2013/06/14

コンプの使い方(その1)「ダイナミックス系機材の種類」

チーフエンジニアの森崎です。本日はダイナミックス系機材の種類とマスタリングでの使用法について説明します。

皆さんご存知の通りマスタリングではレコーディングやミキシングのようにボーカルやキックなど、楽器単体にコンプをかけることはできません。基本的には2chでかける「トータルコンプ」です。最近では「コンプをかける』という言葉は、コンプ、リミッター、ディエッサーなどのダイナミックス系のエフェクトを施すことの総称だったりしますね。僕のマスタリングの作業では、

1.マルチバンドコンプ
2.リミッター
3.ディエッサー
主にこの3種類を使って音作りをしています。

<マルチバンドコンプ>
入力信号をいくつかの帯域に分割し、それぞれ個別にアタックタイム、リリースタイム、レシオ、 スレッショルドの設定ができるコンプレッサーです。
僕のマスタリングでは3バンドコンプをよく使いますが、その用途は「コンプをかける」のではなく低域、中域、高域の音量バランスを調整するためです。ミックス音源の低域が多すぎたら100Hz以下を-0.5dB、全体の抜け抜けを良くするために4kHz以上を+0.5dB、など。アナログ・テープレコーダーのリファレンス調整に近い使い方です。

<リミッター>
コンプレッサーが音量の変化を小さくする機材(大きな音を小さな音量に抑え、小さな音を大きな音量に増幅する=ダイナミックレンジを圧縮する)に対してリミッターはある一定以上のスレッショルド値から音量レベルを抑えてしまう機材です。
僕の場合はリミッターは「音を押さえ込む・潰す」という使用法ではなく、曲中のピークで赤がつかないようにするオーバーキラーとして使います。リミッターなしでレベルを入れた場合ピーク時にデジタル特有のジャリジャリした耳につくサウンドになってしまいます(ボーカルなどのピークがコントロールできていないとさらに酷く歪みます)が、リミッターを効果的に使って音量を入れた場合でもナチュラルなサウンドをつくっています。

<ディエッサー>
ディエッサーは一般的にはボーカルの耳障りな子音などを目立たなくするために特定の周波数をサイドチェインとして圧縮をかけることができます。これがボーカルだけでなくエレクトロ系などのノイズ成分が多いジャンルにも効果的です。ノイズには高周波数帯に思わぬピークが存在する場合があって、そういう時にディエッサーを使えばピークを抑えることが可能です。


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