本日発売の「Net Audio Vol.22」に、マリモレコーズ江夏正晃さんと江夏由洋さんのユニット「FILTER KYODAI」の最新アルバム「BULL&BEAR」から2曲、めったに聴けないマスタリング前/マスタリング後の音源ファイルが付いてきます!先行ハイレゾ配信も本日スタート(CD/LP/iTunesは6月15日発売)。全36曲のマスタリングはサイデラ・マスタリングのチーフ・エンジニア森崎が担当しました。ハイレゾ配信ダウンロード購入はこちらから。
http://ototoy.jp/news/83473
「Net Audio Vol.22」の購入はこちらから。
http://www.fujisan.co.jp/product/1281690946/new/
CDマスタリング、DSDレコーディング、ハイレゾ配信&ストリーミング。
サイデラ・マスタリングは、常に最新のテクノロジーとワークフローにより「伝わる音」の技術を提供します。
2016/04/19
2015/07/16
DSD Live Streamingの楽しみ方
サイデラ・マスタリングは、マスタリングとライブレコーディングを主たる事業としていますが、このところ立て続けに盛り上がっているDSD LIVE Streaming、写真のように、各フロアにDSD DACがありますので、すぐに視聴ができます。お打ち合わせ、立会いマスタリングのちょっとした待ち時間にも、ぜひとも視聴してみてください。手引きアイスコーヒーも(もちろん無料で)お出ししています。


ご自宅でのDSD LIVE Streaming 視聴方法 KORG DSD DACの場合 ---------------------------
1. DACドライバ ダウンロード
「KORG DS-DAC-10」のドライバをダウンロードしてください。
下記URLにアクセスすると直接ダウンロードできます。

2. PrimeSeat ダウンロード
DSD Live StreamingサイトよりPrimeSeatをダウンロードしてください。
『DSD Live Streaming』:http://dsd.st/ja/

3. PCに各機器を接続
PC→DAC→ヘッドフォンの順に接続してください。
詳細は下記URLの『再生手順』をご覧ください。
http://dsd.st/ja/howto/
PC→DAC→ヘッドフォンの順に接続してください。
詳細は下記URLの『再生手順』をご覧ください。
http://dsd.st/ja/howto/
4. PrimeSeatの起動

5. PrimeSeatの操作/視聴
視聴方法については下記URLをご確認ください。
『DSD Live Streaming視聴方法』:http://dsd.st/ja/howto/
『藤本健のDigital Audio Laboratory』:http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20150330_695194.html
視聴方法については下記URLをご確認ください。
『DSD Live Streaming視聴方法』:http://dsd.st/ja/howto/
『藤本健のDigital Audio Laboratory』:http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20150330_695194.html
ブックマークの『KORG Presents ETHNIC MINORITY@SDM Live 2015』を
選択すると、7/7にサイデラ・マスタリングより実施したETHNIC MINORITYの
ライブ演奏のオンデマンド配信が試聴できます。
ライブ演奏のオンデマンド配信が試聴できます。

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ETHNIC MINORITY サックスの横田寛之さんが、KORGからでている「DS-DAC-100m」という手のひらサイズのコンバーターで視聴した感想をブログにしています。
実際に体験したミュージシャンの体験談、DSDを通じて変化していく音楽の「参加の仕方」、その展望についても触れています。こちらもぜひご覧ください。

