2011/01/17

DSDマスタリング(その2)「楽器の太さを表現するローミッドの表現力」


DSDのサウンドの特徴はリアリティーです。特に楽器の太さを表現するローミッドの表現力があります。アコースティックギターのボディーの鳴り、ディストーションギターのアンプの箱鳴り、ヴォーカルの胸の響き。音と音の隙間が響きでつながるので暖かみのある音を作ることが出来ます。

先日、リマスタリングさせていただいたあるアーティストさん。リクエストは「ギブソンのアコースティックギターの低域、中低域を出して音を太く仕上げて欲しい、でも全体の抜けはオリジナルの雰囲気をキープしたい。」

真っ先に思いついたセッティングはKORG MR-2000Sとアレグロケーブルの組み合わせです。素材は48kHz、24BitのWAVファイルだったので2.8MHzのDSDデータにアップコンバートしました。5.6MHzより2.8MHzを採用したのは音像の大きさ、太さを表現するためです。

ラインケーブルはアナログ感もプラスしたかったのでMR-2000SからPrismSound ADA8(AD/DAコンバーター)はアクロテック8Nでつなぎました。最初はアナログコンプPrismSound MLA-2を通しましたがTD音源が十分太かったので最終的には外しました。音の抜けはADA8の電源をAudioPrism Power Foundation 1Aの電源BOXからとりました。この電源BOXはノイズフィルターを内蔵しているためとてもクリーンなサウンドです。

DSDのサウンドのもう一つの特徴は(毎回しつこいようですが)『音像が大きく立ち上がりが速い』ことです。ハイはEQしなくても抜け、コンプのアタックタイムを遅く出来るのでファットなドラムサウンドを作ることが出来ます。ただし、ローエンドの処理はとてもシビアです。1Hzの違いが音に影響するので良いモニター環境が絶対的に必要です。

サウンドはとても気に入って頂けました。プレイバックした瞬間に「この音が欲しかったんです」と言われた時は嬉しかったですね。僕もMR-2000Sを使い始めた当初はガッツのある音を出すためかなり試行錯誤しましたが今ではPCM、DSD5.6MHz、DSD2.8MHzとジャンルやアーティストの好みに合わせて使い分けています。プレイバックで最高の音質を引き出すことがマスタリングでは一番大切だと思います。

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