2016/05/23

~音風景のデザイン~ サウンドスケープ [その思想と実践]を読んで


どうも久保です!私はいろいろと音や音楽についての本を読んでいます。今回はこちらです。

サウンドスケープ [その思想と実践]
鳥越けい子 著
http://www.amazon.co.jp/dp/430605229X

サウンドスケープは直訳すると「音の風景」。目で見る風景=「ランドスケープ」をもじった造語です。サウンドスケープ理論は、音楽の音(楽音)≡コンサートホールやライブハウスでの演奏、とそれ以外の音(環境音)を分けて考えず、すべての音に関心をもち、享受の対象にするという考え方にもとづいています。私たちの生きる世界を「見る」ではなく、「聴く」というやり方でとらえなおすということです。

ある音が特定の時代の人々や個人にとってどんな意味を持っているのか、よりよい音環境とはなにか……など、音とそれを取り巻く文化について考えることがサウンドスケープ理論の根本ですが、もともとこの考え方はカナダ人作曲家、マリー=シェーファーにより提唱されました。日本で本格的にサウンドスケープの概念を研究したのは、著者の鳥越けい子氏です。

今回紹介するこの書籍は、サウンドスケープ理論の入門書であり、この考え方の成り立ちと歴史から、実際にこの理論がどのように応用されているかを網羅的に知ることができます。しかし、この本の内容で特に興味深いのは「第3章 サウンドスケープ思想に基づくデザイン活動」です。

この章では、大分県竹田市にある瀧廉太郎記念館の音のデザインを、実際に鳥越氏がどうてがけたかが記録されています。瀧廉太郎は「荒城の月」や「春の小川」の作曲家で知られていますね。幼少期を大分県竹田でどのような音を聞いて過ごしたか、過去の文献などを元に研究し、瀧廉太郎がかつて体験していたような音環境を再現しています。

この記念館では、瀧廉太郎が実際に聞いていた音風景を体験できる仕掛けがたくさんあります。
・飛び石と下駄の響き(実際に下駄をはいて、飛び石を歩けます)
・竹林の響き
・溝川の音
・ししおどしの音
・井戸の音 等
実際に訪れた人が耳で(あるいは五感で)「感じる」ことに焦点をおいたこのデザインは、展示物を見てまわる博物館や郷土資料館よりも、濃い体験になるでしょう。

この本では、サウンドスケープが、ただ概念的に語られるだけの理論ではなくて、建築、デザイン、環境などに応用できる可能性があることを示しています。目で見る風景から感じ方のポイントを変えて「音の風景」に意識を向けてみると、新しい気づきに出会えるのではないでしょうか。


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目次

序章 音の風景をめぐって
第1章 マリーシェーファーと20世紀音楽の地平
第2章 音の風景を聴く
第3章 サウンドスケープ思想に基づくデザイン活動
終章 音の風景を生きる


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