2015/04/30
サウンド&レコーディング・マガジン2015年5・6月号「TEAC HA-P90SD」レビュー
現在発売中の「サウンド&レコーディング・マガジン 2015年5・6月号」で、DSDネイティブ再生に対応のUSB DAC/オーデイオプレーヤーの「TEAC HA-P90SD」のレビューをチーフエンジニア森崎が担当しました。
TEAC HA-P90SDは最高1ビット/5.6MHzのDSDネイティブ再生と24ビット/192kHzのPCM再生に対応したUSB DAC/オーディオ・プレーヤー。本体にUSBが付いており、MAC/Windows/Android/iOSの各デバイス接続し、DACとして使うことができます。単体のオーディオプレーヤーとしては、本体に入れたmicroSD/SDHC/SDXCカードからファイルの再生が可能です。詳しい機能をご紹介したいところですが、そちらはぜひ「サウンド&レコーディング・マガジン 2015年5・6月号」をご覧ください!
実際に使ってみると、69.6(W)×123(H)×21.5(D)mmというサイズからは想像できないほど、演奏の熱量がストレートに伝わってきます。HA-P90SDがあれば高品質なオーディオ回路により、誰でもスタジオでアーティストが聴いているリアルな音を体感できます。
実際に使ってみると、69.6(W)×123(H)×21.5(D)mmというサイズからは想像できないほど、演奏の熱量がストレートに伝わってきます。HA-P90SDがあれば高品質なオーディオ回路により、誰でもスタジオでアーティストが聴いているリアルな音を体感できます。
2015/04/18
「アナログレコードのためのマスタリング」さあどんどん、アナログレコードもつくりましょう!
サイデラ・マスタリングはアナログレコードを強力に推進します!そして、アナログレコード(LP/シングル盤)のサウンドをよりよくしたい。ハイレゾ時代にふさわしい「レコードのためのマスタリング」メニューをつくりました。
+++
サイデラ・マスタリングの「アナログレコードのためのマスタリング」は、3つのステップでアナログレコードのためのマスターをつくります!
1.24ビット/96kHzで通常のハイレゾのマスタリングをする
2.アナログレコードのための調整をほどこす
3.アナログテープまたはCD-Rでマスターを仕上げる
1.24ビット/96kHzでマスタリングをする
サイデラ・マスタリングではミックスマスターが44.1kHzや48kHzであってもマスタリングは最低24ビット/96kHzで仕上げます。その理由は、アナログ機材を通ったサウンドをハイレゾでキャプチャーするため。さらにデジタルドメインのEQ処理をより細かくほどこすため。ハイレゾでマスタリングを仕上げると、自然な音色できめ細かく、奥行きや演奏の空気感がリアルに再現されます。ハイレゾは、小さなニュアンスの差がはっきりとわかります。反射音もしっかり聴こえるので、定位もさらに正確に伝わります。小さな差が積み重なることで、より感動する仕上がりになるのです。
2.アナログレコードのための調整をほどこす
アナログレコードにはカッティングできない音があります。低域と高域です。CDやデシタルではどんな音でも録音できますが、アナログレコードのカッティングでは、次の音は歪みや針飛びの原因となります。ボーカルの子音や、高域の矩形波。音量の大きな高域。左右に広がる低音などです。そういう音は通常「カッティング」の段階で削られます。「アナログレコードのためのマスタリング」では、マスタリング段階でそれらの調整するのです。単純に低域と高域を抑えるだけでなく、抑えたところをアナログレコードに入る音域でおぎなったり、必要な場合はパンニングの広がりを調整したりして意図しない歪みを予防します。そして、この調整もハイレゾでおこなうので繊細な部分まで追い込めます。
3.アナログテープまたはCD-Rでマスターを仕上げる
このように調整をほどこした音源は、完全に調整されたテープレコーダーSTUDER A820で1/4インチアナログテープに録音してカッティング用のマスターとして仕上げます。1/4インチアナログテープからアナログレコードをつくる、王道のやりかたです。アナログテープにより音のピークを自然におさえ、厚みのある、レコードカッティングに最適なマスターができあがります。アナログレコードと周波数特性が似ているアナログテープに録音したときにバランスのいい音に仕上げることで、アナログレコードがそのままに近い音で仕上がるのです。アナログテープは少し高価で、運搬の問題もあります。そういう場合はCD-Rでマスターを仕上げます。CD-Rは24ビット/96kHzからダウンコンバートした16ビットになってしまいますが、ハイレゾで仕上げたマスタリングのよさはしっかりと残ります。
CDやデータと同じ音は絶対に録音できないアナログレコードも、カッティングの前段階での調整をほどこすことでイメージする音に限りなく近いアナログレコードが仕上げられます。あるいはアナログレコードはCD音源よりも「踊れる」「テープコンプレッションを効かせた」「低音の厚みをだした」など意図してちがうサウンドに仕上げることもできます。さあどんどん、アナログレコードもつくりましょう!
1/4インチアナログテープマスターの「アナログレコードのためのマスタリング」料金
ハイレゾでマスタリングを仕上げて1/4インチアナログテープマスターをつくります。「アナログ」のよさを100%表現できる、王道のやり方です。
LPサイズ(50分まで):¥120,000+消費税
・50分までのハイレゾマスタリング
・アナログテープマスター x2巻
・アナログテープマスターの5.6MHzDSDアーカイブデータ
シングルサイズ:¥60,000+消費税
・20分までのマスタリング
・アナログテープマスター x1巻
・アナログテープマスターの5.6MHzDSDアーカイブデータ
CD-Rマスターの「アナログレコードのためのマスタリング」料金
ハイレゾでマスタリングを仕上げてCD-Rマスターをつくります。空気感やダイナミックレンジをしっかり残したCD-Rはハイレゾ時代のアナログレコード制作にぴったりです。
LPサイズ(50分まで):¥100,000+消費税
・50分までのマスタリング
・CD-Rマスター x1枚
・試聴用オーディオCD-R x1枚
シングルサイズ:¥50,000+消費税
・20分までのマスタリング
・CD-Rマスター x1枚
・試聴用オーディオCD-R x1枚
最近、オノが手がている「5.6MHz DSD ダイレクトカッティング」については、お問い合わせください。
2014/11/18
サイデラ・マスタリングでハイレゾマスタリングを体験しよう!(その4)おすすめ作品の紹介
ハイレゾの楽しみ方シリーズの最終回は僕がマスタリングしたおすすめの作品を紹介します。
ひとつは「JiLL-Decoy association / Lining e.p.」です。この作品はKORG社が開発した世界に3台しか存在しないClarityというDSD5.6MHz対応のマルチトラックレコーダーで録音、ミックスした音源です。
ハイレゾの配信が始まったばかりの2012年当時はDSD2.8MHzしか配信できなかったのでDSD5.6MHzの演奏の緊張感、空気感、息遣いをDSD2.8MHzでどうやって表現するかをメンバーと一緒に思考錯誤しました。
最終的に採用したのはラインケーブルと電源ケーブルの選択のみでニュアンスの微調整をする、音色の良さを最大限に活かした色付けのないマスタリングでした。EQやコンプを使えないのでこれだ!という音を見つけるために、音色の違いをメモしながらスタジオのケーブルをほとんどすべて聴き比べたのを覚えています。
まるでCHIHIROさんが目の前で歌っているかのような優しくふわっと広がるボーカルの美しさをぜひ楽しんでください。
もうひとつは「ヲノサトル / ROMANTIC SEASON」です。ヲノさんが提唱しつづけている“ムード・エレクトロ”というサウンドは、ナチュラルで甘いメロディーとキレのあるノイズを融合させた音楽です。この作品は48kHz24bitのwavデータをDSD5.6MHzにアップコンバートしてからアナログEQとコンプでマスタリングしています。アップコンバートすることで音色の繊細なファイナルタッチが可能になります。DSDなら小さな音にもより表現力があります。音が出る瞬間、消え際の余韻までそのまま再現できるんです。今作ではぜひノイズとシンセの響きに注目してください。これだけ粒子の細かい生命力のあるノイズとフレーズの重なりまでわかるシンセの音は44.1kHz16bitのCDフォーマットでは再現が不可能です。
ハイレゾのマスタリングをしていると、ボリュームを確認することがよくあります。演奏の細かいフレーズまで良く聴こえるのでいつもの音量レベルよりも大きく聴こえるんです。
同じような体験をクラッシックのコンサートやJAZZのライブでも体験できます。けっして大きな音ではないのに演奏がすっと入ってきます。ハイレゾの音はリスナーが自宅にいながらスタジオで聴こえている音や生演奏に近い体験をできることが一番の魅力ですね。
サイデラ・マスタリングではCDのマスタリングのときに手軽にハイレゾの体験をすることができます。ハイレゾのリアリティ溢れる音を是非体験しに来てください!
このシリーズのバックナンバーはこちら→
(その1)「ハイレゾマスタリング、2つのフォーマットで異なるプロセスと仕上がり」
(その2)「CDとハイレゾマスタリングはここが違う!」
(その3)「ハイレゾの楽しみ方」
2014/08/11
露木達也さんソロアルバム「agora」マスタリングを終えて特別インタビュー(その2)
露木達也さんソロアルバム「agora」マスタリングを終えて特別インタビュー(その2)
「音楽が伝わるDSD。演奏をそのまま伝えるためのマスタリング」
インタビュアー:Mush(Saidera Mastering)
ボサノバ&ブラジリアンギタリストである露木達也さんの初のソロアルバム「agora」。露木さん本人と、録音・ミックスエンジニアは名手鎌田岳彦さん、サウンドプロデューサーの加藤みちあきさん、プロデューサーの原田雅子、DSDマスタリングをやらせていただいたオノ セイゲンを加えて、マスタリングを終えた段階でお話を伺いました。CDは7月9日にリリースされ、後追いでハイレゾが配信スタート予定です。
インタービュー(その1)はこちら。
露木達也さんソロアルバム「agora」マスタリングを終えて特別インタビュー(その1)
Mush:ではマスタリング後の印象は?
加藤:会う人みんなに聴かせるのですが、エンジニアの友達なんかも「これミックスもいいけどマスタリングもいいね!」と言ってくれるんですよ。なにも予備知識を与えなくても。普通はマスタリングの前後を比べてマスタリングいいねってなるけど、マスタリング前を聴かせなくてもそういう答えが返ってきて。すごく有機的に結合している感じがする。鎌田さんのミックスももちろん良くて、それがより音楽的になっていて。
鎌田:マスタリングですごい色々なことをやっているのではなくて、僕のやっていることの延長線上にセイゲンさんがいるみたいな感覚ですよね。いかに録った時のクオリティや音楽的な要素をCDとかDSDのフォーマットの中でかたちにしていくかということがマスタリングだと思うんですけど、そこのバトンタッチは全然問題なくできました。
原田:セイゲンさんも、ちょっと聴いただけで「まさにDSD向けですね」っておっしゃってましたしね。
加藤:僕はDSDの音すごいいいなと思いました。よくハイレゾに意味があるのか?みたいな話題があって懐疑的な気持ちもあったんですが、ぜんぜん違うじゃんって。意味ないって言ってる人聴いたことあるのかって思いました(笑い)。周波数がどうとかっていうことではなく音楽的な感じがとてもある。だからハイレゾはオーディオファンだけのものだけじゃなくて、音楽ファンにこそ聴いてもらいたい。
Mush:ハイレゾについてよく周波数やスペックで語られることが多いですが、制作現場はそういう風に聴いてることはありませんからね。それと今回はCD用マスタリングで、少しコンプレッションした別バージョンも作りましたが、最終的にはコンプなしバージョンが採用になりました。そのコンプありなしの印象はどうでしたか?
加藤:圧倒的に僕はコンプレッションしていない方がよかったです。マスタリングしている時の感じが蘇るというか。露木さんは実力があるから、コンプなしでも全然大丈夫だし、音楽性にもとても合っていたと思います。
露木:やっぱりコンプありの方はギターや声の質感が変わってしまっている感じがあって、あと全体的に細かいところがわからなくなるように感じました。アコースティック感が減っちゃうというか。
原田:固有のものが減ってしまう感じがありました。普通っぽくなるというか。コンプありの方は急かされる感じというか、押し付けられるような印象がありました。ゆったり気持よく聴けるのはコンプなしの方でした。聴き比べるとよくわかりました。
Mush:音量の大小についてはなにか意見はありますか?
加藤:聴きたいものは聴くわけなので、僕自身は音量が大きい方がいいという考えはないです。
鎌田:一昔前の音圧戦争みたいな時代があって、特にFMでかかったときに小さいと制作側が問題にしてどんどん音圧を突っ込んでいって。アナログのコンプではできなかったことがデジタルのコンプになるとできて理屈上20dB上がるとか。だけどそれをすると例えば奥行き感とか全くない音楽になってしまうので。で、今だんだんジャンルによってはコンプかけないようになってきていて、それでもCDの世界ではある程度かけないと音量差が相当出てしまうのですけど。
Mush:最後に、発売中のCDと今後発売予定のハイレゾ音源について、聴きどころを教えてください。
露木:今作はハイレゾもCDもスピーカーで聴くと、距離感というか近くで音楽を聴いているようなイメージで聴けるんじゃないかと思います。じっくりと、音楽を聴くためだけの空間や時間を使ってほしいなと思います。
加藤:今作「agora」は露木達也のそのままを出しています。露木達也の音楽性と音質面とが一体になった音楽を聴いていただきたいですね。できればハイレゾでも楽しんでください!
+++
アーティスト名: 露木 達也
CDタイトル名 : agora (アゴラ)
定価 : 2500円(税別)
レーベル : Respiração Records
レコード番号:MM-1001
[収録曲]
1 Tucano
2 Este Seu Olhar
3 Triste
4 Luz Solar
5 Corcovado
6 Samambaia
7 Quando Te Vi
8 Seras Verdad
9 Nefertiti
10 Saudade fez um Samba ~ Você e eu
11 Lua no Mar ~海の月~
12 Estate
13 Se Todos Fossem Iguais a Você
露木 達也: Gut Guitar / Electric Guitar / Vocal
参加ミュージシャン: 石川 智 (percussions) 小畑 和彦 (guitar) 橋本 一子 (piano)
サウンドプロデューサー: 加藤 みちあき
レコーディング&ミックスエンジニア: 鎌田 岳彦
マスタリング: オノ セイゲン
Exec.プロデューサー: 原田 雅子
レコーディングスタジオ: Pastral Sound
official facebook page
http://urx.nu/at26
home page
http://tatsuya-tsuyuki.com/
"Tucano" Music Video
http://youtu.be/T_U40hsp63w
"Lua no Mar 〜海の月〜”
http://youtu.be/hj8CNa8hu7s
露木達也(つゆきたつや) 湘南出身のギタリスト/シンガー。
高校生時代にエレキギターを始めロックを演奏するギター少年だったが、やがてMiles DavisやJohn Coltraneなどの音楽からジャズに傾倒し、ECM系のサウンド、Pat Metheny、Keith Jarrett、John Abercrombieらに影響を受け、特にPat Methenyがブラジル音楽への一歩となり、Toninho Horta、遡ってAntonio Carlos Jobim、Joao Gilberto、Caetano Velosoらへとつながり、現在に至る。またクラシックギターに移行する過程では、師事していたアルゼンチン人ギタリストAriel Asselbornの影響で、Quique SinesiやCarlos Aguirre、Luis Salinasなどアルゼンチン・フォルクローレを通過し、現在の演奏スタイルを確立している。
現在はボサノバをメインのフィールドとしながら、複数のユニットで活動を続け、ソロライブも精力的に展開。ソロ活動では、繊細でハートフルなギターと柔らかいヴォイスの弾き語りで、幅広いオーディエンスを魅了。
2014/08/04
露木達也さんソロアルバム「agora」マスタリングを終えて特別インタビュー(その1)
露木達也さんソロアルバム「agora」マスタリングを終えて特別インタビュー(その1)
「ハイレゾで録る。ベテランエンジニアのアプローチとは」
インタビュアー:Mush(Saidera Mastering)
ボサノバ&ブラジリアンギタリストである露木達也さんの初のソロアルバム「agora」。露木さん本人と、録音・ミックスエンジニアは名手鎌田岳彦さん、サウンドプロデューサーの加藤みちあきさん、プロデューサーの原田雅子、DSDマスタリングをやらせていただいたオノ セイゲンを加えて、マスタリングを終えた段階でお話を伺いました。CDは7月9日にリリースされ、後追いでハイレゾが配信スタート予定です。
Mush:まずは録音についてお伺いします。録音をはじめたのはいつ頃でしたか?
原田:2月の終わりでした。3日間でギターなどのバックトラックはすべて録音して、ボーカルだけ少し空いて3月中旬に録りました。録音スタジオはパストラルサウンドです。
Mush:エンジニア鎌田さんは録り段階からハイレゾでのリリースも視野に入れていたのですか?
鎌田:それは最初から目論んでいて、対応できるようなものにしましょうと話していました。録音フォーマットは24ビット96kHz。CMや映画の仕事などでは24ビット48kHzのことも多いけど、今回は24ビット96kHzでPro Tools HDXシステムです。良くも悪くもリアルというかそのまま録れるので、僕らが音楽的な方向にベクトルを持っていかないといけないと考えました。例えば映像だとフィルムがあるじゃないですか。僕らは昔はテープレコーダーで録っていたわけなんですけど、フィルムとかテープのメーカーや種類で質感が変わるんですよ。そのテープに合わせて絞りとかフォーカスとかライティングなど技術的な工夫をするんですけど、そういうバックグラウンドが変わった感じがしました。そういう意味ではアナログのテープレコーダーなんかは録った段階で音楽的になってるんですけど、「変わってるけど音楽的に録れてる」っていう。アナログレベルでは全然気にならなかったものがデジタルで如実になってきて、床の響き方がすごくわかるとか、マイクの角度ちょっと変えるだけですごく変わったりそういうのをアナログレベルで解決していかないといけないなと。ごまかしが効かないなという。僕としてはそっちのほうが積極的にアプローチできるのでいいんですけど。
露木:僕は普段聴き慣れているものより研ぎ澄まされれているような印象がありました。ガットギターもいつもより出ているなと思いました。ただし少し冷たいような印象もありました。
鎌田:そうなるだろうと思って、ビンテージのマイクと、APIとNEVEのマイクプリを持ち込んで使用しました。編成も今回は二人がMAXだったので、ピアノソロとかを除いたらいままでで最小の編成で作られたアルバムだったので。
Mush:さすが鎌田さん!そのあたりをしっかり見越してやっていたということですね。マイキングはどういう風にやられましたか?
鎌田:最低でもギターには3本立てました。スタジオの真空管マイクと、ヴィンテージのNeumann U87と、KM184。それプラス、ソロの時はオフマイクを使いました。デュオの時も同じようなセットでそれに対してオフマイクを使ったりして。ギターアンプを使うときはアンプに2本プラス弾いている手元に立ててそれを使ったり使わなかったりで。真空管のマイクを使ったので、録音が始まる前から電源は入れているんだけど、実はいい感じになる時間帯があって。
加藤:そうそう、艶とふくよかさが同居していて。あれは素晴らしかったね。
Mush:そういう要素もしっかり残っているんですね。ミックスは鎌田さんのスタジオ「foxyroom」で行ったのですか?
鎌田:そう、KORG MR-2000Sに5.6MHz DSDにトラックダウンしました。もう何度も使っています。
原田:DSDの音は初めてでしたが、パーッと広がって温かみのある音という印象でした。
Mush:サイデラ・マスタリングでミックスマスター(DSD)を聴いた印象は?
加藤:(マスタリング前の)鎌田さんのミックスの音、素晴らしかったです。この先の変化が楽しみだなと思った。
鎌田:僕としては、サイデラ・マスタリングのモニター環境での確認の作業に近いです。自分のスタジオで聴こえていない低音なんかは想定してやっているので、そこが大丈夫かという確認。
Mush:鎌田さんがミックスの作品は、オノもいつも、ほとんど完璧だと言ってマスタリングにとりかかっています。本当に素晴らしいサウンドです!
+++
アーティスト名: 露木 達也
CDタイトル名 : agora (アゴラ)
定価 : 2500円(税別)
レーベル : Respiração Records
レコード番号:MM-1001
[収録曲]
1 Tucano
2 Este Seu Olhar
3 Triste
4 Luz Solar
5 Corcovado
6 Samambaia
7 Quando Te Vi
8 Seras Verdad
9 Nefertiti
10 Saudade fez um Samba ~ Você e eu
11 Lua no Mar ~海の月~
12 Estate
13 Se Todos Fossem Iguais a Você
露木 達也: Gut Guitar / Electric Guitar / Vocal
参加ミュージシャン: 石川 智 (percussions) 小畑 和彦 (guitar) 橋本 一子 (piano)
サウンドプロデューサー: 加藤 みちあき
レコーディング&ミックスエンジニア: 鎌田 岳彦
マスタリング: オノ セイゲン
Exec.プロデューサー: 原田 雅子
レコーディングスタジオ: Pastral Sound
official facebook page
http://urx.nu/at26
home page
http://tatsuya-tsuyuki.com/
"Tucano" Music Video
http://youtu.be/T_U40hsp63w
"Lua no Mar 〜海の月〜”
http://youtu.be/hj8CNa8hu7s
露木達也(つゆきたつや) 湘南出身のギタリスト/シンガー。
高校生時代にエレキギターを始めロックを演奏するギター少年だったが、やがてMiles DavisやJohn Coltraneなどの音楽からジャズに傾倒し、ECM系のサウンド、Pat Metheny、Keith Jarrett、John Abercrombieらに影響を受け、特にPat Methenyがブラジル音楽への一歩となり、Toninho Horta、遡ってAntonio Carlos Jobim、Joao Gilberto、Caetano Velosoらへとつながり、現在に至る。またクラシックギターに移行する過程では、師事していたアルゼンチン人ギタリストAriel Asselbornの影響で、Quique SinesiやCarlos Aguirre、Luis Salinasなどアルゼンチン・フォルクローレを通過し、現在の演奏スタイルを確立している。
現在はボサノバをメインのフィールドとしながら、複数のユニットで活動を続け、ソロライブも精力的に展開。ソロ活動では、繊細でハートフルなギターと柔らかいヴォイスの弾き語りで、幅広いオーディエンスを魅了。
2014/07/09
サイデラ・マスタリングでハイレゾマスタリングを体験しよう!(その1)「ハイレゾマスタリング、2つのフォーマットで異なるプロセスと仕上がり」
サイデラ・マスタリングではCDのマスタリングと同時にハイレゾのマスターを作成することを推奨しています。
僕のハイレゾ用マスタリングは、
1.DSD 1ビット/5.6MHz
2.PCM 24ビット/96kHz
のどちらかのフォーマットを、ハイレゾの仕上がりイメージに合わせて選択します。2つはそれぞれ異なるプロセスで、異なる仕上がりになります。
1.DSD 1ビット/5.6MHzのハイレゾマスタリングは、音の鮮度、グルーブ、空気感が魅力の、ミックス音源の良さを最大限に引き出したサウンド。最小限のアナログEQ、アナログコンプのみで楽曲のダイナミクスを活かすマスタリングを施します。美味しいステーキを塩コショウのみのシンプルな味付けで仕上げるようなイメージで、その一番の特徴はリアリティー!ボーカルの息遣い、ギターやピアノの繊細なタッチなど、まるで目の前で演奏しているようなサウンドです。
2.PCM 24ビット/96kHzのハイレゾマスタリングは、CDのマスタリングと同じく、デジタルEQ、デジタルコンプを使って積極的な音作りを施したマスタリングをします。キック、ベースの音色の調整、ボーカルやソロ楽器を強調したりなど、より細かい微調整ができます。
どちらの仕上げも、実際に立ち会った皆さんの感想は「広がり、空気感がある」「音色が自然でヌケがいい」「ボーカルが心地いい」「音の輪郭が鮮明」「CDの音の印象がブラウン管テレビの映像ならハイレゾはハイビジョン」と好印象です。まだハイレゾを未体験のアーティストの皆さん、ぜひ自分の音源でハイレゾを体験しにきてください。今までのCDの音とは感動の伝わり方が違いますよ!
2014/06/17
通勤中にいかがですか?WEBで読めるオノ セイゲン・インタビュー記事
こんにちは!デスクの久保です!
サイデラでは現在、過去の資料の整理整頓をしています。20年ほど前の雑誌の切り抜きが保存されていたりもして、とても興味深い資料になっています。
私は今回、WEBで読めるオノのインタビューを(ほぼ)時系列でピックアップし、まとめてみました。
スタジオ機材のことから音楽界の展望まで色々な切り口の記事があり、どれも非常に読み応えがあります!
KORG インタビュー
http://www.korg.com/jp/features/artists/2014/0404/index.php
DS-DAC-10を中心とした、DSDマスタリングに関するインタビュー。
マスタリングにおけるポリシーや、サイデラで使用している機材についても、写真を交えて解説しています。

