機)があり、店内はその稼働音と、鼻ピアスにタトゥー入り美女スタッフが選曲するレコードが爆音で鳴り響いています。
コーヒーのみならず、音楽や音響へのこだわりも並大抵ではなさそうでした。


さて、ラテアートをテキパキと生産しているお姉さんに、僕も1杯お願いしました。英語が堪能であれば、カウンター越しに会話の花を咲かせてもいいですね。

コーヒー豆の個性を最大限に引き出す、浅煎りが基本です。酸味が強調されるので苦手という方もいますが、日本で味わうような「酸っぱさ」とは雲泥の差があり、こちらの酸味は豊かなフルーツ味といった感じです。
口に含んだ瞬間、旨みが炸裂します。ドリップよりも、高圧の蒸気で一気に絞り出すエスプレッソの方がその感動は大きく、ラテになればミルクのまろやかさが加わり、さらにおいしく飲みやすくなるのは言うまでもありません。

余談ですが、サイトグラスのコーヒーはアメリカで最も予約のとれないレストラン、アリス・ウォータースの「シェ・パニーズ」でも採用されているそうです。グルメは食後のコーヒーにも妥協しないんですね。



では、もうひとつのお店に向かいましょう。The Millです。


あの国民的ホームドラマ「フルハウス」の舞台となったエリア、ヴィクトリア調と呼ばれる細長い一軒家が整然と立ち並ぶ、閑静な住宅街の一角に店を構えています。その名の通りコーヒーミルが名前の由来とのこと。
こちらもサンフランシスコのサードウェーブ代表格、Four Barrel Coffeeが手がける姉妹店にあたります。フォーバレルは一時、代官山ログロード出店の噂がありましたが、白紙になってしまいましたね。

店内はこじんまりとしていますが、白を基調としたインテリアで、日当たりも抑えられ、リビングにいるような安心感に包まれます。バリスタのすぐ後ろではベーカリーチームがせっせとパンを焼き上げています。




写真からお分かりのように、バリスタは文句のつけようがない容姿の方ばかりです。男前たちのくり出す可愛らしいラテアートに、乙女はうっかりハートを射抜かれぬよう注意が必要です。もちろん、僕は男子ですが美味しくいただきました。連日のコーヒー飲み歩きで疲れた胃に優しいカプチーノは、コーヒーなのに苺のような、ほのかな香りがしました。

カフェでノートPCをカタカタしながら過ごす姿は日本でもよく見かけます。サンフランシスコではより顕著で、1人に1台というくらい、誰もがMacを持ち込んでいます。(さすがアップル発祥の地...)

僕が旅行した当時、フォーバレルはそんな流れとは逆行するように、Wi-Fiを飛ばさないことをポリシーとしていました。パソコンなんか見ていないで、コーヒーを味わって、本を読んだり、会話を楽しんだり、人間らしく目の前の時間と向き合おうよというメッセージでしょうか。
そんな空気はここ、The Millにも引き継がれているようです。スタッフもほのぼのしていて、ゆったりのんびり、近所の住人の憩いの場となっていました。



はじめてのアメリカ編、駆け足でお届けしました。
空間、表現、技術、どれをとっても日本では体験しがたいクオリティーに圧倒されましたが、行く先々で、HARIOのドリッパーやケトルが業務用として採用され、お土産としても販売されているのが印象的でした。カウンター越しにスタッフに聞いてみると「日本の製品は最高だね」と言います。日本の技術は世界一といわれて久しく、コーヒー器具にも好評価が定着してきているようです。

さて、次回からは日本に戻ります。
海外に負けない(?) 国内コーヒー事情や、サイデラでも採用しているHARIOのドリッパーのことなど、盛り沢山でお届けしたいと思います。

2015/10/02

「Coffee Small Talk」第2回  〜はじめてのアメリカ編(1)〜

第2回は、旅の写真からスタートします。もともと興味があるわけではないサンフランシスコに行くことになったきっかけは、現地で約1年間生活していた元同僚の影響でした。
「誰もが陽気で気さくに話しかけてくる」「お洒落な街だから絶対気に入る」としきりに言うので、ノリと勢いで決めてしまいました。

生まれて初めて足を踏み入れる、自由の国、そして銃社会アメリカ。物騒な事件は日常茶飯事。そんな不穏なイメージ(あくまでイメージです)がまとわりつき、機内では一睡もできませんでした。


さて、空港からホテルに到着したのは朝方。まず向かったのは、Mint PlazaにあるBlue Bottle Coffeeです。街の中心地からほど近く、都会的な街並みを想像していましたが、一目でそれと分かる路上生活者やギャングっぽい若者がそこかしこに現れ、初めて訪れるにはなかなかハードルの高い立地でした。




