2013/06/11

次世代のエンジニアのために

今年もマスタリングの講義をしに母校の音響芸術専門学校に行ってきました。2日間の授業では、

1.マスタリング前後の試聴と音の違いの表現方法
2.スピーカーセッティングの基礎

をテーマに授業を行ないました。

前半は実際にマスタリング前後の音を比較試聴して、学生さん自身の言葉で違いを表現してもらいました。皆さん違いは分かっていても「自分が感じたことをどのように相手に伝えるのか」最初は言葉選びに苦労していました。そこで「この曲ではアーティストさんから声の輪郭とキックのアタックを出して欲しい!とリクエストが有りました。現場ではそういう言葉を使ってコミュニケーションをするんですよ。」と伝えたところ、「広がりが有ります」「ボーカルが大きく聴こえます」「周波数的に高域が上がって聴こえるような」「立体的に聴こえます」…と色々な言葉が出てきました。

後半は教室のスピーカーを動かしながら音の違いを体感してもらいました。スピーカーの間隔、スピーカーと壁からの距離、スピーカーとリスナーの距離を測りながら出来る限り正確にセッティングしました。「本当にスピーカーの位置で音が変わるの?」大半の学生さんは半信半疑でしたがいざ音を聴かせてみると「同じスピーカーでもこんなに音が変わるんですね」「初めてこの教室でこんなに良い音を聴くことが出来ました」と目を輝かせて喜んでくれました。

僕たちが学生の頃は音楽を聴くにはオーディオシステムが一般的でスピーカーの調整などは仲間と協力しながら自分達で勉強しました。しかしiPodで音楽を楽しむ事が主流となった今の時代においては学生の時に「音で感動する体験」をしてもらい「将来そういう作品を自分も作ってみたい」と思ってもらえるようなきっかけを与えることが若手を育てるために僕達エンジニアが出来る事だと思いました。

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