<特別インタビュー>DSD 5.6MHzリマスター版「戦場のメリークリスマス」誕生秘話
http://www.phileweb.com/interview/article/201401/20/216.html
2013年12月に「Merry Christmas Mr.Lawrence - 30th Anniversary Editon -」として登場した「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックのリマスタリングに関するインタビュー。
アナログシンセの名器である「Prophet-5」の音。DSDで改めて聴いた時の驚きや、坂本龍一氏が音色にこだわった音作りをそのまま伝えるというスタンス等、音源製作時のエピソードも交えています。

音質の行方 Vol.1
http://ototoy.jp/feature/index.php/20110815
高音質音源配信サイト、OTOTOYでのインタビュー。アナログからデジタルへの過渡期のことやDSDとの出会い、そしてこれからの音とリスナーの関係など、過去のレコーディングから未来の展望まで捉えた記事です。

ECLIPSE インタビュー
http://www.userlist-eclipse-td.com/onoseigen.html
スタジオでモニタースピーカーとして使用しているECLIPSEのレビューとアルバム「マリア・アンド・マリア」について。
録音された原音を忠実に再現するECLIPSE。ECLIPSE自体のレビューや使い方のポイント、リファレンス用モニターとして用いたアルバム「マリア・アンド・マリア」の制作の裏話がかなり詳細に書かれています。「マリア・アンド・マリア」裏話は作曲、演奏、レコーディング、マスタリングまで、全ての工程をオノがディレクションしたからこそ語られる充実の内容です。

製品レビュー:GRACE designによるオノ・セイゲン氏スペシャルインタビュー
http://www.2ndstaff.com/install/7731
GRACE designによるインタビュー。オノが影響を受けた音楽やエンジニアとしてのスタンスなどが語られていますが、個人的に興味深かったのは、記事中で『西洋とは違う日本式の「間」』という言葉で語られている、言葉にすることがとても難しい音楽の非常にデリケートな側面です。

サイデラでは現在、過去の資料の整理整頓をしています。20年ほど前の雑誌の切り抜きが保存されていたりもして、とても興味深い資料になっています。
私は今回、WEBで読めるオノのインタビューを(ほぼ)時系列でピックアップし、まとめてみました。
スタジオ機材のことから音楽界の展望まで色々な切り口の記事があり、どれも非常に読み応えがあります!
KORG インタビュー
http://www.korg.com/jp/features/artists/2014/0404/index.php
DS-DAC-10を中心とした、DSDマスタリングに関するインタビュー。
マスタリングにおけるポリシーや、サイデラで使用している機材についても、写真を交えて解説しています。

<特別インタビュー>DSD 5.6MHzリマスター版「戦場のメリークリスマス」誕生秘話
http://www.phileweb.com/interview/article/201401/20/216.html
2013年12月に「Merry Christmas Mr.Lawrence - 30th Anniversary Editon -」として登場した「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックのリマスタリングに関するインタビュー。
アナログシンセの名器である「Prophet-5」の音。DSDで改めて聴いた時の驚きや、坂本龍一氏が音色にこだわった音作りをそのまま伝えるというスタンス等、音源製作時のエピソードも交えています。

音質の行方 Vol.1
http://ototoy.jp/feature/index.php/20110815
高音質音源配信サイト、OTOTOYでのインタビュー。アナログからデジタルへの過渡期のことやDSDとの出会い、そしてこれからの音とリスナーの関係など、過去のレコーディングから未来の展望まで捉えた記事です。

ECLIPSE インタビュー
http://www.userlist-eclipse-td.com/onoseigen.html
スタジオでモニタースピーカーとして使用しているECLIPSEのレビューとアルバム「マリア・アンド・マリア」について。
録音された原音を忠実に再現するECLIPSE。ECLIPSE自体のレビューや使い方のポイント、リファレンス用モニターとして用いたアルバム「マリア・アンド・マリア」の制作の裏話がかなり詳細に書かれています。「マリア・アンド・マリア」裏話は作曲、演奏、レコーディング、マスタリングまで、全ての工程をオノがディレクションしたからこそ語られる充実の内容です。

製品レビュー:GRACE designによるオノ・セイゲン氏スペシャルインタビュー
http://www.2ndstaff.com/install/7731
GRACE designによるインタビュー。オノが影響を受けた音楽やエンジニアとしてのスタンスなどが語られていますが、個人的に興味深かったのは、記事中で『西洋とは違う日本式の「間」』という言葉で語られている、言葉にすることがとても難しい音楽の非常にデリケートな側面です。