写真のように、店の外側にまで行列ができています。ただ、回転は早いので心配ご無用。何と言っても、街中とはまるで別世界のような、美しい内装に目を奪われました。外光で店内は自然に明るく、坪数は少ないながらも天井はかなり高いため、開放感があります。

ここではiPadをつかったSquareというレジサービスが使われています。日本でも普及してきていますね。クレジットカードが重宝します。ただ、僕は見たことも使ったこともなかったので、使い方は手探りでトライあるのみです。チップの金額を選択する画面がありますが、コーヒー1杯でチップを渡す必要はないとあとで聞きました。そうとも知らず、必ずチェックを入れるものだと思い込み、親切にコーヒーの値段の半額ものチップを渡していました。


僕は、お店の奥でバーカウンターになっている、サイフォンで「シングルオリジン」を注文しました。エスプレッソ、ラテ、シングルオリジン、いろいろ選べます。日本でサイフォンといえばアルコールランプですよね。しかしこのサイフォンはどう見てもオシャレです。光学式で、アルコールランプを使っていません。技術協力は日本のUCC(上島珈琲)とキャプションが付けられています。実は、目にする機会は少ないですが、日本にも全く同じものがあります。東京のブルーボトルにも、ついに導入されました。

お味は、期待を越えた格別のおいしさ。コーヒーなのに、桃のような香りがあり、後味さわやか。酸味、渋味というようなクセが全くありません。クリーンという言葉とサイフォンは同義語という人もいるくらいです。

このようにオーダーを受けてから作るスタイルは、待つのが苦手なアメリカ人にはウケないと初めは誰も成功を信じなかったそうですが、一杯ずつ目の前であなたのために淹れてますよ〜というのがダイレクトに伝わり、新しいもの好きの若者中心にブームに火がついたと言われています。おいしいコーヒーのためならと、今や多くの客が訪れる人気スポットとなっています。

毎日飲むコーヒーのクオリティを上げることが、仕事の質を向上させ、会社の利益に直結するという信念から、名だたるIT企業がBlue Bottleなどのコーヒーベンチャー企業に出資しているという話も、面白いですね。

このあたりのお話は、ネットでも印刷物でも豊富な情報があります。『サードウェーブ・コーヒー読本』という素晴らしくわかりやすい本(僕も旅行前にお世話になりました)もオススメです。よかったらチェックしてみてください!
http://www.amazon.co.jp/dp/4777930289

というわけで、正確で有益な情報はそちらにお任せしまして、
次回からは少しテンポアップして、他のお店の様子も詳しくお伝えしていきます!

2015/09/11

「Coffee Small Talk」第1回 〜プロローグ〜



サイデラ・マスタリングでは、お客様にお出しするコーヒーを、作り置きせず、豆を挽きハンドドリップで丁寧に淹れています。皆さんもそうだと思いますが、自宅では毎朝ドリップしても、他所でコーヒーを入れる機会はほとんどありません。家族や友人以外の、初めてお会いするような方においしいと言ってもらうのは、信じられないような気持ちもありますが、素直に嬉しいことです!

少し前まで、家ではインスタントコーヒー、スタバではカフェラテしか注文しなかった男が、おととしサンフランシスコを旅したのを機に、すっかりコーヒーに目覚めてしまいました。

サンフランシスコは、ちょっと車を走らせるとアップルの本社やGoogle、Facebookの本社があるのは有名で、世界のIT企業が軒を連ねる、シリコンバレーと呼ばれる一帯です。そして、「ブルーボトル」「フォーバレル」「リチュアル」「サイトグラス」など、今や日本のコーヒー好きの若者がその名を知らぬものはないコーヒーショップが点在しています。なかでもブルーボトルでは、コーヒーへの価値観を変えてしまうような一杯と出会いました。液面がトロッとして、口に含むとお酒のようにクラクラする濃厚な味わい。なんとも表現しがたく、でもしっかりと舌の記憶に刻み込まれています。以来、自宅でコーヒーを焙煎するほどにのめり込んでいくわけです。

これから数回に分けて、旅先の写真、国内の気になるコーヒー屋さん情報、自宅やサイデラで使用しているコーヒー器具の話など、おいしいコーヒーにまつわるあれこれをお届けできればと思います!

