2010/10/27

DSDマスタリング(その1)「透明感のあるアナログサウンド」


本日はクラブミュージック、R&B、HIP HOP 、ROCKなどのジャンル向けにも最適なDSDマスタリングの方法をご紹介。ジャズやクラシック以外のジャンル向けに、KORG MR-2000Sを使用して「アナログレコーダーのようなファットなサウンド」を再生する方法とは?
[ 「アナログレコーダーのようなファットなサウンド」とは ]
(1)中低域の厚み (2)音像の大きさ (3)艶のある倍音だと思います。単にアナログ機材や真空管機材を通しても、この条件を満たさない限りアナログ感は表現出来ません。DSDのサウンドはレンジが広く高域がとても滑らかで、かつ低域のレンジが広いのです。だから音の密度を上げることができれば理想のサウンドに近づけるはず、とチャレンジしました。

[ 方法 ]
音をフラットに再生するのではなく、太い低域、厚みのある中域を再生する。まずMR-2000Sを42mm厚のシナ合板の上に置いて振動対策を万全に行います。アナログ段のある回路(電源なども)は、アンプでもDACでも、筐体の振動対策、インシュレーター(足もと)を徹底的にチューニングすることで、密度のある輪郭のはっきりしたサウンドが再生出来ます。

MR-2000Sに使用する電源ケーブルはアレグロケーブル。その相性は抜群で、ボーカル・スネア・キックなどのセンター成分がしっかりして音像が大きくなります。「綺麗な音」と思われがちなDSDですが、この方法でMR-2000Sが音圧重視な鳴り方をしてくれます。MR-2000Sのアナログアウトのラインケーブルは少しざらついた質感が魅力のアクロテック8Nケーブル及び、低域にパワーがあるトランスペアレント・ケーブルを選択しさらに音の艶を付加します。最後に、柔らかくもタイトな質感を出すため全てのデジタル機器をワードクロックでロックします。音がグッと前に出てきます。暖かいのに抜けるサウンドなので高域のEQがほとんど不要です。低域もしっかり止まっているためローカットもほとんどしなくて大丈夫です。
大蛇のような「アレグロ」ケーブル
従来のアナログ感を出す方法としてはアナログコンプやアナログEQを通す、アナログテープレコーダーのアンプを通す、などがありましたがそれらの方法ではアナログ感は得られる反面デリケートな質感やスピード感を失いがちでした。この方法は、アナログ機材を駆使しても作れなかった、透明感・抜けを維持したまま太いサウンドが作れるのです。最近のお気に入りのマスタリング方法です。直接MR-2000Sなどに録音したDSD音源はもちろん、ミックスマスターがPCM音源であった場合でもアップコンバートしてのDSDマスタリングで同じニュアンスを得ることが可能です!

P.S.
PCMファイルをDSDファイルにアップコンバートする場合、レベルがギリギリまで入っていない音源の方が音が固くならず良い音をプレイバック出来ます。ミックスではヘッドルームに十分な余裕を持たせることをおすすめします。

2010/10/25

紅麗威 / 1965 発売!

どうもMUSHです!
先日マスタリングさせていただいた紅麗威(ぐりい) / 1965 が10月19日発売になりましたよ!

紅麗威さんの2011年のアルバムリリースからの本格活動に向けて、WEB SHOPのみでの限定販売になるようです。音はもちろんジャケットデザインなどにもこだわった作品をぜひチェックしてみてくださいね!お買い求めはこちらから

【 紅麗威 / 1965 】
1.プルトップに指をかけ-Growing Up! Day By Day-
2.1965
3.ROCK'N'ROLLでmanshinsoui
4.逃亡者
5.四十の幻想
6.桃子の唄 (Unforgettable Melody)
定価\2,310 Scream RECORDS(SRCD-GU001)


2010/10/24

SDM伝統のインターンシップxPraça11

まいど。まっしゅMUSHやで〜

サイデラ・マスタリングはスタジオ開設した1995年からインターンシップ・プログラムがあるんや。専門学校や大学に通いながら、アルバイトしながら現場の適正を試されるんや。学校ではぜったい教えてくれへん、音楽業界だけやなくて、世の中のあらゆる職に応用できるヒントが學べますんや。いやホンマに。

インターン最初の仕事は「掃除」。ほんで、おつかいやらなんやら「雑務ぜんぶ」。まあ1回目はめっちゃ丁寧に、先輩(俺)がやってみせてくれる。ほやけど2回目からはストップウォッチつきやで。同じ動作を繰り返して、手数少なく、要領よく、器量よく、何でも笑顔で、慣れてくると4倍くらいは早うなってるんや。「おっ、頑張っとるやんか!ほな来週からケーブル磨き教えたろか!」「おまぇ上手くなったなぁ。今日からここは任せたでー」先輩はライブレコーディングに出かけてしもたわ。自分に任せてもらえるテリトリーをいかに広げていけるか。それが勝負や。就職活動はこのセオリーや。「大阪のおばちゃん」も観察してみ。世界と勝負でける人間になるには、遠慮したり、躊躇したり、萎縮してるよーでは、ぜんぜんあかん。でけへんことでも、一応「ボクやります〜。アタシそれ、できますよ〜」って売り込んどけ。もしな、でけへんかった場合は、それを頼んだ方が、頼む相手をちょっと間違うたっていうことやろ。←ちょっとカリフォルニアんな感じするけど、それでええんや。韓国、中国に負けたらあかん。繰り返すが、遠慮はあかん。人生、続けていけば必ず成功に手が届く、あきらめたらそこで失敗や。