2014/05/07
大切な事は水平線の下にある(その3)ーまずはやっぱり聴いてもらうことですねー
『大切な事は水平線の下にある』
サイデラ・マスタリングでは、ふつうのCDマスタリングの際に、同時にハイレゾのマスターを作成することを推奨しています。Ototoyより、DSD 5.6MHz、PCM 24bit/192kHzでリリースされる『MASSAⅡ』のDSDマスタリングを完了したばかりの、ヒカシューのメンバーとしても知られる佐藤正治さんと弊社シニアエンジニアのオノ セイゲンのふたりに話を聞きました。
「(その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」はこちら。
「(その2)ー感情が伝わりやすいのがDSDー」はこちら。
= 音楽には力があります。それは単なる音ではないのです。ただし、音を介して「感情を時間軸に織り込んだ」もの、それこそが音楽です。サイデラ・マスタリングでは、リスナーの心に「伝わる音」の技術を提供しています。 =
「大切な事は水平線の下にある(その3)ーまずはやっぱり聴いてもらうことですねー」
オノ:スティーブ・ガットですね。
佐藤:そう!スティーブ・ガットですよ。あれがなかなか、僕はドラマーでもあるので、ものすっごく難しいことなんですよね。感情のコントロールが。
オノ:ピアニッシモでグルーブしながら、完璧な音色を並べていくというのは、すごいよね。
佐藤:それを続ける精神っていうのが、そこがやっぱテクニックを越えるそのもの、なんていうんだろう、テクニックを制御、テクニックって恐ろしい獣みたいな部分があるので、それを制御していく精神がすごい。だからこそ、メゾフォルテぐらいで出したものが、信じられないぐらいの衝撃を与えるっていうね。
オノ:よく学生とかが行くようなドラム教室で、訓練の最初ってドンカマ聴きながらスネアのパッドをずっと叩かせるじゃない。タイム感覚の訓練はあるけど、ダイナミックレンジとかその音色、感情の訓練とかってないのかな?
佐藤:僕はずっと人に教える気なかったんだけど、去年ぐらいから教えているんですよ、子供ばっかりだけど。その時はドンカマ使わないの。それでとにかく、自分の叩き方で音色が変わるっていうことを、まず教えるっていうのをやってます。それを自然に教える。こうやるとこうでしょ、こうやるとこうでしょ、じゃなくて。別にみんながドラムのプロになるわけじゃないし、もっと大事なものが育つと思うんですよね。
オノ:音色でね。どの音色でもどのタイミングでも出来るようになれば、要するにプロになるってことだからね。
佐藤:そうです。そっちの方が楽しいと思うよ、人生が。ドラマーになった時にも。
音楽の未来を思えば、今回のようなミックス、マスタリングはすごく大切だと思いますね。いろいろな意味で音楽の世界に活性化を生み出すことに繋がると思います。最初は少しずつでも、心ある人達が集まって、こういう音を普及していけば良いよね。
マッシュ:ハイレゾとかもちょっとずつ始まってきて、一番肝心なのが、良い音届けたいって人達と、良い音聴きたいって人達が今合致してるんで、やっと盛り上がってきたところがあって。そういう人達もまあ今はまだ少ないですけど。それで今回の作品のマスタリングの行程を全部見ていて、佐藤さん特にそういう良いものを残したいっていう気持ちが僕なんかにもすごく伝わって来て、で最終的にこういうところを音質なんかもこっちを選んできたので、その辺はすごい熱意を感じたというか。
佐藤:それはとても嬉しいですね。僕らが今、何をしたいかっていうことを感じて、そういう人達が集まって僕らをプッシュして世に出してくれているわけだから。これからも、一つの生き物のように呼吸する音楽を送り出していきたいですね。あと、ハイレゾの配信ね。ネットとの関係をすごく楽にやっている人はたくさんいるわけだから、ハイレゾの音に触れることが簡単だっていうことを何かの方法でさ、ネットで何か買ったりっていうのは簡単でしょ、今。
マッシュ:はい。そうですよね。
佐藤:良さそうだけど音のことをやるっていうのは、きっとマニアの人達だけのことなのかな?っていう風に思われちゃうみたいな。立ち寄るけど、入らないみたいなさ。それを簡単にできて、こんなに音が良いんだっていうところまで、とりあえず聴いてもらえるところまで簡単にいくと良いなと思います。
マッシュ:おっしゃる通りですね。まずはやっぱり聴いてもらうことですね。
佐藤:そう。そうすれば分かる。それをたくさんの人に広めて欲しいですね。そして、僕らアーティストは、まず良い音をつくります。
オノ:前メジャーが仕切っている時代には「アーティストがミキシングルームから届けたい音」っていうよりは「こっちの方が売れるよ」っていうことだったからね。絶対に間違っていたんだけど「刺激の強い音のが売れる」と、それがダメにした一番の原因だな。もうそういう人は業界には居なくなって、じゃあ何で勝負するって言い出してきたから、やっぱり音楽でしょって言ってる人しか残っていない。
佐藤:なんか甘いって言われてしまうかも知れないけど、やっぱり自分がやっているものに対する愛情の深さなんだと思うんだよね。それが、続けることやり遂げることの根本的な力になるんだと思う。
オノ:今回はまた藤井暁に捧げる。前作「僕らのしぜんの冒険/gate」が遺作となってしまった深町純さんにつづいて。
佐藤:そうですね。何かをやり終えて、次に行く人達が僕のところに立ちに寄ってくれてるのかなという感じがしてます。お二人とも、なんか共振してくれるところがあって、それで立ち寄って、で「俺は次行くから」みたいな・・・感じなのかなっていう風にね。
オノ:責任だよね。
佐藤:DSDやハイレゾについては、やっぱり誰でも聴ける一番良い状態があるってことが、僕らにとってすごく心強いことですね。いろいろな音楽の呼吸を素晴らしいクオリティーで聴いてもらえる。まずは、今回、セイゲンさんにDSDマスタリングして頂いた「MASSA Ⅱ」、たくさんの人に聴いて体感して欲しいですね。
マッシュ:繰り返しますが、まずはDSD聴いてもらうことですね。決して周波数特性だとかの数字だけじゃない、DSD/ハイレゾの良さが伝わると思います。音楽に編み込まれている感情がより伝わってくるのが、聴いてもらえばだれでもわかると思います。
関連リンク:
OTOTOYインタビュー: ヒカシューの佐藤正治率いるMASSA、過去の2作がハイレゾで蘇る!
Saidera Mastering Blog: (その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」
Saidera Mastering Blog: (その2)ー感情が伝わりやすいのがDSDー
ーーーー次回MASSAライブスケジュールーーーーーーーーーーーーー
7/9(水)MASSAライブ
佐藤正治(Per.Vo.) 細井豊(Key.VO.) 太田恵資(Vln.VO.)
open 19:00 / start 19:30
会場:代官山 Simple Voice
http://www.simplevoice.info
TEL:03-6416-3107
住所:東京都渋谷区代官山町14-10 Luz代官山B1
料金:一般予約:¥3000 当日¥3500
学生¥2500 (各+1ドリンク)
MASSA website http://ok-massa.com/massa/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
佐藤正治 x オノ セイゲン
インタビュアー:根本 "マッシュ" 智視
(サイデラ・マスタリング スタジオマネージャー)
サイデラ・マスタリングでは、ふつうのCDマスタリングの際に、同時にハイレゾのマスターを作成することを推奨しています。Ototoyより、DSD 5.6MHz、PCM 24bit/192kHzでリリースされる『MASSAⅡ』のDSDマスタリングを完了したばかりの、ヒカシューのメンバーとしても知られる佐藤正治さんと弊社シニアエンジニアのオノ セイゲンのふたりに話を聞きました。
「(その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」はこちら。
「(その2)ー感情が伝わりやすいのがDSDー」はこちら。
= 音楽には力があります。それは単なる音ではないのです。ただし、音を介して「感情を時間軸に織り込んだ」もの、それこそが音楽です。サイデラ・マスタリングでは、リスナーの心に「伝わる音」の技術を提供しています。 =
「大切な事は水平線の下にある(その3)ーまずはやっぱり聴いてもらうことですねー」
オノ:スティーブ・ガットですね。
佐藤:そう!スティーブ・ガットですよ。あれがなかなか、僕はドラマーでもあるので、ものすっごく難しいことなんですよね。感情のコントロールが。
オノ:ピアニッシモでグルーブしながら、完璧な音色を並べていくというのは、すごいよね。
佐藤:それを続ける精神っていうのが、そこがやっぱテクニックを越えるそのもの、なんていうんだろう、テクニックを制御、テクニックって恐ろしい獣みたいな部分があるので、それを制御していく精神がすごい。だからこそ、メゾフォルテぐらいで出したものが、信じられないぐらいの衝撃を与えるっていうね。
オノ:よく学生とかが行くようなドラム教室で、訓練の最初ってドンカマ聴きながらスネアのパッドをずっと叩かせるじゃない。タイム感覚の訓練はあるけど、ダイナミックレンジとかその音色、感情の訓練とかってないのかな?
佐藤:僕はずっと人に教える気なかったんだけど、去年ぐらいから教えているんですよ、子供ばっかりだけど。その時はドンカマ使わないの。それでとにかく、自分の叩き方で音色が変わるっていうことを、まず教えるっていうのをやってます。それを自然に教える。こうやるとこうでしょ、こうやるとこうでしょ、じゃなくて。別にみんながドラムのプロになるわけじゃないし、もっと大事なものが育つと思うんですよね。
オノ:音色でね。どの音色でもどのタイミングでも出来るようになれば、要するにプロになるってことだからね。
佐藤:そうです。そっちの方が楽しいと思うよ、人生が。ドラマーになった時にも。
音楽の未来を思えば、今回のようなミックス、マスタリングはすごく大切だと思いますね。いろいろな意味で音楽の世界に活性化を生み出すことに繋がると思います。最初は少しずつでも、心ある人達が集まって、こういう音を普及していけば良いよね。
マッシュ:ハイレゾとかもちょっとずつ始まってきて、一番肝心なのが、良い音届けたいって人達と、良い音聴きたいって人達が今合致してるんで、やっと盛り上がってきたところがあって。そういう人達もまあ今はまだ少ないですけど。それで今回の作品のマスタリングの行程を全部見ていて、佐藤さん特にそういう良いものを残したいっていう気持ちが僕なんかにもすごく伝わって来て、で最終的にこういうところを音質なんかもこっちを選んできたので、その辺はすごい熱意を感じたというか。
佐藤:それはとても嬉しいですね。僕らが今、何をしたいかっていうことを感じて、そういう人達が集まって僕らをプッシュして世に出してくれているわけだから。これからも、一つの生き物のように呼吸する音楽を送り出していきたいですね。あと、ハイレゾの配信ね。ネットとの関係をすごく楽にやっている人はたくさんいるわけだから、ハイレゾの音に触れることが簡単だっていうことを何かの方法でさ、ネットで何か買ったりっていうのは簡単でしょ、今。
マッシュ:はい。そうですよね。
佐藤:良さそうだけど音のことをやるっていうのは、きっとマニアの人達だけのことなのかな?っていう風に思われちゃうみたいな。立ち寄るけど、入らないみたいなさ。それを簡単にできて、こんなに音が良いんだっていうところまで、とりあえず聴いてもらえるところまで簡単にいくと良いなと思います。
マッシュ:おっしゃる通りですね。まずはやっぱり聴いてもらうことですね。
佐藤:そう。そうすれば分かる。それをたくさんの人に広めて欲しいですね。そして、僕らアーティストは、まず良い音をつくります。
オノ:前メジャーが仕切っている時代には「アーティストがミキシングルームから届けたい音」っていうよりは「こっちの方が売れるよ」っていうことだったからね。絶対に間違っていたんだけど「刺激の強い音のが売れる」と、それがダメにした一番の原因だな。もうそういう人は業界には居なくなって、じゃあ何で勝負するって言い出してきたから、やっぱり音楽でしょって言ってる人しか残っていない。
佐藤:なんか甘いって言われてしまうかも知れないけど、やっぱり自分がやっているものに対する愛情の深さなんだと思うんだよね。それが、続けることやり遂げることの根本的な力になるんだと思う。
オノ:今回はまた藤井暁に捧げる。前作「僕らのしぜんの冒険/gate」が遺作となってしまった深町純さんにつづいて。
佐藤:そうですね。何かをやり終えて、次に行く人達が僕のところに立ちに寄ってくれてるのかなという感じがしてます。お二人とも、なんか共振してくれるところがあって、それで立ち寄って、で「俺は次行くから」みたいな・・・感じなのかなっていう風にね。
オノ:責任だよね。
佐藤:DSDやハイレゾについては、やっぱり誰でも聴ける一番良い状態があるってことが、僕らにとってすごく心強いことですね。いろいろな音楽の呼吸を素晴らしいクオリティーで聴いてもらえる。まずは、今回、セイゲンさんにDSDマスタリングして頂いた「MASSA Ⅱ」、たくさんの人に聴いて体感して欲しいですね。
マッシュ:繰り返しますが、まずはDSD聴いてもらうことですね。決して周波数特性だとかの数字だけじゃない、DSD/ハイレゾの良さが伝わると思います。音楽に編み込まれている感情がより伝わってくるのが、聴いてもらえばだれでもわかると思います。
関連リンク:
OTOTOYインタビュー: ヒカシューの佐藤正治率いるMASSA、過去の2作がハイレゾで蘇る!
Saidera Mastering Blog: (その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」
Saidera Mastering Blog: (その2)ー感情が伝わりやすいのがDSDー
ーーーー次回MASSAライブスケジュールーーーーーーーーーーーーー
7/9(水)MASSAライブ
佐藤正治(Per.Vo.) 細井豊(Key.VO.) 太田恵資(Vln.VO.)
open 19:00 / start 19:30
会場:代官山 Simple Voice
http://www.simplevoice.info
TEL:03-6416-3107
住所:東京都渋谷区代官山町14-10 Luz代官山B1
料金:一般予約:¥3000 当日¥3500
学生¥2500 (各+1ドリンク)
MASSA website http://ok-massa.com/massa/
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2014/04/22
大切な事は水平線の下にある(その2)ー感情が伝わりやすいのがDSDー
『大切な事は水平線の下にある』
サイデラ・マスタリングでは、ふつうのCDマスタリングの際に、同時にハイレゾのマスターを作成することを推奨しています。Ototoyより、DSD 5.6MHz、PCM 24bit/192kHzでリリースされる『MASSAⅡ』のDSDマスタリングを完了したばかりの、ヒカシューのメンバーとしても知られる佐藤正治さんと弊社シニアエンジニアのオノ セイゲンのふたりに話を聞きました。
「(その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」はこちら。
= 音楽には力があります。それは単なる音ではないのです。ただし、音を介して「感情を時間軸に織り込んだ」もの、それこそが音楽です。サイデラ・マスタリングでは、リスナーの心に「伝わる音」の技術を提供しています。 =
「大切な事は水平線の下にある(その2)ー感情が伝わりやすいのがDSDー」
佐藤:「今回誰にマスタリングしてもらうの?」と藤井さんに訊かれて、「セイゲンさんですよ。」って言って。誰がマスタリングするのかで自分のミキシングを変えて、後の作業に余裕を持たせるというのかな、「マスタリングでやった方が良いことは残しておきながらミックスをするね。」ということを僕に一言言って。そこにはエンジニア同士の信頼関係っていうのがもちろんあるわけで、その辺のさじ加減に関しては、藤井さんとの付き合いも長いこともあって、僕は安心していました。ミックスダウンは、定位にしろ何にしろ、データ的な解釈ではなくて、絵画的というか、ミックス自体に演奏家のようにどういう想いがあるかが表れているかどうかを聴いて、善し悪しを判断するという作業でしたね。