2015/07/16

DSD Live Streamingの楽しみ方

サイデラ・マスタリングは、マスタリングとライブレコーディングを主たる事業としていますが、このところ立て続けに盛り上がっているDSD LIVE Streaming、写真のように、各フロアにDSD DACがありますので、すぐに視聴ができます。お打ち合わせ、立会いマスタリングのちょっとした待ち時間にも、ぜひとも視聴してみてください。手引きアイスコーヒーも(もちろん無料で)お出ししています。
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ご自宅でのDSD LIVE Streaming 視聴方法 KORG DSD DACの場合 ---------------------------
1. DACドライバ ダウンロード
「KORG DS-DAC-10」のドライバをダウンロードしてください。
下記URLにアクセスすると直接ダウンロードできます。
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2. PrimeSeat ダウンロード
DSD Live StreamingサイトよりPrimeSeatをダウンロードしてください。
『DSD Live Streaming』:http://dsd.st/ja/
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3. PCに各機器を接続
PC→DAC→ヘッドフォンの順に接続してください。
詳細は下記URLの『再生手順』をご覧ください。
http://dsd.st/ja/howto/

4. PrimeSeatの起動
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5. PrimeSeatの操作/視聴
視聴方法については下記URLをご確認ください。
『DSD Live Streaming視聴方法』:http://dsd.st/ja/howto/
『藤本健のDigital Audio Laboratory』:http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20150330_695194.html
ブックマークの『KORG Presents ETHNIC MINORITY@SDM Live 2015』を
選択すると、7/7にサイデラ・マスタリングより実施したETHNIC MINORITYの
ライブ演奏のオンデマンド配信が試聴できます。

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ETHNIC MINORITY サックスの横田寛之さんが、KORGからでている「DS-DAC-100m」という手のひらサイズのコンバーターで視聴した感想をブログにしています。
実際に体験したミュージシャンの体験談、DSDを通じて変化していく音楽の「参加の仕方」、その展望についても触れています。こちらもぜひご覧ください。

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2015/06/19

僕たちのインターン日記2015 秋葉原探索編


サイデラ・マスタリングでのインターンシップではお客様へのコーヒー出し、オフィス、スタジオ、もちろんトイレの清掃、スタッフやお客さんからお使いを頼まれると買物・届け物をしに行くこともあります。毎日の経験で雑務のプロになっていきます。
今回はサイデラ・マスタリングで使用するケーブルにマーキングするための熱収縮チューブを買いに秋葉原まで行ってきました!

と、秋葉原で買い物を済ませる前に定食屋「かんだ食堂」へ立ち寄ってきました。

昭和33年創業!の老舗の定食屋さんということで趣のある外観です。秋葉原駅から徒歩4分、秋葉原のドン・キホーテ横の道沿いにあるお店です。



店内はサラリーマンの方から外国人観光客の方までいろいろなお客さんで賑わっていました。メニューは定食屋さんの定番メニューはもちろんのこと、魚系メニューや一品ものもあり充実のラインナップです。今回は定食屋さんの定番「豚生姜焼き定食」を頼んでみました。



注文から5分もしないで出てきました。生姜の風味は控えめですが濃いめの味付けで美味しかったです。隣の千切りキャベツもボリュームがあってお得感あり!でした。この定食が650円で提供できるのはさすがですね。



その後、目当ての熱収縮チューブを購入してサイデラ・マスタリングに戻りました。今回は各ケーブルにL・Rを振って熱収縮チューブをかけています。スタジオ作業でもどの機材にどのケーブルが繋がっているのか、回線がどうなっているのか一目でわかるように整理するのはスムーズに作業を進めるうえでとても大切な要素です。
いつもセイゲンさんからは、「無意識のうちにも整理整頓、バランス感覚を磨くことがマスタリング・エンジニアになるための重要な資質である」と言われています。これからも普段の生活からマスタリング・エンジニアになるための感覚を養いながら¨楽しく¨インターンに励みたいと思います。




2015/04/30

サウンド&レコーディング・マガジン2015年5・6月号「TEAC HA-P90SD」レビュー

現在発売中の「サウンド&レコーディング・マガジン 2015年5・6月号」で、DSDネイティブ再生に対応のUSB DAC/オーデイオプレーヤーの「TEAC HA-P90SD」のレビューをチーフエンジニア森崎が担当しました。


TEAC HA-P90SDは最高1ビット/5.6MHzのDSDネイティブ再生と24ビット/192kHzのPCM再生に対応したUSB DAC/オーディオ・プレーヤー。本体にUSBが付いており、MAC/Windows/Android/iOSの各デバイス接続し、DACとして使うことができます。単体のオーディオプレーヤーとしては、本体に入れたmicroSD/SDHC/SDXCカードからファイルの再生が可能です。詳しい機能をご紹介したいところですが、そちらはぜひ「サウンド&レコーディング・マガジン 2015年5・6月号」をご覧ください!