SDMインターンには、伝統がある。その1:青山にあるブラジル音楽の聖地、「プラッサ・オンゼ」への出張ケーブル掃除や!「Esquina de SP / Wilma de Oliveira」が、GENEX 8500 8トラックDSDレコーダーでライブレコーディングされたのもプラッサ・オンゼや。先週は、某専門学校から送り込まれてきたインターンNくんとやったで。ライブ掃除。。「Esquina de SP / Wilma de Oliveira」をSACD 5.1chサラウンドでスタジオで視聴してから掃除にいったから盛り上がったなぁ。実際の制作環境でSACDを聴いて、実際にそれが収録された名門ライブハウスを貸し切りで掃除するっちゅう、こりゃなかなか出来へん貴重な体験やで!盛り上がるでー。

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【インターンNくんのコメント】
「プラッサ・オンゼに出かける前に、ましゅさんが「Esquina de SP / Wilma de Oliveira」を、はじめてSACDの5.1chで試聴させてくだはりました。・・・ん?なんや?・・・生!?心地ええ響きが正面、左右、後ろから、とにかくもう、目を閉じれば生演奏を目の前で聴いてるかのよう。実際には、この臨場感はライブハウスではどうなるんかと想像しながらプラッサオンゼに着いた。そこは想像しとったよりも、やや小さめのライブレストラン。PA機材もめっちゃシンプル。実際にライブは見てへんけど、セイゲンさん曰く『プラッサ・オンゼはライブハウスの構造がええ。ドラム、ギター、ベース、まあヴォーカル以外はぜんぶ生音でオーケー。目の前もええが、バーカウンターや一番後ろのテーブルでも演奏が手に取るようわかる。」ケーブル掃除の次は、今度はライブ中にトイレ掃除もやらしてもらたいわ。トイレでもえらいバランスええらしい。

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生音中心のプラッサ・オンゼのめちゃシンプルなPA機材の掃除、初期反射を磨くために、床も磨きました。ライブで音が出えへん、なんて許さへんから定期的なメインテナンスはめっちゃ重要なんや。プラッサ・オンゼは仕事帰りに、めっちゃええ音楽と、めっちゃ美味しいブラジル料理&めっちゃ酔えるカイペリーンニャ?なんか、楽しめる青山のオアシスでっせ!わっしのおすすめはブラジルの代表的家庭料理「フェイジョアーダ」(¥1,800)と生のライムとピンガのカクテル「カイピリーニャ」(¥800)←これこれ!!フェイジョアーダは店主のクラウディアさんによると「やっぱり本場の味よりちーとばかしだけ、日本人好みにアレンジしとる」らしい。お酒と女性に弱いぼくらは甘〜くまぜてもろたカイピリーニャをゴクゴク飲んで調子にのっとったら、ええ感じに出来上がってしもて、青山通りを超上機嫌でふらついとりました。まあ青山のウイークエンドの始まりはここで!

ほなまたー、次回はプラッサ・オンゼでもりあがろや!インターンシップやってみたい人も受付中やでー!プラッサオンゼもバイト募集中かも。
おれたち真剣に掃除中なう。

2010/10/22

マスタリング仕上がりのイメージ


目に見えない「音」「バランス」を図にしてみました。



マスタリングの音作りをイメージしてみてください。ORIGINAL MIXはTD済み音源(マスタリング前)。A~Gがそれに施された様々なマスタリング。それぞれのパーツの星をヴォーカル、四角をオケ、それぞれの大きさを音量レベル、線の太さを音の輪郭として想像してみてください。

A:オリジナルに忠実なバランス。ニュアンスは変えずに、音量感と輪郭を少し強調。ジャズやフュージョンなど、音量レベルよりも生楽器のリアリティを生かしたジャンルにおすすめ。ダグ・サックスのナチュラルできめ細かいサウンド。

B:キラキラ明るいサウンド。倍音が有りボーカルにスポットライトがあたっているかのようなイメージ。最近のJ-POP、特に女性ヴォーカルを華やかに引き立てるものはこのようなマスタリングが多いかと。図よりオケのバランスを大きくすれば、ボーカルのキラキラ感はバーニー・グランドマン、ボブ・ラドウィッグでしょうか。

C:ヴォーカルよりも、オケを重視したバランス。それぞれの楽器、演奏に太く奥行きをつける。海外のアーティストに多いHIP HOPやROCKの音作りはこんなイメージでしょうか。このバランスが可能なのは英語の発音もキーです。母音中心の日本語ではもう少しだけメインボーカルは引き立てる方がいい。クリス・ゲーリンジャーやハーブパワーズ Jr.のバランス、特に音像の大きなキックが特徴。