オノ:ミキシングとは、それが一番大事なことなんですよ。みんな本末転倒しているんだけど。なんでミキシングするのかっていったら、そうやって音楽の表現として、ダイナミックレンジと音色を作って、リスナーにはそのままを聴いてもらいたいわけですよ。私のマスタリングのポリシーで大事にしてることは「自分のカラーをつけたり、脚色したりしない」こと。ミキシング現場では、演奏家がミキシングエンジニアといっしょに、表現はこうしたいんだなっていうマスターを完成してきあがってるんですから。その感じから、それ以上の色付けせずにリスナーまで届ける事。だからそこに自分の趣味嗜好とかボリューム競争とかは極力織り込まない。もちろん自分流の個性で勝負するマスタリングエンジニアはいっぱいいますよ。私はあえて自分の個性は押し付けない。本来、ミキシング現場での音はこういう感じでコントロールルームのスピーカーから出ていたはず、というのを再現するだけ。こう聴かれてたな、演奏者はこれを届けたいんですよ。マスタリングとは、そこが最初のステップですよ。もちろん最初から「ボリューム勝負で限界まで」というオーダーもありますよ。出来ませんとは言いませんけど、それは私にとってはクリエイティブな仕事ではない。それは私がやらなくても、ほかのもっといいエンジニアを紹介します。
佐藤:それ超親切だよ(笑)。
オノ:刺激が強い方を選びたがるんだよね。しかもアルバム全部聴くんじゃなくて、1曲だけとか1曲の頭だけとか聴いてね。レコード店頭では試聴機に入ってる曲みたいに、3曲の頭だけ聴いて買うかどうかを決める人は、今回のような仕上がりだと、がちゃがちゃ騒がしい店頭で時間もないし、しっかり聴けなかったりする。通して聴くと、実は違う、感動するのにね。
佐藤:心ある人達は、ここ何年も何十年もずっと言ってることだけれど、結局音楽がなぜあるかっていうことを考えると、そういう感動したりとか、いろんな大切なものがあるはずなのね。さっき言った刺激とか、そういうところにいくのは商売だからしょうがない部分もあるかも知れないけどね、ビジネスだから。だけどすごく大事なことは、音楽が本当になぜあるのかってことなんですよね。そのことを置き去りにして音楽業界の中だけで競争してるから、音圧競争みたいなのが始まるわけで。そんな音楽ばかりになってしまったら、本当に音楽を愛している人達は、音楽産業に愛想を尽かせて去って行ってしまう。
オノ:今おっしゃったことがまさに、20年間のボリューム戦争で起こってしまったことで、演奏の細部の表現や音色を犠牲にしてまでボリューム優先にしたことが、音楽CDのマーケットがなくなった一番の原因です。面白くなくなった原因の2つ目は、良い音で聴いてないということです。音色を届けられていないということね。ボリューム戦争=演奏や音色の平均化が起こっていて、すごく上手い最高のグルーブも、そこそこ上手い演奏も、まあ普通かなという演奏も、全部同じに聴こえる。全部が、まあ普通の演奏に聴こえてしまう。
佐藤:全部普通。そんなものは誰も求めてないはずなのに。音楽にとって必要不可欠なものを捨ててきてしまったんだよね。それを普及していかなきゃだめですよね。だってクライアントが詰め込めっつったら詰め込まなきゃなんない世の中だから。
オノ:最近のCMでは、さっきも言ったけどボリューム突っ込めばオンエア乗りが良いかっていうと、そうではないんです。だからボリュームを詰め込めば良いとはいえなくなった。ボリューム戦争は終わった。私の中では、もう何年も前に完全に終わってて、あとは本当にクライアントやアーティスト自身がなんで録音やってんだ、ってことに気付いてくれるかどうかって言う点です。
佐藤:今、セイゲンさんの言われた、CMのボリュームとオンエア乗りの話っていうのは、少なくとも発注する側のプロフェッショナルは、みんな知っていてほしいと思いますね。たくさんいると思うんですよ、とりあえずボリューム詰め込まなきゃみたいな人が。でもさっき言ったみたいに、下手すると音楽自体の存亡に関わることになりかねない。
マッシュ:今は過度期でハイレゾとCDと2つがあるんですが、聴き比べないと分からないんですよね。そういうものだと思って。
オノ:そりゃそうだ。
佐藤:逆に言えば、聴き比べれば、どんな人でも分かる。
マッシュ:それでどちらが好きかどうかっていうのはまた別の話になるんですけど、違いって言うのはだれでも分かるはずなので、まずは聴いてもらわないとってことですよね。こういうのもあるんだぞっていうのを知らない人の方が圧倒的に多いと思うんですよね。
佐藤:で、今回面白かったのが、人って僕らでもいろんなこと分かっていながら、大きい方をって選びたくなっちゃうところもある。それほど鈍くはないのですぐ分かるんですけど。今回逆にね、アンプのボリュームは変えないで、でかいのを聴いてから、ダイナミックレンジが広いんだけど小さい方に戻したときに、空間に限界があることを音量ってのは表現して、ダイナミックレンジってのは、空間は無限であるとことを表現するんだってことをすごく感じて。
オノ:素晴らしい事言うね!「ダイナミックレンジってのは、空間は無限であるとこと」おっしゃる通りですがな。
佐藤:音量が小さくても素敵なんですよね、小さく、というかダイナミックレンジの大きな方をかけたら空間が大きく感じた、それが嬉しかったですね。これだよね。これでしょうって。
オノ:俺たちがやってんのはこれだよねって。
佐藤:そうそう。それで迷うことなく、MASSAの新譜「MASSA Ⅱ」は、ダイナミックレンジの広い方で出すことにしました。音量に関しては、本当に豊かな音を体験して頂けるように、わざわざそういう風にしてるんですってことを書いて、逆にアピールをしようと思ってます。
オノ:すごく大事なことなんです。演奏家の人たちは、もっと自信もってアピールして欲しい。遠慮なく、指摘するのです「こんな音でやってませんよ」って。つまり、万一(けっこうよくある話なんですが)自分で演奏している通り、つまりそこで楽器から音が聞こえているとおりに、プライバックすると聴こえていない場合が問題なんですね。昔からドラマーが一番うるさい。名前は出しませんが「オレの音、こんなおとじゃないよ!(怒)」で、ドラムの音決めがさっと終わらないとつぎに進めない。
佐藤:あとね、こういう録音なりマスターが残る、残るんだぞっていうことで、演奏家が育つと思う。
オノ:名言が次々と出ますね!「演奏家が育つ録音」。
佐藤:無理矢理音圧上げて詰め込んだ音は、それこそ機械か人間か判別がつかないような音になってしまう。
オノ:残念ですね。そんなもんで演奏のスリルというか、音色やダイナミックレンジが良いかと思っちゃうんですよね。
佐藤:そうです。逆に豊かな音は演奏家を育てます。シビアだから。
オノ: DSDマスタリングって、演奏やってる「状況そのものが見える」でしょ。どんな繊細なタッチでも、どういう奏法やってるかって。マレットの違いとかもちろん。実はヒカシューの新作『万感』もすごい演奏、素晴らしいんですよ。ルー・リードのエンジニアも担当するマーク・ウルゼリがエンジニアで、日本ではあまり知られてないけど、私はイチオシのエンジニアです!あれもね、もちろんDSDミキシングしてもらって、DSDマスタリングは、ここでメンバー立ち会いでやった。でも、結局CDの方は前作『うらごえ』にも合わせて、少しレベルアップしようかってことになり、3dBアップ5dBアップとかいろいろ作ってね。5dBアップだとやっぱり音楽自体が変わっちゃうので。演奏のスリルが消えてしまうんですね。だから同じミックスマスターからなのに、『万感』はCDとDSDダウンロードでは違う演奏に聞こえちゃいます。演奏のスリリングさはDSDです。で、お気軽に聴くならCD。
佐藤:そうですよね。
オノ:やっぱり演奏の差が抜きん出て出るのは、いわゆるコンプレッションとか、ボリューム戦争の方にいかないやり方なんですよ。何が変わるかというと、コンプがかかると演奏が下手な人も上手い人も同じ感じになってっいっちゃう。マスタリングで「演奏が良くなりました」とか「こういう演奏がしたかったんだよね」って言ってくれる人もいるんですけど。実はそれはすごく良い演奏のクラシックの演奏が上手い人もジャズの演奏が上手い人もそうなんだけど、ヒカシューの今回の演奏なんかね、まさにそれに匹敵して、どれぐらい繊細なとことかスピード感とか立ち上がりとかが出るかって。またマークのミックスがまたこっちもまた良いんだわ。
佐藤:そう、マークも超やる気でね!
オノ:彼は、いまローリー・アンダーソンと一緒に悲しみのどん底です。ルー・リードが亡くなって。その中で、ソロとかのフレーズに別に彼がいるわけじゃないんだけど、悲しみとか聴こえてくるわけ。
佐藤:わかるわかる。間にね、すごい痛みを感じるミックスだったから。
オノ:でしょ。そういうの感じるじゃない。で、こういう細かい痛みとか、演奏の上手さとか繊細なところが、小さな音量の部分を上げていく程に、それがなくなっていって、演奏家の差とか音色の差が分かりにくくなっていく。この価値の差は大きい。感情が伝わりやすいのがDSDであるとも断言できる。
佐藤:それは演奏家から聞くとすごい分かり易い表現だなって思いますね。だから演奏家のテクニックや感性をダイナミックレンジに例えれば、狭めることによって似てきちゃうっていう。そういうのと同じなんだよね。おもしろい。
昔、金子由香利さんのシャンソンを聴いて、すっごい小さい声でやるの。だからバンドもすごい小さい音でやんなきゃならない。それでお客さんみんながこうやって体が前のめりになる頃に、わーんって自分の言いたいことを感情込めて歌う。そうするともう、観客は打ちのめされてしまうの。
関連リンク:
OTOTOYインタビュー: ヒカシューの佐藤正治率いるMASSA、過去の2作がハイレゾで蘇る!
Saidera Mastering Blog: (その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」
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4/23(水)MASSAライブ
佐藤正治(Per.Vo.) 細井豊(Key.VO.) 太田恵資(Vln.VO.)
open 19:00 / start 19:30
会場:代官山 Simple Voice
TEL:03-6416-3107
住所:東京都渋谷区代官山町14-10 Luz代官山B1
料金:一般予約:¥3000 当日¥3500
学生¥2500 (各+1ドリンク)
MASSA website http://ok-massa.com/massa/
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佐藤正治 x オノ セイゲン
インタビュアー:根本 "マッシュ" 智視
(サイデラ・マスタリング スタジオマネージャー)
サイデラ・マスタリングでは、ふつうのCDマスタリングの際に、同時にハイレゾのマスターを作成することを推奨しています。Ototoyより、DSD 5.6MHz、PCM 24bit/192kHzでリリースされる『MASSAⅡ』のDSDマスタリングを完了したばかりの、ヒカシューのメンバーとしても知られる佐藤正治さんと弊社シニアエンジニアのオノ セイゲンのふたりに話を聞きました。
「(その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」はこちら。
= 音楽には力があります。それは単なる音ではないのです。ただし、音を介して「感情を時間軸に織り込んだ」もの、それこそが音楽です。サイデラ・マスタリングでは、リスナーの心に「伝わる音」の技術を提供しています。 =
「大切な事は水平線の下にある(その2)ー感情が伝わりやすいのがDSDー」
佐藤:「今回誰にマスタリングしてもらうの?」と藤井さんに訊かれて、「セイゲンさんですよ。」って言って。誰がマスタリングするのかで自分のミキシングを変えて、後の作業に余裕を持たせるというのかな、「マスタリングでやった方が良いことは残しておきながらミックスをするね。」ということを僕に一言言って。そこにはエンジニア同士の信頼関係っていうのがもちろんあるわけで、その辺のさじ加減に関しては、藤井さんとの付き合いも長いこともあって、僕は安心していました。ミックスダウンは、定位にしろ何にしろ、データ的な解釈ではなくて、絵画的というか、ミックス自体に演奏家のようにどういう想いがあるかが表れているかどうかを聴いて、善し悪しを判断するという作業でしたね。
オノ:ミキシングとは、それが一番大事なことなんですよ。みんな本末転倒しているんだけど。なんでミキシングするのかっていったら、そうやって音楽の表現として、ダイナミックレンジと音色を作って、リスナーにはそのままを聴いてもらいたいわけですよ。私のマスタリングのポリシーで大事にしてることは「自分のカラーをつけたり、脚色したりしない」こと。ミキシング現場では、演奏家がミキシングエンジニアといっしょに、表現はこうしたいんだなっていうマスターを完成してきあがってるんですから。その感じから、それ以上の色付けせずにリスナーまで届ける事。だからそこに自分の趣味嗜好とかボリューム競争とかは極力織り込まない。もちろん自分流の個性で勝負するマスタリングエンジニアはいっぱいいますよ。私はあえて自分の個性は押し付けない。本来、ミキシング現場での音はこういう感じでコントロールルームのスピーカーから出ていたはず、というのを再現するだけ。こう聴かれてたな、演奏者はこれを届けたいんですよ。マスタリングとは、そこが最初のステップですよ。もちろん最初から「ボリューム勝負で限界まで」というオーダーもありますよ。出来ませんとは言いませんけど、それは私にとってはクリエイティブな仕事ではない。それは私がやらなくても、ほかのもっといいエンジニアを紹介します。
佐藤:それ超親切だよ(笑)。
オノ:刺激が強い方を選びたがるんだよね。しかもアルバム全部聴くんじゃなくて、1曲だけとか1曲の頭だけとか聴いてね。レコード店頭では試聴機に入ってる曲みたいに、3曲の頭だけ聴いて買うかどうかを決める人は、今回のような仕上がりだと、がちゃがちゃ騒がしい店頭で時間もないし、しっかり聴けなかったりする。通して聴くと、実は違う、感動するのにね。
佐藤:心ある人達は、ここ何年も何十年もずっと言ってることだけれど、結局音楽がなぜあるかっていうことを考えると、そういう感動したりとか、いろんな大切なものがあるはずなのね。さっき言った刺激とか、そういうところにいくのは商売だからしょうがない部分もあるかも知れないけどね、ビジネスだから。だけどすごく大事なことは、音楽が本当になぜあるのかってことなんですよね。そのことを置き去りにして音楽業界の中だけで競争してるから、音圧競争みたいなのが始まるわけで。そんな音楽ばかりになってしまったら、本当に音楽を愛している人達は、音楽産業に愛想を尽かせて去って行ってしまう。
オノ:今おっしゃったことがまさに、20年間のボリューム戦争で起こってしまったことで、演奏の細部の表現や音色を犠牲にしてまでボリューム優先にしたことが、音楽CDのマーケットがなくなった一番の原因です。面白くなくなった原因の2つ目は、良い音で聴いてないということです。音色を届けられていないということね。ボリューム戦争=演奏や音色の平均化が起こっていて、すごく上手い最高のグルーブも、そこそこ上手い演奏も、まあ普通かなという演奏も、全部同じに聴こえる。全部が、まあ普通の演奏に聴こえてしまう。
佐藤:全部普通。そんなものは誰も求めてないはずなのに。音楽にとって必要不可欠なものを捨ててきてしまったんだよね。それを普及していかなきゃだめですよね。だってクライアントが詰め込めっつったら詰め込まなきゃなんない世の中だから。
オノ:最近のCMでは、さっきも言ったけどボリューム突っ込めばオンエア乗りが良いかっていうと、そうではないんです。だからボリュームを詰め込めば良いとはいえなくなった。ボリューム戦争は終わった。私の中では、もう何年も前に完全に終わってて、あとは本当にクライアントやアーティスト自身がなんで録音やってんだ、ってことに気付いてくれるかどうかって言う点です。
佐藤:今、セイゲンさんの言われた、CMのボリュームとオンエア乗りの話っていうのは、少なくとも発注する側のプロフェッショナルは、みんな知っていてほしいと思いますね。たくさんいると思うんですよ、とりあえずボリューム詰め込まなきゃみたいな人が。でもさっき言ったみたいに、下手すると音楽自体の存亡に関わることになりかねない。