実際に使ってみると、69.6(W)×123(H)×21.5(D)mmというサイズからは想像できないほど、演奏の熱量がストレートに伝わってきます。HA-P90SDがあれば高品質なオーディオ回路により、誰でもスタジオでアーティストが聴いているリアルな音を体感できます。


2015/04/18

「アナログレコードのためのマスタリング」さあどんどん、アナログレコードもつくりましょう!


サイデラ・マスタリングはアナログレコードを強力に推進します!そして、アナログレコード(LP/シングル盤)のサウンドをよりよくしたい。ハイレゾ時代にふさわしい「レコードのためのマスタリング」メニューをつくりました。

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サイデラ・マスタリングの「アナログレコードのためのマスタリング」は、3つのステップでアナログレコードのためのマスターをつくります!
1.24ビット/96kHzで通常のハイレゾのマスタリングをする
2.アナログレコードのための調整をほどこす
3.アナログテープまたはCD-Rでマスターを仕上げる

1.24ビット/96kHzでマスタリングをする
サイデラ・マスタリングではミックスマスターが44.1kHzや48kHzであってもマスタリングは最低24ビット/96kHzで仕上げます。その理由は、アナログ機材を通ったサウンドをハイレゾでキャプチャーするため。さらにデジタルドメインのEQ処理をより細かくほどこすため。ハイレゾでマスタリングを仕上げると、自然な音色できめ細かく、奥行きや演奏の空気感がリアルに再現されます。ハイレゾは、小さなニュアンスの差がはっきりとわかります。反射音もしっかり聴こえるので、定位もさらに正確に伝わります。小さな差が積み重なることで、より感動する仕上がりになるのです。

2.アナログレコードのための調整をほどこす
アナログレコードにはカッティングできない音があります。低域と高域です。CDやデシタルではどんな音でも録音できますが、アナログレコードのカッティングでは、次の音は歪みや針飛びの原因となります。ボーカルの子音や、高域の矩形波。音量の大きな高域。左右に広がる低音などです。そういう音は通常「カッティング」の段階で削られます。「アナログレコードのためのマスタリング」では、マスタリング段階でそれらの調整するのです。単純に低域と高域を抑えるだけでなく、抑えたところをアナログレコードに入る音域でおぎなったり、必要な場合はパンニングの広がりを調整したりして意図しない歪みを予防します。そして、この調整もハイレゾでおこなうので繊細な部分まで追い込めます。

3.アナログテープまたはCD-Rでマスターを仕上げる
このように調整をほどこした音源は、完全に調整されたテープレコーダーSTUDER A820で1/4インチアナログテープに録音してカッティング用のマスターとして仕上げます。1/4インチアナログテープからアナログレコードをつくる、王道のやりかたです。アナログテープにより音のピークを自然におさえ、厚みのある、レコードカッティングに最適なマスターができあがります。アナログレコードと周波数特性が似ているアナログテープに録音したときにバランスのいい音に仕上げることで、アナログレコードがそのままに近い音で仕上がるのです。アナログテープは少し高価で、運搬の問題もあります。そういう場合はCD-Rでマスターを仕上げます。CD-Rは24ビット/96kHzからダウンコンバートした16ビットになってしまいますが、ハイレゾで仕上げたマスタリングのよさはしっかりと残ります。

CDやデータと同じ音は絶対に録音できないアナログレコードも、カッティングの前段階での調整をほどこすことでイメージする音に限りなく近いアナログレコードが仕上げられます。あるいはアナログレコードはCD音源よりも「踊れる」「テープコンプレッションを効かせた」「低音の厚みをだした」など意図してちがうサウンドに仕上げることもできます。さあどんどん、アナログレコードもつくりましょう!


1/4インチアナログテープマスターの「アナログレコードのためのマスタリング」料金
ハイレゾでマスタリングを仕上げて1/4インチアナログテープマスターをつくります。「アナログ」のよさを100%表現できる、王道のやり方です。

LPサイズ(50分まで):¥120,000+消費税
・50分までのハイレゾマスタリング
・アナログテープマスター x2巻
・アナログテープマスターの5.6MHzDSDアーカイブデータ

シングルサイズ:¥60,000+消費税
・20分までのマスタリング
・アナログテープマスター x1巻
・アナログテープマスターの5.6MHzDSDアーカイブデータ