D:Aと同じ音像の大きさ。ただし立体的に。一つ一つの音の輪郭は、Aほどは強調しない。打ち込みのオケを自然に聴かせられるサウンド。キック、ベースを中心に音数が少ないR&Bやクラブ系にも向いている。例えていえばトム・コイン風でしょうか。

E:TV用や配信で、PCのスピーカーでも歌詞がはっきりと分かるように。歌を中心に聴かせるバランス。オケのレベルに対して、ヴォーカルを際立たせてるところがポイントです。

F: 歪みも音楽の一部として積極的に生かしていく。「とにかく音圧」「パワー感」を優先した音作り。グランジROCKなど。これできれば、録音やミックスの段階でチューブコンプやアナログのコンプ、アナログテープなどでかっこよく歪ませたサウンドを作っておくのが得策です。マスタリング段階でも全体をアナログテープを通したようなサウンドに変換することができます。サイデラ・マスタリングでは、実際にSTUDERのハーフインチや1/4インチのアナログテープを通すことができます。アナログテープを通す際には、1/2インチか1/4インチか、テープ速度は30IPSか15IPSか、テープの種類(AMPEX、AGFA、Scotch)、バイアスレベル、イコライゼーション(REC/REPRO)、録音レベルの組み合わせにより微妙に音作りを変えられるます。深いですよ。ぜひ立ち会いでも体験してみてください。

G:ヴォーカルを全面的に、最重要項目とした音作り。J-POPで音量、音圧ともギリギリまで大きくしたサウンドですが、決してボーカルは歪ませたりしません。1940~50年代のモノラル録音のジャズの名盤では、ボーカルはこのイメージです。ルイ・アームストロングやナット・キング・コール、エラなどのヴォーカルはこのぐらい音像が大きいですね。40年の録音機材、アナログテープの音質の変化を前提にした音作りです。デジタルレコーダーの時代になり、INとOUTは波形としては似た形になりましたが、アナログテープの時代は、再生されたときの音を前提にして録音する音(コンソールアウト=レコーダーインプット)を作ります。アナログテープに記録しきれないピークは丸くなります。高域をレベルを高くいれすぎると簡単に歪んでしまいます。常に録音レベルと高域とのせめぎ合いだったのです。

これらの図は、あくまでイメージですが、音は目に見えませんので(波形はダイナミックレンジだけは可視化できますが、そのバランス、内容やカラーは見えません)マスタリングのご要望などにもご利用ください。ジャンル、目的に合った仕上げをすることで音楽の魅力がぐっと増します。次回は音作りの注意点についてお話ししたいと思います。


2010/10/19

DSDアップコンバート[AudioGate](ポイント)

本日はKORG AudioGateのPCM音源をDSDアップコンバートする際のポイントです。

先日の「配信用DSDマスタリング」でお話ししましたが、PCM音源をDSDにアップコンバートするとレゾリューションがアップします。その際に気をつけなければいけないことは細かなニュアンスだけではなく電気的な歪みなども同時にアップコンバートされることです。そのためPCMでレベルをギリギリまで入れた音源などでは歪みが目立ってしまうことがあります。

広がり、奥行きなど、DSDフォーマットの良さを生かすにはヘッドルームを残してTDする必要があります。ヘッドルームは0.5dBから1dB程度の余裕があれば十分ですが、まずは赤が点かないように注意してください。ナチュラルで弾力のあるキック、伸びのあるヴォーカルなどを表現するには重要なポイントです。ただし、直接KORG MR-2000SにTDする場合、DSDはPCMに比べてクリップに強いので瞬間的なら赤が点くレベルで録音しても大丈夫です。

以前「PCMとDSDアップコンバートの使い分け」でも書きましたが、僕は、PCMマスター(96KHz24bit / 48KHz, 192Khz, etc)をマスタリングする際には、DSDアップコンバートしてMR-2000Sで再生するため、音楽により5.6MHzか2.8MHz DSDの2種類を使い分けています。5.6MHzはレンジが広くきめ細かい音が特徴ですが、2.8MHzはもう少し押し出し感を出したいときに使っています。それでもお客さまの希望が、音量を最大レベルまで入れてほしいというリクエストの場合はPro Toolsで再生するの従来の方法もあります。

DSDマスタリング&レコーディングの過去記事もご参照ください様々な作品で活用しています。アップコンバートしたDSDマスタリングを体験してみたい方は、ぜひお問い合わせくださいね。

P.S.
サウンド&レコーディングマガジン11月号はもう読まれましたか?
特別企画「DSDで録る、DSDを聴く(P78〜86)」
DSDの基礎から使いこなしまで必読の内容です。

権藤知彦氏はDSDでマスターを録るようになってからの制作上での変化について、okuda supa氏はDSDとPCMとでのミックスの違い・使い分けについても語っています。