マッシュ:今は過度期でハイレゾとCDと2つがあるんですが、聴き比べないと分からないんですよね。そういうものだと思って。
オノ:そりゃそうだ。
佐藤:逆に言えば、聴き比べれば、どんな人でも分かる。
マッシュ:それでどちらが好きかどうかっていうのはまた別の話になるんですけど、違いって言うのはだれでも分かるはずなので、まずは聴いてもらわないとってことですよね。こういうのもあるんだぞっていうのを知らない人の方が圧倒的に多いと思うんですよね。
佐藤:で、今回面白かったのが、人って僕らでもいろんなこと分かっていながら、大きい方をって選びたくなっちゃうところもある。それほど鈍くはないのですぐ分かるんですけど。今回逆にね、アンプのボリュームは変えないで、でかいのを聴いてから、ダイナミックレンジが広いんだけど小さい方に戻したときに、空間に限界があることを音量ってのは表現して、ダイナミックレンジってのは、空間は無限であるとことを表現するんだってことをすごく感じて。
オノ:素晴らしい事言うね!「ダイナミックレンジってのは、空間は無限であるとこと」おっしゃる通りですがな。
佐藤:音量が小さくても素敵なんですよね、小さく、というかダイナミックレンジの大きな方をかけたら空間が大きく感じた、それが嬉しかったですね。これだよね。これでしょうって。
オノ:俺たちがやってんのはこれだよねって。
佐藤:そうそう。それで迷うことなく、MASSAの新譜「MASSA Ⅱ」は、ダイナミックレンジの広い方で出すことにしました。音量に関しては、本当に豊かな音を体験して頂けるように、わざわざそういう風にしてるんですってことを書いて、逆にアピールをしようと思ってます。
オノ:すごく大事なことなんです。演奏家の人たちは、もっと自信もってアピールして欲しい。遠慮なく、指摘するのです「こんな音でやってませんよ」って。つまり、万一(けっこうよくある話なんですが)自分で演奏している通り、つまりそこで楽器から音が聞こえているとおりに、プライバックすると聴こえていない場合が問題なんですね。昔からドラマーが一番うるさい。名前は出しませんが「オレの音、こんなおとじゃないよ!(怒)」で、ドラムの音決めがさっと終わらないとつぎに進めない。
佐藤:あとね、こういう録音なりマスターが残る、残るんだぞっていうことで、演奏家が育つと思う。
オノ:名言が次々と出ますね!「演奏家が育つ録音」。
佐藤:無理矢理音圧上げて詰め込んだ音は、それこそ機械か人間か判別がつかないような音になってしまう。
オノ:残念ですね。そんなもんで演奏のスリルというか、音色やダイナミックレンジが良いかと思っちゃうんですよね。
佐藤:そうです。逆に豊かな音は演奏家を育てます。シビアだから。
オノ: DSDマスタリングって、演奏やってる「状況そのものが見える」でしょ。どんな繊細なタッチでも、どういう奏法やってるかって。マレットの違いとかもちろん。実はヒカシューの新作『万感』もすごい演奏、素晴らしいんですよ。ルー・リードのエンジニアも担当するマーク・ウルゼリがエンジニアで、日本ではあまり知られてないけど、私はイチオシのエンジニアです!あれもね、もちろんDSDミキシングしてもらって、DSDマスタリングは、ここでメンバー立ち会いでやった。でも、結局CDの方は前作『うらごえ』にも合わせて、少しレベルアップしようかってことになり、3dBアップ5dBアップとかいろいろ作ってね。5dBアップだとやっぱり音楽自体が変わっちゃうので。演奏のスリルが消えてしまうんですね。だから同じミックスマスターからなのに、『万感』はCDとDSDダウンロードでは違う演奏に聞こえちゃいます。演奏のスリリングさはDSDです。で、お気軽に聴くならCD。
佐藤:そうですよね。
オノ:やっぱり演奏の差が抜きん出て出るのは、いわゆるコンプレッションとか、ボリューム戦争の方にいかないやり方なんですよ。何が変わるかというと、コンプがかかると演奏が下手な人も上手い人も同じ感じになってっいっちゃう。マスタリングで「演奏が良くなりました」とか「こういう演奏がしたかったんだよね」って言ってくれる人もいるんですけど。実はそれはすごく良い演奏のクラシックの演奏が上手い人もジャズの演奏が上手い人もそうなんだけど、ヒカシューの今回の演奏なんかね、まさにそれに匹敵して、どれぐらい繊細なとことかスピード感とか立ち上がりとかが出るかって。またマークのミックスがまたこっちもまた良いんだわ。
佐藤:そう、マークも超やる気でね!
オノ:彼は、いまローリー・アンダーソンと一緒に悲しみのどん底です。ルー・リードが亡くなって。その中で、ソロとかのフレーズに別に彼がいるわけじゃないんだけど、悲しみとか聴こえてくるわけ。
佐藤:わかるわかる。間にね、すごい痛みを感じるミックスだったから。
オノ:でしょ。そういうの感じるじゃない。で、こういう細かい痛みとか、演奏の上手さとか繊細なところが、小さな音量の部分を上げていく程に、それがなくなっていって、演奏家の差とか音色の差が分かりにくくなっていく。この価値の差は大きい。感情が伝わりやすいのがDSDであるとも断言できる。
佐藤:それは演奏家から聞くとすごい分かり易い表現だなって思いますね。だから演奏家のテクニックや感性をダイナミックレンジに例えれば、狭めることによって似てきちゃうっていう。そういうのと同じなんだよね。おもしろい。
昔、金子由香利さんのシャンソンを聴いて、すっごい小さい声でやるの。だからバンドもすごい小さい音でやんなきゃならない。それでお客さんみんながこうやって体が前のめりになる頃に、わーんって自分の言いたいことを感情込めて歌う。そうするともう、観客は打ちのめされてしまうの。
関連リンク:
OTOTOYインタビュー: ヒカシューの佐藤正治率いるMASSA、過去の2作がハイレゾで蘇る!
Saidera Mastering Blog: (その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー 」
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4/23(水)MASSAライブ
佐藤正治(Per.Vo.) 細井豊(Key.VO.) 太田恵資(Vln.VO.)
open 19:00 / start 19:30
会場:代官山 Simple Voice
TEL:03-6416-3107
住所:東京都渋谷区代官山町14-10 Luz代官山B1
料金:一般予約:¥3000 当日¥3500
学生¥2500 (各+1ドリンク)
MASSA website http://ok-massa.com/massa/
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2014/04/18
大切な事は水平線の下にある(その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー
『大切な事は水平線の下にある』
サイデラ・マスタリングでは、ふつうのCDマスタリングの際に、同時にハイレゾのマスターを作成することを推奨しています。Ototoyより、DSD 5.6MHz、PCM 24bit/192kHzでリリースされる『MASSAⅡ』のDSDマスタリングを完了したばかりの、ヒカシューのメンバーとしても知られる佐藤正治さんと弊社シニアエンジニアのオノ セイゲンのふたりに話を聞きました。
= 音楽には力があります。それは単なる音ではないのです。ただし、音を介して「感情を時間軸に織り込んだ」もの、それこそが音楽です。サイデラ・マスタリングでは、リスナーの心に「伝わる音」の技術を提供しています。 =
OTOTOYでの『MASSA Ⅱ』購入はこちらから。
http://ototoy.jp/_/default/p/41747
「大切な事は水平線の下にある(その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー」
マッシュ:特にポップスの音源だと、ミックス段階ですでにマスタリングされたように音量が大きなものも、やはり多いですけど。今回のアルバムは、録音からミックスを担当した藤井暁さんがすごくダイナミックレンジのある仕上げをしてくれましたね。
佐藤正治:そうですね。ダイナミックレンジについては、ずいぶん前になりますけど、ドラマー達の間で「大切な事は水平線の下にある。」ということを言っていたんです。みんな上へ上へと音量を詰め込むことばかりやるけれど、大切なことはもっと下の方にある。だから、その部分をもっと充実させるべきだって。そういうのと同じようなことを今回、「MASSA Ⅱ」のセイゲンさんのマスタリングを聴いて改めて思い出しましたね。
オノ セイゲン:その会話はドラマー同士で?
佐藤:ドラマー同士です。先輩のドラマーといろいろ話している時、どのくらい大きな音量を出すことができるのかってことを話してたことがあって。実はね、全然もっと下のところに意味がある。上には天井、つまり上限があって、無音から上限の間をどのぐらい豊かに表現できるかっていうことが大切だという結論に達した。そういう表現こそがこれからのドラマーに大事になっていくっていうこと。20年ぐらい前に話していたんですけど、そのことを改めて思い出しました。
オノ:プロのドラマーが、まず音量とか良い音色を出せるのは当たり前だけど、安定してでかい音で叩けば良いかっていうと、そういう曲ってコンサートの中で必要なのはピンポイントで、少ないんだよね。そうするとその下の、つまり柔らかく、音色重視でたたけることが音楽として大切です。
佐藤:その中にどのぐらい深みのある音を表現できるかということが大切。そこの微妙な微細な変化というのを本当に人間は感じているので、演奏者はそれをもっと意識しなきゃと思いますね。
オノ:スティーブ・ガッドとか、すっごく小さい音量で、ただしごきげんの音色で、当たり前ですが完璧なバランスで叩くんですよね。
佐藤:そうですね(笑)。驚くほど小さい。
オノ:そして、ここはっていう決めのフレーズは、ほんのちょっと強く叩いただけで、メゾフォルテがぱっと抜けてくる。反対に若いドラマーも音色重視したら、そんなに力入れなくていいのにっていう場面もありますね。
佐藤:そう、だから、CDだって演奏を録って再現するという意味でいえば、一番大きい音は、もしかしたらCDの中で1箇所あれば良くて、そこに到達するところと、無音のところの、その間がどのぐらい充実しているかっていうことが重要ですよね。
オノ:今言った無音から一番大きい音、つまりダイナミックレンジはCDでいうと16ビット。ところがこの10年間、いわゆるボリューム戦争っていうのがあってね、もう波形を見るとソーセージ、羊羹のようになってて、それは16ビット分の階調を使っていない。ピークばかりに目がいってて、実質8ビットくらいですよ。
佐藤:そうね、板みたいにね。
オノ:この10年、20年間に本当に音楽をダメにした一番の原因と言えるのが、このCDのボリューム戦争です。そういうことが起こって来てしまって。マスタリングエンジニアは、クライアントに言われるままに音量を上げざるを得ないって。16ビットのダイナミックレンジの上は決まっているので、ピアニッシモでもなんでも上の方の8ビットくらいに全部押し込んでしまって、今おっしゃった「その間がどのぐらい充実しているか」階調が大事なんですが、下をどんどん押し込んてすごく狭いダイナミックレンジに仕上げてしまうんですね。カセットテープ並みのダイナミックレンジしかないのが多くなってしまった。聴くときにボリュームを少しあげればいいだけなのにね。
佐藤:出音が大きいと良く聴こえる、と言いますよね。
オノ:人間は刺激の強い方にながされちゃうんてす。プロデューサー、アーティスト立会いのもとで、念入りにミキシング完了しているのに、マスタリング時点で、それまでの流れをまったく知らずに最初からマキシマイザーみたいなのをかけて、エキサイティングな感じにしてしまうマスタリングエンジニアも居ますね。録音現場に居なかったエラい人が客観的意見と称して、A / B比較すると、もとのままより刺激の強い方、派手な方にひっばられてしまうんですね。もちろん、レベルさえでかければそれでいい音楽もあるんですが。表現の幅、音色という、音楽の本質的な部分が消えてしまわないようにやってほしい。
さらに、テレビは今世界的にデジタル放送になってから、ヨーロッパ・アメリカはー昨年から、日本も昨年から、ラウドネスコントロールっていうのが入ってきていますので、パッケージのメディア、CDとかでいくらレベルを詰め込んでも、そういうCDほど、放送では10dB以上落ちますから、結果的に安っぽ~い音になります。逆に小さな曲はMAの段階でひろってくれます。パッケージでもピークをフルまで使うっていうのは、もう恥ずかしくてできないね。ハイレゾ配信でもそれは始まってて、典型的なのは、ポール・マッカートニーの新譜のCDはレコード会社の意向として、まだイギリスとかはハイレゾが一般的というわけではないので、詰め込んだわけです。で、e-onkyoでも買えるハイレゾ配信の方は全然波形に余裕があるんですよ。全然違う波形でもっとダイナミックレンジのある仕上がりになっている。どっちが本物かというとね、今も言ったようにハイレゾの方です。
佐藤:絶対そうだよね。
オノ:これってまあ、実際にオーサリングする方としては、2種類作るのって大変なんだよね。
マッシュ:でも逆に2種類聴けるわけじゃないですか。聴き比べると、これは僕の嗜好趣味の部分ですけど、今回の作品だったら僕だったらやっぱりこっち(ダイナミックレンジのあるテイク)を選ぶなと思っていた方を、佐藤さんも選ばれたなーっていう感じがありますね。
佐藤:なるほどねー。
マッシュ:でも、お客様によっては、やっぱり音色とかというところよりも別の基準で選んだんだろうなって方もいらっしゃいますね。
佐藤:僕自身は演奏家なので、ものすごく広いダイナミックレンジの中で暮らしているんだけれど、CDという限られたダイナミックレンジをどういう風に扱うかという意味では、論理的なことと体感が一致していない部分があるわけなんですよね。今回2種類のマスター作っていただいて、こうやって2つを聴き比べることによって、分かっているはずなのに、目の前に広がる世界がいかに違うかということに、ある種の打撃を受けるというか。今回セイゲンさんにマスタリングして頂いた MASSA は、僕と細井豊と太田恵資の3人が完全に拮抗しているバンドで。藤井さんも仰っていたんだけれど、実は、3人いたら3人が全く対等に演奏してるグループって少ないんですよね。そこが MASSA のとても面白いところなんですが。拮抗した3人がどのぐらい微細な音量や音色のコントロールをしながら演奏しているか。変化する3つの音が紡ぎ合わさった状態であるからこそ、人の心を動かす力が生まれるということを改めて感じさせてくれるレコーディングでした。
オノ:またそれを本作を録音したエンジニア藤井暁さんが上手くとらえているんだよね。
佐藤:そうなんですよ。
オノ:ミックスといいね。彼はやっぱり元々劇場から来ている人なんで、ステージでおこる生音、演奏というのを、まるで仙人のようにわかっていてね。藤井さんもCDの録音をいっぱいやっているけど、本当に繊細に、しかも生演奏と同じだけのダイナミックレンジで録音、ミキシングされてます。要するに、当たり前なんですが「演奏そのまま」を捉えています。簡単ではないんですが、音が出ているとおりに録られている録音ですよね。
佐藤:奇跡的な、素晴らしいミックスだと思いますよね。それを終えて、今は、、、
オノ:どこかにボランティアに行ってしまった。東北を超えて、宇宙のどこかに。
佐藤:(笑)。宇宙のどこかにね...。あの人は、天使じゃなかったか、とか、Twitterとか見るとさ、僕らの知り合いも、人間じゃなかったとかいろいろ書いてるけど。
オノ:またふらっとスタジオに来そうですよね。
関連リンク:
OTOTOYインタビュー: ヒカシューの佐藤正治率いるMASSA、過去の2作がハイレゾで蘇る!
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4/23(水)MASSAライブ
佐藤正治(Per.Vo.) 細井豊(Key.VO.) 太田恵資(Vln.VO.)
open 19:00 / start 19:30
会場:代官山 Simple Voice
TEL:03-6416-3107
住所:東京都渋谷区代官山町14-10 Luz代官山B1
料金:一般予約:¥3000 当日¥3500
学生¥2500 (各+1ドリンク)
MASSA website http://ok-massa.com/massa/
