2011/07/12

ミックスマスターのレベル(その2)「ミックスで音量レベルを入れるときは」

チーフ・エンジニアの森崎です。

最近では優秀なプラグインのおかげでかなり音量レベルの入ったミックスマスターも多くなりました。今回は音量レベルの大きなミックスマスターについて。

ミックス段階でフルビットに近いレベルを入れることのメリットは「限りなく製品CDに近い音圧感でサウンドをチェック出来ること」です。常に最終形に近いかたちをモニターしながら制作することで楽曲の方向性は非常に明確になります。レンジ・バランス・ボーカルの抜けがバッチリならマスタリングではほんの少し透明感や抜けをプラスするだけでOK。レベルの大きいミックスは迫力が出るので、必ず小音量でもプレイバックしてみて歌詞・演奏が伝わりやすいか?声の芯・キック・スネアのアタックなどがしっかり聴こえるか?忘れずにチェックしましょう。

逆にデメリットとしては、音量レベルの大きなミックスマスターはサウンドのキャラクターやニュアンスが決まっているので、マスタリングでミックスの方向性と違う音作りは難しい。広がり・奥行きを出したい場合やナチュラルな質感で仕上げたい場合も、一度迫力・音圧のあるようつくられた音源からこれらのサウンドに仕上げるには限界があるので音量レベルの大きなミックスマスターは避けるべきです。ナチュラルな質感ながら音量を入れたいときは、楽器に輪郭があり、音像が大きく、ハイハット、ボーカルの子音など特定のピークが無いミックスは聴感上音量が大きく聴こえるため、レベルを入れてもナチュラルさを失うことを抑えられます。

また多くの方は24ビット/48kHzなどCDフォーマット以上でミックスしているので、音量やバランスがいくらバッチリでもマスタリングで16ビット/44.1kHzのCDフォーマットに落とし込む必要があります。ミックスマスターをただ機械的にCDフォーマットに変換すると24ビットから16ビットの場合で単純計算で8ビット分情報量が下がります。ミックスマスターからアーティストが理想としている楽器の音色・演奏のグルーブなど音楽的な要素を引き出しアーティストの気持ちをリスナーに伝える作業、あるエンジニアさんの言葉を借りると「意思のある16ビット/44.1kHz」に変換するのがマスタリングです。ジャンルに合ったサウンドに仕上げること、アーティストの求めるわずかなニュアンスの違いをサウンドで表現すること。様々なテクニックでそれらを積み重ねることで情報量が下がってもリスナーに伝わるサウンドに仕上げることが出来ます。


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