2013/10/08

第四次スタジオ改装完了(その2)「スタジオ改装その後」


「SHIZUKA Stillness Panel」をインストールして1週間。製品の測定値どおりの傾向(グラフのように低域にまで吸音)を耳でも確認しながら、モニター環境の微調整を行いました。

今回の微調整のポイントは、低域のさらなる正確なモニタリングです。
1.低域のレンジを40Hz前後まで、音程が聞きとれるよう伸ばす
2.100Hz付近にほんの少しでたピークの改善
リファレンスCDは「LEE RITENOUR/Wes Bound 」使用しています。(今週来日中のリー・リトナーとハーヴィー・メンソンのサイン入りです!)

<ワークフロー>
(1) L-ch、Center-ch、R-chのスピーカーのスペースに置いてあるコンクリートブロックを除ける。床材のバーチ合板をぴったりはまるようにサイズを合わせてカットし並べなおす。まず、現状でどう変化したかその傾向を確認。
→ローエンドの透明感、奥行き感は増したがボリューム感がやや不足。

(2) そこで一度除けたコンクリートブロックを戻す。反射を抑えるためにコンクリートのフロント面にはコルクシート、サイド面にはソネックス(吸音材)が貼りつけてある。前後、左右、少しずつ角度や置き位置を変えながら試聴。角度は付けず壁から20cm、センタースピーカーから15cmのポイントが一番バランスが良かった。

(3) スピーカー周りの次は、スタジオ右奥のピアノの側面反射の対策。左右の低域の広がりと質感を均等にするため、ピアノ側面に「SHIZUKA Stillness Panel」(1m x 1m)を立てかけてみる。リスニングポイントで確認するとR側の低域がクリアに聴こえる。つまりパネルがやや吸音しすぎだったためバーチ合板を2枚をパネル面に立てかけて(中高域の吸音面積をその分だけ減らし)低域を拡散。「SHIZUKA Stillness Panel」の角度調整とバーチ合板の置き位置をさらに追い込んで調整して左右の低域のバランスを整える。

(4) 最後にPMC MB1のウーハーのネジ締めの微調整。(1)〜(3)により低域の量感が戻ったので、立ち上がりを早くするためタングステンワッシャーを4本に戻す。2本はスピーカとしては、ナチュラルですが低域の音程により若干のピークが生じたため。締め付けトルクは全部のネジを一度緩めて、試聴しながら少しずつ締め付けていく。

微調整び最終仕上げは、オノと一緒に行います。事前に判っているデータ、理論や測定と合わせて、エンジニアが2人以上で客観的にモニター環境を整えます。サイデラ・マスタリングでオノがポリシーとしてうるさく言うことは、トランスペアレンツに仕上げるだけではなく、「(そのスタジオの)エンジニアだけが判るモニターではなく、初めて来るクライアントでもミュージシャンでも、ここで聴いてもらえば0.5dBの違いも手にとるように判るモニター環境」に仕上げることです。「5弦ベースの一番低い弦の音程もぜんぶとれるように再生」できます。

音は、どんな小さなパーツひとつを交換しても変化します。マスタリング・スタジオのモニター環境というのはいわゆるオーディオとして楽しみ(個人の趣味趣向)に合わせてつくるのではなく、「サウンドをチェックする、仕上げを作り込む」ためのスピーカーなので極力色付けのないサウンドにすることが大切です。試行錯誤と経験の積み重ねですが秘密にはしていません。どんなパーツがどのような対策に役立つかなど、知りたいことがあれば送ってください。できればスタジオで皆さんの作ったサウンドをマスタリングしながらお話したいですね。



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