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佐藤正治 x オノ セイゲン
インタビュアー:根本 "マッシュ" 智視
(サイデラ・マスタリング スタジオマネージャー)
サイデラ・マスタリングでは、ふつうのCDマスタリングの際に、同時にハイレゾのマスターを作成することを推奨しています。Ototoyより、DSD 5.6MHz、PCM 24bit/192kHzでリリースされる『MASSAⅡ』のDSDマスタリングを完了したばかりの、ヒカシューのメンバーとしても知られる佐藤正治さんと弊社シニアエンジニアのオノ セイゲンのふたりに話を聞きました。
= 音楽には力があります。それは単なる音ではないのです。ただし、音を介して「感情を時間軸に織り込んだ」もの、それこそが音楽です。サイデラ・マスタリングでは、リスナーの心に「伝わる音」の技術を提供しています。 =
OTOTOYでの『MASSA Ⅱ』購入はこちらから。
http://ototoy.jp/_/default/p/41747
「大切な事は水平線の下にある(その1)ー目の前に広がる世界がいかに違うかー」
マッシュ:特にポップスの音源だと、ミックス段階ですでにマスタリングされたように音量が大きなものも、やはり多いですけど。今回のアルバムは、録音からミックスを担当した藤井暁さんがすごくダイナミックレンジのある仕上げをしてくれましたね。
佐藤正治:そうですね。ダイナミックレンジについては、ずいぶん前になりますけど、ドラマー達の間で「大切な事は水平線の下にある。」ということを言っていたんです。みんな上へ上へと音量を詰め込むことばかりやるけれど、大切なことはもっと下の方にある。だから、その部分をもっと充実させるべきだって。そういうのと同じようなことを今回、「MASSA Ⅱ」のセイゲンさんのマスタリングを聴いて改めて思い出しましたね。
オノ セイゲン:その会話はドラマー同士で?
佐藤:ドラマー同士です。先輩のドラマーといろいろ話している時、どのくらい大きな音量を出すことができるのかってことを話してたことがあって。実はね、全然もっと下のところに意味がある。上には天井、つまり上限があって、無音から上限の間をどのぐらい豊かに表現できるかっていうことが大切だという結論に達した。そういう表現こそがこれからのドラマーに大事になっていくっていうこと。20年ぐらい前に話していたんですけど、そのことを改めて思い出しました。
オノ:プロのドラマーが、まず音量とか良い音色を出せるのは当たり前だけど、安定してでかい音で叩けば良いかっていうと、そういう曲ってコンサートの中で必要なのはピンポイントで、少ないんだよね。そうするとその下の、つまり柔らかく、音色重視でたたけることが音楽として大切です。
佐藤:その中にどのぐらい深みのある音を表現できるかということが大切。そこの微妙な微細な変化というのを本当に人間は感じているので、演奏者はそれをもっと意識しなきゃと思いますね。
オノ:スティーブ・ガッドとか、すっごく小さい音量で、ただしごきげんの音色で、当たり前ですが完璧なバランスで叩くんですよね。
佐藤:そうですね(笑)。驚くほど小さい。
オノ:そして、ここはっていう決めのフレーズは、ほんのちょっと強く叩いただけで、メゾフォルテがぱっと抜けてくる。反対に若いドラマーも音色重視したら、そんなに力入れなくていいのにっていう場面もありますね。
佐藤:そう、だから、CDだって演奏を録って再現するという意味でいえば、一番大きい音は、もしかしたらCDの中で1箇所あれば良くて、そこに到達するところと、無音のところの、その間がどのぐらい充実しているかっていうことが重要ですよね。
オノ:今言った無音から一番大きい音、つまりダイナミックレンジはCDでいうと16ビット。ところがこの10年間、いわゆるボリューム戦争っていうのがあってね、もう波形を見るとソーセージ、羊羹のようになってて、それは16ビット分の階調を使っていない。ピークばかりに目がいってて、実質8ビットくらいですよ。
佐藤:そうね、板みたいにね。
オノ:この10年、20年間に本当に音楽をダメにした一番の原因と言えるのが、このCDのボリューム戦争です。そういうことが起こって来てしまって。マスタリングエンジニアは、クライアントに言われるままに音量を上げざるを得ないって。16ビットのダイナミックレンジの上は決まっているので、ピアニッシモでもなんでも上の方の8ビットくらいに全部押し込んでしまって、今おっしゃった「その間がどのぐらい充実しているか」階調が大事なんですが、下をどんどん押し込んてすごく狭いダイナミックレンジに仕上げてしまうんですね。カセットテープ並みのダイナミックレンジしかないのが多くなってしまった。聴くときにボリュームを少しあげればいいだけなのにね。
佐藤:出音が大きいと良く聴こえる、と言いますよね。
オノ:人間は刺激の強い方にながされちゃうんてす。プロデューサー、アーティスト立会いのもとで、念入りにミキシング完了しているのに、マスタリング時点で、それまでの流れをまったく知らずに最初からマキシマイザーみたいなのをかけて、エキサイティングな感じにしてしまうマスタリングエンジニアも居ますね。録音現場に居なかったエラい人が客観的意見と称して、A / B比較すると、もとのままより刺激の強い方、派手な方にひっばられてしまうんですね。もちろん、レベルさえでかければそれでいい音楽もあるんですが。表現の幅、音色という、音楽の本質的な部分が消えてしまわないようにやってほしい。
さらに、テレビは今世界的にデジタル放送になってから、ヨーロッパ・アメリカはー昨年から、日本も昨年から、ラウドネスコントロールっていうのが入ってきていますので、パッケージのメディア、CDとかでいくらレベルを詰め込んでも、そういうCDほど、放送では10dB以上落ちますから、結果的に安っぽ~い音になります。逆に小さな曲はMAの段階でひろってくれます。パッケージでもピークをフルまで使うっていうのは、もう恥ずかしくてできないね。ハイレゾ配信でもそれは始まってて、典型的なのは、ポール・マッカートニーの新譜のCDはレコード会社の意向として、まだイギリスとかはハイレゾが一般的というわけではないので、詰め込んだわけです。で、e-onkyoでも買えるハイレゾ配信の方は全然波形に余裕があるんですよ。全然違う波形でもっとダイナミックレンジのある仕上がりになっている。どっちが本物かというとね、今も言ったようにハイレゾの方です。
佐藤:絶対そうだよね。
オノ:これってまあ、実際にオーサリングする方としては、2種類作るのって大変なんだよね。
マッシュ:でも逆に2種類聴けるわけじゃないですか。聴き比べると、これは僕の嗜好趣味の部分ですけど、今回の作品だったら僕だったらやっぱりこっち(ダイナミックレンジのあるテイク)を選ぶなと思っていた方を、佐藤さんも選ばれたなーっていう感じがありますね。
佐藤:なるほどねー。
マッシュ:でも、お客様によっては、やっぱり音色とかというところよりも別の基準で選んだんだろうなって方もいらっしゃいますね。
佐藤:僕自身は演奏家なので、ものすごく広いダイナミックレンジの中で暮らしているんだけれど、CDという限られたダイナミックレンジをどういう風に扱うかという意味では、論理的なことと体感が一致していない部分があるわけなんですよね。今回2種類のマスター作っていただいて、こうやって2つを聴き比べることによって、分かっているはずなのに、目の前に広がる世界がいかに違うかということに、ある種の打撃を受けるというか。今回セイゲンさんにマスタリングして頂いた MASSA は、僕と細井豊と太田恵資の3人が完全に拮抗しているバンドで。藤井さんも仰っていたんだけれど、実は、3人いたら3人が全く対等に演奏してるグループって少ないんですよね。そこが MASSA のとても面白いところなんですが。拮抗した3人がどのぐらい微細な音量や音色のコントロールをしながら演奏しているか。変化する3つの音が紡ぎ合わさった状態であるからこそ、人の心を動かす力が生まれるということを改めて感じさせてくれるレコーディングでした。
オノ:またそれを本作を録音したエンジニア藤井暁さんが上手くとらえているんだよね。
佐藤:そうなんですよ。
オノ:ミックスといいね。彼はやっぱり元々劇場から来ている人なんで、ステージでおこる生音、演奏というのを、まるで仙人のようにわかっていてね。藤井さんもCDの録音をいっぱいやっているけど、本当に繊細に、しかも生演奏と同じだけのダイナミックレンジで録音、ミキシングされてます。要するに、当たり前なんですが「演奏そのまま」を捉えています。簡単ではないんですが、音が出ているとおりに録られている録音ですよね。
佐藤:奇跡的な、素晴らしいミックスだと思いますよね。それを終えて、今は、、、
オノ:どこかにボランティアに行ってしまった。東北を超えて、宇宙のどこかに。
佐藤:(笑)。宇宙のどこかにね...。あの人は、天使じゃなかったか、とか、Twitterとか見るとさ、僕らの知り合いも、人間じゃなかったとかいろいろ書いてるけど。
オノ:またふらっとスタジオに来そうですよね。
関連リンク:
OTOTOYインタビュー: ヒカシューの佐藤正治率いるMASSA、過去の2作がハイレゾで蘇る!
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4/23(水)MASSAライブ
佐藤正治(Per.Vo.) 細井豊(Key.VO.) 太田恵資(Vln.VO.)
open 19:00 / start 19:30
会場:代官山 Simple Voice
TEL:03-6416-3107
住所:東京都渋谷区代官山町14-10 Luz代官山B1
料金:一般予約:¥3000 当日¥3500
学生¥2500 (各+1ドリンク)
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2013/12/26
第8回1ビット研究会 発表全内容「韓国の伝統音楽の1ビットDSD録音とアーカイブの経験からその重要性について」
先日早稲田大学内 井深大記念ホールにて行われた第8回1ビット研究会で、サイデラ・マスタリングのライブレコーディング・エンジニアのオが発表を行いました。韓国で韓国伝統音楽の録音、SACD制作、アーカイブに携わったエンジニアが感じた1ビットDSD録音の重要性について、発表原稿全文掲載します。実際に録音した音を聴かせられないのが残念ですが、制作したSACDはAmazon.comなどで購入することができます。http://www.sa-cd.net/titles/0/549/date/5/1
テーマ:韓国の伝統音楽の1ビットDSD録音とアーカイブの経験からその重要性について
概要:記録しないものは消えていく。伝統の記録と保存のための1ビット録音。それは遺産であり未来への文化になる
日 時:2013年12月20日(金) 13:00-18:10
場 所:早稲田大学 国際会議場 井深大記念ホール
主 催:早稲田大学 IT 研究機構 1ビットオーディオ研究会
『韓国の伝統音楽の1ビットDSD録音とアーカイブの経験からその重要性について』by オ・スジョン
ライブレコーディング・エンジニアのオ・スジョンです。大学では韓国伝統音楽を専攻しました。伝統音楽については専門的に演奏も学びました。この音楽をしっかり録音してリスナーに正しく伝えたいと思い、演奏家ではなく録音エンジニアの道を歩くことにしました。韓国のレコード会社「AkdangEban」では、18タイトルの伝統音楽のSACDを作りました。
今日はコンテンツの問題から始め、韓国の伝統音楽を紹介し、私自身が現場で得た経験と、切実に感じている1ビットDSD録音の重要性を発表します。この何年かの間に高画質・高音質を楽しむ人々はとても増えました。いよいよ本格的にハイレゾ時代のスタートです。1ビットDSDは再び注目されています。4K、8Kの映像と共に、その価値を認められています。1ビットDSDは、10年ほど前に普及してきた技術です。SACDから始まり、今ではDSD256と呼ばれる11.2MHzの録音の技術まで至っています。コンシュマーマーケットでも、DSD128と呼ばれる5.6MHzのハイレゾのプレイヤーで開発されています。(このハイレゾのプレイヤーは韓国から開発され、来年発売予定の商品です)
<コンテンツの問題・何を録音するのか>
現在の録音技術は非常に優れています。既に高いサンプリング周波数とビットレートを使って、実際の演奏の音とほぼ同じほど、原音に近い録音と再生ができます。少し話が飛びますが、最近のハリウッド映画は大変な製作費と有名な俳優、派手な映像で作られています。しかしその映画の評論は「映像の美しさと技術は素晴らしいですが、ストーリーがつまらない」と、ときどき言われます。外に見える技術的な部分、つまり映像には努力を重ねるのですが、その中のコンテンツ、本質がたりないのです。
現在、多くのメーカーがハイレゾの新製品を発表しています。しかし、1ビットDSD音源を楽しめる配信サイトは限られています。タイトルもジャンルもまだ少ないです。ここでレコーディング・エンジニアとしては、どんなフォーマットで何を録音しなければならないか?すなわち「どんなコンテンツをどんなフォーマットでアーカイブするべきか」について責任を持ち、提案していく必要があります。それで私は、伝統音楽の1ビットDSD録音とアーカイブを提案します。
<伝統、そして伝統音楽>
変わりゆく時代にも「変わらないもの」があります。それは「伝統」です。先祖たちから引き継がれてきた歴史的、文化的な遺産です。若いころに出会った経験から国を代表する文化まで、忘れてはならないもので、引き継いでいかないといけないのです。その中に「伝統音楽」があります。韓国の伝統音楽を紹介させていただきます。王様の宮廷で演奏された與民樂여민락、壽齊天수제천、霊山(ヨンサン)回想영산회상、そして宗廟祭礼楽종묘제례악の音楽、民に愛された民謡、散調、パンソリ、歌曲、サムルノリ、グッなど、いろんな音楽があります。その中に民謡のアリランと歌曲、パンソリ、宗廟祭礼楽、グッの音楽は世界遺産にも指定されています。
この1ビットDSDで録音したSACDは、韓国の伝統音楽「歌曲」です。歌曲は歌と楽器たちの演奏曲です。録音した伝統家屋も世界遺産に指定されています。夜のコオロギの鳴き声も一緒に録音しています。
次は代表的な韓国の伝統楽器をご紹介します。弦楽器には12弦のカヤグム、6弦のコムンゴ、8弦のアゼンがあります。右の手で音を出して、左の手で音を変形します。楽器の材料は桐木と、絹糸です。次は管楽器です。管楽器は左の上からヘグム、テグム、タンソ、ピリ、デピョンソがあります。横、または縦で吹いて音を出します。このヘグムは弦がある楽器ですが、演奏する曲によって管楽器になります。楽器の材料は竹です。打楽器はチャング、ケンガリ、プック、ジンがあります。この楽器たちはサムルノリの音楽によく使います。楽器の材料は皮と鉄です。これ以外にも祈り、祭礼などに使う色んな楽器があります。
<伝統音楽と1ビットDSD録音>
2009年、「AkdangEban」という韓国の伝統音楽レコード会社に入社し、レコーディングエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。ここではすべての録音を1ビットDSDで行っています。当時、会社で1ビットDSD録音の伝統音楽を初めて聞きました。田舎の静かな伝統家屋で名人が演奏する独奏曲、カヤグム散調でしたが、私は音を聞いて本当に驚きしました。まるで目の前に実際の演奏を聞くような音の躍動感、指で弦を撥ねる質感、現場を再現する空間感、何よりもいままで知っているデジタルとは異なる、いわゆるデジタル録音とは信じられないほどの自然感、圧縮やノイズは全く感じられません。デジタルでここまで素直に録音できることに感動しました。
韓国の伝統楽器は楽器全体に広がるハーモニックスを持っています。特に絃楽器のサウンドホールは、弦がある正面ではなく、下を向いています。よって、音は豊かですが音量が小さいのです。それをPCMで録音すると、繊細なハーモニックスはなくなってしまいます。相対的に低音成分が多い音になってしまいます。あるいは逆に高域が上がって固い音になることもあります。このような伝統音楽の録音に持っていた悩みは、1ビットDSD録音の音源を聞いて、すっきり解消されました。「伝統音楽の録音は1ビットDSD」と確信しました。
ここで私がDSDで初めて聴いた韓国の伝統音楽、「カヤグム散調」を聴いてください。1ビットDSDで録音したSACDタイトルの音源です。録音は500年の歴史を持っている伝統家屋で行いました。こちらも虫の鳴き声が一緒に聞こえます。