CD-Rマスターの「アナログレコードのためのマスタリング」料金
ハイレゾでマスタリングを仕上げてCD-Rマスターをつくります。空気感やダイナミックレンジをしっかり残したCD-Rはハイレゾ時代のアナログレコード制作にぴったりです。

LPサイズ(50分まで):¥100,000+消費税
・50分までのマスタリング
・CD-Rマスター x1枚
・試聴用オーディオCD-R x1枚

シングルサイズ:¥50,000+消費税
・20分までのマスタリング
・CD-Rマスター x1枚
・試聴用オーディオCD-R x1枚

最近、オノが手がている「5.6MHz DSD ダイレクトカッティング」については、お問い合わせください。



2015/01/23

「Tetsuya Hikita+NIL / Ferry」のマスタリング、アナログEQとデジタルEQの使いわけ


発売中の「Tetsuya Hikita+NIL / Ferry」のマスタリングをやらせていただきました。お二人の2ndフル・アルバムのマスタリングをどのように仕上げていったのかを解説します。OTOTOYのロングインタビューも必読です!

マスタリングではEQなどに手をつけるまえに、素の状態のミックス音源をじっくり視聴確認することがとても大切です。今作のマスタリングでもアーティストのお二人と一緒にまずミックス音源を視聴しました。ミックスバランスはバッチリ!ヘッドルームも十分に残してあり、奥行きと広がりのある素晴らしい仕上がりでした。アーティスト本人がプリマスタリングを施した参考用音源と、持ち込みのリファレンス音源も視聴して仕上がりの方向性のイメージを共有していきます。これには初めて立会いにきてくれたお二人にサイデラ・マスタリングのモニターシステムに慣れてもらうため、という狙いもあります。

アーティスト本人がマスタリングを施した参考音源は音圧高めに仕上げられていましたが、打ち合わせの結論は「そこまで音圧は必要なく、奥行きやきめ細かさをもっと引き出してほしい」ということになりました。ミックス音源のナチュラルさを活かして、音圧ではなくそれぞれの楽器の音像を大きく聴かせるように仕上げることにしました。

音の抜け、透明感を出しつつ、広がりのあるシンセと切れのあるノイズの対比を表現するのに、アナログEQとデジタルEQを使い分けます。
1.アナログEQで音の土台を作る、倍音をプラスする
2.デジタルEQで音の輪郭や芯を強調する

1.Dangerous Music BAXEQでローエンドを整えてキックとベースの存在感を出しました。周波数は18Hzからローカットしています。BAX EQは通すだけで自然な倍音がプラスされるので高域は特にEQをせず、機材のキャラクターを積極的に音作りに活かしました。今作のシンセの広がりはこのEQで表現しています。

2.音の芯をEQで強調するときに特に気を使うのが1kHz前後の帯域です。あくまで僕の考えですが1kHzは音の重さ、存在感を強調できます。例えばスネアの音を前に出したいときに1kHzを強調するとスティックがドラムをたたく質感やピアノの鍵盤の重さを表現してくれます。それより下の500Hzでは柔らかく、上の2kHzでは固く聴こえますね。今回のマスタリングでもスネアやクラップで芯のあるビートを表現するために曲ごとに強調する帯域を微妙に変えています。例えば1110Hzとか1060Hzとかそのぐらいの微調整です。質感をちょっと変えたいときに強調する量を変えるのではなく、周波数をほんの少し変えてみてください。

エレクトロニカのジャンルなどPC内部だけで仕上げた音源をマスタリングでアナログ機材を通して仕上げることはとても有効です。アナログ機材特有の倍音が足され中域のしっかりした存在感のある音に仕上がります。

今作はCD用のマスタリングと同時に、96kHz/24bitのハイレゾ用のマスタリングも行いました。サイデラ・マスタリングではCDマスターと同時に、ハイレゾマスターも残します。こちらはOTOTOYより先行配信されています。優しく包み込むようなシンセ、きめ細かく生命力あるノイズはCDでは再現できなかったサウンドです。ぜひ皆さん聴いてみてください。

「Ferry /Tetsuya Hikita+NIL」
レコード番号:PFCD46
定価:1,620円(OTOTOYハイレゾ配信)、2,160円(CD)
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
http://www.progressiveform.com/
https://soundcloud.com/progr…/…/tetsuya-hikita-nil-nil-ferry




01. Bud
02. Crop feat. Go Yamanojo
03. Mist
04. Trench
05. Water Wheel
06. Pray feat. dagshenma
07. Voice
08. Voyage
09. Setting Sun
10. Planet feat. Youichi Okano
11. Connection
12. Matrix
13. Day By Day feat. Takeshi Nakayama *Digital Only