2011/02/21

サイデラ・マスタリングのモニターシステム構築論


先日は”音の朝活”サイデラ・モーニングセッションで「ラインケーブル・ADコンバーター徹底視聴」を行いました。細かなサウンドの違いへのこだわりの積み重ねが最終仕上がりを大きく左右することを参加いただいた方に体感してもらいました。マスタリングで「細かなサウンドの違い」を正しく聴き分けるには「解像度の高い、色付けのないモニター」が必須です。
本日はサイデラ・マスタリングの徹底したモニター環境のポイントをいくつか解説します。

[ スピーカーセッティング ]
スピーカーはしっかりした台に置き、左右の角度やリスニングポイントからの距離はミリ単位で調整します。ポイントとなる低域の調整は鉛板などでの振動対策とインターロッキングによる拡散で行なっています。部屋全体の響きは吸音というよりも調音に近い。SONEXとグラスウールを定在波のある場所に貼り、試聴を繰り返しながら微調整しました。 吸音しすぎていないのでロスがなく小さなワット数でもかなりのモニターレベルを出すことが出来ます。スタジオはスピーカー両側には十分な広さと天井高も4.4メートルあるので奥行きと広がりのあるモニターを実現しています。

[ 機材セッティング ]
機材のセッティングのポイントは振動対策と放熱です。機材はTAOCのボード、フラワーボード、檜の集成材、厚手のシナ合板などの上に置いています。ラックマウントの機材はネジの種類と締め方にこだわっています(すぐに出来る音質アップの2つの方法(機材の設置 基礎編)参照)。低域に暖かみと厚みをプラスするため多くの機材は木材の上に置き、もちろん部分的に金属のインシュレーターを使用してレンジとバランスを調整します。放熱を良くするため機材は出来るだけスペースを空けて設置すること。特に必要な場所には扇風機を取り付け空気の流れを良くしています。機材は熱を持ちすぎると音がだれて来るのでしっかり対策する必要があります。

[ ケーブルの選択 ]
モニターラインのラインケーブルにはSaidera Ai SD-9003、電源ケーブルはACROTECの製品をリファレンスにしています。その選択の基準は「色づけがなく、レンジが広く、立ち上がりの速いケーブル」です。

モニター環境の調整は(1)最初にルームアコースティックの調整、(2)それから機材のセッティング/調整、(3)最後にケーブルの選択という順序で行ないます。聴き慣れたリファレンスCDの音を基準にルームアコースティックの調整、その他全ての機材の調整を行ないます。時間はかかりますが正しいモニター環境を作るにはこの方法が一番近道です。

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