以降、韓国の全国にある伝統家屋を回りながら、伝統音楽の1ビットDSD録音を続けました。昔から伝統音楽が演奏された場所は、宮廷、お寺、家などの伝統家屋です。楽器もその場所、空間を前提に作られています。スタジオではなく、伝統家屋で演奏される伝統音楽の音こそが、完璧な調和を生み出します。家屋と楽器の息づかいは、身体と心にも伝わります。そして1ビットDSD録音だけが、この本来の素直な音、空間に広がる響きの両方をキャプチャーし、再現することができます。
1ビットDSD録音は、アーティストが演奏する微妙なニュアンス、音楽のハーモニーはもちろん、人間の聽力の限界を超えた空間まで表現できます。電気的な変形のない、アコースティック楽器の録音には1ビットDSDが一番です。また、2.8MHz、5.6MHz、11.2MHzのハイ・サンプリングの録音と共に、アーカイブができることも大きな長所です。
2009年の冬、韓国最初の伝統音楽のSACDを作りました。5種類のタイトルですが、その中には私が初めて聞いた1ビット音楽も含まれています。プレスは日本SONYDADCで行いました。1ビットDSDで伝統音楽を録音し、アーカイブをしてSACDまで作る作業を4年間しました。最初の頃は色々難しい部分もありましたが「記録」して残せたことは嬉しかったです。2010年からは韓国の国立機関、国立伝統音楽院のアナログの資料を、デジタル・オーディオ・データとして、1ビットDSDにアーカイブする仕事を3年間しました。このアーカイブは国立伝統音楽院のデジタル・コンテンツ・プロジェクトの一つです。オープンリールテープ、カセットなど、2500点のアナログの資料を高音質の1ビットDSDに変換、アーカイブする仕事でした。これは1ビットDSDによるアーカイブの大切さを、韓国の国立機関が認めたということです。そして2011年には、国立伝統音楽院の名人たちが演奏した宮廷の音楽、「靈山會相영산회상」を1ビットDSDで録音し、SACDも作りました。韓国の国立機関が制作した最初のSACDです。昔、韓国にSPが流行っていた頃、伝統音楽は一番人気がある音楽でした。しかし、今はそうではないのです。ご想像できる通り伝統音楽とは、K-POPのようには売れないのです。絶版しても再発売はできません。問題は売れないという理由で、商業性がないということで、タイトルの製作数が減ってしまい、今ではほんの少ししか作られません。国立伝統音楽院のタイトルは、ほとんどが非売品で作られています。残念ですが、このSACDタイトルも非売品です。一般の人が聴けないと、それは存在していないことと同じです。
録音をすること、何かを記録して残すことは、そのタイトルが商業的に売れるかどうかに関わらず、一般の人が誰でも聴けるようにすることを、当たり前にするべきです。韓国の伝統音楽を韓国で制作できなくなってしまったら、どの国が作ってくれるのでしょう?いつも、気がかりなテーマです。音楽は、文章や写真では記録できません。録音だけが音楽を記録することができて、1ビットDSDこそが、音楽の本質とその空間を含めて、変形させずに、そのまま保存することができます。そして、これは未来へつなぐコンテンツになります。
<伝統の記録・保存のための1ビットDSD録音>
記録しないものは、すべて消えてしまいます。それは音楽も同じです。伝統音楽を録音すること、記録・保存のために1ビットDSDのアーカイブをすることは、今後も続け、進めていかなければならないです。地域性と文化、その多様性、その国が持っている音と音楽は、それぞれの特徴を持っています。それが伝統になるのです。これは月見の日に見た琴と三味線の演奏会の写真です。日本にも雅楽、歌舞伎、能楽、祭りの音楽と歌などの伝統音楽や、三味線、琴、尺八、笛、太鼓の伝統楽器など、様々な文化が存在します。静かで、はでな能楽、道に響く祭りの騒がしさ、観客と共有しながら笑う落語など。このような種類の音楽を1ビットDSDで録音し、アーカイブすることは、国として、とても重要なことではないでしょうか。特に日本には素晴らしい電気メーカーが多くあります。国とメーカーがお互いに協力して理想的なアーカイブシステムを構築することが、できるのではないでしょうか!
今年、2020年の東京オリンピック開催が決定されました。例えば、これを目標して日本の方たちはもちろん、世界の人たちに聞かせるために、1ビットDSD録音をする、伝統音楽のアーカイブに力を尽くすべきだと思いませんか?未来はコンテンツの競争です。技術が頂点に至ると、その次は、その技術で何を楽しめるのか、つまりコンテンツ内容が注目されます。そして、コンテンツは「人」に向かっているべきです。その国の人、その国の文化、そして伝統が考えられます。伝統は過去に限っていないのです。現在を記録して保存すると、これは未来への「伝統を作る過程」なのです。自らの文化を自分で生産できる国が真に強い国になることができます。
最後に、技術とは感性と共に成長するものです。良い音楽を、より良い音質で聞きたいという思い。時代がいくら変わっても初心の純粋な心を忘れてはいけないでしょう。
テーマ:韓国の伝統音楽の1ビットDSD録音とアーカイブの経験からその重要性について
概要:記録しないものは消えていく。伝統の記録と保存のための1ビット録音。それは遺産であり未来への文化になる
日 時:2013年12月20日(金) 13:00-18:10
場 所:早稲田大学 国際会議場 井深大記念ホール
主 催:早稲田大学 IT 研究機構 1ビットオーディオ研究会
『韓国の伝統音楽の1ビットDSD録音とアーカイブの経験からその重要性について』by オ・スジョン
ライブレコーディング・エンジニアのオ・スジョンです。大学では韓国伝統音楽を専攻しました。伝統音楽については専門的に演奏も学びました。この音楽をしっかり録音してリスナーに正しく伝えたいと思い、演奏家ではなく録音エンジニアの道を歩くことにしました。韓国のレコード会社「AkdangEban」では、18タイトルの伝統音楽のSACDを作りました。
今日はコンテンツの問題から始め、韓国の伝統音楽を紹介し、私自身が現場で得た経験と、切実に感じている1ビットDSD録音の重要性を発表します。この何年かの間に高画質・高音質を楽しむ人々はとても増えました。いよいよ本格的にハイレゾ時代のスタートです。1ビットDSDは再び注目されています。4K、8Kの映像と共に、その価値を認められています。1ビットDSDは、10年ほど前に普及してきた技術です。SACDから始まり、今ではDSD256と呼ばれる11.2MHzの録音の技術まで至っています。コンシュマーマーケットでも、DSD128と呼ばれる5.6MHzのハイレゾのプレイヤーで開発されています。(このハイレゾのプレイヤーは韓国から開発され、来年発売予定の商品です)
<コンテンツの問題・何を録音するのか>
現在の録音技術は非常に優れています。既に高いサンプリング周波数とビットレートを使って、実際の演奏の音とほぼ同じほど、原音に近い録音と再生ができます。少し話が飛びますが、最近のハリウッド映画は大変な製作費と有名な俳優、派手な映像で作られています。しかしその映画の評論は「映像の美しさと技術は素晴らしいですが、ストーリーがつまらない」と、ときどき言われます。外に見える技術的な部分、つまり映像には努力を重ねるのですが、その中のコンテンツ、本質がたりないのです。
現在、多くのメーカーがハイレゾの新製品を発表しています。しかし、1ビットDSD音源を楽しめる配信サイトは限られています。タイトルもジャンルもまだ少ないです。ここでレコーディング・エンジニアとしては、どんなフォーマットで何を録音しなければならないか?すなわち「どんなコンテンツをどんなフォーマットでアーカイブするべきか」について責任を持ち、提案していく必要があります。それで私は、伝統音楽の1ビットDSD録音とアーカイブを提案します。
<伝統、そして伝統音楽>
変わりゆく時代にも「変わらないもの」があります。それは「伝統」です。先祖たちから引き継がれてきた歴史的、文化的な遺産です。若いころに出会った経験から国を代表する文化まで、忘れてはならないもので、引き継いでいかないといけないのです。その中に「伝統音楽」があります。韓国の伝統音楽を紹介させていただきます。王様の宮廷で演奏された與民樂여민락、壽齊天수제천、霊山(ヨンサン)回想영산회상、そして宗廟祭礼楽종묘제례악の音楽、民に愛された民謡、散調、パンソリ、歌曲、サムルノリ、グッなど、いろんな音楽があります。その中に民謡のアリランと歌曲、パンソリ、宗廟祭礼楽、グッの音楽は世界遺産にも指定されています。
この1ビットDSDで録音したSACDは、韓国の伝統音楽「歌曲」です。歌曲は歌と楽器たちの演奏曲です。録音した伝統家屋も世界遺産に指定されています。夜のコオロギの鳴き声も一緒に録音しています。
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| Gagok (female), Pungnyu III - Jeong Ga Ak Hoehttp://www.sa-cd.net/showtitle/7264 |
次は代表的な韓国の伝統楽器をご紹介します。弦楽器には12弦のカヤグム、6弦のコムンゴ、8弦のアゼンがあります。右の手で音を出して、左の手で音を変形します。楽器の材料は桐木と、絹糸です。次は管楽器です。管楽器は左の上からヘグム、テグム、タンソ、ピリ、デピョンソがあります。横、または縦で吹いて音を出します。このヘグムは弦がある楽器ですが、演奏する曲によって管楽器になります。楽器の材料は竹です。打楽器はチャング、ケンガリ、プック、ジンがあります。この楽器たちはサムルノリの音楽によく使います。楽器の材料は皮と鉄です。これ以外にも祈り、祭礼などに使う色んな楽器があります。
<伝統音楽と1ビットDSD録音>
2009年、「AkdangEban」という韓国の伝統音楽レコード会社に入社し、レコーディングエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。ここではすべての録音を1ビットDSDで行っています。当時、会社で1ビットDSD録音の伝統音楽を初めて聞きました。田舎の静かな伝統家屋で名人が演奏する独奏曲、カヤグム散調でしたが、私は音を聞いて本当に驚きしました。まるで目の前に実際の演奏を聞くような音の躍動感、指で弦を撥ねる質感、現場を再現する空間感、何よりもいままで知っているデジタルとは異なる、いわゆるデジタル録音とは信じられないほどの自然感、圧縮やノイズは全く感じられません。デジタルでここまで素直に録音できることに感動しました。
韓国の伝統楽器は楽器全体に広がるハーモニックスを持っています。特に絃楽器のサウンドホールは、弦がある正面ではなく、下を向いています。よって、音は豊かですが音量が小さいのです。それをPCMで録音すると、繊細なハーモニックスはなくなってしまいます。相対的に低音成分が多い音になってしまいます。あるいは逆に高域が上がって固い音になることもあります。このような伝統音楽の録音に持っていた悩みは、1ビットDSD録音の音源を聞いて、すっきり解消されました。「伝統音楽の録音は1ビットDSD」と確信しました。
ここで私がDSDで初めて聴いた韓国の伝統音楽、「カヤグム散調」を聴いてください。1ビットDSDで録音したSACDタイトルの音源です。録音は500年の歴史を持っている伝統家屋で行いました。こちらも虫の鳴き声が一緒に聞こえます。
以降、韓国の全国にある伝統家屋を回りながら、伝統音楽の1ビットDSD録音を続けました。昔から伝統音楽が演奏された場所は、宮廷、お寺、家などの伝統家屋です。楽器もその場所、空間を前提に作られています。スタジオではなく、伝統家屋で演奏される伝統音楽の音こそが、完璧な調和を生み出します。家屋と楽器の息づかいは、身体と心にも伝わります。そして1ビットDSD録音だけが、この本来の素直な音、空間に広がる響きの両方をキャプチャーし、再現することができます。
1ビットDSD録音は、アーティストが演奏する微妙なニュアンス、音楽のハーモニーはもちろん、人間の聽力の限界を超えた空間まで表現できます。電気的な変形のない、アコースティック楽器の録音には1ビットDSDが一番です。また、2.8MHz、5.6MHz、11.2MHzのハイ・サンプリングの録音と共に、アーカイブができることも大きな長所です。
2009年の冬、韓国最初の伝統音楽のSACDを作りました。5種類のタイトルですが、その中には私が初めて聞いた1ビット音楽も含まれています。プレスは日本SONYDADCで行いました。1ビットDSDで伝統音楽を録音し、アーカイブをしてSACDまで作る作業を4年間しました。最初の頃は色々難しい部分もありましたが「記録」して残せたことは嬉しかったです。2010年からは韓国の国立機関、国立伝統音楽院のアナログの資料を、デジタル・オーディオ・データとして、1ビットDSDにアーカイブする仕事を3年間しました。このアーカイブは国立伝統音楽院のデジタル・コンテンツ・プロジェクトの一つです。オープンリールテープ、カセットなど、2500点のアナログの資料を高音質の1ビットDSDに変換、アーカイブする仕事でした。これは1ビットDSDによるアーカイブの大切さを、韓国の国立機関が認めたということです。そして2011年には、国立伝統音楽院の名人たちが演奏した宮廷の音楽、「靈山會相영산회상」を1ビットDSDで録音し、SACDも作りました。韓国の国立機関が制作した最初のSACDです。昔、韓国にSPが流行っていた頃、伝統音楽は一番人気がある音楽でした。しかし、今はそうではないのです。ご想像できる通り伝統音楽とは、K-POPのようには売れないのです。絶版しても再発売はできません。問題は売れないという理由で、商業性がないということで、タイトルの製作数が減ってしまい、今ではほんの少ししか作られません。国立伝統音楽院のタイトルは、ほとんどが非売品で作られています。残念ですが、このSACDタイトルも非売品です。一般の人が聴けないと、それは存在していないことと同じです。
録音をすること、何かを記録して残すことは、そのタイトルが商業的に売れるかどうかに関わらず、一般の人が誰でも聴けるようにすることを、当たり前にするべきです。韓国の伝統音楽を韓国で制作できなくなってしまったら、どの国が作ってくれるのでしょう?いつも、気がかりなテーマです。音楽は、文章や写真では記録できません。録音だけが音楽を記録することができて、1ビットDSDこそが、音楽の本質とその空間を含めて、変形させずに、そのまま保存することができます。そして、これは未来へつなぐコンテンツになります。
<伝統の記録・保存のための1ビットDSD録音>
記録しないものは、すべて消えてしまいます。それは音楽も同じです。伝統音楽を録音すること、記録・保存のために1ビットDSDのアーカイブをすることは、今後も続け、進めていかなければならないです。地域性と文化、その多様性、その国が持っている音と音楽は、それぞれの特徴を持っています。それが伝統になるのです。これは月見の日に見た琴と三味線の演奏会の写真です。日本にも雅楽、歌舞伎、能楽、祭りの音楽と歌などの伝統音楽や、三味線、琴、尺八、笛、太鼓の伝統楽器など、様々な文化が存在します。静かで、はでな能楽、道に響く祭りの騒がしさ、観客と共有しながら笑う落語など。このような種類の音楽を1ビットDSDで録音し、アーカイブすることは、国として、とても重要なことではないでしょうか。特に日本には素晴らしい電気メーカーが多くあります。国とメーカーがお互いに協力して理想的なアーカイブシステムを構築することが、できるのではないでしょうか!
今年、2020年の東京オリンピック開催が決定されました。例えば、これを目標して日本の方たちはもちろん、世界の人たちに聞かせるために、1ビットDSD録音をする、伝統音楽のアーカイブに力を尽くすべきだと思いませんか?未来はコンテンツの競争です。技術が頂点に至ると、その次は、その技術で何を楽しめるのか、つまりコンテンツ内容が注目されます。そして、コンテンツは「人」に向かっているべきです。その国の人、その国の文化、そして伝統が考えられます。伝統は過去に限っていないのです。現在を記録して保存すると、これは未来への「伝統を作る過程」なのです。自らの文化を自分で生産できる国が真に強い国になることができます。
最後に、技術とは感性と共に成長するものです。良い音楽を、より良い音質で聞きたいという思い。時代がいくら変わっても初心の純粋な心を忘れてはいけないでしょう。
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