マルチマイク/マルチトラック収録の特徴 & メリット
・収録後に、音量バランスの調整やミックスによる音楽表現、的確なMAができる
・PA/SRが関係する現場で有利
・何年か後にリミックスして、新たな作品として再びリリースすることも可能
「マルチマイク/マルチトラック収録」は、複数のマイクロフォンそれぞれの音を、別個のトラックに記録するやり方です。例えば「A、B、C、D」と4本のマイクロフォンに対して「1ch、2ch、3ch、4ch」と4つのトラックに記録します。これによって、録音後に「A」が大きく聞こえるパタンと「B」が大きく聞こえるパタンのミックスを比べてみたりと、録音された後でも表現の幅と選択肢がひろがり、よりアーティスティックな制作を可能にするのが「マルチマイク/マルチトラック収録」一番の強みです。
ワンポイント・ステレオは “音の全体像” をナチュラルに録音する方法です。まさに「マイクロフォンの位置の、あるがまま」を捉えます。対するマルチマイク/マルチトラックは「マクロからミクロまで、自由自在に」音を捉える方法といえます。例えば、ピアノの内部奏法(プリペアド・ピアノ)をクロースアップするために、ピアノの全体像を狙うマイクロフォンの他、ピアノ線スレスレのマイクロフォンでミクロの世界を捉え、「作曲家や奏者の音楽的な意図を、よりわかりやすく伝えること」ができます 。
♪♪♪ プリペアド・ピアノを意欲的にとらえた例 ♪♪♪
作曲家の譜面と奏法にあわせて、パートごとにマイクロフォンのセッティングを変えています
GEORGE CRUMB【↑詳細↑】Song & Co. http://songandco.com/?p=401
MAKROKOSMOS VOLUME II +
Twelve Fantasy-Pieces after the Zodiac for Amplified Piano
中川瑞葉 Mizuha Nakagawa
話はかわり映像作品においては、ソリストが映っている時にそのソリストの音を目立たせたりと、映像の意図がより伝わるMAが可能となります。
さらに、PA/SRが関係する現場においても、マルチマイク/マルチトラック収録が有利です。そのわけは……
・アコースティック楽器と、電気楽器とで音のエネルギーに差があっても、バランスがとりやすい
・電子ピアノやシンセサイザー、テルミンなど、PA/SRのスピーカーから出るまえの信号も別個に記録できる
・会場内で録音する場合、ヘッドホンで聴く音と会場の音とが混じって聞こえて正確に判断できないので、勘を頼りにミックスするよりは収録後に正確な音を聞きながらミックスした方が良い
……といった具合に、ジャンル、会場、編成に最適な方法をご提案するのはもちろん、奏者の方々が普段気にすることのない技術の面からも無理のない判断をして、レコーディングを成功へと導きます!
次回は、「マルチマイク/ダイレクトミックス」での録音についてお話します。
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